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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.796 2023年6月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国に進出する日本型介護】
●日本企業が中国で高齢者介護コミュニティーを建設

┏【李年古の日中異文化交流術】
●沖縄の印象 2

┏【国際】
●中国人のルーツを尋ねる文化を世界に向けて発信する理由

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……【特集:中国に進出する日本型介護】……………………………………………
●日本企業が中国で高齢者介護コミュニティーを建設
 2月末、パナソニックと中国の介護不動産企業の雅達の提携した高齢者介護コミ
ュニティーが江蘇宜興市で開業した。
 1平方メートル当たり3万の価格は現地では安いものではないが、現在までの入居
率は既に50%に達している。
 双方の提携において、中国企業は土地の許可と建設を担当し、パナソニックはス
マート家電とコミュニティーサービスの提供を担当している。パナソニックの提供
する日本式の高齢者介護スマート製品サービスは、当該プロジェクトの一つの特徴
となっている。

 公開情報によると、コミュニティーは「華東随一の天然酸素バー」と呼ばれる陽
羨リゾート地内にあり、森林率は80%以上である。
 当該コミュニティーの建設面積は約440ムー、マンション794戸、別荘376戸を含
む計1170戸である。間取りは89平方メートル、115平方メートル、133平方メートル
がメインとなっている。室内外プール等の各種スポーツ施設を備え、さらに雅達自
営病院を配備し、現地の三級甲等医院である宜興市人民医院と提携関係を結び、毎
週専門医が往診に来ている。

 コミュニティーの物件は販売を主としており、1平方メートル当たりの平均価格
は3万元前後、毎年4000元の物件管理費用を納付する必要がある。家主は主に北京、
上海及び宜興周辺の無錫、常州、蘇州等の富裕都市出身者である。

 これは、日本が中国の高齢化マーケットを重視していることのあらわれである。
 中国の高齢化のスピードは、日本に広大な潜在的マーケットを提供していること
は間違いない。2022年末現在、中国の65歳以上の人口は2.1億人で、全国人口の14.9%
を占めている。2025年、中国の高齢者介護産業の規模は12万億元に達することが予
測される。

 これだけ大きな中国の高齢者マーケットに対し、パナソニックだけが慧眼を持っ
ていたわけではない。2010年から2020年の間に、株式会社ウイズネット、ロングラ
イフ国際事業投資株式会社、メディカル・ケア・サービス株式会社、株式会社リエ
イを含む少なくとも11社の日本企業が次々と中国へ進出し、中国の高齢者の財布を
狙っている。

 介護サービス研究機構のAgeLifeProの発表した「外資企業の中国介護サービスマ
ーケット進出商戦報告白書」のデータによると、2020年末までに、少なくとも11カ
国40社が中国介護サービスマーケットに進出し、17省で44プロジェクトを立ち上げ
ている。これら外資企業のうち、アメリカ系は12社、日系は11社、ヨーロッパ系は
11社が含まれている。〔真故研究室2023年4月18日〕

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……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●沖縄の印象 2
 海辺から戻る際、貝殻やサンゴを拾ってきた。拾い上げたその手の中で、大海が
呼吸しているような感覚を覚えた。
 海は心を癒す妙薬だ。海にいるさまざまな生き物は、人を俗世の自我から解き放
つ。ここは沖縄海洋博物館だ。似たような博物館には多く訪れてきたが、ここはよ
り格別に魅了される。
 驚いたのが、ここのイルカショーが無料だということ。ここのイルカは出し惜し
みなんてしない。富を好み貧しさをいとうような俗っぽさを持たないのだ。

 沖縄は大小の島々で成り立つ地域で、私の宿泊したホテルの玄関もこの島々に面
していた。その景色は私の好奇心を引きつけ、だからこそ、半日の休息場所として
その場所を選んだのだった。
 船に乗り30分で島に着いた。途中イルカが海で水浴びする様子も見られた。ここ
は23平方キロメートルの離島で伊江島という。上陸すると、とても静かで、海の音
と鳥の鳴き声しか聞こえなかった。島には、何と最も俗世間的な場所、コンビニエ
ンスストアがあった。

 地図を見ると、島には7つの公民館があったが、最も大きな場所を通り過ぎる際、
数本の枯れた大木が入り口で静けさを守る以外、人っ子一人いなかった!
 このような寂しい島に、どうしてこんなにも多くの公民館があるのだろう。
 周囲を元気づけるためなのだろうか。
 島では、至るところで桜に出会った。このときはまだ1月だったから、日本で最
も早咲きの桜だったのだろう。

 私たちは島で一番高い山に登った。途中、子供を乗せた乳母車を押す母親に出会
い、それが島で一番生気を持つ存在に出会った瞬間だった。
 この山は「城山」と呼ばれ、登り始めて計291段の石段がある。私は、低い山と
いうのは、その山自身、自分の様相にコンプレックスでも持っているのかと考えて
いたが、一段登って気がついた。石段はどんどんと険しくなり、呼吸が徐々に激し
くなっていくのだ。
(次号に続く)
(写真をツイッターに投稿しますので、ぜひごらんください)
(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)

……【国際】………………………………………………………………………………
●中国人のルーツを尋ねる文化を世界に向けて発信する理由
 「史記」には「黄帝崩ず、橋山に葬る」と記されている。
 陝西省黄陵県の橋山山頂にある黄帝陵は、悠久の歴史と文明の深い蓄積を持ち、
1961年に中国国務院が発表した第1期重要文化財の一つである。「中国古墳葬第1
号」「天下第1陵」と呼ばれている。黄帝陵の祭祀は中国国家級無形文化遺産に登
録されており、黄帝県は「中国黄帝の祭祀文化の郷」と命名されている。

 黄帝文化はどのように形成されたのか。ルーツを訪ねる文化は中華民族の発展に
どのような意義があるのか。なぜ中国人のルーツを訪ねる文化を世界に向けて発信
するのか。
 陝西省の西北大学思想文化研究所の教授である張茂澤氏がこのほど、中新社「東
西問」の独占インタビューに応じ、このことについて語ってくれた。

 インタビューの概要は以下のとおり

中新社記者:中華民族はなぜ炎黄(炎帝と黄帝)の子孫と呼ばれているのですか。
黄帝文化は中華民族の発展にどのような影響を与えましたか。

張茂澤:黄帝文化は主に黄帝及びその子孫を核として、黄帝陵を媒体とした中国の
伝統文化を指します。主な内容は、黄帝が中華民族の始祖であり、中華文明の人文
的な始まりであるということで、中国の子供たちの手本になっています。

 司馬遷は「五帝本紀・黄帝紀」を正史形式で書き、黄帝を〓(*1)〓(*2)、帝〓(*3)、
尭、舜の四帝及び夏、商、周の三代、秦、漢代のほとんどの人々の祖先であると記
述しました。それにより、黄帝の中華民族の祖先、中華文明の始祖の地位及び黄帝
文化の根源と主流としての地位を確立しました。
 司馬遷の「史記」によると、炎帝と黄帝は同じ部族に生まれました。中華民族の
圧倒的多数は、炎帝と黄帝の子孫とされています。

 黄帝文化の誕生後、それは更に発展し、中華民族共同体の心理的象徴となりまし
た。これは中華民族の共同体意識が古代において凝縮してあらわれているというこ
とです。新時代において、黄帝文化は中華民族の偉大な復興を実現する強力な精神
的なパワー、中華民族の団結と闘争のための精神的な絆となりました。

中新社記者:なぜ黄帝陵は中華文明の精神的象徴になったのでしょうか。

張茂澤:黄帝陵が中華文明の精神的な象徴になっていることは、次の三つの側面か
ら理解することができます。

 一つ目は、黄帝は中華民族の祖先であり、中国の子供たちの体には黄帝のDNAが
受け継がれています。したがって、黄帝陵は中国内外の子供たちがルーツをたどる
場所であり、中国内外の中華民族にとっては共通の祖先の墓なのです。

 二つ目は、黄帝は中華文明の人文的な始祖で、農業、井戸、陶器、弓矢、礼楽、
医薬、音楽などを発明し、中国の人々を野蛮の時代から文明の時代へと導きました。
そして、炎、黄、蚩尤の三つの部族を率いて天下の統一を果たし、当時の諸侯たち
や後世の人々から天子としてあがめられました。

 三つ目は、黄帝陵の祭祀を基幹として、数千年にわたって受け継がれ発展し、黄
帝は、中国が団結し子孫たちが団結奮闘する輝かしい旗印となりました。
 例えば、唐代に安史の乱が勃発し、国が分裂の危機に瀕しました。唐の代宗李豫
が郭子儀らの軍官を率いて乱を鎮めたことにより唐の統一は守られました。大暦5
年(770年)、イ坊の節度使は「坊州にある黄帝陵に廟を建て、四季折々に祭礼が
できるよう典籍に記載してもらいたい」と上奏しました。代宗の許しを得て、黄帝
陵の廟で公式の祭礼が行われました。

中新社記者:どうして黄帝陵が中国内外の中国人を結びつける精神的な絆と言われ
るのでしょうか。

張茂澤:黄帝陵は中華文化のランドマークで、その中に黄帝文化が内包されていま
す。それは、中国人の団結と奮闘を結びつける重要な絆であり、血縁の絆であり、
文化及び政治的な絆でもあります。

 民族的には、世界中の中国人は同じ言語で同じ人種であり、黒い髪、黒い瞳、黄
色い肌という共通の生物学的遺伝子による同じ血筋の絆で結ばれています。

 文化的には、黄帝文化は歴史上の先進文化を代表するものです。黄帝文化は中国
を代表する文化であり、常に他民族の文化の模範となり、ともに発展してきました。
そのユニークな長所は、「和して同ぜず」という、協調するが主体性を失わないこ
とを提唱し、ともに発展したことです。これが5000年以上にわたり中国文化が発展
してきた大きな精神的なパワーとなっています。

 政治的には、黄帝文化は古代中国民族の共同体意識の凝縮された表現であり、漢、
魏、晋、南北朝、隋、唐の時代に国の統一を守るための重要な要素でした。黄帝文
化は、国の統一を維持するための強力な力でありました。

中新社記者:黄帝を祭る陵墓の歴史的な変遷とその意義はどのようなものでしょうか。

張茂澤:黄帝の祭祀は、今から5000年以上前に、黄帝の臣下の左徹が「木を削って
黄帝の木像をつくり、諸侯とともに参拝した」(「竹書紀年」)ことに端を発しま
した。現在の黄帝陵一帯の黄帝祭祀は前漢の時代に始まりました。
 「史記・五帝本紀」には「黄帝崩ず、橋山に葬る」と記されています。「史記・
孝武本紀」に、は紀元前110年、漢の武帝は10万人余りの大軍を率いて、北方巡遊
の帰途に「黄帝の陵墓を橋山に祭った」とあります。

 現在黄帝陵を参拝することには、少なくとも感謝と仁愛の2つの意義があります。

 黄帝陵は中華民族の聖地であり、中華民族にかかわる心の故郷です。農業を基盤
とする古代中国では、家父長制的血縁が社会関係の中で大きな比重を占め、財産の
私有という法的権利の概念が明確ではありませんでした。
 中国人は仁愛の根源である親孝行を重視します。黄帝陵を祀ることは中華民族の
親孝行と仁愛の心を凝縮したものです。親孝行と年長者への敬意は血縁により生ま
れた自然な肉親の情であり、それを少しずつ育てることにより、国家や全ての人や
物への仁愛の情となるのです。

 個人のレベルでは、親孝行や年長者を敬うことは仁愛の基本であり、人間として
大人になるためには人間性の修養や文明的な修養は必要であり、親孝行と祖先を敬
う文明的な訓練は欠かせません。親孝行と祖先を敬うことは、愛情を芽生えさせ、
維持し、昇華させるための重要なプラットフォームです。

 家と国が一体であった古代は、国の統治者が適格な統治者になるために「君主」
の修養を行わなければなりませんでした。
 「君主」は幼いころから親孝行と年配者への敬意の教育が行われ、「大学」が提
示する身体、家、国家の血脈が一体であるという道理を認め、親孝行と忠君の道理
が同じであることを信じることが求められます。
 それは、家庭内で年配者を敬えば国中が賢者をとうとぶようになり、家庭内で信
義を重んじれば社会は友好的になり、家庭内で子供を慈しめば国民を愛し大切にす
ることが容易になるということです。すなわち、「吾が老を老として以て人の老に
及ぼし、吾が幼を幼として以て人の幼に及ぼす」ということです。
 国を治め、天下を安定させるためには、仁愛の心を持つことであり、それが家庭
で養われたのち、広まっていくことが肝要です。

中新社記者:なぜ中国人のルーツを訪ねる文化を世界に向けて発信するのでしょうか。

張茂澤:1990年代に世界中の中国系の人々がルーツを訪ねて祖先を祭るという「皇
帝陵へ帰る」が開始され、黄帝陵を参拝するために訪れた香港、マカオ、台湾の同
胞と海外の華人華僑は延べ100万人を超えました。

 ルーツを訪ねる文化は、根源的な文化であるだけでなく、歴史的、文化的な意識
も含まれます。中華文明史の観点から、黄帝文化に代表される中華文明は欧米文化
とは異なる独特なモデルを提示しています。その主な特色は次のとおりです。

 第一に、天人合一し、人を大切にすることです。
 天をとうとび、人を軽んじるのではなく、神のとうとび教えを信じ、物質拝金主
義をとうとばず、人類中心主義もせず、天功を貪って自分の力にするのではなく、
自然と社会が有機的に統一され、人民を中心に生存し発展することです。

 第二に、中庸の道の思考は、歴史的意識として定着しています。
 真実を言動の基準として、両端をとらえて適正な点を見出し、適当なところでや
めます。一面的で、静止し、孤立した問題分析に反対します。底なしでルールのな
い極端な思想やテロリズムに反対します。

 第三に、人文的で理性的な信念です。
 古典の原則をかたく信じるとともに理性的認識と実践的基礎に基づいて、その具
体的な文言を理解して、信念が誠実で節操がかたくて、信仰が穏やかで理性的であ
ること、独断とうぬぼれが強くないことです。

 中華文明の精髄によって、中華文明は人類の平和的発展に豊かな歴史的な啓発と
強力な現実的な助力を提供することができるのです。
注)〓(*1)は、「瑞」の右側におおがい)、〓(*2)は、おうへんにおおがい)、
〓(*3)は、「學」の「子」のかわりに「告)
〔中国新聞網2022年6月22日〕
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(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃 村井好子
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