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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.740 2020年7月5週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【お知らせ】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 「中国最新情報」は夏休みのため、休刊します。
 次回配信は2020-年9月3週の予定です。

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国有識者から学ぶ環境保護意識】
●万科創始者の王石氏 インタビュー その2

┏【李年古の日中異文化交流術】
●生産現場の技能者人材の心をつかむコツ(その1)
◆知識は先取り 現場に震撼

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……【特集:中国有識者から学ぶ環境保護意識】……………………………………
●万科創始者の王石氏 インタビュー その2
(前号より続く)
▽環境保護や生命・健康について
 王石氏は、2003年チョモランマ初登頂後、5年間で七大陸最高峰征服、南極、北
極を徒歩で横断、世界で11番目に探検家グランドスラムを達成した。
 2004年に北極に旅立つ際には、空港で、北京大学生物学部の潘文石教授から北京
大学崇左生物多様性保護基地の旗を贈られ、「探検は大自然の尊重であり、環境保
護、生態保護という考えと一致する」とメッセージを受け取った。
 王石氏は、公的な立場、自分の影響力で、それぞれの探検活動は公益的な意義を
持つと感じたという。

 2007年、2回目にチョモランマに登った際には、隊員と約束し、全行程で一切ご
みを残さなかった。毎日隊員が出すごみを運ぶための輸送チームにお金を費やし、
排泄物も残さなかった。
 結局、隊員が発生したごみを全て持ち帰っただけでなく、沿道にあった200人以
上が捨てた酸素ボンベと2トンのごみも掃除し、ごみの分別も行った。2010年8月に
は、そのごみ処理装置を上海万博に展示した。

 2009年から年1回行われている国連気候変動サミットでは、産業界の代表として
欠席したことがない。2018年、王石氏が遠大科学技術集団の共同董事長に就任した
ことも、遠大の張躍総裁との環境保護に対する認識が合致しているからだ。
 今日、王石氏の訪問するところでは、アシスタントがこっそりと呼びかけ、ボト
ルの水を回収し、ティーカップを用意する。料理の注文は食べ切って余らせない適
量にしている。長年にわたり環境保護を実践し、王石氏はボトルの水を飲まない。
 周囲の関係者もそのような習慣になり、喉が渇いても、我慢ができるようであれ
ばボトルの水は飲まないようになった。

 環境保護のほか、王石氏は、生命と健康、自然保護、災害救助、児童保護、農村
発展等の公益テーマにも関心を持つ。現在、王石氏には40もの公益組織の肩書きが
ある。つまり、各組織が年3回会議を開いたら、毎年120回もの会議が参加しなけれ
ばならないということだ。

▽王石氏が語る日本
 長年の国際的な経験からわかったことがある。
 まず、日本は非常に気にかける存在である。理由は簡単で、第一に、私たちの隣
人であること。第二に、文化が近く、人種も近いこと。第三に、日本は伝統社会か
ら現代社会へと移行して成功した最初の先進国であること。もちろん、かつては帝
国主義に向かったことは、教訓であり、私たちも被害を受けている。

 次に、現代社会は西洋から端を発しているため、ヨーロッパ、アメリカから学ば
なければならないが、欧米に比べ、直接日本から学ぶ方がより参考になる。日本か
ら学ぶことは、私たちが近代化を進む手っ取り早い方法である。

 1980年代から現在まで、我々と日本との関係は、学生と先生の関係だった。深セ
ンと香港もまたそうで、香港は先生、深センは学生だった。しかし、ほぼ10年前か
ら、深センの香港に対する依存度は下がり続け、徐々に同じ目線の高さ、今では深
センは香港を少し越えているところもあるような気がしており、同時に、日本に対
しても既に同じ目線の高さになったと感じている。
 現在のヨーロッパとアメリカは明らかにまだそうではなく、特にアメリカはまだ
我々を見下ろしている。我々はヨーロッパを仰ぎ見ていたが、目線が同じ高さとな
り、アメリカもいつかは同じ目線の高さになるはずである。私はこのようなプロセ
スだと思っている。
(次号に続く)
〔ニューフォーチュン2020年6月4日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●生産現場の技能者人材の心をつかむコツ(その1)
「2018年深セン市技能大会の超精密金型製造「職人の星」技能コンクールで1等
賞」「2017年広東省機械加工技術コンクールで教師部門1等賞」「2016年全国職人
技能大会機械加工コンテストで金賞」
 半年前、僕は、深セン市政府の関連部門から厳しい審査を受けてこのような実績
に輝いたものづくりの若手技能者の訪日研修団を受け入れる機会を得た。
 12日間の研修と日本企業訪問を通して、僕は中国企業11社から派遣されたトップ
レベルの技能者と間近に接し、常に交流を重ねながら、彼らの考え方や仕事観など
を探る機会に恵まれた。
 そこでは、過去に形成された「技能人材像」とはかなり違った現代風の若い職人
イメージを目にし、僕は鮮烈な刺激を受けていた。

◆知識は先取り 現場に震撼
 「先生の講義では確かに先端の3D加工技術を紹介していただきましたが、もっと
先生の研究分野に絞った知識について詳細に教えていただけませんか」。
 1時間半の受講を受けてからの質疑応答で、参加者の一人はこう懇願してみせた。
先生が戸惑った表情を見せると、すぐさまもう一人が相槌を打った。「実は、私も
3Dプリンターを職場で使用しているし、自宅に3Dプリンターも持っています。です
から、加工用の新しい材料についてもっと細かい知識をお聞きしたい」。
 この質問に、一瞬、僕も「まさか」と驚いた。

 実は、今回の講義をお願いしたのは東大のある高名な教授で、現場で働く中国人
の職人たちにとって眠りを誘わせる内容ではないかとかなり心配した。事前に送ら
れてきた講義内容を読んだ僕にとっては、高度な専門知識を詰め込んだ話だったか
らだ。
 それで、悪戦苦闘しながら専門用語で構成した講義用スライドを中国語に翻訳し、
参加者に事前に配布しようと思った。だが、当の先生からは「待った」がかかった。
貴重な情報を勝手に流出されることを心配されたためだった。
 しかし、ふたを開けてみると、これらは受講者にとって新味がない内容のようだ
った。後でそう感じた理由を聞くと、「こういう情報は既に自学で把握できてい
た」からだという。

 一方、日本に来ないと目に触れる機会がないような「現場の情報」は、皆が目を
きらきらと輝かせて見ていた。
 例えば、機械加工製造分野では世界の頂点に立つ製造メーカー、DMG森精機を訪
問した際には、ショールームにずらっと並んだ約30台の最新型のマシンを目にし、
そして機械を使った実演を見て、「震撼!」とばかりに立ちすくんでいた。

 また、東京都職業能力開発センター大田校を訪問した際は、教学用の一台の先進
的な加工設備を見て、羨望の気持ちを抑え切れずにいた。数人がその設備を手で触
り、まるでかわいいペットをなでるかのよう表情を見せた。
 「たった五十数名の学生のために、こんな高価の設備を用意する日本はすごい!
私の勤めている職業学校には2000人も在籍しているのに、こういう大きな投資をけ
ちっているんだ」「これこそ、日中のものづくりに対する認識のギャップを如実に
物語っている」との感想が漏れた。

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
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(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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