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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.752 2021年3月4週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国K12オンライン教育市場の消耗戦】
●オンライン教育シェア獲得のための集客の死闘続く

┏【李年古の日中異文化交流術】
●中国から日本へ 誰がわかるのだろう。明日私は帰れますか? 3

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……【特集:中国K12オンライン教育市場の消耗戦】………………………………
●オンライン教育シェア獲得のための集客の死闘続く
 オンライン教育が急成長した2020年は、市場では氷と炎の二極化した物語が演じ
られていた。
 2020年12月28日、オンライン教育会社の作業幇はシリーズE+の16億米ドルを超え
る融資を完了したことを宣言した。融資側にはアリババ、Tiger Global、軟銀愿景
基金一期、紅杉資本中国基金、方源資本等が含まれる。
 同日、オンラインマンツーマンを主力とする学霸君が破産したという不確かな情
報が流れた。北京本部は空っぽで、父兄と教師が各種権利保護グループを立ち上げ、
助けを求めている。

 新型コロナの後押しを受け、中国K12オンライン教育市場の浸透率は2019年の15%
から2020年の25.8%まで上昇、地方市場のオンライン参加意欲が大幅に上昇し、新
旧の大手教育機構、各種資本ひいてはその他分野からのプレイヤーの参加と資金を
引きつけた。

 一方、大手オンライン教育会社の資本増強の動きは競争激化を暗示する。
 専門家は、2021年には多くの会社が淘汰される可能性が高く、資金力がある会社
が市場を奪うか、自社商品の利用者をふやし、顧客集めの効率を上げられなければ、
ここ2年の経営は厳しくなると見ている。

〈資本力のある少数者によるゲーム〉
 オンライン教育の競争は激化し、資本力の高いプレイヤーのみが競技場に上がる
ことができる。
 作業幇がシリーズE+融資を宣言する数日前、猿補導はクラウドファンディングに
より3億米ドルの投資を取得していた。この2社、K12オンライン教育企業の双璧が
開示した累計融資金額はそれぞれ23.5億米ドルと35億米ドル、合計で400億元近く
となり、業界全体の総融資額の約7割を持つことになった。
 報道によると、作業幇のシリーズE+融資は、当初の資金計画では10億米ドルだっ
たが、新旧株主の継続的な折衝により、最終的な取引額は16億米ドルに達したとの
ことである。

 上場済み企業も同様に資金を積み増している。
 跟誰学の陳向東氏によると、同社は8.7億米ドルの第三者割当融資を既に完了し、
情報の発表後1週間以内に着金するとのことである。
 陳向東氏は「全世界の資本は教育分野へ狂ったように流れ込んでおり、2020年の
教育へ投資された金は中国が80%を占める」と言う。

 一方、1月2日未明、学覇君の張凱磊氏は、グループチャットで、最後の潜在投資
者との電話を終え、相手が投資しないことを決めたと話した。8年間続いた学覇君
が2020年冬をもって終わることを意味する。
 ここ3年、学覇君が大きな融資を受けたことはなく、少なくとも5回は資金ショー
トに瀕したことがあった。

 公開データによると、K12オンライン教育一級市場の融資案件数は2年続いて減少
しているが、融資額は300%も上昇しており、資金は大手に集中する傾向がはっきり
している。

〈集客に金をつぎ込む〉
 借金しつつ投資につぎ込み、市場シェア獲得によって大手教育機構の手元資金を
ほぼ食い尽くし、資金は大量に集客に流れている。
 新東方の兪敏洪氏の把握したデータによると、2020年、オンライン教育分野へ資
本が150億米ドル近く投入されたが、収入は数百億元にすぎず、「1分(1元の100分
の1)のお金を得るのに、まず2元使う」状態にある。

 2020年の夏休みは各社の投入の主戦場となり、オンライン教育投入規模は60億元
を超え、集客コストの平均上げ幅は50%を超えると予測された。
 一貫して自社サイトやSNSなど独自トラフィックによる集客を重視する跟誰学は、
2019年正規価格授業の平均集客コストは476元だけだったが、2020年7―9月の営業
投入が同期比522%のアップと急増し、販売支出が総営業収入を上回り、当該四半期
の9億元を超える損失を引き起こした。

 損失を市場囲い込みに変えるべく、各社は3元、9元、49元といった低価格の試聴
授業への投入を相当重視したが、これら授業は冬、夏休みに限らず、常態化したロ
ーリング戦略となっている。
 ある分析によると、9元の授業への投入のために、いろいろと計算すると、その
コストは少なくとも130元であり、1件の取引成立のために100元以上の損を出して
いる。

 成人教育市場の事業者である劉曜氏(仮名)は、K12ネットスクールの過激な市
場投入戦略は、全ての業界の集客コストを引き上げ、その他ジャンルの投入機会を
奪っていると不満を漏らしている。
 劉曜氏は、「彼ら(K12ネットスクール)はユーザーが見ることのできる広告の
ほとんど全ての機会を奪い去った」とし、K12広告による影響を受けなければ、全
ての業界のコストは少なくとも20%―30%引き下げることができるとした。

〈人材争奪戦が白熱〉
 父兄が最も重視している教師人材については、各機構が募集を強化している。
 求人では、網易有道は50万元の最低年収を提示して、幼稚園の年長組の担当教師
を募集している。字節跳動傘下の清北網校のコピーはもっとすごく、優秀なネット
授業教師の待遇は「年収200万、上限なし」としている。
 別の機構では、より遠くを見ていて、例えば、好未来は北京大学と人材戦略提携
を結び、共同で「教育実習プロジェクト」を始め、北京大学の在学生の教育分野に
おける就職、実習、起業等への探索と実践を奨励する。この意図ははっきりしてい
て、大学の人材育成プロセスにアプローチし、優秀な人材の青田買いをしているの
である。
 科鋭国際の教育業界のベテラン求人専門家の趙晶氏によると、2020年に教育機関
の教師募集数が急激に膨張し、人材争奪戦が白熱化し、3年の教育経験を持つ教師
が5、6件のオファーを手にしている。
〔21世紀商業評論2021年1月25日〕
注)〓は、「羽」の下に「隹」

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●中国から日本へ 誰がわかるのだろう。明日私は帰れますか? 3
(前号より続く)
 PCR検査を済ませた私は、その晩、友人が主催した送別会に参加した。マスクと
ソーシャルディスタンスのない生活を私はもう長く送ってこなかったのだが、送別
会はすぐに大騒ぎのパーティーと化した。まずいことに、ちょうどそのとき電話が
鳴った。
 日本の友人が太平洋のほとりから私に叫んでいる。「まだ遊んでるの?日本、も
う入れてくれないよ!」

 微信をチェックしていなかったことにようやく気づき確認すると、スマホは似た
ようなメッセージでいっぱいだった。妻だけでなく日中の友人からさまざまなメッ
セージの通知が来ていた。
 NHKの1月13日の報道タイトルを一目見た私は驚いた。「外国人の入国を全面禁止
へ 政府」。そのニュースのすぐ後に続いたのが中国人駐日記者による速報で、
「日本は海外からの外国人入国を事実上禁止。最新の取材情報では、中国大陸から
の入国禁止は1月14日0時より有効」というものであった!
 何と私の出発日はちょうど15日!これはまたもや私に合わせてつくられた規定な
のだろうか?!

 パーティーにいる友人たちは私の浮かない表情を見て、次々に何が起こったのか
聞いてくる。そこで私は重苦しい顔で「恐らく明後日、日本に帰れなくなった」と
皆に伝えた。
 この話を伝えた途端、何と着席していた皆が起立し、ある友人が盃を掲げ声高に
叫んだ。「君がこのまま故郷で年越しを迎えることを私たちに祝わせてくれ!」ま
た別の友人が提案した。「今日の送別会をいっそのこと歓迎パーティーにしよう」と。

 パーティーの雰囲気は一気に盛り上がった。ただ私だけは内心、悲鳴を上げる余
裕もないほどの気持ちで「明後日荷物を持って一体どこに行けばいいのだろうか
?!」と考えていた。
 夜、ホテルに戻ると、すぐさま日本の法務省のサイトを開いた。
 ようやくのことで最も権威のある情報を見つけたが、何度読んでもさっぱりわか
らない。もしかすると、突然このような情報が出てきて、この規定を書いた当人も
よっぽど慌てふためいていたのかもしれない。それはまるで私の日本語読解能力を
はかっているかのようだ。信じられないのなら、あなたも見てみてほしい。

 日中の各種情報を整理してみて、私を混乱させた原因がわかった。私は自分がど
の社会的属性を持っているのかわからないのであった。自身がどう分類されるのか、
それが日本入国を拒否されるかどうかに関係してくる。
 日本政府にとって、私は一体どの属性なのだろうか。外国人?中国大陸人?それ
とも日本人の帰国者と同じにみなされるのか?

 これは実際、故郷から離れ、海外にいる全ての人達を同様に当惑させている。
 日本に生活していても、日本人は当然あなたを外国人とみなしている。しかし、
あなたが帰国すれば、最も親しい友人ですら、常にあなたを日本の友人だといって
からかう。会食を「海外の友人の接待」だといってからかう。彼らはわざとあなた
との関係を気取ってみせて、彼らの親切心で、あなたは気まずい帰属意識を感じる。
 だからこそ、国連は私たちのような者に「境界人」という最も適切な定義をつく
ったのだ。

 まさか今回の帰国旅において、日本政府が再度私に最も深刻な悩みを与えるとは
思わなかった。帰属意識の悩みである。今回の疫病は母国から遠く離れた人々を同
様に困惑させた。
 彼らの多くは初めて気づいただろう。所在国にとどまれば外国人として蔑視され、
帰国すれば同胞から冷たくあざけられる。自分がまるで受取人の住所が記されてい
ない手紙であるかのような感覚で、どこに心を落ち着かせればいいのかわからない
ということに。
(次号に続く:写真をツイッターに投稿していますので、ぜひごらんください)

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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