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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.705 2018年11月6日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:不動産購入と賃貸生活の合理性】
●1月の家賃は幾ら?3分の2が収入の30%以下
●10年前の北京での不動産初購入平均年齢は26歳、現在は32歳
●中国家族資産規模世界2位

┏【金融】
●銀聯カード域外発行1億枚突破

┏【国内政策】
●全国300都市以上で50%の手続でアリペイ決済可能 今後は顔認識へ
●中国では4割の農村高齢者が60歳以降でも働くことを選択

┏【経済データ】
●外国為替(11月5日)

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……【特集:不動産購入と賃貸生活の合理性】………………………………………
●1月の家賃は幾ら?3分の2が収入の30%以下
 先日、58安居客不動産研究院が「2018京津冀都市群家賃報告」を発表した。
 北京・天津地域の不動産需要は年々上昇傾向があらわれている。
 京津冀都市群のうち、49.9%の賃貸需要は北京に集中していた。これは恐らく、
北京が多くの大学卒業生を引きつけるためである。

 第一財経商業データセンター(CBNData)が先日発表した報告によると、調査を
行った賃貸利用者のうち、90後が賃貸利用の主力で、8割以上の学歴は大卒以上だ
った。

 3分の2を超える賃貸利用者の家賃は収入の30%以下だった。約8割の賃貸利用者は、
賃貸は「合理的」と第1に考えていた。次が交通、治安、周辺施設等だった。

 観念の変化に伴い、若者の賃貸生活への許容度がますます高くなっている。
 あるホワイトカラーの調査研究結果によると、60%のホワイトカラーは、賃貸は
自分の生活の質に影響しないと回答し、43%の都市ホワイトカラーは、一生賃貸で
あることを許容すると回答している。

▽賃貸需要
北京49.9% 天津14.1% 石家荘9.2%

▽北京各区の平均家賃(1平方メートル当たり・月)
東城区130.6元  通州区49.2元
西城区110.6元  順義区56.8元
朝陽区97.7元   昌平区51.3元
豊台区65.0元   大興区56.2元
石景山区65.5元  懐柔区29.5元
海淀区95.6元   平谷区23.5元
門頭溝区48.5元  密雲区32.0元
房山区34.0元   延慶区31.4元


▽賃貸利用者
 性別――男性63% 女性37%
 年代――70前2% 70後5% 80後6% 85後18% 90後44% 95後24% 00後1%
 学歴――中学以下1% 高校5% 短大14% 四大79% 大学院2%
 婚姻――独身51% 恋愛中34% 既婚子供なし10% 既婚子供あり5%

▽ルームシェア選択の理由
 光熱費だけで支出が少ない83.3%
 家賃は安く、スペースが広い80.0%
 新しい友達をつくるきっかけ46.5%
 個人の生活習慣をつくれる39.1%
 恋愛などの思いがけない出会い13.4%
 その他0.1%

▽家賃と収入の割合
 10%以下 2.5%
 10―30% 67.4%
 30―50% 28.0%
 50―70% 1.9%

▽ホワイトカラー調査
 ・賃貸は生活の質に影響するかどうか
   はい。賃貸では帰属感がない。40%
   いいえ。賃貸であっても生活に影響はない。60%
 ・賃貸の家でも結婚するか
   はい64% いいえ36%
 ・ホワイトカラーは一生賃貸でも許容できるか。
   許容できる43% 許容できない31% 経済状況次第15% 政策次第11%
[新京報新媒体2018年10月12日]

●10年前の北京での不動産初購入平均年齢は26歳、現在は32歳
 先日、貝殻研究院の院長で、貝殻找房シニアエコノミストの楊現領氏は、博智マ
クロフォーラム第32回月例会の席上、ここ数年、不動産初購入年齢が徐々に後退し
ていると述べた。
 2008年、北京の不動産初購入の平均年齢は26歳だが、現在は32歳である。大学生
は将来ますます不動産が買えなくなってきている。

 賃貸需要の主体は流動人口や大学生である。不動産価格がますます高くなり、必
然的に賃貸市場により長い時間とどまるようになっている。
 流動人口は家を買えず、賃貸で解決する必要がある。長期賃貸マンションはここ
に対応したものである。流動人口の住宅問題は主に大量の城中村が解決している。

 家賃の評価について、家賃高騰は全く問題ないが、問題は一体なぜ高騰するのか
である。
 例えば、ドイツは2012年から家賃がずっと高騰し、中心エリアはより高騰してい
るが、これは市場の調整によるものである。

 中国における家賃が収入に占める比率は低水準にある。
 国際的に、一線都市の家賃が収入に占める比率は通常40%―50%以上である。
 中国の不動産賃貸の主要な対象は大学生と流動人口であり、家賃支払い能力が比
較的弱い。
 一線都市の大学生の支払い能力はワンルーム2500元前後、農民工のルームシェア
は500―600元と、家賃が収入に占める比率は低い。

 楊現領氏によると、今後の賃貸市場全体の発展は2つの大きな方向性があり、一
つは集団経済組織が保有する用地の再開発、もう一つが老朽団地や空き住宅賃貸の
利活用である。〔経済日報2018年10月16日〕

●中国家族資産規模世界2位
 クレディ・スイスが先日発表した2018年度「世界資産報告」によると、2018年年
央までの12カ月間で、世界の資産総額は14兆米ドルから317兆米ドルに増加し、伸
び幅は4.6%と人口の伸び率を上回った。
 全世界の成人の平均資産の伸びは3.2%で、6万3100米ドルに達し、史上最高を更
新した。
 中国の現在の家庭資産規模は世界2位で、2.3兆米ドル増の52兆米ドルとなった。

 現在、中国家庭の資産規模は世界2位で、今後5年間で中国の資産は更に23兆米ド
ル増加し、全世界の資産に占める割合は2018年の16%から、2023年には19%を上回る。

 中国の非金融資産は過去12カ月、高い成長を維持した。北米を除く全ての地域の
成長全体の主要エンジンであり、中国やEUの資産の伸びの75%以上に貢献した。
 過去12カ月の中国の資産の伸びのうち、75%は非金融資産だった。非金融家庭資
産の占める割合は2017年の61%から、2018年の62%に増加し、不動産市場が依然とし
て力強いことがあらわれた。
 2018年年央で、中国の成人の1人当たり実質資産は3万2640米ドル、平均債務は4690
米ドルで、総資産の9%だった。報告では、国際基準に照らして、この債務比率は依
然として低いと見ている。

 2001年以降、中国のミリオネア数は急増しており、2000年のわずか4.1万人から
現在の350万人(全世界の8.4%に相当)と約80倍となった。そのうち、昨年は新規
に18.6万人増加した。
 2014年に既に日本を上回った。日本の現在のミリオネア数は280万人である。

 クレディ・スミスのアジア太平洋エリアのジョン・ウッズCIOのコメント「本年
度の報告で、アメリカと中国の資産の伸びが依然として目を引き、同時に最も主要
な成長エンジンであることがはっきりした。資産水準の前期比の変化は大体が資産
価格と為替レートによるものであり、アメリカと一部のアジア太平洋地域の影響が
最も顕著である」
〔中国経済網2018年10月26日〕

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……【金融】………………………………………………………………………………
●銀聯カード域外発行1億枚突破
 銀聯インターナショナルは先日、銀聯カードの域外発行が既に1億枚を突破した
と発表した。
 今年1―9月、域外発行された銀聯カードの取引量は前期比40%増、一部の域外市
場では、現地で発行された銀聯カードの取引シェアが9割を上回った。

 ここ数年、中国銀聯の域外業務の現地化が進み、2つの傾向があらわれている。
 一つは、カード発行規模の拡大で、域外カード保有者へのサービス能力が向上し、
国際化のプロセスが加速した。
 銀聯カードは多くの国・地域の消費者の日常的な消費と海外旅行の主要な支払い
ツールとなり、域内外の双方向のニーズに応えている。

 二つ目は、イノベーションが域外業務の現地化開拓の主要な推進力となっている。
 海外カードのネット決済等のイノベーション機能は豊富になり、域外カード保有
者のカード使用体験を向上させている。同時に、銀聯インターナショナルは域外決
済電子マネーサービスとともに、カード発行プロセス電子化を進めている。

 今現在、域外の48カ国・地域の銀聯カード総発行枚数は1億枚に達した。
 「一帯一路」沿線市場は、銀聯カードのここ数年の新規発行の主要な地域となっ
ている。既に約30カ国・地域で累計約3500万枚の銀聯カードが発行され、一帯一路
提唱前の20倍となった。
 中でも、東南アジア10カ国及び中央アジア6カ国では現地でのカード発行を実現
し、ロシアの約10行の銀行で既に累計約150万枚の銀聯カードを発行した。ラオス、
モンゴル、ミャンマーでは、銀聯カードの発行規模は現地の各種カードブランドの
トップである。

 域外カード保有者の日常消費のうち、銀聯カードはますます重要な役割を果たし
ている。
 東南アジア、韓国、パキスタン、中央アジアなどでは、現地で発行される銀聯カ
ードの現地取引シェアは90%以上を占める。〔人民日報2018年10月22日〕

……【国内政策】…………………………………………………………………………
●全国300都市以上で50%の手続でアリペイ決済可能 今後は顔認識へ
 10月24日、アリペイが発表した「オンライン手続10周年」データによると、この
10年で、既に約300都市の約5億人に対し、行政事務、医療サービス、交通、生活費
用納付等を含む約100のサービスが提供され、50%以上の人気手続がネット上ででき
るようになった。
 「中国はまさに全面的にオンライン手続時代に入ったが、今後10年で、更に進ん
で、顔認識手続時代に入るはずだ」(アリペイの鄒亮副総裁)。

 2008年、上海電力局は、今見ればとても普通なことを発した。それは、電気代を
アリペイで直接決済することが可能となり、オフライン環境で奔走し列に並ぶ必要
がなくなったということである。
 当時、誰もが思いもよらなかったが、このことが全国のネット事務処理の始まり
となった。

 上海電力ある担当者が回想するところでは、それまでは、電気代は銀行に行き、
並んで納め、時間がかかっていた。数カ月分をまとめて支払う人も多かったので、
電力会社が電力遮断のお知らせをしなければならず、同社自身や人々にも多くの不
便を強いていた。

 2008年、ネット通販が人気に火がつき、多くのユーザーは、光熱水道代の支払い
はネット通販と同じように便利になるだろうかとメディアに呼びかけていた。高成
傑氏は当時アリペイに勤めていて、こういうことは技術的に可能だと感じたので、
各方面のパートナーと連携協力を始めた。
 しかし、アリペイはすぐに自身がとても楽天的過ぎることに気づいた。当時のイ
ンターネットの普及は今日ほどではなかった。数カ月のコミュニケーションや技術
的なマッチングを経て、初めての光熱水道代のオンライン納付がついに上海で開始
された。上海市民がこれまで1時間並んでいたことが、1分に短縮した。

 このモデルは非常にインパクトがあった。上海で開始後、すぐに杭州のユーザー
はアリペイに対し、こんな便利なサービスをなぜまず最初にアリペイの本拠地であ
る杭州で行わないのかと批判した。1年後、杭州の光熱水道代の納付をネットでで
きるようになった。

 いかにしてより多くの都市に加わってもらうかは、最初に協力した銀行である光
大銀行の参加が鍵となった。光大銀行を通じて、アリペイは全国のより多くの光熱
水道代の納付組織とつながれた。光熱水道代の支払いに奔走する経験は今はなくな
っている。

 生活における雑用がなくなった。光熱水道関係企業だけでなく、2008年からは、
更に多くの組織でも検討が始まり、人々の奔走が少なく、マウスのクリックやスマ
ホで事務手続ができるようになった。

 この年の5月、「中華人民共和国政府情報公開条例」が正式に施行され、政府情
報のオンライン化、政府事務のオンライン化が始まった。7月には、国務院弁公庁
は初めて、全国の政府情報公開業務を指導、監督する電子政務弁公室を増設した。

 2015年、オンライン手続の大幅なスピードアップが始まり、国務院は「「インタ
ーネット+」行動の積極的な推進に関する指導意見」を発出し、「インターネット+」
が政府工作報告に盛り込まれた。
 報告では、「インターネット+行政サービス」を強力に推進し、部門間のデータ
共有を実現し、住民と企業の奔走を少なく、手続をより良好に、煩雑さをなくすと
している。
 2015年、モバイルインターネット技術の成熟が進み、スマホでの手続がパソコン
よりも利便性が向上し、各組織も次々と「オンライン手続」サービスを革新し、人
々はその場ですぐに生活における雑用を解決できるようになった。

 「アリペイ・オンライン手続10周年データ」によると、オンライン手続は既に人
々にとっての第一の選択手段となった。
 北京、成都、広州、杭州、合肥、南京、上海、深セン、武漢、西安は初の「手続
に奔走しなくていい十大都市」に選ばれた。十大都市では7割の主要業務はネット
でできる。

 現在、全国約300都市、約100サービスでネット手続ができ、人々がよく使う人気
サービス中半分以上はネット上でできる。
 そのうち、光熱水道代の納付、社会保険料の照会と受取、交通違反情報の照会と
手続、病院遠距離受付は、人々が最も使用する、最も人気のある四大サービスである。

 人々に好評を博するもののほか、事務手続部門自身もインターネットがもたらす
ボーナスを体感している。
 武漢出入境部門で働く何彦平さんは証明証発行業務に21年かかわっていて、最長
で朝5時かられんがを置いての場所取りする長い行列を見てきたが、今現在は人す
らいなくなったという。
 浙江省直公共積立金処理部門のコピー機は、繁忙時には1日に7袋のA4用紙を費や
していたが、現在は1日2袋も使わなくなった。それは、8割の人が既にスマホで公
共積立金を受け取ることに変えたためである。
 寧波交通警察では現在、1カ月で延べ30万人へのサービスが可能だが、1人当たり
30分が行列していたと計算すると、既に10年の時間を節約したことになる。

 オンライン手続の歩みは更に加速し、2018年6月、国務院弁公庁は「「インター
ネット+行政事務サービス」を更に深化し、行政事務サービス「1接続、1窓口、1手
続」改革推進実施方案」を発出し、2018年末までに「1接続、1窓口、1手続」改革
の初歩的な成果として、省レベルの行政事務サービス事項のオンライン手続率を80%
以上とし、省市県の各行政レベルの頻度が高い30項目の手続は「1回で済む」とい
う目標を実現することを求めた。

 同時に、顔認識技術の成熟が進んでいて、このことの推進に大きな科学技術の助
けがある。
 もともと多くのことには本人がいるから手続ができるものだが、現在は顔認識で
もできるようになっている。
 2017年、浙江地方税務局が全国初の「顔認識による税務調査」を行って以来、既
に40以上の都市で「顔認識による行政事務」が行われ、公共積立金の検索、交通反
則金の納付、個人所得税の申告、ネット身分証明証、電子社会保障カード等の電子
文書の取得ができ、人々は自分が本人であることを証明する資料を用意する必要が
なくなった。

 浙江省直公共積立金は全国初の顔認識で公共積立金を取り出せる組織である。杭
州市省直住宅公共積立金管理センターの呉旭輝副主任によると「顔認識の信頼性は
とても高い。顔認識技術の運用以降、アリペイその他の実名認証等安全技術とひも
づけており、間違った事例に遭遇したことがない。」

 上海浦東のヴェオリア水道水有限公司のカスタマーサービスセンターの陳維佳総
経理は、技術進歩が進めば、今後リモート検針や電子伝票等のより複雑なものを試
せるし、アリペイがオンライン手続組織の一つになると見ている。

 「顔技術技術は生活サービス分野で応用が進んでいる。画像認識、AI、ブロック
チェーン等のより多くの技術と結合して、今後10年間で中国は顔認識手続時代に入
っていく。スピーディーなデジタル行政手続はデジタル都市の基本装備となるだろ
う」(鄒亮副総裁)
〔経済参考網2018年10月24日〕

●中国では4割の農村高齢者が60歳以降でも働くことを選択
 ここ数年来、韓国の高齢者の生きることの難しさがしきりに報道されている。
 中央テレビの経済チャンネルの報道によると、韓国統計庁の発表したデータでは、
2017年、韓国の65歳以上の高齢者のうち61.8%は本人がみずから生活費を稼いでい
た。今現在まで、韓国で今年年金を受け取った高齢者は45.6%にすぎなかった。
 このため、多くの韓国人高齢者は定年退職年齢を過ぎても働き続け、政府も期間
限定で60歳以上の高齢者のために「銀髪求人会」を開催、このほか更に、高齢者を
専門に採用する「銀髪宅配会社」がある。

 高齢化が深刻な日本でも、類似の状況に直面している。「平成28年版高齢社会白
書」によると、2015年、日本の60―64歳の雇用者数は438万人、65歳以上の雇用者
数は458万人で、13.5%を超える65歳の日本人高齢者が働いている。

 東アジアにある中国の状況はどうであろうか。
 「中国都市農村高齢者生活状況調査報告(2018)」によると、1990―2015年、高
齢者人口全体の急増に伴い、高齢者の就業人口も増加している。しかし、中国の高
齢者の就業率全体は年々減少傾向にある。2015年の中国の60歳以上高齢者人口の就
業率は26.82%で、1990年よりも1.73ポイント減少した。

 これまで、中国人男性の高齢者の就業率は女性高齢者よりはるかに高かった。
 1990年、男性高齢者の就業率は21.06%、女性高齢者の就業率は7.49%で、両者に
は14ポイントの違いがあった。2015年、男性高齢者の就業率は16.46%、女性高齢者
の就業率は10.36%で、両者の差は10ポイント以上縮小した。

 高齢者がより多く仕事に参加するのは、仕方なくそうせざるを得ないということ
もあるが、積極的な効果もある。
 一方では、高齢化が進むにつれて、退職者の数もますます多くなり、適齢労働者
がますます減少し、各国の年金には多かれ少なかれ赤字があらわれている。

 その一方で、高齢者に就業を奨励すれば、高齢者の社会参加が進む。これは一種
の「積極的な高齢化」戦略である。日本の経済産業省が発表する「中小企業白書」
によると、日本の新規起業者の3分の1は60歳以上の高齢者である。
 中国の関連部門もこの点に注目している。人力資源社会保障部の尹蔚民部長は、
中国が高齢者の人的資源を開発し、高齢化の速度が速くて「未富先老」(豊かにな
る前に年をとる)になってしまう問題に対応するとしている。

 しかし、我々が考えるべきものは、社会偏見や自身の条件の制約にとらわれ、目
下大部分の高齢者の職業選択が多いとは言えないことである。

 日本の総務省統計局のデータによると、2014年、65歳以上の仕事をしている日本
人の高齢者のうち、農林水産業が45.7%、採鉱業が25%、不動産・リース業に従事す
る割合が22.8%を占め、多くは肉体労働が主体の業界に属している。
 中国の状況も類似している。「中国都市農村高齢者生活状況調査報告」によると、
2015年、中国の86%以上の高齢者就業人口(60歳以上)は主に農業経済活動に従事
しており、以後は製造業、建築業である。

 このような状況であるため、大体が、中国の高齢人口のうち、60歳過ぎて仕事を
続けるのは主に農村の高齢者である。
 「2015年中国都市農村高齢者生活状況抽出調査」によると、60歳以上の都市高齢
者は7.24%しか働いていないのに対し、農村のこの数字は39.22%に達しており、高
齢者の就業率は、東部、中部、西部の順を追って低くなり、就業率が最も高いのは
浙江、江蘇、江西である。

 これは恐らく、都市では退職制度がより厳格であり、高齢者は退職年齢を過ぎて
から徐々に労働市場に出るからかもしれない。
 一方、農村地域の老後保障制度は相対的におくれており、農村地域の高齢者の退
職意識はそれほど強くなく、体の状況が許せばずっと農業を続けるはずである。

 高齢者自身にとっては、なぜ退職年齢を過ぎてまだ仕事をする必要があるのだろ
うか。
 「高齢者の生活と意識に関する世界的比較的調査」によると、日本、米国の60歳
以上の高齢者が働き続けることを希望する理由は「収入」であり、このことを選択
する割合は49%、52.7%だった。
 「仕事自身がおもしろく、元気でいられる」ことが、ドイツやスウェーデンの高
齢者が仕事をする主な原因で、このことを選択する割合は48.9%、54.4%だった。

 老後により多くの収入が必要になるというここ数年来の経済生活の発展も切り離
せない。
 先日のある調査によると、収入がより高く、年齢がより若く、居住都市がより一
線都市に近い人は、多くのお金がないと老後には不十分だと考えている。現在の月
給が3万元以上の77.78%は、500万以上が老後に必要だと考えている。
 中国国家統計局が2010年に行った高齢者に関する主要生活生計調査によると、中
国の60―69歳高齢者の42.6%の収入源は労働収入であり、年齢が上がるにつれ、
「家族等の援助」にとってかわって、最も主要な収入源となる。

 高齢化の勢いが待ったなしの現在、高齢者の就業構造を改善し、高齢者の就業の
関連法律及び政策の整備をすることは、多くの国家の解決が待たれる問題である。

▽60歳以上人口就業者数と就業率
 就業者数 男 女 就業率 男 女
1990年 2042.6 725.8 21.06% 7.49%
2000年 2709.5 1581.4 20.85% 12.17%
2010年 3275.3 2097.3 18.44% 11.61%
2015年 3656 2301 16.46% 10.36%

▽高齢者就業産業分布
 第一次産業 第二次産業 第三次産業
2000年 91.01% 3.08% 5.84%
2010年 87.07% 5.85% 7.05%
2015年 86.16% 7.53% 6.30%

 農林水産業 86.20%
 製造業 3.80%
 建築業 3.46%
 卸売小売業 2.29%
 公共管理・社会保障及び社会組織 0.85%
 住民サービス、修理及びその他サービス業 0.71%
 ホテル・レストラン業 0.51%
 交通運輸、倉庫及び郵便業 0.49%
 水利、環境及び公共施設管理業 0.37%
 公衆衛生 0.35%

▽高齢者のお金の出どころ
 60―69歳 70―79歳 80―89歳 90歳以上
労働収入 42.6% 14.8% 3.5% 2.9%
退職金、養老金 23.8% 25.9% 21.1% 14.2%
生活保護 2.8% 5.1% 6.0% 6.9%
財産収入 0.4% 0.3% 0.2% 0.2%
家族の支援 28.8% 51.9% 67.1% 73.6%
その他 1.7% 2.0% 2.1% 2.2%
〔新京報新媒体2018年10月25日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                         (中国人民銀行11月5日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.0952  689.76    88.15  786.55
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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