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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.735 2020年5月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:早期学習の効用 外国語習得と記憶力の限界】
●外国語を勉強は10歳までにがベスト
●知能のピークは何歳か?18歳?25歳?それとも40歳?

┏【李年古の日中異文化交流術】
●「精細化管理」時代の到来と日本企業の困惑(その1)

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……【特集:早期学習の効用 外国語習得と記憶力の限界】………………………
●外国語を勉強は10歳までにがベスト
 60万人以上が参加した大規模な研究によって、18歳までであれば第二言語(外国
語)をうまく習得できることがわかった。しかし18歳以降、外国語学習能力はだん
だん下がっていく。
 年齢とともに言語を学ぶことが難しくなることはよく知られている。しかし、こ
の時点を過ぎると、言語の習得が難しくなり、外国語の基礎的な文法を理解できな
くなるというような大きな時間点が存在するのだろうか。

 ボストンにある3つの大学の研究者がこのことについてインターネットで調査を
行った。この調査には約60万人が参加し、史上最大の言語学研究の一つとなった。
 その研究によると、18歳までは良好に第二言語を習得できる。従来の考え方では、
子供は8歳前後から徐々に第二言語の習得能力を失い始めると考えられていた。
 しかし、この研究ではまた、第二言語を現地の人のように流暢に話したいのであ
れば、10歳までに勉強を始めた方がいいと指摘している。

 なぜ18歳以降では言語学習能力が大きく低下するのだろうか。研究者は、社会環
境の変化、第一言語の影響、脳の発達の3つを主に原因として挙げている。
 18歳という年齢は、一般的に、高校を卒業し大学に進学したり、就職をする時期
であり、その後は小さいころとは同じような第二言語を習得する時間、機会、学習
環境を持つことができなくなる。
 第一言語を習得した後、第一言語の文法、発音などが新しい言語の受け入れを妨
げる。18―20歳の間、ヒトの脳が持続的に変化していることも第二言語の学習を難
しくする。

 もちろん、私たちが20歳以降に新しい言語を学ぶことができないと言っているわ
けではない。私たちの身の回りでは多くの人がその時期以降の学習で成功している。
新しい語彙を学ぶ能力は変わらないためである。
 しかし、多くの人は、20歳以降に、母語のようには新しい言語を習得できないし、
新しい文法規則を受け入れられないし、自然に言うことができない。
 もちろん、このテストは筆記によるもののため、回答者の発音を知ることはでき
ないが、過去の研究はどれも、話し言葉レベルでの分かれ目はこの年齢より前にし
かないとしている。
 また、この研究は英語のみの研究であるが、研究者はこの研究モデルは他の言語
にも広められると信じている。今、スペイン語と中国語についての類似の研究をす
る計画を立てている。

 一方で、言語学習者の多くにとっては、「いつ学ぶか」よりも「どのように学ぶ
か」を知ることの方が重要である。
 データによると、英語圏で90%以上の時間英語に浸っている英語学習者は、教室
でしか勉強していない人々よりも明らかに流暢である。ハーツホーン教授は、小さ
いころから外国語を学ぶチャンスがあるか、少しおくれてから英語圏で生活するか
であれば、後者を選ぶだろうと述べる。
 データによると、英語に浸れる生活環境にいる影響はとても大きく、年齢的なハ
ンディを大きく補うことができる。

 それだけでなく、この研究ではさらに驚くべき発見があった。仮に言語を完全に
マスターしたいのであれば、母語であっても30年以上かかるということである。調
査対象者のうち、30年学んだ人は20年学んだ人よりもわずかな進歩があった(わず
か1ポイントだが)。この進歩は母語と非母語学習者とも同じである。
 もちろん、この研究結果に異論を唱える研究者もいる。ジョージタウン大学出身
の神経学の専門家であるエリッサ・ニューポート教授は、教授が日々行っている言
語習得の研究と結びつけ、「30年たたないと一つの言語を完全に身につけられな
い」という結論は明らかに他の研究結果と一致していないとし、一つの言語の構文
や形態を学ぶのには約5年を要するとする文献もあるとした。
 ニューポート教授は、誤った結論が導き出される原因は測定方法の選択を誤った
からではないかと見ている。60万というサンプルは確かに驚くべきデータだと認め
るものの、サンプル量が大きくても、調査の問題設定がよくなければ納得のいく結
論は得られないとする。ニューポート教授は、従来の方法での英語力の調査が好ま
しいと考えている。
〔環球科学2018年5月22日〕

●知能のピークは何歳か?18歳?25歳?それとも40歳?
 認知能力のピークのタイミングは分野によって異なる。

 私たちの認知能力において衰退のあらわれは避けられない。私たちは徐々に鍵を
どこに置いたか思い出せなくなり、家庭内のさまざまな出来事もだんだんと思い出
せなくなる。
 しかし、私たちの知能は明らかに多面的で、心理学者がいうところの、「流動性
知能」という、即座に考え問題を解決したりパターン認識をしたりする能力を持ち、
同時に、「結晶性知能」という、生活環境の中で会得した知識や能力も持っている。
この2種類の知能は一生の中でそれぞれピークの時期が異なると考えられている。

 実際に、ハーバードとマサチューセッツ工科大学の研究員が雑誌「サイコロジカ
ル・サイエンス」の中で、流動性知能の中でも分野によってピークのタイミングが
異なると発表している。
 このほか、さらには、多くの人々に当てはまるような、大脳の能力がピークに達
する一つの決まった年齢というものが存在しないことも発見している。
 この研究は、ジョシュアK・ハーツホーン氏とローラT・ジェルマンが率い、アメ
リカ国立衛生研究所とアメリカ国立科学財団などの助成を受けた研究で、インター
ネット上で誰もが参加可能な認知ゲームを利用して実験が行われた。この簡単な研
究手段によってさまざまな年齢の人々が参加し、そのデータがこの新たな研究の特
別な基礎を築いた。

 このオンライン研究は最初の数年で百万人近い人を動員させ、この期間中、毎回
の個人調査では約5万人が参加した。

 それでは、結局のところ、いつが私たちの知能のピークなのだろうか。
 例えば、5万の対象者の結果によれば、私たちの高速情報処理能力は18―19歳前
後でピークを迎えるとされ、短期記憶力では25歳で極限となり、それが徐々に低下
していくまでにはさらに10年かかる。同様に、人の顔を識別する上での短期記憶力
も30歳前半で最高の状態になり、空気を読む力については40−50歳に最高レベルと
なる。
 それに対し、ボキャブラリーや全体から物事を考える理解力を含めた総合知識レ
ベルについては、平均50歳前後でピークを迎えるとされる。この後、私達の各分野
のレベルは60歳前に軽微な下降を迎え、最終的に75歳前後に再度下降する。

 当然、知能活動のピーク年齢にも変化がある。例えば、ノーベル賞の受賞者が最
も重要な成果を収める年齢は上昇しつつあり、この状況は各領域で一致している。
 例えば、物理学者が最も想像力を持つ年齢平均は48歳であり、つまり、いつも鍵
をどこに置いたか思い出せないとしても、あなたの発見のためのインスピレーショ
ンの邪魔にはならないのである。
〔環球科学2017年7月20日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●「精細化管理」時代の到来と日本企業の困惑(その1)
◆“品質”管理は、企業の「終活」を左右する時代になった
 最近、中国に帰るたびに僕を食事に誘ってくれる中国人の私営企業家が少し増え
てきた。
 中国でのビジネス会談は食卓で始まるケースが多いので、その誘いに応じるたび
に、一つの時代の変化を読み取れると気づく。
 結論から言うと、白酒を勧められると同時に、日本流の品質管理に関する質問が
多くなっているということだ。

 先日、数人の私営企業の経営者と食事をしている席上のこと、一人の若手がいき
なりジョークを飛ばす。「あと2、3年後、もう一度みんながここに集まったら、企
業の“老板”(社長)になっているか、はたまたただの無一文の破産者になってい
るか、全く自信がないんだ」
 その話を聞いたもう一人はため息をついた。「俺のことを予言しているんじゃな
いか。だって、今、うちの現状を言わせると、“熬”(我慢する)という一文字に
尽きる状況だからさ」

 この会話は、ただ笑って済むような内容ではないと思った。
 最近、「今の民営企業は生きるか死ぬかの岐路に立たされている」と警鐘を鳴ら
す経済専門家も増えてきている。彼らが、窮境を脱するためにと経営者に送るアド
バイスで一番頻繁に使われるキーワードは、「転型昇級」という言葉だ。
 つまり、企業の経営モデルは、「大量無差別の粗っぽい製品づくり」から、「レ
ベルの高い品質を有する製品づくり」へと切りかわるという意味だ。だから、日本
流の品質管理手法に熱い視線が注がれるのである。
 言いかえれば、企業は「終活」になるか、それとも「就活」になるか、品質のレ
ベルアップのできばえは企業の運命を決めるのだ。

 「日本企業の精細化管理手法は、今、経営者のホットな話題だから、その辺での
話を聞かせてもらえますか?」
 乾杯を求めてくる前に一人の女性が僕に投げてきたこの質問が、食事会のくつろ
ぐ雰囲気を硬くさせた。おもしろいことに、中国で日本の管理手法と言えば、必ず
この「精細化管理」という専門用語を使う。
 僕は一度それに該当する日本語を大真面目に探してみたが、ぴったりと合う訳語
が見当たらなかった。よくよく考えてみれば、日本において当たり前の品質管理に、
中国では格別な意味が込められているらしい。それが「精細化」という接頭語をわ
ざとつけ加えた用語の由来になっているのかもしれない。

 このような会話が増えたことにより、中国企業ではスピード優先の発展モデルが
限界にたどり着いたと僕は気づいた。
 これまで、中国の市場はいわば未開地で、経営者は別に素人でも構わず、度胸と
資金さえあれば誰でも自分の製品の「勢力圏」がつくられてきたのだ。まるで広大
な原始林に生存する動物のように、おしっこをかければ自分の「縄張り」となり、
豚だって、追い風に乗れば空を飛べることも不思議ではなかった時代でもあったのだ。

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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《編集者コラム――関心点》
 今回は、確かに、確かに中国語から日本語の翻訳をしたものをお届けしているは
ずなんですが、中国のニュースじゃなくてそれは残念でした。ただ、こういうトピ
ックに中国人は関心を持つんだなという視点で見ていただければと思います。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
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(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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