CI Image
 
電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
登録  解除    メールアドレス  

特集内容一覧へ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.732 2020年3月4週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
登録/解除:http://www.bizchina.jp/modules/nweek/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ツイッター始めました https://twitter.com/bizchina_jckc

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:ブランド側から見た若者とのかかわり方】
●70後は貯金、80後は返済、90後は消費 その3

┏【李年古の日中異文化交流術】
●日中の人々の共感を呼ぶ文化的な「絆」――漢字

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
……【特集:ブランド側から見た若者とのかかわり方】……………………………
●70後は貯金、80後は返済、90後は消費 その3
二、WHAT:製品の若年齢化の解釈
2. 若者の15種類の消費心理構造

(前々号より続く)

8) 若者たちは反抗ではなく、ある種の孤独感を追求し始めた
 現在、多くの若者たちは孤独感を享受しているが、それは集団的な孤独感であ
って、その集団で独特の価値観を持つことを求めている。
 一般的に、この種の集団的独立感と孤独感があると結束力と存在感が非常に強
くなり、それぞれがつながると反対するもの全てに対抗する、それこそが力となる。
 本当によい商品IPは、このような集団を突き動かす力を持つ。

9) 伝統的な悲痛的恩義から、平等・気楽・楽しい家族愛に
 現在の若者は父母や家族を連れて娯楽活動を行い、一緒に楽しむことが好きで
ある。過去のような苦難による感情接触方法はできる限り避け、説教しなくてよ
いことはできるだけ説教せず、全てを気楽な方法で処理する。

10) 若者の価値観を誘導し、IP自身の価値観へと転換する
 例えば、個人向けローンのプラットフォーム「微粒子」の価値観は、小口でも
改変の力をもたらすということである。その広告は、ローンによって願望を実現
するという価値観を伝えるものであり、このようにしてそのブランドが覚えられた。
 マンネリ化したサービスばかりを推すのでは、それはブランドの商法であって、
IPではなくなる。ブランド商法は消費者にとっては知名度があるものなので、IP
の概念の中に取り入れても問題はない。
 しかし、より高度には、価値観を真に高め、顧客の需要状態をつくり出し、顧
客の価値観を変えることである。

11) 商品から興味まで
 現在多くのブランドロゴは、ユーザーの興味を出発点としたものであり、興味
への接触が商品の伝達とはならないことを私たちは知らなければならない。
 何を買うかということは本質的にはそれほど重要ではなく、なぜそれを選ぶか
というところに核心がある。

12) コミュニケーションは情報から体験まで
 ネットでナッツ等を販売する「三只松鼠」の特によいところは、初めに食べ方
を教えた点である。その後、殻割り器、お手ふき、ごみ袋を送ればOKで、文字化
された情報を情景化された体験に変えた。

13) 商品販売から習慣の構築まで
 配車アプリ「滴滴」が真に変えたのは外出習慣であり、商品システムのIPの考
え方は「人が車を探す」から「車が人を待つ」に変えたことである。この一点を
変えただけだが、もたらされた成果は非常に大きい。
 習慣を構築する最もよい方法は支配欲である。例えば、毎回の双11の前日の11
時59分、皆が携帯を持って注文準備をすることは既に習慣となった。この習慣の
本質は、ユーザーの結果に対する支配能力である。

14) 弱いグループへの関心から身の回りの問題解決まで
 公益プラットフォーム「水滴籌」が急速な発展を遂げられた本質は、身の回り
の人の問題解決である。友人が困っているとき、あなたの少額の支出と支援をあ
らわすことができる。
 それによって、あなたは反響と感情で自身を満たせ、引き続き支出を行うこと
になる。また、もし自分がいつか助けられることになったら、このブランドへの
感情はより濃くなるはずだ。

15) 社会改造から自己改造まで
 かつて、若者は社会改変という大きな夢を持っていた。現在、若者は内心では
そういう考えがあるものの、他人を変えようとはしない。
 この時代の中でもなお、他人を変えることで内心を動かそうとするなら、よい
商品を生み出すことは難しい。
〔聯商網2019年12月30日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●日中の人々の共感を呼ぶ文化的な「絆」――漢字
 猛威を振るうコロナウイルスによる危機は、意外にも日中の絆を強める大きな
きっかけとなっていた。最初は日本から大量の支援物資が贈られたが、今は中国
から大量の支援物質が恩返しの形で日本に贈られ、双方から相手に対する感謝と
賛辞が聞こえてくる。
 なぜ、世界各国から中国に支援物資が次々に届けられたにもかかわらず、日本
だけが格別な評価を受け、中国人の心を動かしたのだろうか?
 その理由は、支援物資の段ボール箱に書かれていた漢詩の数々に秘められている。

 これをきっかけに、日中の共感を引き起こす文化的な絆があることを気づかせ
ている。日本人が中国人の心の琴線に触れる方法はもう一つあると思っていた。
 僕は、中国人向けの企業研修で、よくこんな質問を投げかけてみている。「日
本人が一番好きな漢字は何でしょうか?」「100年以上続く日本企業が老舗とし
て大事にしていることを漢字一文字であらわすとすると何と答えると思います
か?」
 その質問は、いつも参加者の好奇心を刺激させ、熱い議論が交わされる場面が
しばしば出てくる。
 好きな漢字が、「美」「心」「和」だと教えると、参加者はすごく納得してく
れる。なるほど、どれも中国人が最も好きな漢字ではないか?美しい心、優しい
心、温かい心、素直な心などなど、参加者たちがさらにそれらの言葉の意をつな
げて読み解くと、日本人に対する親近感が知らぬ間に高まってくるように見えた。

 僕は話を続ける。「日本には100年以上続く老舗企業が約2万社もありますが、
どの企業でも大切している価値観には共通点が見えます。それを漢字一文字であ
らわすと、圧倒的な支持を得ているのは「信」です」。
 「当たった!」参加者が歓声を上げることはいつも多かった。やはり、信用が
第一だと、日本企業がきっとそう思っているはずだと参加者は推測できている。
上位に並ぶそのほかの漢字も、中国人は意外によく当てられる。それは信、誠、
心、真(帝国データバンク調べ)などである。これらの漢字には共通して、「ま
こと」という読み方がある。日本の100年企業には、商売の原理原則である「ま
こと」の心を大切に受け継いできたという共通点があるようである。

 さらに、この幾つかの漢字であらわれた日本企業の価値観と中国企業と比較す
る話題に発展させていくと、参加者の議論はますます白熱してくる。「今こそ、
これらの「漢字」を日本から逆輸入すべきではないか?中国の経営者はもう一度、
真剣にその文字の意味をかみしめてもらいたい……」。

 僕が「漢字」という日中の文化的な共通点から議論の切り口を提示し、そこか
ら両国の異同点を比較していくと、参加者はいろいろな気づきができるようにな
ると感じている。もしも、日本人が中国人を納得させようとするのであれば、こ
のようなアプローチで話を進めれば、結構な効果が期待できるではないかと思っ
ている。

 日本の大学院生の時代、僕の社会学の先生がある興味深い事実を教えてくれた。
日本人が書いた人文科学などのジャンルの著書や論文を分析した結果、文章中で
キーワードとして表現される単語は、いずれも漢字が中心であったという。
 「それは、日本人が文章で重要な意をあらわすとき、片仮名や平仮名よりも漢
字を使用する傾向があるということだろう」先生は説明してくれた。
 なるほど、あくまでも言葉は思想の道具であるのだから、日本人が物事を考え
るときには漢字が重要であるのであれば、根底では中国人と精神的な部分でつな
がっているのではないか、僕はそう考えている。
 少なくとも、2つの国の人間は、独特な強い絆が持っていることに違いない。
 人間は国籍や文化が違っても、相違点より共通点の方がはるかに多い。常にそ
れを忘れてはいけない。
 他人と自分の中に「違うところ」を見るのが「戦争」であり、「同じところ」
を見るのが「絆」である――こんな例え話はどうだろうか。

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《編集者コラム――新語》
 オーバーシュートとかロックダウンとか、また新しい言葉を覚える局面に入っ
てきました。こういう事象の変遷に応じて次々新語が出現するのは東日本大震災
以来なので、今日本は結構深刻な状況にあると感じています。健康な読者様は手
洗い励行でこの状況を少しでも平和にお過ごしください。(ま)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
●ツイッター https://twitter.com/bizchina_jckc
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

改頁:(1) 2 »