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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.745 2020年11月2週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:犯罪ケースから見る保護者の教育の重要性】
●保護者が子供の人格に与える影響の大きさ 犯罪ケースから

┏【李年古の日中異文化交流術】
●中国人の思考パターンの勝算は 1
◆万事においてポジティブ発想からの対応

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……【特集:犯罪ケースから見る保護者の教育の重要性】…………………………
●保護者が子供の人格に与える影響の大きさ 犯罪ケースから
 中国人民公安大学教授、大学院生指導教官の李瑾教授は長年にわたって犯罪心理
と青少年心理問題の研究をしている。中国プロファイリングの第一人者として、こ
れまで多くのケースを詳細に調査し、分析と研究を通じて、これらケースから、親
子関係が人格に与える影響を指摘する。
 私たちは李瑾教授の視点をシェアし、青少年のメンタルヘルスの重要性を喚起し
たい。

 中国プロファイリングの第一人者として、李瑾教授は40年の研究をもとに、社会
問題とは人の問題であり、人の問題の鍵となるのは幼少期であり、幼少期の重点は
家庭にあるということをずっと力説してきた。
 李瑾教授が数千例の犯罪ケースから取りまとめた核心とは、子供の心理問題が表
に出てくるのは時間がかかり、人の心理的特徴は幼少期の扶養と密接な関係がある
ということである。

 以下、李瑾教授の発言をまとめた。

〈健全な家庭≠健全な家庭教育〉
 家庭は暖かく健全で、子供たちは分別を持つのがほとんどである。だから、私た
ちは家庭教育を軽視して、お父さんとお母さんであるなら、きっと自分の子供を愛
するはずだと考える。しかし、多くの事実が教えてくれることは、家庭が健全であ
ることは健全な家庭教育とイコールではないことである。

 子供は幼児期に両親と感情的な愛着やつながりを築くため、良好な親子関係は重
要である。
 多くの親から聞かれることは、「今の仕事がとてもよくて、収入も安定している
が、私の子供はまだ小さくて、子供と一緒にいる時間ないのだが、どうすればいい
か」である。
 働いてお金を稼ぐことは永遠に終わりがないかもしれないが、子供にとって大事
な期間はわずか数年、これを逃すと一生、どちらが大事かをはからなければならない。

〈人の心理は段階を追って成長する〉
 私が参照する多くのケースで見られる、最も優先される問題は、人間の心理の成
長には順序があるため、多くの問題はおくれてあらわれる。多くのケースは大人に
なって出てくるが、その問題は大人のときではないということである。
 どんな生命にも過程であり、生命の成長はレールをたどる。多くの人はみずから
の生存のために手段を選ばず、頑張った結果は、実は何も得てはいない。
 したがって、心理的な問題は先取りしなければならない、つまり、10年先を見通
して、子供をしっかり成長させるためにたくさんのことをすべきである。

 私は常に、未成年者は受動的な弱者で、全ての問題は身近な大人がつくったもの
だと思っている。
 養育者は被養育者に対し、第一に生命の決定権を持ち、第二に物質的発展を提供
する権利を持ち、第三に世話の程度も決められ、第四に個性を完全に生み出せるの
だから、子供のいかなる問題でも身近な大人の問題である。

 こういう言葉でまとめたい。食欲は与えられたものから、性格は持ったものから、
思想はぶつぶつ言っていたものから、残酷さは孤立無援から、恥知らずは何でも甘
えさせることからできたものである。
 幾つかのケースに遭遇し、よく記者からされる質問は、「私たちはどうやってこ
れらの子供たちを教育すればいいのか」ということである。
 今私たちの問題は、子供たちを教育することではなく、周りの大人を教育するこ
とである。

〈立ちどまれば子供は救える〉
 家族の養育は物質的なものだけでなく、自分が世話をすることがより重要である。
 私が覚えている一つケースでは、ある父親は大したもので、数年努力して、100
万元貯めた。しかし、彼が家に帰ったときには、息子は既に大きくなっていて、学
校をサボって、もめごとを起こしていた。息子をしつけようとしたが、まるででき
なかった。
 このとき、このような子供を支援する専門家がいると聞いたので、すぐに子供を
そこに連れて行き、10万元で子供を託し、責任を持って教育してもらうことにした。
 その行動がニュースになったので、私はそれを見てブログを書いた。かわいそう
な父親は10万元を自分の給料にすべきで、全てのことを中断すれば、息子はまだ助
かるかもしれないと。みずから子供の世話をするべきで、子供を他人に世話させて
はいけない。

 これを三つの文章にまとめると、
 第一に、子供のためにお金を稼ぐ時間より、子供を世話する時間の方がいい。
 第二に、子供のためにお金を貯める努力より、子供に人間としての努力を教える
方がいい。
 6歳の子供は掃除や部屋を片づけることを学び、10歳の子供は野菜を洗ったり、
野菜を摘むことを学ぶように、子供に小さなことから教えるべきである。
 第三に、専門家に子供を託すのではなく、自分が子供を世話する方がいい。

〈人間らしさのない教育は、「人を殺して平気」〉
 家庭教育の理念では、人間らしさ(感情)の教育は知力の教育より重要である。
 人間らしさとは何だろうか?この言葉は大き過ぎて複雑過ぎるかもしれないが、
人間らしさの最も基本は感情である。
 人のこの生涯において、命は愛によって生まれたものである。
 あなたが大きくなる毎日を、何人の人が支えてくれたのだろうか? あなたが食
べる、使うものは、両親が自分でつくったものだろうか? 否、それは、社会全体
の多くの人の努力によって得られていて、社会全体の支えは一つの情である。

〈性格は知力より運命を決める〉
 性格という言葉は、今日ますます軽視されているように見える。
 多くの親がよく聞く質問というのは、子供の学業の点数はどうか、子供がどの学
校に行き、そしてどうなのか、同僚の間では、誰の子供が大学入試を受け、合格す
るかどうか、どの学校を受験したかなどである。

〈尊重されない子供は他人を尊重しない〉
 子供の保護には尊重が前提で、子供に自主的な選択権を与えるべきである。
 多くの親は、子供のころから親に拘束された環境で育ち、子供にも権利があるこ
とがわからず、子供が大きくなったら反抗的になって、後悔し始める、このような
状況は、親のミスに関係している。
 小さいころから尊重されず、楽しみを感じなかった人は、健康な太陽の光を感じ
る気持ちはない。家族に親切にされたことのない人が、どうやって他人に親切にす
ることができるのだろうか? 子供は尊重されていないのに、どうして自分を尊重
することができるだろうか? どうやって他人の権利と生命を尊重するのだろう
か?
 大人が子供に何かを与え、子供は大人に何かを返す。だから、現代生活において、
私たちは子供の心理をよく観察することが本当に重要である。
〔捜狐2020年10月9日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●中国人の思考パターンの勝算は 1
◆万事においてポジティブ発想からの対応
 たとえ空が落ちてきても心配ない、大地が支えてくれるから――誰でも知ってい
るこの決まり文句は、中国人の楽観的な国民性をあらわすのにいい言葉だ。最近、
米中貿易戦争が激しさを増す中、帰国するたびに、僕はそんな中国人の言い方を耳
にする機会が多くなってきたのである。
 何人かの友人に「米中貿易の今後を占ってみて」と聞くと、ほとんどが「中国は
最後に勝つだろう」と答える。日本人は「楽観過ぎるのではないか」と疑問に思う
かもしれないが、僕は彼らの見方におおむね賛成できる。なぜなら、「楽観主義的
な思考パターンを持っていること自体が負けない理由の一つ」と考えるからだ。根
拠は経済的又は政治的な判断によるものではなく、文化論に基づいた直感的な考え
方そのものである。

 「米中関係は、本質的に相性が悪い男女関係みたいなもの。いつ手を切るかは時
間の問題にすぎない」。アメリカ企業に電子部品を輸出しているある企業オーナー
は、貿易戦争での最初の犠牲者になりそうだったが、薄氷を踏む様子を見せない。
 「両国のつき合いは、男女のそれになぞらえて言えば、アメリカは中国とベット
インしたいのだが、結婚する気がはなからない。中国人もそれを最初からわかって
いるから、別に気にしない」彼は自分が余裕を持つ心境の背景をこう語る。

 なるほど。つき合う相手がアメリカ人だから、中国人は、もともと謳歌してきた
「白頭到老」といった理想的なつき合い方を望まない。むしろ、今風の若者の恋愛
観に似て、「不求白頭到老,但求曾経擁有」。つまり、(天地のように)永久に変
わらないことを求めず、楽しみ、今の関係だけを求める。あらゆることに不確定な
要素が満ちあふれる時代に入ってきたので、それに合わせたポジティブ発想でその
不都合な現実を切り抜けようとしているのだろう。

 この考え方は、意外に共感者が多い。アメリカ在住の中国人のIT開発者である知
り合いからも「何度も帰国して中国の企業で勤めようと考えてきたが、今度、トラ
ンプさんのお陰で迷いが消えた。中国半導体企業が米系企業の代替品をつくろうと、
これまでではあり得ない給料を提示してくれたので、帰国する決心を固めた」。

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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