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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.753 2021年4月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:大学入試首席合格者の商業的価値】
●中国1400年余の科挙殿試の首席合格者文化は過去の歴史となるのか

┏【李年古の日中異文化交流術】
●中国から日本へ 誰がわかるのだろう。明日私は帰れますか? 4

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……【特集:大学入試首席合格者の商業的価値】……………………………………
●中国1400年余の科挙殿試の首席合格者文化は過去の歴史となるのか
 数日前、教育部は「大学入試首席合格者」(状元)、「大学入試合格率」、「高
得点受験生」などを発表、公表、推測することをいかなる形式においても固く禁じ
ると通達した。
 「大学入試首席合格者」は、これにより再び世論の中心となった。

 長年にわたって、「大学入試首席合格者」は高く評価され、その商業的価値は飛
躍的に高まっている。「首席合格者」をコンテンツとした首席合格者チャットルー
ム、首席合格者エッセイ、首席合格者講座等が次々と出現し、完全な産業チェーン
を形成するに至り、既に正常な教育や人材選抜の意義から逸脱してしまっている。
 「大学入試首席合格者」の発表を禁止する規定は、高得点の一方的な追求、受験
教育化といういびつな教育概念を改め、よい成績を特別化して商業資源とする行為
を取り締まり、教育を「人間の育成」本位に戻すことを目的としている。

 「大学入試首席合格者」の盲目的な追求を抜本的に払拭するには、人材選抜の評
価基準を改めることが基本的な手段である。教育行政上の業績観の間違いを改め、
ポイント信仰やランキング信仰を拒否し、多様でオープンな視点から、いろいろな
可能性の人材を大事にすることが学生の成長過程にさまざまな選択肢を提供する。
〔中央人民広播電台2021年2月9日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●中国から日本へ 誰がわかるのだろう。明日私は帰れますか? 4
(前号より続く)
(四)
 午後2時過ぎのフライトとわかってはいたが、私は朝一番に急ぎ空港へと向かっ
た。ここ最近の報道では、感染者が一例でも発生すれば即座に周囲数キロが封鎖さ
れるという。私は出発日当日にして再度あらすじがひっくり返るような想定外の事
態になることを大変恐れていた。
 さらに、搭乗できるのかどうかがやはり大きな懸念点であった。朝一番に日本航
空の中国支店に電話をかけるも、はっきりとした回答は得られず、広州にある日本
大使館に行って確認するようにとのことだった。再度確認しに行くことで飛行機ま
でもが手遅れになるのが怖い。いっそのこと直接空港に行こうとなった。

 私は日本にいる中国の友人に電話をかけた。彼は空港まで車で私を迎えに来るこ
とになっていた。入国者は降機後、公共交通機関を利用してはならないと規定され
ているからだ。電話を受けた友人は少し興奮気味だった。今回のフライトを出迎え
に来る人がかなり多くなってしまっていることを彼は知っており、そのため、一体
何時に私を出迎えられるのかは未知数だと語った。これで、彼は私の演出する帰国
サスペンスのあらすじに欠かせない人物となった。
 「安心しろ。専用のアプリをダウンロードしたから、君のフライトの離発着はち
ゃんと掌握している」。
 彼のその話しぶりからは、まるでこれから私と共謀して銀行強盗事件にかかわる
かのような興奮が漏れ出ていた。けれど私は、「そんなのどうにもならないよ、君
が飛行機の居場所を掌握できたところで、私がその飛行機の中にいるかどうかが一
番の懸念点なんだから」とひそかに苦笑いしていたのだった。

 予想どおり、国内線ターミナルとの違いは鮮明で、国際空港は一面、十日の菊の
情景であった。ようやく私の番が来て、パスポートと、病院が押印済みの陰性証明
を渡した。緊張する間もなく、係員は「いいですね。お客様の証明は完全に日本の
規定どおりですね。ほかの多くの皆様よりずっと優秀ですよ」。しかし、言い終わ
る間もなく、彼女はすぐに「待ってください。お客様の検査はどうして8月に実施
されているのでしょうか?日本の規定では、72時間以内の結果が必要ですよ」と。
 私はその瞬間心臓がとまったかのように、そしてすぐに彼女の示す箇所を見た。
何てことだ。その用紙は法務省ホームページからダウンロードしたのだが、用紙に
もともと記されていた日付の確認をし漏らした状態で、私は病院に押印してもらっ
ていたのだった!
 しかし係員はとても優しく、すぐに「問題ないですよ」と私を慰めた。中国語の
証明書原本を持っているので、入管にきちんといきさつを説明すればきっと問題な
いだろうとのことだった。
 手続は何の問題もなく、すぐに終わった。何の障害もなかったばかりか、普段必
ず提示することになっている「外国人登録証明書」すら求められなかった。これに
は逆に不安になり、中国人旅客は日本政府の緊急の入国禁止措置の影響を受けるの
かどうか尋ねた。彼女の回答ははっきりしていて、「それは来週始まります。その
ため、後々のフライトを御利用予定だったお客様も皆様、今回のフライトに変更さ
れています」。

 私は今となっても、彼女の話していた日本政府によるこの日付がどこに記載され
ているのかわかっていない。ただ、それまで乱れていた心臓がようやくもとの場所
に落ち着いたのだった。
 待合室に入り、おもしろいものを見つけた。空港内の免税店はどこもめでたく閉
店していたが、喫煙室のみがいまだ門戸を開き、お客を出迎えていたのだった。入
り口には専任の担当者までもが配備され、入室者はいちいち名前と電話番号を記入
しなければならない。長時間滞在する者がいれば、すぐさま担当者が入室し、壁に
貼られた掲示物を示し一緒に読むことになる。「喫煙時間は15分を超えてはならな
い」と書かれてあった。
 私だってこの待遇を満喫しないわけがなかった。ただ、喫煙室では今回の帰国で
最も敵意に満ちた視線を感じた。中に入ったその瞬間、まるで動くウイルスを見る
かのような眼差しで喫煙室の一人一人を凝視するのだ。その眼差しは警告する。
「俺に近づくな」と。
(次号に続く:写真をツイッターに投稿しますので、ぜひごらんください)

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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