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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.586 2013年8月5日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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◎「ビジネス企業研修@中国」http://www.bizchina.jp/
★今週の読者数合計:5,554名(2013年8月5日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:観光競争力強化の阻害要因を取り払う】
●中国への入国観光客減少の原因はいずこ
●民用航空をサービス業に回帰させる

┏【国内経済】
●90後農民工調査 都市の新たな消費者層
●上半期の興行成績4億超も国産アニメ映画の赤字はやはり重大

┏【経済データ】
●外国為替(8月19日)
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……【特集:観光競争力強化の阻害要因を取り払う】………………………………
●中国への入国観光客減少の原因はいずこ
 6月に国家観光局は2013年全国観光市場工作会議を開催したが、7月に再び観光経
済展望分析会を開催することになった。
 これら2つの会議は、目下の観光市場に対し、「今年上半期、中国の観光経済は
持続的に安定的に発展し、観光市場は引き続き「二増一平」の様相を呈している」
との基本判断を示した。

〈減少の原因を国際経済環境とこじつけることはできない〉
 国内旅行と海外旅行の2つが増加し「二増」であることに異論はないが、入国観
光が安定し「一平」というのは検討すべきである。

 国家観光局が発表したばかりの観光統計報告によると、今年上半期の入国観光で
は、香港・マカオ、台湾にしろ外国市場にしろ、入国観光客数にしろ入国観光収入
にしろ、前年同期と比較して減少傾向にある。
 入国観光客数は3.7%減、入国宿泊観光客数は4.1%減、入国外国人観光客数は7.09%
減、入国観光収入は5.5%減であった。2009年、国際金融危機の衝撃を受けたときは、
入国観光客数は2.7%減、入国宿泊観光客数は4.1%減、入国観光収入は2.9%減であっ
た。今年上半期、入国観光の減少幅は2009年をはるかに上回った。
 したがって、今年上半期の入国観光の展望はさらに厳しく、「平」という字でま
とめることはできないと筆者は考える。現実を見ることで、減少した原因がわかり、
減少をとめ上昇の道が見つかるのだ。

 上記の会議では、入国観光展望を分析する際、「世界経済の展望が複雑さを増し、
観光外需が減少し、その上に中国のビザ政策問題、日本、フィリピン等周辺国家と
の関係の緊張、観光企業の海外市場開拓に対する積極性の伸び悩みといった要素の
影響を受け、中国への入国観光市場の下降圧力が大きくなり、短期的には全面回復
は難しい」と述べている。
 この分析はある程度そのとおりであるが、大いに検討すべきである。

 「世界経済の展望が複雑さを増し、観光外需が減少し、」というのは、2009年、
2010年であれば通用するが、今年の上半期では人々を納得させられないだろう。
 今年7月17日の国連世界観光機関(UNWTO)が発表した最新の報告によると、「グ
ローバル経済環境が試練に直面したにもかかわらず、2013年1―4月の国際入国観光
客数は4.3%増だった」とし、アジア太平洋地域は6%増、EUは5%増、中東は5%増、そ
のうち東南アジアは12%増、南アジアは9%増、中欧・東欧は9%増としている。目的
地別には、新興経済国は4.6%増で、先進国は3.3%増だった。
 この報告では、2013年の年間国際入国観光者数は3%―4%増と予想している。

 これらの数字によって、今年1―4月の世界、アジア太平洋地域、新興経済国及び
先進国の国際観光はどれも速い成長を見せ、また中国大陸の隣の東南アジアの入国
観光も大幅成長で、中国の今年上半期の入国観光減少とは巨大な落差を見せており、
減少の原因を国際経済環境とこじつけることはできない。

〈「中国のビザ政策問題」は極めて重要〉
 「日本、フィリピン等周辺国家との関係の緊張」、これは単なる個別事案で、日
本人観光客がどれほど大幅減(−25.5%)であったとしても、フィリピン人観光客
は依然として微増(+1.96%)であり、香港・マカオ、台湾を含む中国入国観光全
体の減少を説明することはできない。

 今年上半期、中国への入国観光客総数の3分の2以上を占める上位18カ国のうち、
韓国(−5.48%)、アメリカ(−2.51%)、ロシア(−5.99%)、マレーシア(−7.81%)、
シンガポール(−10.85%)、オーストラリア(−1.29%)、カナダ(−4.62%)、タ
イ(−0.25%)、ドイツ(−3.09%)、インドネシア(−3.13%)、パキスタン(−21.22%)
等11カ国と中国との関係は正常で、良好なところもあるが、なぜそれらの国の入国
観光客数が減少しているだろうかということである。
 それは、「中国のビザ政策問題」にあると筆者は考える。この一点が極めて重要
で、問題の核心とも言えるだろう。

 2012年の入国の数値は高目に始まり低目で終わるという正常ではない状態で、1
―5月の入国観光客数は前年同期比13.3%増であった。
 5月からは、第18回人民代表大会を迎えるに当たってビザ規制で入国の厳格化措
置がとられ、また、9月に、百近い都市で日本政府による魚釣島(尖閣列島)国有
化抗議のデモが発生し、外部に中国に対するある種不安定な感覚を与えた。
 それは、中国と日本の間の双方の往来の減少を直接的にもたらしたが、それだけ
でなく、間接的に日本以外の国の入国観光客の減少をもたらした(特に、東アジア
を周遊したいと考えていたユーラシア大陸より遠方の観光客)。
 そして6月以降、入国観光客はどんどん減少し、昨年は年間−2.2%というマイナ
ス成長となり、影響は今年上半期まで続いている。

 中国大陸の入国観光客のビザ政策はもともと偏りがあって厳格である。目下わず
か4カ国(日本、シンガポール、ブルネイ、サンマリノ)の個人に対してしか入国
ビザ免除政策を実施しておらず、わずか6カ国(ロシア、ベラルーシ、グルジア、
アゼルバイジャン、モルドバ、トルクメニスタン)と団体観光相互ビザ免除協議に
調印しているだけである。
 今年5月から、北京、上海、広州、成都等4都市は45カ国の国境通過観光客に72時
間のビザ免除政策を実行し、海南省は26カ国の観光客に21日間のビザ免除政策を実
行しているが、全体的に依然として厳格過ぎるままである。

 2013年世界経済フォーラム(WEF)が発表した「旅行・観光競争力レポート(Travel
and Tourism Competitiveness)」の140カ国のランキングのうち、中国は「(入国
観光客に対する)必要ビザ国家数)で129位であったが、このことは、中国の入国
ビザ政策が国際潮流に合っていないということを説明するに十分である。
 目下、米国、日本、韓国、シンガポール、マレーシア、UAE、ニュージーランド、
アイルランド、ドイツ等の諸外国及び香港では、入国観光客を多く誘致するため、
比較的寛容なビザ措置を実施しており、明らかな成果をおさめている。

〈北京等大都市の交通渋滞・大気汚染に多くの人が尻込み〉
 もちろん、人文学的、自然科学的に言って、入国政策は一側面にすぎない。
 観光客、特に外国人観光客は、中国に入国した際、必ず大都市を訪れるものだが、
北京に代表される大都市の交通渋滞及び大気汚染は多くの人を尻込みさせている。
中国大陸の多くの都市が「国際観光都市」をうたっているものの、外国人観光客、
中でも個人観光客を迎え入れるための条件を備えている都市は少ない。

 2007年以降、世界経済フォーラムが発表している「旅行・観光競争力レポート」
では、観光に関する行政・規制の枠組み、観光ビジネス環境及びインフラ、人的・
文化的・自然環境的観光資源の三大分野、及びこれに付随する80の指標が設けられ
ている。(入国観光客数、収入等「観光GDP」指標はいまだこれに含まれていない)

 観光業の発展と密接な関係を持つ上記「観光に関する行政・規制の枠組み」分野
は、政策法規、環境発展の持続可能性、安全保障、健康と衛生、観光の政策優先度
という5つのカテゴリーに分けられ、ここでは「外資の所有権」「財産権の保護」
「海外直接投資規制のビジネス効果」「ビザの必要条件」「二国間航空協定の開放
性」「政府政策の透明性」「起業における時間的コスト」「起業費用」「厳格な環
境法規」「環境法規の厳格な実施」「観光産業発展の持続可能性」「CO2排出量」
「浮遊粒子状物質の濃度」「絶滅危惧種」「環境条約の批准状況」「警察の信頼
性」「犯罪及び暴力事件にかかるビジネスコスト」「交通事故死亡率」「医者の密
度」「公衆衛生環境」「良質な飲料水へのアクセス」「病院の病床数」等が指標化
されている。

 当該レポートが調査対象としている140の国と地域のうち、中国大陸の順位は2007
年からの6年間で、71位(2007年)、62位(2008年)、47位(2009年)、39位(2011
年)、45位(2012年)と推移し、おおむね上昇傾向の中、2012年に、中国観光の不
振に符合する形で順位を6位下げている。
 指標別に見て、中国が上位にランクしたものは「自然資源(15位)」「文化的資
源(15位)」で、一方、下位にランクしたものは「観光インフラ(101位)」「環
境の持続可能性(109位)」「観光への親近感(129位)」「観光ビザを要する国の
数(130位)」である。

 このことから、中国の観光競争力を抑制する主な要因が、共に世界の中間レベル
にある「観光に関する行政・規制の枠組み」分野(71位)と「観光ビジネス環境及
びインフラ」分野(63位)にあることがうかがえる。こういったマクロ環境面の要
素もまた、国の観光イメージの柱である。

 2011年末「中国日報」アメリカ支社が、米ギャラップ社を通じて行った中国に対
する意識調査によれば、中国全体を評価するに当たり、米国民世論の42%が肯定的、
44%が否定的な態度を示した。こういった賛否両論と「観光競争力レポート」にお
けるランキング状況は相通じるところがある。

〈中国大陸の対外観光プロモーションは一貫して行政主導型〉
 「観光企業の海外市場開拓に対する積極性の伸び悩み」等の問題も、長年にわた
って中国の観光事情に大きく影響している。しかし、一体なぜなのか。
 これには中国の観光プロモーションのメカニズムに深い因果関係がある。30年以
上、中国大陸の対外観光プロモーションは行政主導型であり、観光企業は端役とし
て発言権を持っていなかった。

 中国大陸の観光プロモーション事業費は元来少なく、日本政府観光局や韓国観光
公社、仏メゾン・ド・ラ・フランス、独観光センター、米ブランドUSA等の観光プ
ロモーション機構を参考として、行政、業界、市場、メディアの専門家から成る、
専門性が高く半市場化された観光プロモーション機構を立ち上げ、観光促進事業の
主体を完全なる行政機構から市場化された専門機関に移し、対外プロモーションの
効果を評価する制度を設け、市場からその成果を検証・審査する、こういったこと
をせずして「観光企業の海外市場開拓に対する積極性」はいかにして得られるとい
うのだろうか。

 李克強首相は世界サービスフォーラム北京サミットの基調講演において、「中国
サービス業の発展はおくれをとっている。その最大の原因は体制・構造にあり、改
革開放に活路がある」と指摘した。サービス貿易を支柱とした観光事業はその最た
るものである。

〈2013年6月中国入国(観光)客源市場状況表(1―6月)〉
入国者数ランキング  国名 入国者数(単位:万人) 前年比成長率(%)
1) 韓国 190.08 -5.48
2) 日本 139.92 -25.50
3) アメリカ 106.18 2.51
4) ロシア 101.95 -5.99
5) ベトナム 63.83 18.52
6) マレーシア 55.91 -7.81
7) フィリピン 50.33 1.96
8) モンゴル 48.02 1.64
9) シンガポール 44.86 -10.85
10) オーストラリア 36.74 -1.29
11) インド 34.47 14.26
12) カナダ 33.85 -4.62
13) タイ 32.99 -0.25
14) ドイツ 32.28 -3.09
15) イギリス 31.59 3.70
16) インドネシア 28.94 -3.13
17) フランス 26.85 4.30
18) カザフスタン 19.03 -21.22
〔中国青年報2013年8月9日〕

●民用航空をサービス業に回帰させる
 フライトの大幅な遅延を解決するために、近日、中国民間航総局は再度、拳を振
り上げた。
 北京や上海など八大多忙空港で相互に行き交う飛行について、天候と軍事活動と
いった原因を除き、毎日午前10時前のフライト離陸は、目的地空港の航空管制の影
響で遅くならないよう命令した。
 これは、旅客が搭乗後すぐに離陸するという意味である。

 国民の収入増加に伴い、ますます多くの中国人が移動の速さを求めて飛行機を選
択し始めたが、自身の選択が間違いであると気づき始めている。
 というのも、飛行機の遅延がますます頻発し、「遅延が正常、定刻だと幸運」と
するのが大衆の共通する思いだからである。

 個人の主観は客観に及ばないかもしれないが、冷ややかな統計データがさらにこ
の問題を解説してくれる。
 民航局統計によれば、昨年の全国のフライト正常率は74.83%であり、これは一部
の国家の持つ90%や95%の正常率からはほど遠い。
 しかも、問題は、この正常率が何と「水で薄められた」ものであることだ。統計
はドアクローズの時間であって、疲れ切った状態で、ばかばかしく滑走路で待ち続
けるのに費やした時間が計算に組み込まれていない。
 さらに、国際的な正常率は通常、旅客の到着時間に15分が追加されて計算される。
もし国際基準に照らし合わせれば、中国のフライト正常率データはさらに醜いもの
となるはずだ。

 国内のフライト遅延が深刻なのは紛れもない事実である。そして、飛行機の遅延
に航空会社や空港等が遭遇する理由の一つは「航空管制」である。
 八大空港が航空管制によるフライト遅延を禁じれば、飛行機の定刻率は大きく引
き上げられ、世論は大喜びであろう。
 しかし、中国は2006年にフライト遅延の解決に乗り出しているが、フライト正常
率は意外にも2006年の81%から昨年の74.83%へ低下してしまった。中央テレビまで
もが「これは一部政策によって力を入れて正常率の向上に取り組んだが逆にますま
す低下させてしまったという歴史である」としたほどで、この新たな政策に対し、
世論は喜ぶのが早過ぎた。

 これはできないことではない。官民機関による統計では、飛行機遅延の第一要因
は航空会社の運航管理にあり、4割前後以上の割合を占めている。航空管制を要因
とするのは2割強、このほか、天候や軍事活動や空港制限等に要因があると考えら
れている。
 このように、ただ「航空管制」だけでは、フライト遅延の抱える全ての問題を解
決できない。

 もちろん、この新たな政策に対して、疑惑と悲観だけで向き合わず、期待を込め
て向き合うべきである。
 なぜなら、フライトの大幅な遅延というのは、空域資源管理機構、航空会社、空
港、空港管理などに影響を与えるのだが、長年にわたるフライト遅延解決では、責
任はほぼ全て航空会社が負わされ、例えば、空港管理システムの空中交通指揮能力
をいかにして人々に注目させるかといった、ほかへの波及はとても少なかった。
 今回の新たな政策は初めて空港管理に目を向けていて、つまり、中国のフライト
遅延解決がいつもの単一的な解決方法から抜け出し、総合的解決に向かって走り出
し、さらに積極的なもう一歩を踏み出しているのである。今後は、空港や航路など
新たな政策がより多く出されることも否定できない。

 もちろん、中国のフライトの大幅な遅延は、フライトと乗客量の年々の増加に対
し、民航業の管理レベル全体が相対的におくれているという矛盾の当然の帰結であ
り、たとえ積極的にフライト遅延というこの発展の「後遺症」の徹底的断絶に取り
組もうとしても、それは一日でできることではない。
 現在の問題としては、「後遺症」はゆっくり治せるが、フライト遅延に伴う「空
港ターミナル暴力」をどう解決するかということだ。まさか、至るところで「空港
ターミナル暴力」をこのまま継続して発生させ続けるわけにはいかない。

 実際、「空港ターミナル暴力」は、中国人が暴力を好むのではなく、旅客の民航
に対する忍耐が極限を超え、情緒のコントロールができなくなるということである。
 中国民航空党学校の関連課題研究では、一部の民航の職員は民航をサービス業と
みなしていないため、旅客を追い払うような態度をとり、フライト遅延など特殊状
況においても頻繁に処理を先延ばしにしてその場を適当にやり過ごしている。しか
し、先延ばすうちに、危険性が徐々に増大し、爆発してしまう。

 サービス業の民航業のサービス意識の立て直しが必要に迫られているようである。
少なくとも、フライト遅延後、真っ先に時間の情報を伝え、真っ先にスタッフサー
ビスを行い、真っ先の調整と真っ先の妥協措置をとるべきである。
 民航業に対しては滞りない運航が非常に重要であるが、民航をサービス業に「回
帰」させることもさらに重要である。〔重慶商報2013年8月2日〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
……【国内経済】…………………………………………………………………………
●90後農民工調査 都市の新たな消費者層
 かつての農民工が節約していたのとは違い、90後農民工は毎月の収入を使い切る
「月光族」の典型にさえなっている。
 記者が建築現場、レストラン・ホテル、工場などで調査したところでは、90後農
民工は家計に対する責任が大きくないために、物質的、精神的豊かさを重んじる生
活様式をさらに追求しており、都市の新たな消費層となっている。
 iPhone、共同購入、カードの残額不足、マイホーム、マイカー……これら都市生
活のキーワードは、既に農民工とも密接に結びついている。
(中略)

〈現状 物質と精神を重んじる生活の都市化〉
 90後農民工の消費観念は、彼らの父親とは全く違うし、70後、80後とも違う。

 遼寧団省委の調査研究でも、80後、70後の都市で働く労働者と違い、90後農民工
は自身の物質的ニーズを満たすことを考慮するとともに、精神的なニーズの満足度
を高めることも重視しており、物質的、精神的なものを重んじることが、他の世代
の農民工と著しく異なる特徴であることが明らかになっている。
 90後農民工が暇なときにやる最も好きなことは、「映画やテレビを見る」「ネッ
トカフェに行ってネットサーフィン」「飲み屋かレストランに行く」「町をぶらぶ
らする」等である。同時に、90後新世代農民工の生活様式は都市化が進み、主要な
消費は、ゲーム、通信、ネットショッピング等に集中している。

 安徽省が発表した経済白書でも、90後農民工は収入の50%を消費に使っており、80
後や70後より明らかに高くなっている。

〈分析 家計に対する責任も大きくなく 都市の新たな消費者層として溶け込む〉
 90後生活方式の変化は、成長過程の環境変化にある。
 「自分で稼いだお金は自分で使う、家に入れる必要はない」これは90後農民工の
共通点だ。大多数の90後農民工の家計は豊かではないにしても、それほど逼迫もし
ておらず、経済的な責任はそれほど重くないのかもしれない。
 90後農民工の中で、都市でマイホームを購入した人も少なくないし、さらにマイ
カーを買った人もいる。圧倒的多数は、既に都市生活に溶け込んでいるから、今農
村に帰っても、かえって適応できないだろう。

 「90後農民工というのは、消費潮流に乗り都市生活に溶け込んでいる新世代農民
工である」
 重慶市協和心理コンサルタント事務所の譚剛強所長は取材に対し、90後農民工が
成長した時代はネット、情報、ソーシャルメディアが空前の繁栄を見せ、新しい消
費ツールや消費モデルをさらに多く体験する機会があり、新しいものに触れる欲求
を持つに至ったのだという。

 調査から見ると、90後農民工が従事している仕事は技術系が主体で、肉体労働者
はそれほど多くない。
 美心集団が提供するデータによると、会社の5000人の農民工のうち、90後は10%
を占め、大多数の90後農民工が従事している職種は技術系が多く、例えば、検査、
デジタル制御、溶接、組み立て、プレス等である。
 重慶万泰建設集団のある工事プロジェクトでは、151人の農民工のうち、90後は
わずか5人である。

 重慶工商大学文新学院の蔡敏院長は、90後農民工の教育程度は相対的に高く、こ
れも彼らの消費様式に影響を与える大きな要素となっているとしている。
 「90後農民工は個人のキャリアの発展、生活の質の向上を重視している」蔡敏院
長の分析では、彼らは経済的な充足だけでなく、安定した居住場所、社会保障や公
共サービスの享受等も追求している。
 彼らが都市で仕事をするのは、農村を出て都市に根をおろすということであるが、
大多数のかつての農民工は稼いだお金を農村に持ち帰って家を建てていた。目的か
らいえば、このことは新旧2世代の農民工の本質的に最も異なるところである。

〈声 基礎力アップが都市の新市民のキーワード〉
 90後農民工の生活様式は都市化が進んでいるが、「月光族」といった消費観念は
依然としてウオッチャーを心配させている。

 譚剛強所長は次のように指摘する。
 「90後農民工は、やはり身の丈に合わせることが必要で、過度な節約は必要がな
いにしても、過度な消費もできない」90後農民工にとって、一時的な消費の快感で
は自己実現できない。
 「たとえ90後農民工の消費様式が相当都市化したものになっているとしても、都
市生活は彼らにとってはやはりなれないものである」90後農民工はさらに多くの時
間を費やして、都市の言語、文化、社交、生活習慣等を学ぶ必要がある。そして、
そのことでよりよく、より速く都市生活に溶け込むことができるのであって、絶え
ず学んで自己をレベルアップしなければ、彼らは本当の意味での「都市の新市民」
になれない。

 「都市の中で故郷と違う生活を求めるのは、90後農民工にとって容易ではないが、
新しい技能や知識を多く学べば、半分の努力で倍の効果を上げることもできる」
 蔡敏院長も、よりよい消費能力や生活条件をつくり出すため、90後農民工は「基
礎力アップ」をしなければならないと提案している。
〔重慶商報2013年8月2日〕

●上半期の興行成績4億超も国産アニメ映画の赤字はやはり重大
 現在開催中の2013年中国国際アニメ博覧会で記者が得た情報によると、中国国産
アニメ興行成績は今年上半期で4億元を超えたものの、まだ多くの国産アニメに収
支がつり合わず、赤字状況が存在する。

 北大文化産業研究院の陳少峰副院長は「昨年上映された「兎侠伝奇 Legend Of A
Rabbit」を例にとると、投資者の公言する制作費用は約1.2億元だが、最終的な興
行成績は2000万元にしかならなかった。関連宣伝費用等を加えると、投資回収でき
たコストは400万元程度しかなく、投資は基本的に浪費となった」と語る。

 以前のメディア報道によると、国家新聞出版広電総局宣伝司の高長力司長は、今
年上半期に上映された国産アニメの興行成績は既に去年全年の成績と並んでいる、
2012年の国産アニメ興行成績は約4億元であると公表していた。
 陳少峰副院長も同様の推測をしている。現在の中国の国産アニメ映画興行成績か
ら見ると、毎年輸入される外国アニメ映画は4、5本であり、国産アニメ映画よりそ
の数量は格段に少ないものの、興行成績は国産アニメをはるかに上回る。
 「基本的に、1本の外国アニメ映画の興行成績は国産アニメ映画の8本に相当す
る」(陳少峰副院長)

〈幼稚化、産業化の欠如した展開〉
 幼稚化と産業化の欠如した展開が、国産アニメ映画の輸入作品への対抗を難しく
している。

 現在、中国のアニメ映画には幼稚化が激しいという重要な問題が生じている。
 「一般の観客から見ると、アニメ映画はいわゆる子供のため撮影されたものであ
る。これはアニメ映画の受け手を非常に制限し、興行成績の集客力を欠如させ、映
画館のランキングにも影響する。また、子供に接する営業ルートはとても狭いもの
だから、受け手の範囲が狭いということは、宣伝を行う上で有力な宣伝ルートを欠
くことになる。同時に、アニメ映画の下流派生製品にも大きな影響を与える」(陳
少峰副院長)

 また、中国のアニメ映画には産業化のレベルが不足しているという問題もある。
 「中国には多くのアニメ基地があり、アニメ専業人材もいるものの、これらの多
くは同業同士の交流のみを行い、映画業界には入ってこない。そのため、映画産業
への理解が足りず、ランキング、宣伝等の方面においての経験が乏しい」(陳少峰
副院長)

 中国のアニメ映画は興行成績において外国アニメ映画に大きく引き離されている
だけでなく、下流派生製品の開発面でも弱さを呈している。
 「アメリカアニメ映画の収益期間は長く、映画公開後の2、3年後に往々にして1
年目より収益が高くなる。興行成績はその収入の18%―23%であり、その他の収入は
派生製品、DVD及び授権費用である。アメリカアニメ映画「トイ・ストーリー」を
例にとると、映画公開後、合計2500万個のおもちゃを売り出し、ディズニーランド
ではテーマランドを9つ建設し、授権費用と各種派生製品収入は100億米ドル余りに
達した」(陳少峰副院長)

 中国のアニメ映画の現在の発展状況から見ると、興行成績のよいアニメ映画は基
本的にテレビドラマまたはゲーム作品をもとにしており、純粋なアニメ映画市場の
反響はよくない。この原因として、やはり子供だけを対象にし、全ての年齢層を対
象にした映画になっていないことがある。
 中国のアニメ映画は、テレビアニメから映画、さらに下流の各種派生製品へと全
産業とリンクする発展モデルを歩むべきであるが、産業リンク全体で行っているも
のは非常に少ない。

〈マルチユースで収入の開拓〉
 興行収入が低いことがもたらす影響を補うため、国産映画は積極的に「マルチユ
ース」で収入を開拓している。
 現在、ほとんど全てのオンライン動画サイトが国産アニメ映画の著作権を購入し
ている。愛奇芸業務発展部の張語芯ディレクターによると、現在、著作権販売代理
店あるいは製作業者も直接著作権を購入しているが、依然としてオンライン動画業
界が重立った方式で、9割を占めるという。
 しかし、ハリウッド映画、映画館での映画の制約等により、国産アニメ映画はよ
い発表ルートを見つけられないことが少なくない。オンライン動画サイトはこの種
国産アニメ映画の主要な配信先となっている。「我々は制作方と収益配分協議に達
し、オンライン映画の広告収益等の配分をしている」(愛奇芸の関係者)

 マルチユース収入の趨勢にあるが、モバイル、PC端末からの収入は比較的小さい。
 愛奇芸の関係者によると、現在、アニメ映画は映画館ルートが主流で、主な鑑賞
者層は青少年であり、この2つのビジネスモデルは先払いばかりのものになっている。
 しかも、国産アニメ映画が占める割合は依然として多くない。オンライン動画サ
イトの愛奇芸を例にとると、現在、国外アニメ映画と国内アニメ映画の割合は6:4
である。

 陳少峰副院長も、現在幾つかの動画サイトでもアニメ映画の著作権を購入できる
が、アニメ映画の視聴者が少ないことにより、動画サイトにおけるクリック数も少
なく、したがって、彼らが支払う著作権費用も高くはないという。
 動画サイトの著作権収入が国産アニメ映画の収入に占める割合はやはりとても小
さい。
〔第一財経日報2013年7月12日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                          (中国人民銀行8月19日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.3007   616.9    79.56  822.42
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《編集者コラム――来週も発行します》
 前号発行時にメールマガジンが届いていない気がするというお知らせをいただき
ました。その原因は、もしかしたら受信する際にスパム扱いされているということ
かもしれないんですが、メールマガジン配信サイトにも何か原因があるのかもしれ
ません。このメールマガジンは現在4カ所(日中ナレッジセンター、まぐまぐ、メ
ルマ、めろんぱん)を使って発行しています。もし、うまく受け取れない場合には、
別のメールマガジン配信サイトも試してみてください。
 タイトルのとおりなんですが、今ランキングの原稿を持っているのですが、それ
を並べると膨大になってしまうため、来週にランキングだけお送りします。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:竹内はる菜 荒木千春 澤田裕子 奥谷道弘 楊桃
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