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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.767 2021年12月2週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国芸能界スターの法外な報酬問題】
●スター出演料 北京市広播電視局が審査で抑制策
●スター芸能人の法外な出演料とは幾らなのか?

┏【李年古の日中異文化交流術】
●文章でコミュニケーションを深めるコツ 2
◆メールマガジンがコミュニケーションの「秘密兵器」

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……【特集:中国芸能界スターの法外な報酬問題】…………………………………
●スター出演料 北京市広播電視局が審査で抑制策
 スターの出演料が住宅価格よりも高くなり、ここ数年は芸能界での長年の懸案事
項となっていた。スターの法外な出演料管理は、大衆の強い願望となっている。

 9月16日夜、北京市広播電視局は公式WeChatにドラマ業界の管理強化について投
稿した。
 具体的には、4つの管理項目のうち最初の2つが、俳優の出演料と直接関係している。

 1つ目は、主体の責任をしっかりさせるべく、告知承諾制度を厳格に実施する。
 そのうち、制作組織は、ドラマ制作と撮影制作段階に関するルールとリスク告知
を行う必要がある。それには、企画の届け出、変更の管理、制作と撮影、コンテン
ツ制作、完成作品の審査、出演料の管理等に関するルールが含まれるほか、仮に二
重契約、脱税等の違法行為が明らかになった場合には所要の法的責任が科される。
 現在、80本のドラマが告知されている。

 2つ目は、俳優コスト配分割合に関する要求を実施し、配分コスト審査を適切に
強化する。
 まず、俳優コスト配分割合と主要俳優出演料契約等の提出資料がそろっているか
どうかを検査し、次に、その出演料の割合が管理規定に適合しているかどうかを審
査し、適合しない場合はコンテンツ審査の段階には入らない。
 現在、48本のコンテンツ審査の段階のドラマで、主要俳優コスト配分割合と主要
俳優出演料契約届け出の審査が終了している。
〔毎日経済新聞2021年9月17日〕

●スター芸能人の法外な出演料とは幾らなのか?
 ここ数年、俳優の出演料問題に関する議論はいつも社会的に関心の高い話題にな
っているが、抜本的に取り締まることはなかった。

 2017年には、政府の関連業界協会が指導意見を発出し、「スターの高額な出演
料」に対し明確な「処方箋」を出していた。
 それによると、各会員部門や映画制作組織は、俳優の出演料の割合を、合理的な
制作コストの範囲内に抑えるべきであり、全俳優の総出演料は総制作コストの40%
以下、そのうち、主要俳優は総出演料の70%以下、他の俳優は総作品の30%以上とさ
れた。

 2018年8月までに優酷、愛奇芸、騰訊視頻の3大動画サイトが6大制作会社ととも
に「声明」を発表し、タレントの出演料が「法外」となる現象に共同で抵抗し、俳
優1人当たりの1話ごとの出演料(税込み)を100万元以下、総出演料(税込み)を
最高5000万元以下とする具体的な定額ルールの推進を試行するとした。

〈出演料制限令のもと、俳優の出演料は迷走〉
 今年初め、俳優の鄭爽は代理出産事件で芸能界を騒がせ、彼女の法外な出演料も
明るみに出た。

 それによると、鄭爽が以前出演したドラマ「倩女幽魂」(「只問今生戀滄溟」に
改名、新チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)の出演料は1.6億元だった。撮影
期間は計77日間であり、1日当たりの収入は208万元に相当する。

 同時に、「出演料制限令」を回避するため、鄭爽側は合計4つの契約書を用意し
ていた。鄭爽は、抜け道を利用したことで、相応の代償を払うことになった。
 先日、上海市税務局第一査察局は、鄭爽は、2019年―2020年の個人所得1.91億元
が未申告で4526.96万元を脱税していることを明らかにし、法律に基づき合わせて
2.99億元の追徴課税をした。

 2015年以降、映画業界にはホットマネーが流入し、業界が一時期膨張し、スター
の「法外な出演料」がたびたび報じられた。
 当時、多くのファンを持つスターの1作品当たりの出演料は8000万元―1.2億元に
なり、1本の作品の経費の大部分は俳優起用に費やされてしまっていた。国産ドラ
マが見る見るうちにひどくなり、視聴者から直接「駄作」とのレッテルを貼られる
ものさえあった。

 2016年、「如懿伝」の男女2人の主演俳優、霍建華と周迅の出演料は合計1.5億元
に達した。

 2020年、ドラマ「幕后之王」の出資者の鼎龍文化は深セン証券取引所の照会に対
する回答で、俳優の周冬雨、羅晋の出演料情報を開示した。
 それによると、2017年、2018年、周冬雨の事務所は鼎龍文化から2回支払いを受
け、総額は累計1.09億元だった。羅晋も同様にこの2年間で2回支払いを受け、その
合計金額は7714万元だった。
〔捜狐2021年9月18日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●文章でコミュニケーションを深めるコツ 2
(前号より続く)
◆メールマガジンがコミュニケーションの「秘密兵器」
 これをきっかけに、日中双方に異文化研修が実施された。
 研修の事後アンケートを見ると、「どうして!」というショックから始まり、文
化や価値観の違いを聞くにつれて「そうなんだ」という理解へたどりつく様子が見
てとれた。

 しかし、僕にはどうしても不安を拭払できなかったことが一つ残った。それは、
海を挟み、顔さえ見たことのないパートナー同士が毎日のようにメールや電話で仕
事のみのコミュニケーションを幾らとったとしても、真の理解と信頼は得にくいは
ずだということだ。
 「人情」というキーワードがベースとしてある中国人は、互いの「体温」を感じ
られないと相手との一体感が生まれにくい。この宿命的な課題をどう解くか、それ
が僕の最大の心配事であった。

 1年がたち、ある日突然、くだんの子会社社長から面会の申し入れがあった。僕
は早速中国側とのビジネスの様子を尋ねた。満面の笑いを見せた彼の表情に全ての
答えがあった。

 一体どのようにしてコミュニケーションの壁を突破したのだろうか。社長は一つ
の「秘密兵器」を持ち出した。それは、彼が中国人の仲間に送り続けてきたメール
マガジンのコピーだった。
 「顔が見えない仲間同士に少しでも自分の考え方を見える化しようといろいろ考
案した結果、この雑談形式でマガジンを毎月書くことに決心した」と彼は説明した。
 僕は一気に1年分のメールマガジンを読み上げた。すると、これまでの社長のイ
メージとは全く異なる生身の人間の一面が見えてきた。

 初めての海外駐在体験、列車ファンとして体験した旅と冒険。様々な物語を通し
て語る人生談が実に面白かった。ここで本人の了解を得て、一節を披露したい。
 「これは、実際に私がメキシコでバスに乗ったときの話。所要時間5時間半のは
ずでしたが、この時の運転手は1名で、この距離を休憩なしで4時間半走り通しまし
た。500キロをバスで4時間半走るのは、運転手の驚異的なパフォーマンスでした」
 ここまでの記述は雑談にすぎなかったのだが、筆者は突然に鋭い分析を展開し始
めた。
 「バスの運転という個人の力だけで結果が出せる領域では、日本であれ、中国で
あれ、メキシコであれ、個人の能力次第で驚異的な結果を出すことができるという
ことです。
 それでは、鉄道の場合はどうでしょうか?運転手の能力が高ければ、早く目的地
に着くことができるでしょうか? バスの場合と違って、レールの上を走っていま
すから、自分の意思で追い越しすることはできません……運転手・保線員・駅員・
踏み切り警手・ポイント切替員などそれぞれが役割を果たして初めて時間どおりの
運転ができるのです」
 なるほど。チームプレイが苦手な中国人にとって、ごく普通の日常生活の一幕を
読むことは深く考えるきっかけになる。きっと納得できるメッセージになったに違
いない。

 またこのメールマガジンには、日中社員が対立する場面における日本人の考え方
を丁寧に解説する記事も多く取り上げられていた。
 例えば、作業現場で小さなミスを厳しく追及する日本側に、中国人は「うるさ
い」と感じる人も多かったという。その双方の認識ギャップを埋めるため、社長は
日本側の考え方を明かす一節もあった。
 「重大な事故が起こるのには法則(ハインリッヒの法則)がある。300件の「ヒ
ヤリ・ハット」があると、1件の軽傷の事故がある。また、29件の軽傷事故がある
と、1件の重大事故があると言われています。ヒヤリ・ハットでは事故(ミス)に
はならないが、その寸前で気がついて、回避できたというものです……だから、早
いうちにその原因を取り除いておかないと、いずれ重大事故が起こる可能性が出ま
す」

 僕がこのメールマガジンの効果を聞くと、社長はこう語った。「これまで中国人
に、「日本人は仕事を任せるときに、パズルしか渡さず、全体の完成図を渡さな
い」と言われてきました。このメールマガジンで、仕事が点から面につながり、私
たちの人間像や仕事の全体像をわかってもらうように工夫しています。私自身も、
このメールマガジンを書くことで有名人になりましたよ」と彼は笑った。

 僕には、人気の秘訣が分かるような気がする。ソフトな内容と分かりやすい表現
力。身近な実例を取り上げながら業務のスキルも気づかせるように工夫している。
 僕はうらやましい気持ちを抑え切れず、「そもそもこのメールマガジンをつくる
きっかけは何だったのですか」と尋ねると、社長はこう答えた。「あなたの研修を
受けたからです。だから、今日はその感謝の気持ちを伝えたかったのです」
 うれしい答えだった。あらゆる方法を通じて、相手とのコミュニケーションを図
りましょう――これこそ、僕の繰り返してきた主張であり、この社長が実践で得た
成功法則と言えるだろう。

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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