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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.352 2006年5月30日
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国に迫り来る高齢化社会の波】
●上海の高齢化は「世界レベル」 上

┏【国内経済】
●中小企業が多国籍企業のグローバル産業連鎖を構成する
●政府による土地収用 補償金額は農民の希望の20% 7割が不満

┏【金融】
●中国農業銀行年次報告 不良債権7400億元

┏【社会】
●政府危機管理体制急務 市民の突発事件対応能力向上は道半ば

┏【経済データ】
●外国為替(5月29日)

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……【特集:中国に迫り来る高齢化社会の波】………………………………………
●上海の高齢化は「世界レベル」 上
 上海は現代化の最前線にあり、高齢化の波が現代化ともにやってきた。
 上海市の周太〓副市長は「現在の上海の高齢化は、先進国家レベルにありま
す」と言う。
 現在、中国の高齢者人口は総人口の7%前後だが、上海では19.58%にも上る。こ
の数字は上海の5人に1人が高齢者であることを意味する。そして、この割合は今
後さらに上昇すると見られている。
 19.58%が高齢者という数字は、世界でも高齢社会の「先行」国である日本の22%
と肩を並べたことになる。
 しかし、近年の上海経済は急速発展にあり高齢化問題に注目が行かなかった。
豊かにならずに高齢者となったり、高齢者福祉システムが未成熟であるというふ
うに個人や社会による原因もあり、経済的発達都市である上海はこの新しい問題
に挑戦しなければならなくなっている。
 現在、上海市政府は既に高齢者事業を「第11次5カ年計画」の社会経済的発展
の全体枠に組み入れている。上海は率先して「ロマンスグレー経済」をはぐくみ、
新しい市場の開発と商業チャンスを誘発し、さらに中国が高齢化問題を解決する
ための参考となる模範を示そうとしている。

〈高齢化した上海〉
 「幼いころに走り回った街角はなくなり、近代的で快適な大きな家に最近引っ
越しましたが、かえって老け込んだような気がします」上海静安区の王沙花苑に
住む張秋芳さんは、自宅の前庭の椅子に座って、のんびりとした顔つきで淡い感
傷に浸っていた。
 張さんは1940年生まれ。幼少期は「石庫門(1920―30年頃の市民の共同住宅で、
古き良き時代をしのばせる上海独特の建物)」で過ごし、青春時代は「上山下郷
(文化大革命の後期に、中国共産党が組織的に大量の都市在住の「知識青年」を
都市から農村へ移住させた政治運動)」、壮年期は「大返城(「上山下郷の結果、
必然的に大量の知識青年が都市へと帰った」)、それぞれ時代の世の中の移り変
わりや世の中の大きな変化が彼女の人生に大きな痕跡を残している。
 「国際的には65歳からが「高齢者」、今年66歳の張秋芳さんは、高齢者になっ
たばかりです」上海理工大学社会学の王波教授はこの取材者に特別な配慮が必要
だという。「張秋芳さん、あなたと一緒に上海も世界レベルの高齢者社会になっ
たんですよ」

 張秋芳さんの近くに住む黄浦区山北居住者委員会の周暁路さんの息子と娘は外
国に住んでいる。一昨年夫を亡くし、典型的な「独居老人」である。周さんは今
年71歳で、髪に白いものが多くなっているものの、地区の事務をしており、地区
の高齢者への日常生活の手配が彼女の仕事の最も重要な部分を占めている。
 アルビン・トフラー(Alvin Toffler)の著書「未来の衝撃」にある「情勢は
どんどん悪化している。はっきりとわかる前に手おくれになってしまうだろう」
という言葉は、人を驚かせるためだけのものではない。今の上海は、目には見え
ていないけれども、どんどん重くなっている人口の高齢化という負担を背負って
いるのだ。

〈上海の高齢化は「世界レベル」に〉
 上海は経済の急激な発展により、既に世間の注目を集める結果を残している。
しかし、この都市の建築者は「毎日どんどん高齢化している」ことには無頓着だ
った。20年以上の高齢化の累積により、10年間の人口マイナス成長をもたらし、
上海の高齢化速度は毎年どんどん進んでいる。

〈5人のうち1人が高齢者〉
 4月3日、上海市は上海高齢者人口情報を発表し、初めて上海市高齢者の各般の
経済生活データを公表した。
 今回発表されたのは、2005年の上海市高齢者人口状況の基本的データで、2005
年末に行われた追跡調査を基礎とし、上海市公安局が上海市全体の戸籍から高齢
者人口のデータを体系化し、分析したものだという。

 発表された情報では、2005年末までの上海市の総人口は1360万2600人で、その
うち60歳以上の高齢者人口は266万3700人で、前年度より5万5900人増加している。
また、総人口の19.58%を占めており、前年度より0.3%増加している。
 4月11日に王波教授は取材に対し「このデータは、上海市民の5人に1人が高齢
者、その上毎年増加傾向にあり、上海市の高齢者化は全国平均よりかなり高いで
す」「国家統計局の統計によると、現在の中国高齢者人口は総人口の約7%でし
た」と答えている。

 国連が今年2月に発表したデータによれば、世界の高齢化が「先行」国である
日本の高齢化率は22%としていたが、上海の高齢化は既に日本の水準と並んだこ
とになる。
 「中国で最も早く高齢化が進む都市として、上海は人口の高齢化問題に直面し
ており、現在上海の人口高齢化は先進国のレベルにあります」4月19日、上海市
周太〓副市長は取材に対し、率直に答えている。

 2002年、国連は高齢者人口基準を65歳まで上げており、人口学では65歳以上の
人口が総人口の7%以上を占めると高齢社会と呼ぶ。上海は早くも1979年に65歳以
上の高齢者が既に7.2%を占め、中国で最も早く高齢社会へと歩みを進めていた都
市であった。
 同時に、上海は10年連続人口がマイナス成長を続けており、上海地区の高齢化
をさらに加速させる原因となっている。

〈市中心街は新市街地より高年齢化している〉
 上海市高齢委員会は上海市人口及び計画出産委員会の直属にあり、上海の高齢
事業の発展方針、政策、計画、高齢社会に絡む問題について調査研究し、提言を
行っている。
 この上海市高齢社会委員会から提供された最新資料では、上海市の高齢者人口
の分布は「ピラミッド」型構造になっていることがわかる。
 65歳以上の高齢者人口は203万6700人で総人口の14.97%を占め、70歳以上の高
齢者人口は151万3300人で11.13%、75歳以上の高齢者人口は89万人で6.54%、80歳
以上の高齢者人口は43万7700人で3.22%、60歳以上の高齢者のうちの16.43%を占
めている。100歳以上の高齢者は合計600人で、昨年より52人ふえている。そのう
ち男性が132人、女性が468人である。

 また、上海市高齢委員会によると、上海市中心市街地の人口高齢化は新市街地
や郊外県より高い。2005年末の上海市の人口高年齢化が高い上位3地区は、静安
区(22.89%)、盧湾区(22.43%)、崇明県(21.57%)である。
 ただ、新市街地と郊外県における人口の高齢化の速度は早く、上位3地区はワ
ースト3は、奉賢区(+0.78%)、金山区(+0.61%)崇明県(+0.51%)である。

 上海市中心市街地の人口高齢化率は郊外県より高い。2005年末のデータで、60
歳以上の高齢者人口のうち80歳以上が占める割合が高い上位3地区は、黄浦区
(21.77%)、静安区(21.40%)、盧湾区(21.36%)である。
 上海市全体では18の区県で人口の高齢化が進んでいる。増加幅が大きいのは、
黄浦区(+1.30%)、閘北区(+1.24%)盧湾区(+1.21%)である。

〈高齢者の生活状況 郊外地区は市街地ほどよくない〉
 高齢者の生活状況から見ると、市内と郊外の差はかなり大きい。市内の高齢者
は比較的密集しており、生活条件も同様に比較的成熟している。しかし、郊外の
高齢化率は市内より低いが、生活のレベルは低い。
 調査を行った結果、市街地と郊外高齢者の生活レベルに差があることがわかっ
た。

 3月17日、上海郊城区嘉定区(嘉定県)で74歳の季さんに取材をしたところ、
年収を教えてくれた。
 季さんと70歳の妻は2人とも退職しており、2005年の季さんの年金は合計1万95
10元、李さんの妻は年金とパート収入で2万6900元、原稿料と利子が2110元、そ
の他に投資収入が1200元で、世帯収入合計は6万1684元であった。
 上海の2005年の労働者の月平均賃金は2万6820元で、3人家族の1人当たり収入
は9075元であった。季さんの家の家族1人当たり収入は合計3万842元で、上海の
平均収入の2.5倍、中流階級の経済状態と言える。

 しかし、浦東開発区での調査は全く違うものであった。
 3月21日、浦東開発区機場鎮の望三村党支部と村の高齢者支部の協力で、この
村の70歳以上高齢者の現況について調査した。
 この調査はアンケート調査、面談調査、座談会などの方法で実施し、アンケー
トは100件のうち、97件を回収している。専業農家が59人で全体の60.8%を占めた。
97人のうち夫婦2人暮らしが35人、ひとり暮らしが25人、2世代同居が1人、3世代
同居が23人、4世代同居が13人であった。80―89歳が38人で全体の39.1%を占め、
90―99歳が5人で1%を占めた。

 年間経済収支状況によると、余裕があると答えた人が15人、ぎりぎりと答えた
人が16人、足りないと答えた人が22人、無回答が44人であった。
 高齢者福祉保障体制は100%に達していた。97人のうち、農業保険は59人で60.8%、
社会保険が25人で25.8%、征田労働保険が12人で12.4%、鎮保険が1人で1%であっ
た。また、合作医療加入者が59人で60.8%、社会保険加入者が38人で39.2%占めた。

 農業保険を受けている高齢者は2005年7月から毎月年金として190元を受け取っ
ており、最低水準の生活を維持している。8人が社会救済と医療援助を受けてお
り、22人は年齢からくる体の衰え、医療費、付き合いなどが原因で赤字となり、
程度はさまざまであるが生活は困難だという。子供などから経済上の援助を受け
ているのは10人にすぎない。
 ここ数年、望三村の経済成長は急速で、農村の高齢者への関心も高く、党支部
の議事日程に入っている。この村の党支部では、2002年から高齢者のために誕生
日ケーキを贈っている。また旧正月、敬老の日、酷暑期には、専業農家の高齢者
に見舞い金などが贈られている。
(次号に続く)
〔中国経済週刊5月12日〕
注)〓は、「丹」にさんづくり

……【国内経済】…………………………………………………………………………
●中小企業が多国籍企業のグローバル産業連鎖を構成する
 世界のトップ500社のうち450社が中国に投資する中で、中国の数百万の中小企
業も多国籍企業のグローバルな産業連鎖の構成に一役買っている。

 第4回APEC中小企業技術交流展覧会が山東省・青島市で開催された。100社近い
世界の名だたる商社が、展覧会で開催された国際商談会の席上、参加した1000社
余りの中国の中小企業と協議し、50品目、1000種類余りの製品を買い付けた。

 会議に出席した中国輸出入銀行の李郡・副行長は、中国の中小企業はさまざま
な形で国際的経営に参加し、グローバルな産業連鎖において重要な役割を担って
いると話す。
 中小企業の業種別の2005年の輸出量、輸入量はそれぞれ、68.3%、69%。中でも
アパレル、手工芸品、非鉄金属関連器具、玩具など労働集約型産業での輸出元は
中小企業が主体だ。

 中国企業家協会の統計によると、世界上位500社のうち30社余りが中国本土に
地域本部を設けているほか、750余りの研究開発センターを設立している。多国
籍企業は対中投資の規模を拡大しているため、中国本土での資材調達もふえてい
る。中国の中小企業が多国籍企業の産業連鎖に加わり、機会の提供に一役買って
いるのだ。
 李・副行長は、多国籍企業と中小企業が分業により協同するネットワーク、体
制を構築することは、グローバルな成長戦略を実現するための重要な手段だと話
す。大企業は生産を分散させ、資材調達を集中させることでコストを抑制し、自
社の経済的効率を高める。一方、中小企業は大企業のサービスの一部を請け負い、
自社の成長余地を切り拓くのだという。

 多国籍企業が中国に進出し始めた当初は、中国本土の大企業との提携を選択す
るのが通常だった。そうすることが事業を早く成長させる近道だったからだ。と
ころが、現在では、グローバル生産システムの中で、中小企業との産業面での協
力を拡大させている。
 独の世界最大のケミカル企業BASF社の関志華・中華地区董事長は取材に応じ、
同社が中国の中小企業との提携を強化することで、グローバル生産システムの安
定化が保障されたと述べた。
 また、BASFは昨年、60%の資材を中国で調達したが、サプライヤーの大部分は
中小企業だという。中小企業が生産する製品はBASFの世界各地の生産拠点へ絶え
ず輸送され、BASFのグローバル事業の発展に多大に貢献しているという。
 BASFは今後も中国で中小企業のサプライヤーを選び出し、自社のプロキュアメ
ントチェーン、サプライチェーンを中国で拡大する方針だ。このため、同社は中
国で中小型ケミカル企業としての責任についての研修を実施し、国際化、持続的
発展の理念に対する理解を促し、環境、健康、安全面での基準に適合する製品生
産を実施するよう指導している。

 国家発展改革委員会の欧新黔主任は展覧会でスピーチし、中国が中小企業の専
業化、国際的大企業集団との提携関係の構築を積極的に推進していると述べた。
中国工商管理部門に登記されている中小企業は現在430万社余りで、うち個人経
営企業が3921社と全体の99.6%を占める。こうした企業が将来、グローバル企業
の重要な提携パートナーになる。
 中国の中小企業は現在、多国籍企業のグローバル生産システムで、主に製品の
生産者、提供者としての役割を演じている。

 だが、中国でも経済が発達している沿海地域では既に多くの輸出型中小企業が
軒を連ねる。例えば、福建省普江市。面積わずか600平方キロメートルだが、3000
社余りがスポーツシューズ、レジャーシューズを生産する。世界で販売されてい
るスポーツシューズの20足に1足はここで生産されている。
 中小企業メーカー群の出現とその規模の発展は、多国籍企業が外注生産、資材
調達の集中を進めるに当たって非常に都合がよい。中国商務部の統計データによ
ると、ウォルマート、カルフール、メトロなどの多国籍小売企業だけでも、2005
年中に中国での資材調達額が2000億元余りに上るという。〔新華網5月19日〕

●政府による土地収用 補償金額は農民の希望の20% 7割が不満
 中国人民大学の孔祥智教授率いる専門チームによる最新の調査で、土地収用に
対して農民が希望する補償金額と政府あるいは企業が提示する金額との間に5倍
の差があることがわかった。
 上記のデータは、中国人民大学「農産と農村発展学院」の孔祥智教授率いる専
門チームがこの2年間で実施した「農家に関する調査」の中で明らかになり、そ
の後、国務院発展研究センターが主催する「中国土地政策国際検討会」において
公表されたものである。

 専門チームは東部、中部、西部地域から、比較的都市化が早く、土地収用が多
く行われている地級市を選び出して調査を行った。調査は、浙江省の温州市寧波
市、海南省の三亜市、山西省の太原市、晋城市、朔州市、内モンゴル自治区のフ
フホト市、オルドス市、通遼市などの4省459戸の農家に対して行われた。
 その結果、農民の70%近くが「土地を収用されたくない」と考えていることが
明らかになった。また、土地収用に関する情報を多く掌握している農民ほど、土
地を失うことに対する拒絶は小さく、土地を譲り渡す傾向があることが明らかに
なった。
 「土地収用前と比較して、土地収用後の生活水準にどんな変化があったか?」
という質問に対しては、47.4%の農民が「大した変化はない」と答え、28.8%の農
民が「下がり気味」もしくは「厳しい状況に陥っている」と答えた。また、23.7%
の農民は「多少よくなっている」と答えている。

 調査結果からすると、農民の90.1%が補償金を希望している。「土地収用の目
的を理解しているか?」という質問には、28.2%の農民が「よくわからない」と
答えている。
 土地を収用された農民が希望する補償金の平均金額は、一畝当たり79278元。
農民が実際に得られる補償金の平均金額16402.5元と比較すると、その差は約5倍
である。

 専門チームの分析によると、1992年から1995年にかけて、地方政府が土地収用
で農民に支払った補償金は91.7億元に上るという。しかし、仮に市場価格に照ら
して農民に補償金を支払うとすれば458.5億元になるという。これは、この4年間
にわたって土地収用だけで、農民が国家の工業化のために366.8億元の貢献をし
たことになる。

 周建春は、「集団建設用地の使用に関する制度」の今後の改革の動きを次のよ
うに述べている。
1) 規則を守り、建設用地使用権を合法的に取得した者だけが市場に進出できる
 ようになる。
2) 都市建設用地は統一管理され、そこでの基本規定を都市や町の国有建設用地
 の運営にも適用させる。例えば、土地の譲渡形式、譲渡期間、譲渡価格の設定
 及び譲渡収益の分配、土地譲渡の条件、土地抵当の規定などはすべて、集団非
 農業建設用地の市場取引において適用することができる。
  その中で最も重要なことは、集団非農業建設用地の供給が建設用地の供給計
 画全体の中に組み込まれているということである。そして、国家によるマクロ
 コントロールを維持し、それらの供給を計画的に進めなければならない。
3) 「集団非農業建設用地を何に利用するのか」という問題であるが、住宅産業
 開発を除けば、その他の経営性、非経営性の土地はすべて試験的に利用するこ
 とができるため、問題が表面化したときに再度調整を加えればよい。
〔第一財経日報5月12日〕

……【金融】………………………………………………………………………………
●中国農業銀行年次報告 不良債権7400億元
 中国農業銀行の不良債権率は26.17%、7400億元に達し、不良債権処理に対する
責任は重大だ。
 巨額な不良債権は依然として中国農業銀行の「心配事」だ。中国農業銀行が18
日発表した2005年度銀行年報によると、中国農業銀行の不良債権額は7400億元を
上回り、四大国有商業銀行から発生した不良債権残高1万725億元のうち69.0%を
占めた。商業銀行全体と比較してもこの割合は依然として50%を上回る。
 そのほか、2005年の純利潤は10.44億元で、2004年の20.03億元と比べれば48%
を大幅で下落した。

 中央財政経済大学中国銀行業研究センターの郭田勇主任は、中国農業銀行の累
積債務は依然として重く、このデータは中国農業銀行の株式制早期実施の必要性
と緊迫性をさらに説明するものであると指摘した。
 5分類の債権分類によると、2005年末まで、中国農業銀行の不良債権率は26.17%
に達して、前年度より0.56ポイント下がった。それと同時に、国有商業銀行の不
良債権残高は2005年初頭に比べ5026.1億元減少した。不良債権比率は10.5%で、
年初に比べて5.1ポイント下がった。
 こう見れば、不良債権処理スピードと数量において中国農業銀行はその他の三
大銀行よりはるかにおくれていることがわかる。

 既に公表したされている中国建設銀行の年報を例にすれば、2005年に建設銀行
は引き続き信用リスク審査と貸付業務のフローを改善し、リスク管理の技術的手
段を強化することによって、不良債権比率が2004年末の3.92%から2005年末の3.84%
まで下がった。
 同時期においては、中国銀行、中国工商銀行、中国交通銀行の不良債権比率は
それぞれ5.41%、4.69%、2.37%だった。

 郭田勇主任は、中国農業銀行は累積債務の処理スピードが余りにも緩慢だと指
摘する。仮に、このスピードが継続されれば、すべての不良債権を全部処理する
のに数十年かかるかもしれないが、これは現行の銀行業改革で許されないことは
明白である。
 銀監会の最新規定は、国有商業銀行が財務再編後の不良債権比率は持続的に5%
以下でコントロールするものと定めている。
 年報で公表したその他のデータから見れば、中国農業銀行は2005年、営業利益
424.83億元で、前年度比105.09億元、32.84%増となった。税引き前利益は78.78
億元、累積債務処理346.05億元、資産利潤率は0.89%だった。
 2005年末、中国農業銀行の総資産額は4万7710.19億元に達し、前年比7572.49
億元増となった。人民元・外貨各預金残高は4万368.54億元で、前年比5453.05億
元、15.62%増となった。人民元・外貨各貸出残高は2万8292.91億元増で、前年比
2392.19億元増となった。〔上海証券報5月19日〕

……【社会】………………………………………………………………………………
●政府危機管理体制急務 市民の突発事件対応能力向上は道半ば
 もし専門家が、今後起こり得るかもしれない火災のために、太いロープ、懐中
電灯、小型消火器、さらにはガスマスクまでも各自で準備しなければいけないと
いったら、あなたはどうしますか?

 北京市東城区交道口に住む大学4年生の陳遠さんは、そんな準備はしないだろ
うという。陳遠さんは、火災などの日常生活中の危険はすべて「もしかしたらあ
るかもしれないこと」で、だから「考えたことさえない」からだという。
 北京でOLをやっている李梅さんも陳遠さんと同じように考える。1カ月前、李
梅さんの夫が職場で防火訓練に参加し、300元でロープと手動発電の懐中電灯と
ハイテクな消火器を買ってきた。「そのとき、私は高いなと思いました。スーパ
ーでミニ消火器は数十元で売っているからです」

 しかし、現在起こっている危機を放っておいてもそれはとまらないものだろう。
2004年、北京国際都市発展研究院の連玉明院長はある論壇で「中国の都市は、現
在急速建設期、急速発展期にあり、大中都市は同時に「不安定状態」で、危機が
しばしば起こるだろうと予想されます」と指摘している。
 私たちの身の回りで突発事件が発生する確率はますます高まっている。2002年
北京の藍極速インターネットカフェでの大火災、2003年SARSの猛威、2005年全世
界で蔓延する鳥インフルエンザ、2006年のソロモン諸島騒乱……それぞれの事件
はすべて人々に耐え難い苦しみをもたらすこととなった。

〈73.9%が全世界規模での各種の危機は増加していると考えている〉
 先日、清華大学公共管理学院の危機管理ゼミは「中国都市の住民危機意識ネッ
トワーク調査レポート」を公表した。
 このレポートによると、中国の都市住民は、国外、国内における各種危機に対
する全体的な情勢が楽天的ではないと感じているという。人々は常に不安を感じ
ており、危機管理は注目を集めている問題である。
 このレポートを作成した清華大学公共管理学院の鐘開斌博士の説明では、今回
のレポートでの危機とは、主に自然災害、事故災難、公衆衛生事件、社会安全事
件の4つを指しているという。

 この調査によると、アンケート調査を受けた人はかなり強い不安感を抱いてい
る。7割以上(73.9%)が全世界でいろいろな危機がますます悪化していると答え
ており、わずか1割(9.6%)が危機情勢は次第に好転していると答えている。
 ここ数年中国で頻繁に発生している鉱山事故や、SARS、鳥インフルエンザなど
の公衆衛生問題が次から次へと発生し、昨年、法外な入院費が原因で、病院がお
金のない人への治療を拒絶し、死亡させた事件などの影響で、不安感は増大して
いるのかもしれない。
 アンケートでは、中国国内全体での危機もやはり悲観的な様子が見られる。70%
が、国内の全般的な突発的な大災害について、ますます悪化しているあるいは現
状からはっきりとした変化はないと答えている。

 悪化の原因については、半数以上が政府の危機対応体制に著しい欠陥があり、
完全な危機管理システムがつくられていないからだと考えている。67.6%が、政
府の危機管理の現状に不満を持っており、予算も不足しているし、余り重視され
ていないと感じ、危機管理対策が急務だと考えている。
 調査では、安全監督、医療衛生、交通部門の危機管理能力が劣っていると考え
られている。

 2005年12月3日―20日、山東威海市では5回の大雪が相次いで降り、この美しい
海浜都市が半死半生の目に遭っている。
 メディアの報道によると、880台以上の車、2000人以上の乗客が立ち往生し、
寒い夜に10時間以上の長い時間救援を待ち続けていた者さえいたという。救援の
ため、威海市は2000人以上、各種の救援車輌を1000台以上を出動させている。数
万人の人が足首よりも上まで積もった雪道の中を出勤した。

 この50年に一度の大雪を威海市は予想していたが、やはりかなり混乱していた
ようである。
 威海市委員副書記で常務副市長の劉命信副市長は、今回大雪で得た教訓を「都
市における非常体制は事前に準備しておくべきです。以前は全く考えられなかっ
た部分でしたが、現在、非常物資や設備など周到で詳細な準備が始められていま
す。準備は大変だと思いますが、実際必要なときには効果を発揮するでしょう」
としている。

 突発事件への準備が十分でなかったのは山東威海だけではない。2004年7月10
日、中型の降水量をもたらす大暴風雨が記録され、北京への交通がまひした。取
材によると、北京香山から26キロを歩いて帰宅した人もいるという。地下鉄が浸
水し、下水道からあふれた水が噴き出し、路面の落盤などの事故が頻繁に発生し
ていた。
 「実際、最近北京で発生した突発事故は災害自体は大したものではありません
でしたが、その対応は遅く、かなりの時間がたってからやっと有効な対応がとら
れています。つまり全体の危機管理システムに欠陥があるということです」大雨
の後、北京市政府顧問で、北京市建築設計研究院の金磊研究員はインターネット
上に書き込んでいる。

 政府部門の突発事故に対する対応は決してよくない。例えばSARSでは発生状況
の隠蔽や、虚偽の報告を行っている。昨年の松花江の水質汚濁問題では、現地政
府役人は生活用水の断水を行っただけである。
 これらの事件や対処方法が、国民に悪い印象を与えていると考えられる。

〈47.6%が政府危機管理は不完全だと回答〉
 突発事件への対応では、政府が巨大な責任を担っているのは間違いない。しか
し、調査によると、47.6%が、政府の危機管理として何が行われているのか理解
していない。
 「一部の事件の中にはその責任がすべて担当部門の失態にあるわけではないと
いうことに注意すべきです。安全監督や医療衛生部門に関係する事件では、公衆
の切実な利益と自分自身の安全に直接かかわってきますから、事件が発生すると
他の部門で発生したものに比べてより強い関心を集めるということなのです」
 清華大学公共管理学院の危機管理研究チームの後周玲博士によれば、一方では、
危機対応能力は当該部門が処理すべき対象の性質と関係する。なぜなら、問題処
理自体に常に危機拡散のリスクがあるからである。しかし一方では、関係部門の
危機対応能力は、事故発生地の経済レベルと科学技術条件によって決められ、十
分な役割を発揮できないこともある。
 「このほかにも、政府と一般大衆との間のコミュニケーション不足も重要な原
因の1つです」と周玲さんは言う。

 このプロジェクトチームの鐘開斌博士は、責任をすべて政府に転嫁することは
不可能だと考えている。「政府は徐々に危機管理体系を改善していると言えるで
しょう」と鐘開斌博士は言う。
 1990年代末から、大都市では危機管理の重要性が語られており、2003年のSARS
の発生でさらに都市の危機管理が急がれることになった。北京市政府は元大都遺
跡公園に避難所を設立し、海淀公園内に公共安全館を新築するなど、多くの施設
が緊急に増設されている。
 1人当たりの面積を1.5平方メートルで計算すると、2003年10月、北京元大都遺
跡公園につくられた避難所には最高25万3000人が収容できる。つまり、地震が発
生しても、この緊急避難所に25万3000人が非難することができるのである。報道
によると、北京市は2007年以前に1000カ所以上の「緊急避難所」建築を計画して
おり、完全な緊急避難所システムができ上がろうとしている。

 政府は、市民の危機対応能力を高めるために各方面のプロジェクトを始めてい
る。今年4月、北京市政府は「首都市民防災救急ハンドブック」を印刷し、無料
で市民に配布している。上海、浙江、大連などの市や省でも同じようなハンドブ
ックを制作している。
 鐘開斌博士は、政府が現在行っている政策は有効なものであると考えている。
「国民の危機意識はSARS以前と比べるとかなり進歩しています。多くの公務員が
危機管理関係の訓練や教育を受けています」

〈22%の人が命に投資せず〉
 調査では、半分以上の人が「居住地」や「職場、学校」で、どうやって避難す
るのかさえ考えたことがないという。大部分の中国国民が実際に緊急避難の経験
がないことがわかる。危機が発生したら、避難や応急手当の最適なタイミングを
誤ったり、混乱を引き起こしたりする可能性さえある。

 李梅さんはこれまで消防訓練をしたことがない。
 夫に「もしだれかが火事だと叫んだらどうする?」と聞かれ、李梅さんは「す
ぐにドアを開けて外に逃げるわ!」と答えると、夫はそれは間違った答えだと言
う。「簡単にドアを開けてはいけないよ。まず、ドアが熱くなっていないか触っ
て確かめなきゃいけない。もし熱くなっていなかったら、ドアを開けて助けを求
めるんだ。もし、ドアの向こう側が燃えていたら、ちょっとドアを開けるだけで、
火はすぐに燃え移ってくるから、絶対にドアを開けてはいけない。ドアを何かで
しっかりふさいで、水をかけ続けるんだ」夫はまじめに李梅さんに教えたという。

 調査によると、大抵の人は簡単な事故の際にしなければならない基本な処理方
法や救助方法は知っていた。ただ、実践に乏しいこともわかっている。84%が災
害現場での応急手当をしたことがなく、ましてや他人を助けたことなどはない。
 「外国では小学校から大学まですべての段階で安全教育や救急についての授業
が行われており、政府は地域、家庭と同様に常に避難訓練を行っています」鐘開
斌博士は外国の経験を紹介する。しかし、中国ではこういった教育は比較的に少
ない。63%が避難訓練や救急に関する教育を全く受けたことがないことに不満を
感じている。
 なお、避難訓練については形式を非常に重視していて、90%が無料で訓練を受
けることを希望しており、費用がかかると希望者は37%に減少する。

 外国では、子供のころから安全教育や避難訓練を行わているので、アメリカで
「同時多発テロ事件」が起こったときも、現場は冷静で秩序が保たれていた。ま
た、2005年のロンドン地下鉄爆発事件の時もパニックは起こらず、中国ではよく
起こるような将棋倒しによる圧死もなかった。
 調査によると、アメリカは早くも1985年に、コミュニティーごとの救済隊が創
設され、米国国家防火協会が火災「大避難」訓練を北米全体で実行している。
 しかし、中国では、現在まだ消火器の使い方などの最も基本的な技能教育の段
階にある。データによると、2003年にSARSが発生してから2004年7月までに、全
国で50万人が800回近く実施された防災訓練に参加している。しかし、災害によ
る悲劇が発生したとき、やはり民間人の安全知識や避難技術の不足、応急物資の
準備不足などの問題が起こっている。

 この調査では興味深い結果がわかっている。テロ攻撃事件が発生確率が1万分1
だとすると、22%は自分自身と財産の安全を保障するために何らの投資もしない
と答えている。この確率が100%まで増加しても、22%は依然として1銭も出さない
と答えている。この結果から見ると、多くの人が「金を惜しんで、命を守らず」
という考え方を持っているようである。
 鐘開斌博士によると、現在全世界は突発事件の高頻度発生期にあり、大部分の
突発事件は一般人にかかわりのあるものであるという。「突発事件発生の際には、
落ち着いて、平常心を保つことが重要です。普段は常に準備し、注意しなければ
なりません」
〔中国青年報5月8日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                       (中国人民銀行5月22日17:10)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.1463  802.82  103.51   1023.09
関連ページ:http://www.bank-of-china.com/
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(200号以降 2003/2/18―)
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