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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.668 2017年3月14日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:世界の中の中国の資源の最適配置】
●2016年「一帯一路」投資貿易データ発表
●中国の太陽光発電産業 昨年生産額27%増
●あなたが海外で買ったぜいたく品は、中国が買収しているかもしれない
●経済発展に貢献した外資企業、今は嫌われている?

┏【国土交通】
●中国 物流コスト下げに努力 今年500億元
●市街地常住人口100万以上の都市の8割に高速鉄道が開通

┏【労働】
●中国 製造業平均賃金は中南米超え 10年連続上昇
●2016年中国労働生産率6.4%増 イノベーションの歩みの加速が必要

┏【経済データ】
●外国為替(2月13日)

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……【特集:世界の中の中国の資源最適配置】………………………………………
●2016年「一帯一路」投資貿易データ発表
 28日、国家統計局ウエブサイトにおいて2016年国民経済及び社会発展統計公報が
公表された。
 それによると、年間貨物輸出入総額は24兆3386億元で前年比0.9%減だった。その
うち、輸出は13兆8455億元で1.9%減、輸入は10兆4932億元で0.6%増だった。貨物輸
出入差額(輸出−輸入)は3兆3523億元で前年比3308億元減だった。
 そのうち、「一帯一路」沿線国家への輸出入総額は6兆2517億元で前年比0.5%増
だった。そのうち、輸出は3兆8319億元で0.5%増、輸入は2兆4198億元で0.4%増だった。

 年間外商直接投資吸収(銀行、証券、保険を除く)による新規企業設立数は2万
7900社で前年比5.0%増だった。実際使用外商直接投資金額は8132億元(1260億米ド
ル)で4.1%増だった。
 そのうち、「一帯一路」沿線国家の対中直接投資の新規企業設立数は2905件で
34.1%増だった。対中直接投資金額は458億元(71億米ドル)だった。

 年間対外直接投資額(銀行、証券、保険を除く)は1兆1299億元で、1701億米ド
ルに相当し、前年比44.1%増だった。
 そのうち、「一帯一路」沿線国家の直接投資額は145億米ドルだった。

 年間対外工事請負業務営業額は1兆589億元、1594億米ドルに相当し、前年比3.5%
増だった。
 そのうち、「一帯一路」沿線国家の営業額は760億米ドルで9.7%だった。対外工
事請負業務営業額の47.7%を占めた。
 対外労働協力で派遣された各種労働者は49万人で6.8%減だった。〔中国経済網
2016年2月28日〕

●中国の太陽光発電産業 昨年生産額27%増
 2016年の中国太陽光発電産業は引き続き暖かさを取り戻し、産業総生産額は27%
増だった。輸出は11.3%減で、主に企業の多くが海外に工場を建設していることの
影響を受けた。

 工業情報化部は2日、「2016年中国太陽光発電産業運行状況」を発表した。
 それによると、2016年、中国の太陽光発電産業は2015年以降引き続き暖かさを取
り戻し、産業総生産額は3360億元に達し、前年比27%増と全体の運行状況は良好だ
った。多結晶シリコン、シリコン、太陽光電池、太陽光ユニット等産業チェーンの
各段階の生産世界シェアは50%を超え、引き続き世界第1位だった。

 統計によると、2016年、中国のシリコン、太陽電池、モジュール製品の輸出額は
約138.4億米ドルで前期比11.3%減だった。インド、トルコ、チリ、パキスタン等新
興市場の輸出が顕著で、欧米の従来市場の輸出シェアは30%以下だった。

 報告では、輸出減の主な理由は、企業の多くが海外に工場を設置している影響と
見ている。
 「一帯一路」建設に先導され、中国の企業の多くは海外に工場を設置している。
既に全世界20カ国に点在、海外で建設された生産能力は5ギガワットを上回った。
生産配置のグローバル化傾向が明確になっている。
 報告ではさらに、欧米輸出シェア減少により、欧米の「反ダンピング関税と反補
助金関税」の影響がさらに弱まったとしている。
 中国は積極的に南米、中西アジア、アフリカ等の新興市場を開拓し、産業のグロ
ーバルな配置を推進する。〔泉州網―泉州版報2017年3月3日〕

●あなたが海外で買ったぜいたく品は、中国が買収しているかもしれない
 先月、中国の金融企業「〓蟻金服」は8.8億米ドルで米多国籍送金サービス会社
のマネーグラムを買収した。この巨額な取引は、2017年中国の海外M&Aの4つ目に大
きい案件にすぎなかった。
 2017年始まったばかりの2カ月のうちに、中国企業の海外M&A総取引額は既に96億
米ドルに達した。

 10年前から、中国企業が海外企業を買収する動きは既に始まっていた。2006年、
中国の海外M&A取引総額は163億米ドルだった。
 それ以降、取引額は一貫して安定成長していたが、ここ2年で急成長を迎え、2014
年の692億米ドルの取引額は倍々増し、2016年、中国企業は計2471億米ドルを費や
して海外企業を買収していた。

 この増加の大部分は、民営企業の発展による。
 2013年以前、中国の海外M&Aは主に金に物を言わせる国有企業が進め、しかも多
くが鉄鋼、石炭等の従来型のエネルギー業界に集中していた。オーストラリアの鉄
鉱、カナダのエネルギーの製品、アフリカの銅鉱などが主な買収対象だった。半分
以上の取引額は従来型エネルギー産業によるものだった。

 その後、民営企業が大きく発展し、資金力も持ち、買収を始めるようになり、買
収業界の種類もますます豊富になっていった。
 例えば2016年、蘇寧は2.7億ユーロでインテル・ミラノの70%の株式を買収し、万
達は35億米ドルでレジェンダリー・エンターテインメントを買収、山東如意集団は
13億ユーロでフランスのSMCPを買収した。

 民営企業が多くなる一方、社会自体の変化もあり、中国の海外M&A業界の志向も
ここ数年で大きく変化した。
 2012年から、かつてのM&Aトップの従来型エネルギー産業に西日が差し始め、ピ
ーク時には300億米ドルの取引額が、2016年には28億米ドルにまで縮小した。
 不動産、化学工業、インターネット、インフラ、物流等の業界は春を迎えた。そ
のうち、化学工業の成長傾向は最もはっきりしており、2015―2016年の化学工業業
界の海外M&A取引額は2280%増だった。

 インターネットと不動産の投資の大きなうねりに伴って、この2業界の海外M&A取
引も大幅上昇し、ここ2年の成長率はそれぞれ304%、186%で、2017年依然として上
昇傾向にある。
 かつて飛ぶ鳥を落とす勢いの金融業界には衰退の兆しがあり、2015年の最盛期に
は海外M&A取引額は267億米ドルに達したが、2016年には191億米ドルまで減少した。

 中国の消費者は海外でバッグを買いまくっているが、中国は海外で企業を買いま
くっており、中国人は既に世界規模で成金のイメージを持たれている。
 海外企業を買うことは財力と実力の証明だが、こんなにお金がある中国企業がな
ぜ自分のブランドで海外に打って出ることが少ないのかは世界が認める一つの謎で
ある。
注)〓は、むしへんに「馬」

▽中国海外M&A成長傾向(億米ドル)
 2006年 163  2012年 548
 2007年 226  2013年 559
 2008年 410  2014年 692
 2009年 481  2015年 1035
 2010年 547  2016年 2471
 2011年 536
〔網易2017年2月28日〕

●経済発展に貢献した外資企業、今は嫌われている?
 少し前、米ハードディスク大手のシーゲイトが蘇州工場で解散と2000人リストラ
を発表したニュースは大きな話題となったが、これについて、米国の新大統領のド
ナルド・トランプ氏が就任し、シーゲイトはトランプ大統領のために工場をアメリ
カに戻すと考える人もいるし、シーゲイトが蘇州税務局から追い出されたと見る人
もいる。
 企業戦略の意思決定であろうと新大統領のためであろうと、否定できない事実は、
かつて中国経済の発展に巨大な貢献をした外資企業がここ数年、経営がうまくいっ
ていないということだ。

 千社以上の在中外資企業を代表する在中国米国商工会議所(AmCham China)が毎
年発表している「中国ビジネス環境調査報告」は、会員企業の業績状況、対中投資
の展望と直面するビジネス環境の課題等の内容について調査研究を行っている。
 最新の報告によると、2015年比で企業の業績は改善しているところもあるが、依
然として歴史的水準を下回っている。

 多くの外資企業が経済衰退に適応し利益を維持しようと考え、中国のかつてBRICS
在外企業のグローバル投資計画中の地位は既に過去のものになった。
 2011年当時、31%の企業は中国を第一の投資先、47%の企業は中国は企業の三大投
資先の一つとしていた。
 2016年に至り、中国を第一の投資先とする外資企業は22%まで減少し、中国を自
己の三大投資先の一つとする企業も34%まで下がり、多くの企業は中国を投資拡大
で優先的に配慮する対象とはしなくなった。

 ここ数年来、中国人の人材コストが高くなるにつれ、労働力コストの急上昇はお
のずと企業の運営コストを上昇させたが、このことは外資企業が投資計画を考慮す
る数ある理由の一つにすぎず、監督環境や政府政策が企業の関心の重点である。
 在中国米国商工会議所が会員企業に対し調査を行ったところ、外資企業の対中業
務で直面している最大の挑戦は労働力コストの増加のほか、法律法規の執行の不一
致、不透明、中国の保護主義の台頭が続き、管理人材の不足、関連の許可証取得が
難しいことがある。

 多くの要素が相互に作用し、回答企業の4分の1は、過去3年において既に中国国
外に産業機能を移転することを実行あるいは計画し、50%は生産機能をアジアの他
の開発途上国・地域に移転し、さらに37%は北米に戻したとしている。

 このほか、中国の政策環境の変化が企業の対中投資をふやすかどうかにはっきり
影響するとし、監督の透明度が企業の対中投資における影響として最も大きかった。
 86%以上の企業は、中国の監督環境の透明度、予想可能性、公平性が対中投資を
ふやすかどうかの重要要素であるとし、72%の企業は、保護的な業界政策が会社の
業務に影響を与えると回答している。
 不公平な待遇に遭遇しても訴える方法はなく、合資企業設立を強制されたり、戦
略M&Aが許可されないことも、外資企業の中国の投資意欲を下げさせている。

 このように見てみると、「超国民待遇」がなくなった外資企業は中国市場での競
争を恐れないが、ビジネス環境の悪化により、みずからがもはや歓迎されていない
と感じている。
 中国では幾つかの国際市場で競争できる企業が出てきているが、大多数の状況下
では、外資企業は依然として世界最先端の生産力を代表している。トランプ大統領
就任で米中関係の見通しがよくない中、保護政策を行うことは中国経済に巨大に貢
献する外資に対して決して賢明なことではない。

〈中国ビジネス環境の吸引力低下〉
▽中国在外企業の世界投資計画中での重要性の低下
  2011年 2016年
 中国は優先的に考慮する対象 7% 10%
 中国は数ある投資先のうちの一つ 15% 34%
 中国は三大投資先の一つ 47% 34%
 中国は第一の投資先 31% 22%

▽政策環境の変化は対中投資増加に影響顕著
  大変影響する それほど影響しない 影響しない
 中国の監督環境の透明度、予測可能性、公平性の向上 86% 10% 4%
 保護的な業界政策の制限 72% 18% 10%
 現在帰省されている分野をオープンにする 65% 21% 14%
 投資にかかわる不平等に対する救済措置 57% 31% 12%

▽外資企業が対中業務で直面する最大の5懸案
 法律執行の不一致、不透明 58%
 労働力コストの増加 58%
 中国の保護主義の継続的増大 32%
 管理人材の不足 30%
 関連許可証の取得困難 29%
〔網易2017年2月7日〕

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……【国土交通】…………………………………………………………………………
●中国 物流コスト下げに努力 今年500億元
 2月27日、国務院新聞弁公室の記者会見で交通運輸の供給側構造改革推進状況に
ついて紹介された際、交通部の李小鵬部長は、今年、関連部門が引き続き物流ルー
トの円滑化を推進し、道路、水路の両面で物流コストを400億―500億元下げること
に努めると披露した。
 分析では、ここ数年来、中国の物流総費用のGDPに占める割合は年々減少してい
るが、世界平均水準を依然として上回っており、今後、コスト下げにおいて多手段
での輸送を発展させ、重点港湾及び大型総合物流園区の物流問題を解決するべきだ
と見ている。

 「目下の中国物流発展は不均衡で、物流コストはさらに調整、減らしていく必要
があり、今年、交通運輸の供給側改革の重点の一つは、まさに物流大ルートの円滑
化、総合交通ハブの建設、多手段での輸送の発展により、物流効率を上げることで
ある」
 李小鵬部長によると、このほか、交通部はさらに「インターネット+交通」等新
分野、新業態の発展を奨励し、一連の措置で物流コスト下げの有効な推進の措置を
講じる。
 「大まかな統計によると、昨年の中国の道路、水路両面で合計365億元コストが
下がり、今年さらに400億―500億元の物流コスト下げに努める」

 国民経済発展の基礎性、戦略性産業を支える物流業は少しの動きが全体に影響す
るという特徴があり、中国の最近の発展の重点業界の一つとなっている。
 先般、商務部、国家発展改革委員会等は共同で「商業貿易物流発展の第13次五カ
年計画のプラン」を発表し、卸売小売企業の物流費用率を7%前後まで下げることを
提案した。

 公開されたデータによると、2013―2016年、中国の全社会物流総費用がGDPに占
める割合はそれぞれ18%、16.6%、16%、14.8%で、物流コストのレベルは全体的に減
少傾向にある。
 しかし、アメリカ、日本、ドイツ等先進諸国と比べ2倍以上高く、かつ、インド、
ブラジル等BRICS諸国を上回り、世界平均水準より5%高い。
 中国物流・採購連合会の賀登才副会長は、高い物流コストの既存の経済構造、産
業配置、発展段階等の客観的要素は、輸送方式の合理的な分業欠如、物流ルートの
最適化の停滞、積みおろし搬送のプロセスの煩雑さとも関係しているとしている。

 「資源と消費分布の不均衡な国家として、中国の物流輸送距離の多くが比較的長
く、それが物流費用を押し上げている」
 国家発展改革委員会総合運輸研究所の羅仁堅研究院は、輸送のほか、倉庫保管、
流通等のプロセスでも一定のコスト圧力が存在すると分析している。
 この問題点を解決するため、多手段での輸送を発展させる、すなわち複数の交通
手段を相互に接続、中継する運輸方策を進める。〔北京商報2017年2月28日〕

●市街地常住人口100万以上の都市の8割に高速鉄道が開通
 1日午後、国家発展改革委員会の記者会見で、国務院が先日発表した「第13次五
カ年計画現代総合交通運輸体系発展プラン」についての詳細な説明が行われた。
 このプランは第13次五カ年計画期間における22の国家級重点専門項目プランの一
つで、第13次五カ年計画期間の現代総合交通運輸体系発展の指導思想、発展目標及
び主要任務を明確にし、利用者目線の重視が今回のプランの主要なテーマとされて
いる。

 国家発展改革委員会基礎産業司の鄭剣副司長によると、プランの指標体系には画
期的で利用者が目に見えてわかる基準を置いた。
 例えば、現在の庶民は高速鉄道を非常に歓迎し、高速特急での外出を好むが、プ
ランでは、全国鉄道の旅客鉄道サービス比率を高め、村と村との直接的な郵便開通、
条件を有する行政村への普通列車の開通、都市公共交通の割合の継続的な上昇、全
国の交通ハブ結節点の無線アクセスネットワークの広範な普及等具体的な要求が提
案されている。

 プランでは、2020年までに、安全、便利、高効率、エコの現代総合交通運輸体系
を基本的に建設し、一部の地域、分野では率先して交通運輸現代化の基本的な実現
を図ることを提案している。ネットワークを暗号化し、互いに効率を上げ、運輸サ
ービスの質を向上し、スマート技術を広範に応用し、環境に配慮した安全レベルの
向上を図る。
 高速鉄道は80%以上の市街地常住人口100万人以上の都市をカバー、鉄道、高速道
路、空港は20万以上人口の都市を基本的にカバー、都市軌道交通運営の営業キロは
2015年で倍、石油、ガスパイプラインの主要幹線は急速に発展、総合交通網総キロ
数は540万キロメートル前後に達した。

 プランによると、全国で150の開放式立体化総合旅客ハブを重点整備する。
 都市軌道交通等の基幹公共交通方式を利用し、大中型高速鉄道駅及び年間取扱者
数が延べ1000万人を超える空港とつなげる。大空港は能力が大きい軌道交通とつな
げ、積極的に立体乗りかえ、対面乗りかえへと誘導する。
 プランでは、交通空間のモバイルネットワーク化を推進し、乗客の外出と公務・
ビジネス、買い物消費、レジャー娯楽とを相互に結びつける「交通モバイル空間」
を建設する。このことは、今後の庶民の外出プロセスが「体験、消費のプロセスが、
ビジネス、レジャーのプロセスにもなる」ということである。
〔北京晩報2017年3月2日〕

……【労働】………………………………………………………………………………
●中国 製造業平均賃金は中南米超え 10年連続上昇
 中国の製造業の平均賃金が既にブラジルやメキシコ等の平均を超え、現在、急速
にギリシャやポルトガルに追いつきつつある。中国の平均賃金は10年連続で急上昇
を続け、もとの水準の3倍となった。

 英フィナンシャル・タイムズはユーロモニター・インターナショナルのデータを
引用し、中国の労働力全体で言えば、時給はチリ以外の全中南米国家にまさってお
り、さらに比較的弱いユーロ圏メンバー国家の平均の70%前後にも達していること
を明らかにした。

 フィナンシャル・タイムズは、これらの数字は中国が14億人の生活レベルを向上
させていることを示しているとした。
 一部アナリストは、労働生産性の向上により、中国の製造業の賃金が伝統的な中
所得国と見られていた水準を上回った可能性があると指摘する。
 しかし、急上昇する賃金水準はまた、中国が低賃金を受け入れる発展途上国に一
部職業を奪われ得ることを意味している。

 「他の全ての国と比較し、中国は目立って非常に秀でている」新興市場を専門と
する投資銀行、ルネサンスキャピタルのグローバルシニアエコノミストのチャール
ズ・ロバートソン氏は「中国は現在、西洋レベルに追いついているが、その他の多
くの新興市場はこれができていない」と述べた。

 ユーロモニターの先出データによると、中国製造業の平均時給は2005年から2016
年の間に3倍の3.60米ドルとなった。これに対し、同時期のブラジル製造業の賃金
は2.90米ドルから2.70米ドルへ、メキシコは2.20米ドルから2.10米ドルへ、南アフ
リカは4.30米ドルから3.60米ドルへと下落している。

 中国が2001年にWTOに加入しグローバル経済と密接な関係を築くにつれ、その平
均賃金はまたアルゼンチンやコロンビア、タイを超えることとなった。
 「WTO加入以来、中国の平均賃金は爆発的に上昇した」とスタンダード・ライ
フ・インベストメンツの新興市場の高級エコノミストのアレックス・ウルフ氏は述
べた。

 これは他の国家(アルゼンチンやブラジル等)の下落状況と対照をなしている。
近年急速な経済成長を経験したインドですら、製造業の賃金は2007年以来ずっと停
滞しており、平均時給はわずか0.07ドルをさまよっている。
 ポルトガルの製造業賃金は既に時給6.30ドルから大幅に下落し、昨年は4.50ドル
となり、平均賃金は東欧地域より低く、中国よりは25%高いのみである。

 ユーロモニター・インターナショナルの戦略分析家、Oru Mohiuddin氏は、中国
労働者の労働生産性レベルは彼らの賃金上昇に比べさらに高い伸びであると指摘する。
 「(賃金インフレ)を全体の背景に置いて見ることが必須」と彼女は述べた。
「製造業者は依然として中国で利益を得ている」

 フィナンシャル・タイムズは、労働力コストの上昇が続いても、中国国内市場規
模がこの国の製造業労働者を支えると指摘する。
 「2020年には、中国は一連の業界全てにおいて20%のシェアを占め、北米や西欧
のようになる」Oru Mohiuddin氏は「このような市場シェアがインドの4.8%やブラ
ジルの3.3%をはるかにリードしていることを鑑みれば、製造業者が中国に拠点を構
えることは論理にかなう」とした。〔中新経緯2017年2月27日〕

●2016年中国労働生産率6.4%増 イノベーションの歩みの加速が必要
 2016年の全国就業者数は7億7603万人で、2015年の7億7451万人と比べわずか0.2%
増だった。特に注目すべきは、全国農民工総数が2億8171万人で前年比1.5%増、そ
のうち外出農民工は1億6934万人でわずか0.3%増だったことだ。
 中国の経済はイノベーション主導で、新しい経済成長分野をできるだけ早くつく
らなければならない。

 2月28日、国家統計局は2016年統計公報を発表した。2016年、中国の経済成長率
は6.7%、労働生産性の伸びは6.4%だった。この2つのデータはここ数年下がり続け
る傾向にある。
 このような減少傾向の背景には、中国経済成長の2つの伝統的な動力――労働力、
投資(資本投入)の貢献率が下がってきていることと関係している。実際に、新規
労働力の供給は既に弱っており、全社会固定資産投資の伸びは前年比7.9%増で、既
に10%を下回っている。

 国家行政学院決策諮詢部の王小広研究員は、目下の労働生産性の伸びはGDPの伸
びと基本的に一致している状態だと見ている。
 「これは経済成長を主導する要素が根本的に何ら変わっていないということであ
る。労働生産性をできるだけ早く上げるには、イノベーション主導の経済発展を実
現することが必要である」

〈昨年の労働生産性6.4%〉
 国家統計局が発表したデータによると、2016年、中国の年間労働生産性は1人当
たり9万4825元で前年比6.4%増だった。
 数年前と比べ、この数字は減少傾向となっている。2013、2014、2015年、中国の
年間労働生産性はそれぞれ前年比7.3%増、7%増、6.6%増だった。
 労働生産性の伸びは減少し、中国経済の成長率の勢いと基本的に一致している。
2013年―2016年、中国の経済成長率は7.8%、7.3%、6.9%、6.7%だった。

 この背後には、中国経済成長の伝統的な動力、例えば労働力供給の伸び、資本投
資の成長等が減速していることがある。
 2016年の全国就業者数は7億7603万人で、2015年の7億7451万人と比べわずか0.2%
増だった。特に注目すべきは、全国農民工総数は2万8171万人で前年比1.5%増、そ
のうち、外出農民工は1万6934万人でわずか0.3%増だったことだ。

 「改革開放以降、中国にとり長い間最大の国際的な競争優位は労働力であった。
労働力の無限供給、労働力コストが比較的低いことにより、我々は大量のローエン
ドの製造業が非常に迅速に発展し、世界の工場を形成した。しかし、この優位は現
在既に基本的になくなってしまった」
 2月28日、中国社会科学院の李培林副院長は「中国省域競争力青書」2017年発表
会・供給側の構造改革と中国地域経済新動力育成討論会の席上でこのように表明した。
 「かつて、行列になるほど人を探す人がいっぱいいると言われていたけれども、
今は求人をかけても人が来ない」(李培林副院長)

 同時に、投資の伸びも引き続き減速している。2016年の全社会固定資産投資額は
60兆6466億元、前年比7.9%増で、物価要素を差し引いた実質の伸びは8.6%だった。
 この数字も「縮小」が続いている。2015年の全社会固定資産投資額は56兆2000億
元、前年比9.8%増で、物価要素を差し引いた実質の伸びは11.8%だった。2013年で
はこの数字は19.3%増で、物価要素を差し引いた実質の伸びは18.9%だった。

 武漢大学世界経済学部の胡芸副主任は、目下、労働生産性が減速している原因の
一つは、投資構造の問題にあると見ている。「目下の固定資産投資総量の伸びは減
少している一方で、構造も比較的不健全で、例えば不動産等分野に偏っている」

〈イノベーションの歩みを加速すべき〉
 中国社会科学院のある調査によると、1979年―1985年、労働力の伸びの経済貢献
率は12.9%だった。しかし、これを2011年―2015年で見ると、この貢献率はわずか1%
にすぎない。
 このほか、1979年―1985年、資本ストック(投資)の経済に対する貢献率は67.5%
だった。しかし、2011年―2015年では、資本ストックの貢献率は既に54.2%にまで
下がった。

 投資の伸びが下がり続けているのは、目下、各耐久消費財分野の大部分の産業能
力が余剰となっていることと関係している。この背後の問題として、いかにして供
給側構造改革を通じ、住民に必要な高品質の消費財を提供し、生産能力過剰を解決
し、経済発展という肝心な部分を促進するかがある。
 これには科学技術イノベーションの後押しが必要である。

 武漢大学グローバル企業研究センターの趙奇偉副主任は次のように見ている。
 労働生産性を高めるには、企業レベルにおいて、まず研究開発投資を高め、さら
に国外の先端技術産業との協力を強化し、業界をリードする企業とよく意思疎通を
図る。国家レベルにおいては、特に企業の研究開発投資の支援においては寛容な政
策をとる。
 その一方で、外資導入時には外資の構造に気をつける。「政府は外資導入の質を
厳しくチェックし、生産技術が我々より高い企業を導入するよう努めるべきであ
る」

 データによると、2016年、R&D経費支出は1兆5500億元で前年比9.4%増、国内総生
産に占める割合は2.08%、そのうち基礎研究経費は798億元だった。
 方正証券マクロアナリストで、高級副総裁の楊為〓氏は、「ここ数年、R&D投資
は急速に増加しているが、対GDP比率では低く、実際の成長引き上げ効果としては
限定的である」

 楊為〓氏は、例えば減税や金融機関のハイテク企業に対する低コスト融資の支援
といった、ハイテク企業全体に対する本質的な支援措置が必要だと見ている。「科
学技術R&D投資は長いプロセス、長時間かけないと効果を発揮しない」

 事実上、R&D投資の効果は、科学技術成果が産業化につながらなければ、経済へ
の貢献も限られる。経済の急速で安定な成長を実現するには、全要素の生産性を引
き上げる必要がある。全要素生産性とは、生産量と全要素投資量の比率で、技術進
歩、組織イノベーション、専門化、生産イノベーション等である。
 上記社会科学院の調査によると、1979年―1985年、中国の全要素生産性の経済貢
献率は19.6%、2001―2005年の貢献率は56.1%だった。しかし、2011年―2015年、中
国の全要素生産性の経済貢献率は44.9%まで下がった。

 「単純に科学技術投資をふやせば、すぐに収益がふえるわけではなく、投資の収
益の効率を見るべきである。R&D投資は一定量を維持し、投資の分野、方向性、構
造が合理的になるよう考慮すべきである。同時に、科学技術成果の転化率を高めれ
ば、実用的な技術で効果ははっきりとあらわれる」と王小広研究員は見ている。
注)〓は、「学」にのぶん
〔21世紀経済報道2017年3月1日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                         (中国人民銀行3月13日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.0087  689.88    88.85  736.71
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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《編集者コラム――日本・中国青年親善交流事業》
 もう今さら遅いのですが、OGなので告知をしたいと思います。
 日本・中国青年親善交流事業 http://www8.cao.go.jp/youth/kouryu/bosyu.html
 締め切りは3月末ですが、多分二次募集もするんだろうなと予想しますので、今
から用意しても遅くはないと思います。こういうプログラムじゃないと体験できな
いことを体験してみたい人は、ぜひ申し込んでみてください。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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