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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.325 2005年10月18日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:格差拡大と発展成果享受の矛盾】
●「第十一次五カ年計画」 貧富の差縮小に重点
●ジニ係数0.45を超える 貧困家庭収入差は8倍超

┏【金融】
●銀行業の不良債権率は10%以下
●銀聯 ATMの他行間照会料金徴収否定

┏【国内政策】
●1万人余りの国家公務員を公開募集 国家機関97部門に及ぶ
●湖北郷鎮機構大幅削減 党委員書記を原則にして郷鎮長を兼任
●北京気象災害年間損失10億 気象条例で責任規定を計画

┏【国内経済】
●中央と地方の税源の争い 創維の脱税事件は和解へ

┏【社会】
●北京市2005年のペット経済規模は5億人民元
●天安門広場では国慶節黄金周にゴミ27トンを発生

┏【経済データ】
●外国為替(10月17日)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
……【特集:格差拡大と発展成果享受の矛盾】………………………………………
●「第十一次五カ年計画」 貧富の差縮小に重点
 中国の都市住民と農村住民の所得格差は、1995年の2.5倍から2003年に3.23倍
に拡大した。都市住民が受け取った各種の交付金、補助金などを加味すると、実
際の所得格差は約5倍に上る。
 急速に拡大する貧富の差は、将来の中国の経済成長、社会調和を脅かしかねな
い。

 中国共産党中央委員会は10月8日―11日に北京で全体会議を開催し、今後5年間
の国民経済・社会発展計画について討議した。
 アナリストは、中国の政策は、経済の持続的な高度成長を追求すると同時に、
成長のバランス、機会均等、社会的公平に念頭に置いており、貧困者はより貧し
くなり、富裕層がより豊かになるというような不利な局面を避けようとしている
と話す。
 アジア開発銀行中国駐在代表処の湯敏チーフエコノミストは、「改革発展の成
果を享受し得る人々の数を最大化するには、貧富の差、都市・農村間の格差をな
くすことは、社会調和を実現するための重要な目標だ」と話す。

 世界的には、一人当たりGDPが1000米ドルに達した後の一時期には社会矛盾が
拡大したり、繰り返されやすくなる。
 湯氏は、中国にとって今後5年間がこの重要な時期に当たると指摘する。中国
はリスクを回避するために努力し、一部の国の二の舞となることを避け、他の発
展途上国に発展の参考例を示すべきだという。
 そして、中国の第十一次五カ年計画ではこの問題の解決に重点が置かれている
ことがさまざまな点からうかがえるという。

 あるアナリストは、市場経済の特徴であるインセンティブメカニズムが国民の
所得不均衡を生み出していると話す。政府の政策の偏りや政策の欠如が所得不均
衡を深刻化させている。
 国務院発展研究センターの盧中原マクロ部部長は、第十一次五カ年計画期間中、
政府はマクロ政策上から国民所得の配分制度、国家財政支出構造の調整を図り、
農業支援・保護システムを構築するとともに、農民に対する公共サービスの充実
を図るだろうと予測する。
 また、政府は今後、投資資金の増額対象の重点を農村、農業、農民に移し、そ
の資金額が財政の経常収入の伸び率をはるかに上回るペースで増額する可能性が
あるという。

〈1953年に始まったソ連式「五カ年計画」〉
 総じて中国の今後5年の成長目標と方向性を策定する影響は大きい。
 第九次五カ年計画、第十次五カ年計画期間中は、「経済建設を中心とする」と
いう指導思想によって、中国経済は年平均8%を超える速度で成長。
 2004年、第十次五カ年計画で確定した目標値であるGDP総額12億5000万元、一
人当たりGDP9400元を達成した。
 だが、高度成長とともに中国社会には著しい不均衡が生じた。特に都市と農村
との格差、貧富の差は拡大し、二極化が顕著になった。

 胡鞍鋼・清華大学教授はある研究レポートの中で、中国の都市住民、農村住民
の一人当たりの所得格差は1995年には2.5倍だったが、2003年には3.23倍に拡大
したと指摘する。都市住民が得た各種の交付金、補助金などを加味すると、所得
の実質格差は約5倍に達するという。
 中国は所得が比較的平等な国から、所得格差が深刻な国へと急速に変化してい
る。
 都市と農村との格差は農業人口の多くを貧困層におとしめているのみならず、
都市住民に対しても大きな就業上の圧力を生み出している。第十次五カ年計画期
間の全国のGDP平均伸び率は8.6%だったが、工業分野では高成長の半面、就業率
がわずか0.7%の伸びにとどまり伸び悩み、2004年には初めてマイナスに転じた。

 観測筋によると、中国の都市と農村では既に「貧困」層ができているという。
 急速に拡大する貧富の差は、中国の将来の経済成長、社会の調和を阻害しかね
ない。
 統計の試算によると、第十次五カ年計画期間中に各種民事訴訟件数が急速に増
加し、訴訟金額はGDPの7%前後を占めた。中国の刑事事件は1986年以降、年平均
で10%以上増加した。 
 このような厳しい状況に対し、中国は第十次五カ年計画後期には調和のとれた
社会の建設を目標として掲げている。
 国務院の温家宝総理は今年3月、数百人の中国人、外国人記者に対して、ノー
ベル賞を受賞した米経済学者シュルツの「貧困の経済学」理論を引用し、調和の
とれた社会を建設する国家統治の総合計画について注釈してみせた。
 胡鞍鋼は「これが第十一次五カ年計画の基本理念の一つになるだろう」との認
識を示している。
〔市場報10月10日〕

●ジニ係数0.45を超える 貧困家庭収入差は8倍超
 第16期中央委員会第5回全体会議で貧富の格差について白熱した討論がされて
いるが、それ以前に行われた調査によると、目下政府は社会余剰生産物の総価値
の87.5%を掌握し、社会には12.5%しかとどめていなかった。
 国家発展改革委員会経済研究所研究員の楊宣勇氏は10日、「第一財経日報」に
対し、このような局面が変わらないのであれば、社会投資能力の低下を招き、住
民消費能力の低さや社会再生能力がそがれ、技術進歩等に深刻な影響を与えると
指摘している。

〈あるデータ ジニ係数〉
 統計局のデータによると、都市住民の可処分所得のジニ係数は断続的に上昇し
ており、2003年0.34に達し、前年比0.018上昇となり、第十次五カ年計画末期の
0.35を超える可能性がある。
 「これは、最も豊かな10%の家庭と最も貧困な10%の家庭の一人当たり可処分所
得の格差が8倍を超え、あるいは6割の都市住民の一人当たり可処分所得が平均水
準に達していないことを意味する」と楊宣勇氏は示している。

 事実上、中国の都市のジニ係数は早くも2000年には国際的に認知されている警
戒線である0.40を超えており、現在既に0.45を超えている。
 「改革開放から既に26年が過ぎ、我々は多くの民衆がさらに普遍的に経済社会
の発展の成果を享受することができるように考慮しなければならない」第十一次
五カ年計画で実行すれば、それだけでも社会経済の全面的な協調発展が実現する
と楊宣勇氏は見ている。

〈2つの現象 賃金上昇とストック収入〉
 民衆にはジニ係数の話をするよりも、産業の格差を挙げる方が一人一人がよく
理解できるかもしれない。
 第十次五カ年計画の期間において、中国の電力、ガス、水道、鉄道、通信とい
った産業の平均賃金の年間成長率はそれぞれスピードアップし、3―5ポイント上
昇している。金融保険業、党政機関及び社会団体も、それぞれ第9次五カ年計画
の期間において7ポイント、5ポイント以上上昇している。
 楊宜勇氏によると、これら各業界の就業者の所得水準はある程度上昇している
ものの、上昇の程度は異なっている。特に明らかになっているのは、独占的企業
と一般業界の職員との間の所得格差が引き続き拡大しているという趨勢である。

 そのほか注目に値する現象としては、現在全国の一人当たりのストック所得の
成長速度は、労働収入(都市における賃金収入及び農村の経営収入)の倍になっ
ていることである。
 つまり、ある人がなお努力して労働力の対価として報酬を得ているときには、
ある人は働かなくても財産がもたらす収益を享受できる状態になっていて、しか
も前者の成長の速度は後者には及ばないということである。
 2004年の第1―3四半期を例にとると、全国の都市住民の一人当たり賃金収入は
前年同期比11.8%増となっているが、一人当たりのストック収入のうち不動産賃
貸収入は何と54.5%に達している。
 ストック収入の増加幅は比較的早く、ストック格差の拡大はさらに収入分配の
不平等を劇化させている。
 楊宜勇氏は、第十一次五カ年計画の所得分配問題とその対策報告を起草すると
き、この問題をコントロールをするよう提案をした。

〈民衆に経済発展の成果を享受させる〉
 よく言われていることとして、ある一つの国家の一人当たりGDPが1000ドルか
ら3000ドルに進む過程で、往々にして産業構造が劇的に変化し、社会構造が再調
整され、収入が急激に分化し、利益矛盾がふえ続ける。
 楊宜勇氏は、現在の中国が穏便にこの難関を乗り越えることが、科学的発展観
の全面的な貫徹のために不可欠であると考えている。具体的には、所得分配問題
を高く重視し、多くの民衆がさらに普遍的に経済社会の発展の成果を享受させる
ことである。
 この過程において、政府は最も重要な責任を負っており、立法及び政府の行為、
社会政策のシステム化を通じて成果の享受を完成させなければならない。
〔第一経済日報10月11日〕

……【金融】………………………………………………………………………………
●銀行業の不良債権率は10%以下
 10月9日、北京大学民営経済研究院、北京大学光華管理学院と日本の日中産官
学交流機構が共同開催する「2005日中経済高級フォーラム」に出席した中国銀監
会の唐双寧副主席は、「中国銀行業の対外開放及び中国資本銀行が直面する情勢
と任務」という講演を行い、現在、中国銀行業の不良債権率は既に1けたまで下
がり、資産の質は明らかに改善したと発表した。
 唐氏の話によると、現在銀行の資産の質は明らかによくなったが、依然として
新しい情勢と任務に直面している。今後いかに現状を維持して不良資産の発生を
防止するのかが直面した課題の一つだという。

 現在のところ、外国の金融機関19行が中国資本銀行16行の株を購入して、その
投資総額は165億ドル近くなっているという。投資された中国資本銀行は、国有
大型銀行、株式制銀行もあれば、都市商業銀行もある。また、沿海と東部地域の
金融機関もあれば、内陸と西部地域の金融機関もあり、多様である。
〔新京報10月10日〕

●銀聯 ATMの他行間照会料金徴収否定
 ATMの他行間引き出し手数料徴収問題の余波は収まってない11日、一部のメデ
ィアが中国銀聯はATMの他行間照会に対して料金徴収する方策を検討していると
報道した。
 この報道によると、この方策は既に中国銀聯理事会の同意を得て、銀聯方面が
関連システムの改造を着手しているということだった。

 2004年3月1日から「中国銀聯ネットワーク機関における銀行カード他行間取引
収益分配弁法」が施行され、銀聯カードの他行間取引料金徴収方法とルールが明
確に定まった。
 規定では、1件のATM他行間引出し取引は3元の代行手数料と0.6元のネットワー
クサービス料を含まれいるが、ATMの他行間照会に対してはしばらくの間料金を
徴収していなかった。
 これに対して、記者が中国銀聯の〓スポークスマンにインタビューしたところ
では、このような報道が既に聞いているが、現在まで中国銀聯はこのような通知
を出したこともなく、ATMの他行間照会に対する手数料徴収も考えていないと明
確に答えている。〔成都商報10月12日〕
注)〓はさんずいに「余」

……【国内政策】…………………………………………………………………………
●1万人余りの国家公務員を公開募集 国家機関97部門に及ぶ
 中央、国家機関の公務員と機関職員補充のニーズを満たすため、規定により、
中央組織部、人事部は近く、2006年中央、国家機関及びその支部、直属組織の試
験を実施し、主任課員以下の非リーダーの職域の公務員と機関職員を選考するこ
とを決めた。
 中央、国家機関合わせて97部門1万余りのポストが社会に公開募集される。
 今回の募集期間は2005年10月15日から25日までとなる。2005年11月26日に全国
の各首都都市、自治区首都及び直轄市において共通科目の筆記試験を行う。面接
は2006年2月までに終了する。
 なお、募集計画全体は2006年4月までに終了する。〔新京報10月12日〕

●湖北郷鎮機構大幅削減 党委員書記を原則にして郷鎮長を兼任
 党と政府幹部の兼職、機構組織の合併、競争原理によるポスト配置配分、機構
と人員の大幅なリストラ――。
 湖北省は今年の3月より、湖南省全体内で郷鎮の総合配置改革を推進し、郷鎮
政府の「ダイエット」を進めている。

 改革のアレンジによると、郷鎮の首脳部メンバーを7―9名にとどめ、党委員書
記は原則として郷鎮長を兼任、副党委員書記2名はそれぞれ人民代表大会主席団
主席と紀律検査委員会書記を兼任、2―3名の党委員は副郷鎮長を兼任、2―3名の
党委員は人武部部長を兼任する。
 機構組織には「三室一所」モデル、すなわち、郷鎮は党政総合事務室、経済発
展事務室、社会事務室と郷財政所のみを設置する。〔新京報10月9日〕

●北京気象災害年間損失10億 気象条例で責任規定を計画
 雹、雷、暴風雨、砂嵐等の気象災害は北京に毎年約10億元の損失をもたらして
いる。
 国家気象法が実施されて5年がたち、北京も初めての地方法規制定を計画して
いる。

 北京市人民代表大会農業工作委員会総合処の関連責任者である向建華氏は10日、
北京は地方法規として気象条例を制定し、首都のサービス機能として、「公共気
象、資源気象、安全気象」という最新の戦略理念を取り入れ、公共性、利便性、
災害予防の3つの方面から北京の気象事業を発展させるとした。

 気象部門が気象情報の誤報を流したときの責任をとるべきかどうかについて、
かつて台風「麦莎」(台風9号)がちまたでホットな話題となったことがあった。
 向建華氏は、各レベルの気象部門の職員が職務を軽んじ、重大な申告漏れ、ミ
スを招いたりといった場合には行政処分となり、国家利益と人民の生命と財産の
安全に重大な損失となり、犯罪を構成する場合は、刑事責任を追及すると述べた。
 「中華人民共和国気象法の北京市施行令」草案は、10月18日に北京市人民代表
大会常務委員会に審議が付託される。〔華夏時報10月11日〕

……【国内経済】…………………………………………………………………………
●中央と地方の税源の争い 創維の脱税事件は和解へ
 創維(スカイワース)の脱税事件の論争の焦点は徴収管理の法規理解であり、
その核心は中央と地方の税源獲得の争いにある。

 9月下旬に創維デジタル控股有限公司は、10月12日の午前中に株主総会を行い、
会社の幹部人事の調整を行うと発表した。王殿甫氏、張学斌氏、梁子正氏の3人
を董事として増員し、前董事局主席の黄宏生氏は非執行董事で非執行主席となる。
 株主総会が行われたことで、創維をめぐる2つの懸案も徐々に詰めの段階に入
ってきた。
 昨年11月、当時董事局主席であった黄宏生氏が帳簿を操作し、香港廉政公署で
「虎山行」と呼ばれていた事件で逮捕され、創維は直ちに営業停止処分となった。
今年7月、創維はさらに脱税嫌疑で税務部から査察を受けており、その金額は6.8
億元に達すると報道されていた。

 創維は現在、香港に営業許可の再申請をしている。「財経」の取材によると、
営業許可を再発行する前提条件は会計帳簿の調整で、創維は既に会計事務所に処
理を行うように要請している。
 また、巨額脱税事件については、創維の経理部長の梁子正氏によると、創維で
は既に税務部門の査察報告を受け取っているという。

〈続く災難〉
 「報告には脱税や脱税に関する文言はありませんでした。修正漏れがあったと
いうだけですから、修正申告をすることになると思っています」。梁子正氏は、
追徴金が6.8億元などということはなく「それよりもっと少ない金額です」とい
うことを強調している。
 しかし、この発言は国家税務総局の主管部門で証明されたわけではない。「財
経」が信頼できるルートから取材したところ、創維の査察は基本的には既に終了
しており、原則的には企業に対して追徴課税を通達することで終了するが、具体
的な追徴金と処罰はまだ決定していないという。

 創維グループは中国国産カラーテレビ製造企業のトップ3に数えられ、唯一の
民営のカラーテレビ製造企業である。会社の初期の名称は創維実業有限公司であ
ったが、1992年に創維集団有限公司となった。2000年4月には、創維デジタルと
して香港証券取引所に上場している。
 ここ1年で創維は何度も事件に巻き込まれている。しかも原因はどれも酷似し
ている。香港の「虎山行」と同じように、創維の脱税事件も告発文によるもので
ある。告発文の内容は、「創維は過去10年に巨額の脱税をしており、証拠もある。
金額は数十億元にも上る」というものである。
 この告発文は国家税務総局と国家審計署に郵送されている。主に言及している
のは、創維が「地産地銷」政策を利用して「脱税」しているという点である。
 審計署と国家税務総局はこの告発文を重く見て、今年3月、深センの国税局な
どの部門から派遣された特別査察グループをつくり、創維に対して厳しい税務査
察を行った。
 特別査察グループにより、7月に創維脱税事件の一部査察報告がつくられ、創
維デジタルにも通達された。

 報告によると、以前の創維ではきちんと守られていない税収条例項目として増
値税、個人所得税、印紙税があった。税務部門は7月までの各種税項目に対し、
7400万香港ドルの修正課税を追徴した。
 2005年8月に発表された創維デジタルの追徴課税は7600万香港ドルで(200万元
はその他の費用)、そのうち1000万元が「売上原価」、1500万元が「販売及び販
売費用」、3700万元が「一般管理費」、600万元が「企業所得税」、800万元が「そ
の他の中国税項目」である。
 専門家の分析によると、「企業所得税」の項目は企業所得税であり、「その他
の中国税項目」には都市建設税や教育税を含んでいるという。また、売上原価、
販売及び販売費用、一般管理費に増値税が含まれているもかもしれないという。

 発表を見ると、創維の脱税事件は最初に言われていた6.8億元よりはるかに少
ない金額であった。しかし、内部筋によると、事件の金額については「追徴期」
という制約があることを考慮に入れるべきであるという。
 新しく発表された「中華人民共和国の税金徴収管理法」によると、納税義務者
の計算ミスなどのミスによる未納は、税務機関が3年以内に追徴金、滞納金を徴
収することができる。また、特別な状況の場合は5年まで期間を伸ばすことがで
きる。
 現在、最終的な金額はまだ完全に確定していないが、取材の結果、金額は7400
万香港ドルで「ほぼ間違いない」と予想している。創維をめぐる脱税事件は大ば
くちとなってしまったが、これは事件の性質上仕方のないことである。

〈優遇の「後遺症」〉
 税務機関筋に創維の脱税事件と深セン歴史上の「地産地銷」税収政策について
取材したところ、この政策に対する理解をめぐっては、中央と地方政府で長い間
話し合われて互いの理解を深めてきたという。
 深セン市長は北京に赴き、国税総局などの国務院部門に強く「地産地銷」の政
策の「問題の理解」について実行面で全く偏ったものでないことを直訴したこと
もある。

 いわゆる「地産地銷」は、1984年に実施され始め、2003年に廃止された特区の
優遇政策で、深セン特区内で生産した製品を深セン特区内で販売する際に増値税
が免除されるというものである。これについて深センの税務部門は特区の「最も
基本的で重要な、財産税の優遇政策」だと思っている。
 1984年と1985年に、国務院と財政部は次々と文書で、「地産地銷」政策の規定
を発表した。「特区内の企業が生産された製品で、特区内で販売される各種の鉱
物油、たばこ、酒などは税法で定められた税率の半分を工商統一税として徴収す
る。特区の地方政府も一部製品を工商統一税を半分にすることができる。その他
の製品はすべて工商統一税を徴収しない」。
 「工商統一税」は当時の税制構造の中で、最も重要な税金の種類の1つであっ
た。

 1994年に導入された増値税によって工商統一税は廃止されたが、国家税務総局
はすぐさま文書で「地産地銷」の政策をそのまま継続することを通知し、その結
果、優遇税種は増値税に変わった。
 深セン市の多くのハイテク企業はこの優遇政策のおかげで大きく飛躍したと言
える。2001年の深センで実際に実行された「地産地銷」の免税金額は13億元であ
る。
 そして、2003年1月1日に、経済特区における「地産地銷」増値税の優遇政策は
廃止された。

 創維は明らかに「地産地銷」政策の受益者のうちの1社である。
 子会社である深セン創維RGB電子有限会社(以下RGB)は深セン市にある著名な
企業で、2004年の販売収入は107億元、1.9億元が輸出、税収は2億元である。2004
年の「全国の電子企業トップ100」では15位にランクインしている。
 創維テレビ有限公司は創維RGBの95%の株を保有している。親会社は香港上場企
業の創維デジタルである。
 「財経」によると、創維RGBは深センで4社の取り次ぎ販売会社をつくっている。
表面上は創維と直接の株の保有関係は全くないが、創維あるいはその上層部によ
って経営は掌握されており、創維の関連企業である。
 創維RGBはカラーテレビを直接この4社の取り次ぎ販売会社に販売しており、そ
れによって「地産地銷」の優遇政策を享受していた。その後、この4社の販売会
社が深セン外部の都市の販売機関へカラーテレビを売っていた。

 結局、創維RGBが関連企業を通じて深セン以外に販売し「地産地銷」の税制上
の優遇措置を享受していたことは国家税務総局と深セン市政府の論争の焦点にな
った。

〈法律の焦点〉
 中央財政経済大学の財政公共管理学院の劉桓副院長は、「問題のポイントは地
産地銷政策の理解にあります。つまり、生産企業が現地会社に売った後に、現地
会社が製品をさらに外へ売ることが許されるかどうかということです」という。
 国家税務総局の立場からは、創維RGBの製品が最終的に深セン内で小売りされ
ていなければ、税制上の優遇措置を受けることはできないと考えている。深セン
内の企業を通じて外へ製品を販売するのであれば、最終的には深セン内での販売
が実現していないので、免税するべきでないということだ。

 一方、深センの理解では、こういった製品も免税政策を受けられることになる。
 深セン市政府は、「深セン市の地産地銷税収政策中の関連状況報告」で、深セ
ン内企業の製品を深セン内の取り次ぎ企業に販売し、さらに深セン内の取り次ぎ
販売会社を経由して外へ販売している状況は、国務院の地産地銷の文書の中では
規定がないと発表している。
 深セン市政府は、「国務院、財政部、国家税務総局の規定により、特区内の企
業が生産し、特区の内で販売した製品は増値税の徴収が免除されます。生産企業
が地産地銷の製品を地方に売るのであれば増値税を追徴することができます。し
かし、特区内の商業企業が免税政策の製品を特区外で売る際、増値税を追徴する
ことは規定されていないのです。もし、特区内の商業企業が特区で買った製品を
外へ売る際に増値税を追徴するというのであれば、その徴税のための法律がない
こと、納税主体の確認の困難性が問題になります」

 「地産地銷」政策の規定はあいまいで、企業運営のための考慮の余地を提供し
ていたが、これは中央がこの優遇政策の初志を貫徹するということではない。こ
れは地方政府も心の中ではわかっている。
 深セン市は前出の文書の中で、創維の一部製品が深セン現地の取り次ぎ販売会
社を通じて深セン外に販売したことを考慮に入れており、そのために行政的な救
済措置として追徴課税を採用したことを強調している。
 この文書によると、深セン市は追跡により事実確認し、商業トリックで特区外
へ転売した製品数量を確定したという。このデータに基づいて、特区内の生産企
業の次年度「地産地銷」割合が判明した。
 創維RGBは1997年の85%から2002年の65%まで免税割合が下がっており、その中
には取り次ぎ企業によって特区外へ販売したものもあると考えられる。
 深セン市政府は国家税務総局に対し、創維の関連問題の措置で「地産地銷政策
の新旧税制が変わった歴史的な経緯と特区政策の実行の実情を考慮に入れて、増
値税を追徴することがないように」「懇願」している。

 「地産地銷」政策は、実行の際にどうしてこのようなそごを来したのであろう
か。
 財政部科学研究所の税収研究室の孫鋼主任は、「厳密に言えば、これは財政体
制の問題なのです」と指摘する。
 つまり、増値税は中央が75%、地方が25%を占めているが、一部の地方政府は可
能な範囲内で増値税を少なく徴収しているのだ。そのことで企業利潤を増加させ、
企業所得税額を増加させるのである。地方の企業所得税の基数は地方収入に計上
さるし、増加分は中央と地方で6:4の割合で分けられている。

 「増値税という中央と地方の共有の税は、発展がおくれている地域の地方政府
では、税を多く徴収して地方政府の財力を増加させています。また、一部の発達
した地域の地方政府では、徴収を減らし、企業を太らせて税源を育てています」
税収の専門家の中国人民大学の安体富教授はこのように言う。
 「創維の脱税事件の核心問題は、地方と中央の事実上の税源獲得の争いにあり
ます。論争の焦点は徴収管理法の法規の認識方法にあります」中央財政経済大学
の財政と公共管理学院の劉桓副院長はこのように考えている。
〔財経10月3日〕

……【社会】………………………………………………………………………………
●北京市2005年のペット経済規模は5億人民元
 11日開催された「北京第一回ペット診療技術研究会」では、北京市農業局の専
門家が「昨年北京市ペットの経済規模は5億人民元に達したが、先進国との間に
また距離が大きいため、医療サービスを含むペット産業は依然として莫大な潜在
力が存在している」と指摘した。

 先進国では、ペットは産業として100―200年の歴史があり、徐々に繁殖、訓練、
ペット用品、医療、医薬、貿易といった産業チェーンを形成している。
 良好な市場秩序を維持するために、北京市は全国に先駆けて動物診療機構及び
獣医の管理を強めるための規範文書を発行し、業界許認可及び従事資格認証制度
を実施した。
 現在、北京市では、「動物診療許可証」を取得した動物診療機構は195件あり、
登録獣医は600人に達している。〔北京晨報10月12日〕

●天安門広場では国慶節黄金周にゴミ27トンを発生
 国慶節黄金周期間中、天安門広場で毎日掃除したゴミは27トンに達し、ここ5
年でゴミが一番多い黄金周となった。
 天安門広場掃除に担当する北清集団の統計によると、今年の黄金周期間中、38
台のごみ収集車を出動し、合計190トンゴミを回収したという。

 また、天安門広場で黄金周に特設した8台の移動トイレは全部が満杯だった。
 北清集団の紹介によると、7日間で合計40万人がトイレを使用し、北清集団は
毎日24時間とまることなくくみ取り、その汚物は150トンを超えたという。
〔北京娯楽信報10月9日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                        (中国人民銀行10月17日発表)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.0559  808.96  104.24   972.05
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《編集者コラム――草の根交流》
 団塊の世代以上の人と中国について楽しくお話をしていると、実は私は中国生
まれなんですよという日本人にたまに会います。
 私の仕事の大先輩もその一人で、NPO法人「日中児童の友好交流後援会」をお
世話している人の一人です。このNPO法人は1945年当時までに旅順で学生生活を
送った日本人らを核にして構成されていて、今は日本と旅順の児童の交流のため
の活動に尽力しているそうです。
 それにしても、通信の発展している今は時間の流れも移動の速度も速い今であ
って、私は十数年前の学生時代の友人たちとの旧交を温めようにもどうやって連
絡すればいいのかわからないというのに、片や、60年以上の昔の接点で今もなお
連絡を取り合い、こうやってNPOまでつくっちゃうんですから、その熱意はすご
いものです。
 昨日もこの大先輩とメールを交換しているさなか、小泉首相の靖国参拝のニュ
ースが入り、日中関係の影響が頭をかすめたりもしたんですが、こういうときこ
そ草の根交流が大事なんじゃないかと大先輩は前向きでした。引き続き旅順の縁
を大事にしてほしいです。
 御興味を持たれましたら、ぜひこのNPOを支えるのに御協力ください。NPO法人
「日中児童の友好交流後援会」のホームページはhttp://www3.ocn.ne.jp/~ryojun/
です。(ま)

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翻 訳:劉志軍 戴小芳 アヤ 平井玲子 郭暁楠 奥谷道弘
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