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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.643 2016年2月2日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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◎「ビジネス企業研修@中国」http://www.bizchina.jp/
★今週の読者数合計:****名(2016年2月1日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:農業の現代化で農村への恩恵の期待】
●インターネット+農業政策 農業ネットビジネスの試験展開開始
●2015年 四川省の観光農業収入は1000億元超え
●「一号文件」に農業問題再び 農業供給側改革が重点か

┏【国内経済】
●CSR報告書数が10年で50倍に 上場国営企業が主力
●中国のR&D投資対GDP比2% 初のEU超え

┏【労働】
●中国の雇用主の半数近くは、今年も給料アップ予定

┏【国内政策】
●流動人口30年来で初めて減少 中国は債券発行が増大
●2015年出生人口の減少は干支の影響?

┏【経済データ】
●外国為替(2月1日)

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……【特集:農業の現代化で農村への恩恵の期待】…………………………………
●インターネット+農業政策 農業ネットビジネスの試験展開開始
 近日、農業部は「農業電子商務試点方案」を配布し、北京、河北、吉林、黒龍江、
江蘇、湖南、広東、海南、重慶、寧夏等の10省区市で農業ネットビジネスを試験的
に展開する。
 株式市場の農業銘柄は年末年始の資本市場において関心の的となっている。業界
人は、農業の重要政策は今年も引き続き農業の現代化に収束されるだろうと予測し
ている。
 このような背景のもと、農業の現代化の重要部分をなす農業ネットビジネスは継
続して政策の恩恵を受けるため、インターネット+農業の関連株には注目する価値
がある。

〈農業電商試点方案発布〉
 1月19日に農業部弁公庁は「農業電子商務試点方案」を配布し、2016年、北京、
河北、吉林、黒龍江、江蘇、湖南、広東、海南、重慶、寧夏等の10省区市で農業ネ
ットビジネスを試験的に展開する。
 方案によると、北京、河北、吉林、湖南、広東、重慶、寧夏等の7省区市では新
鮮な農産品を、吉林、黒龍江、江蘇、湖南等の4省では農業の生産手段を、北京、
海南では観光農園を重点に置き、農業ネットビジネスを試験的に展開する。

 まず、大まかには、農産品ネットビジネスの標準システム、全工程低温配送シス
テム、農産品・農業用物資品質安全トレーサビリティー・モニタリングシステム、
観光農業旅行商品品質管理システム、「基地+都市社区」と呼ばれる新鮮な農産品
を直接配送できるモデル、農業用物資オンライン販売モデル等の一連の運営モデル
と制度基準を採用する。
 そして、農業ネットビジネスの迅速かつ健全な発展を推進するため、モデルケー
スや経験を普及、活用できるようにする。

 「第13次五カ年計画」の意見の中で、農業に関して明確に「大々的に農業の現代
化を推進する」と記された。つまり、農業の現代化の重要部分をなす農業ネットビ
ジネスは継続して政策の恩恵を受けるということである。

〈インターネット+農業の関連株への注目〉
 インターネットの波が農村の消費市場を席巻するにつれ、物流、ブロードバンド、
交通等のインフラの迅速な完成、農村ネットビジネスの爆発的発展の到来は農業を
現代化させるブースターとなっている。
 さらに、インターネット+農業は、農業分野の中で最も活発な株式銘柄である。
政府から12年連続で発布された「一号文件」はどれも「三農」を主題としており、
株式市場の農業銘柄は年末年始の資本市場で盛り上がるテーマとなっている。A株
市場でのインターネット+農業の関連株は上昇に転じる活性剤となろう。

 長江証券研究所の報告では、国内で農村のインフラ改善及び農村ネットビジネス
業務の政策が継続的に強化されるにつれて、農村ネットビジネス市場は敷居が低く
なっている。
 一方で、政府が農村のネット回線、道路等のインフラ改善に尽力し、2015年末に
はブロードバンド開通率が95%にまで到達し、整備された道路は92%以上になった。
それにより、ネットビジネスの見えない情報が可視化され、物流コストを下げるこ
とが可能となった。
 もう一方で、購入販売協同組合が全国に分布する農村物資の仕入れと販売に関す
るとシステムと店舗を、中国郵便が低銭都市や農村各地を網羅した物流配送網を、
農業用物資のリーディングカンパニーが既に完璧な農業用物資の販売システムと物
流拠点を持っている。
 それと同時に、実体店舗の商品供給が各地の隅々まで浸透されてはいないこと、
農民の収入レベルが上昇していくことを加味すれば、ネットビジネスが普及するに
つれて、農村居住者の消費には比較的大きな伸びしろが存在することがわかる。
 2014年、国内農村のネット購買額は約1800億元規模となっており、2016年は4600
億元にまで上ると予測されている。

 農業の現代化の重要部分をなすのは、農村ネットビジネスが直面している広大な
発展空間である。
 伝統的な農村のルートでは、工業品を地方へ、農産品を都市へ流通させるには多
くの問題があった。ネットビジネスの介入で、農村のサプライチェーンシステムの
再構築、流通ポイントの短縮、情報の障壁を取り除くことができれば、農村、都市
部の消費者によりよい買い物ができるサービスを提供することになる。
〔中国証券報2016年1月20日〕

●2015年 四川省の観光農業収入は1000億元超え
 四川省農業局によると、2015年、四川省の観光農業と農村旅行企業数は3.1万件
に上り、訪れた旅行客は延べ3.2万人、全体の営業収入は前年比34%増の1008億元に
なった。

 四川省農業局の塗建華副局長によると、「第12次五カ年計画」以来、四川省は、
農民合作社、家族経営農場、農業関連企業、旅行会社といった4大観光農業新型経
営体の育成に力を入れ、農民の仕事がグリーンツーリズムとなるよう支持し、農民
合作社、家庭経営農場、農業関連企業に対し観光農業の発展を激励した。

 近年、四川省では、豊かな農業資源と蓄積された農耕文化を利用し、観光農業景
勝地を建設したり、観光農場の育成を行うことにより、観光農業の転換と高度化を
推進した。2015年、観光農業の成長が四川省全体で前年比14.8%増の1043万人の就
業を生み出し、四川省全体の農民の平均収入は82.1元増額した。

 2015年末までに、四川省では、大規模な観光農場を2000件近く、農業という産業
の特徴を強調し、農耕文化色が強い、農業をテーマとした公園や、農業観光区、農
業科学に関する観光区など2000余りの観光農業地がつくられ、中国で初めて省の基
準となる「農業主題公園建設規範」が公布されている。〔新華網2016年1月20日〕

●「一号文件」に農業問題再び 農業供給側改革が重点か
 公表日が近くなり、2016年の中央一号文件に大いに関心が集まっている。(編集
部注:既に公表済み)
 これまでの慣例により、近日発表される2016年中央一号文件も農業発展問題が注
目されるのではないだろうか。既に12年連続「三農」をテーマとする中央一号文件
が発表されている。
 業界内では、中央が提案している供給側改革の目標に合わせ、2016年、中央一号
文件は農業供給側改革の強化、また、農業の現代化に注目し、農業の六次産業化
(一二三産業融合)発展の推進となるのではないかと見られている。

〈農業供給側改革を重点〉
 毎年発表されている年初1回目の文書の注目テーマは、国家が当面重視し速やか
に解決すべき問題である。2016年は第13次五カ年計画開始年であり、市場からは今
年の中央一号文件に特に関心が集まっている。

 2015年12月25日に閉幕した中央農業工作会議でも、中央は初めて「農業供給側構
造改革」を提案し、2016年と第13次五カ年計画期間の農業、農村工作の道筋を示した。
 この会議では、「農業供給側構造改革の強化」と、それ以前に中央の上層が強調
した供給側構造改革の継承が強調された。
 会議では、農業供給体系の品質と効率の向上を図り、農産品の供給数が充足し、
品目や品質が消費者の需要に合うようにして、真に構造が合理的で、保障された農
産品をしっかり供給させると指摘している。

 専門家は、農業供給側改革とは「在庫をなくし、コストを下げ、不足を補う」だ
としている。
 これはつまり、「過大な農産品の在庫の消化の加速、穀物加工の転換の加速。適
度な規模での経営の発展、化学肥料や農薬の不合理な使用の減少、社会サービス等
の展開を通じた、生産コスト減、農業の利益効率や競争力の向上。農業インフラ等
農業供給の弱点の強化、市場で不足している農産品の生産増」である。

 「今年の一号文件は、農業供給側改革というテーマの重点的にするべきだ」
 ネット通販企業「一ムー田」(「ムー」はなべぶたに「田」)の高海燕副総裁兼
研究院院長は取材に対し、目下農業産業発展を制約している主要因はやはり農業生
産水準、農業市場の効率であり、さらに、農業市場主体の発展、農業生産の核心的
資源(土地)の分配制度等々の縛りがあるとしている。

 同様に、農村六次産業化の発展も農業供給側の構造改革の重点である。間もなく
発表される2016年中央一号文件において、農業六次産業化の発展も重要な内容とし
て強調されるのではないかとされている。
 「農村の六次産業化発展推進政策は、2016年の中国一号文件の中の重要な部分と
して提起されるのではないか」中国社会科学院農村発展研究所研究院の李国祥氏は
言う。

 実際、中央農村工作会議が開催された前日(2015年12月23日)に開催された国務
院常務会議の席上、農村六次産業化発展の推進体制を進める一連の政策が発表され
た。それは主に2点に及んでいる。

 第1に、農村サービス業支援で、具体的には、大規模農地の委託管理、農産品の
加工、倉庫物流等市場化サービスの発展。農業と観光、健康な老後等との融合促進
の深化。商業化運営が可能な農村のサービス業の民間資本開放。
 第2に、リーディングカンパニーへの政策支援強化である。

 会議では、利益を互いに結びつける枠組みを整備すべく、リーディングカンパニ
ーと国家支援政策とをつなぐ奨励の枠組みを強化することと、中央財政が農業の産
業融合発展の資金支援を手当てし、産業融合発展プロジェクトに傾斜配分すること
が提案された。

 「農村の六次産業化政策の重点はリーディングカンパニーの支援の促進で、リー
ディングカンパニーのリーダーシップの発揮である」李国祥氏は、中国の農業で一
貫して直面している非効率で競争力が低いという課題に対し、農村六次産業化の促
進は収益と競争力向上の重要な方法であるとしている。

 農村六次産業化発展の推進は今後、政策の注目点になり、一連の政策支援が出さ
れることが見込まれる。
 関係各部委が率先して制定した「農村一二三産業融合発展推進のための指導意
見」が少し前に国務院から出されている。

〈農業の現代化の新しい風穴〉
 中央政府が12年連続で発表している「三農」を主体にした中央一号文件のうち、
2013年から既に3年連続で農業の現代化推進強化が中央一号文件のテーマとなって
いる。第13次五カ年計画の意見においても、農業部分で明確に「農業の現代化の強
力な推進」とある。

 したがって、アナリストは、2016年中央一号文件は農業の現代化に重点が置かれ
ると予想している。
 現代農業が注目されている中、農業ネットビジネスが市場で注目されるようにな
っている。そして、農業の現代化の関連産業は発展の黄金時代を迎え、農業の現代
化は新しい風穴となっている。

 実際、技術力が低い粗放型の成長が、現下の中国農業発展において直面する主要
な課題の一つである。
 「農業市場だけでいえば、農産品の成長の緩慢さと人々の食品消費需要の急速な
発展が主要な矛盾点である」
 高海燕氏が「一ムー田」で4年間農産品ネット通販を経営してきて感じたことは、
農産品の生産能力、品質水準、商品化能力、ブランド化能力と、消費市場の急速な
発展とがつり合っていないということである。

 専門家は、農業の現代化の本質は農業生産の効率向上であり、それには農業機械
化、農業生産技術の科学化、農業産業化、農業情報化などがあると解説する。
 そのうち、農業情報化は従来型農業から現代型農業への発展の重要な技術的手段
であり、農村ネットビジネス、農業ビッグデータ、物のインターネット(IoT)等
の現代のITを通じて、従来型農業生産方式やビジネスモデルを改造し、農業生産・
経営改革を向上させる。

 事実上、国家は農村ネットビジネス推進を非常に重視しており、今年より、国務
院及び各部委が相次いで農村ネットビジネス支援策を出している。
 2015年5月15日、商務部は「「インターネット+流通」行動計画」を発表し、電
子商取引の農村進出を第一目標とした。
 2015年11月9日、国務院弁公庁は「農村の電子商取引発展加速促進に関する指導
意見」を発表した。
 2015年11月17日、財政部は「農業総合開発、有力・特色農業産業支援、農業産業
化促進に関する指導意見」を発し「インターネット+農業」の発展を奨励し、有力
で特色のある農産品の電子商取引プラットフォーム建設を積極的に支援した。
 11月23日、国務院は「新消費の牽引作用を積極的に発揮し、新供給新動力の育成
形成を加速する指導意見」を発表し、民間資本が農業ネットビジネスプラットホー
ム建設に参加することを支援し、オフライン産業プラットホームの発展とオンライ
ンネット商取引プラットホームとの結合を促進した。

 「インターネットと電子商取引は、当面と今後、農業の現代化を推進する重要な
生産力である」高海燕氏は、まさに、中国農業が工業化時代の成果と情報化時代の
ツールを運用して、曲がりくねった道をショートカットで進むことを実現する絶好
の時期であるとしている。
 実際、政府はさらに多くの支援計画を立案しており、各種民間資本も農業ネット
ビジネス分野への進出を加速し始めている。ある機関の統計によると、2015年9月
末現在、公開されている農村ネットビジネス投資案件は30件以上に上り、総融資額
は15億元で、高額融資事例も少なくない。

 しかし、高海燕氏は、真に、インターネットとネットビジネスが農業・農村・農
民と融合するには、主に二つの基本的な問題を解決する必要があると見ている。
 その一つは、農業生産者と農業経営者のインターネット能力、つまり、リテラシ
ーの問題である。
 もう一つは、インターネットインフラ建設、いわゆる都市と農村のデジタル化の
格差問題で、また、たとえネット接続の利便性が向上したとしても、ネット接続の
コストを下げる必要も出てくる。
 「農業従業者と農民が使い始めれば、インターネットとネットビジネスの農業・
農村・農民の活用効率が大いに向上することになるはずである」(高海燕氏)
〔中国企業報2016年1月18日〕
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……【国内経済】…………………………………………………………………………
●CSR報告書数が10年で50倍に 上場国営企業が主力
 新華網、中国社会科学院企業社会責任研究センター等が連合で主催し、「新理念、
新動力、新担当」をテーマとした中国社会責任公共利益フェスティバルが先ごろ開
催された。
 会場では、中国社会科学院企業社会責任研究センターの張〓常務副主任が「中国
企業社会責任報告白書(2015)」を公布した。

 張〓常務副主任は、2015年、中国のCSR報告書において次の大発見があったとした。
1) 中国のCSR元年であった2006年から2015年の10年間において、CSR報告書総数は3
 2件から1703件にふえ、急速な増加を遂げた。

2) 公表した企業の地域分布から、中国大陸地区の企業が主となっており、国外企
 業によるCSR報告書は71件となっている。
 具体的には、中国大陸企業公表のCSR報告書において、北京、上海、広州の3都市 が4割を占め、国外企業では、香港企業及び日本、韓国企業が中国において公表
 したCSR報告書数が最多となっている。

3) CSR報告書公表企業では、上記の国有企業が主力となっている。このほか、上場
 企業のCSR報告書数に占める割合は4分の3となっており、具体的には、上海取引
 所上場企業による報告が423件と最も多く、次いで深セン取引所上場企業の297件
 である。
 企業タイプ別では、国有企業が5年連続でCSR報告書公表の主力となっている。今
 年は計600件のCSR報告書が国有企業によるものであり、民間企業及び外国企業の
 占める割合はそれぞれ33.2%、8.4%となっている。

4) 業界別では、1027件のCSR報告書が47業界と広範に分布しており、そのうち、混
 合企業及び機械設備製造業の企業数が他の業界より若干多くなっている。

5) 企業のCSR報告書の連続性では、12社が10回連続して公表を行っている。連続7
 回公表の企業が最も多く192社となり、報告公表企業総数の23.4%を占める。

6) CSR報告書の長さでは、50ページ以上が26%を占め、これらのCSR報告書の企業社
 会責任情報は比較的全面的なものとなっている。ただし、遺憾ながら、6割の企
 業のCSR報告書は30ページ以下であり、これらのCSR報告書の情報開示はまだ比較
 的十分でない。

7) CSR報告書の内容について、2015年、中国CSR報告書の内容は、さらに現実性を
 備え、現実的な議題の開示を重視している。
 企業はCSR報告書において最も開示に値すべき情報を確定するため、利益関連者
 の最も注目する情報についての議題の選択を行っている。議題一覧を設け、議題
 を分類し、最後に重要な議題の確認を行う形がCSR報告書開示で重点となっている。
〔中国経済網2016年1月6日〕
注)〓は、くさかんむりに「恩」

●中国のR&D投資対GDP比2% 初のEU超え
 英メディアによると、EUは研究及び新技術インフラへの投資不足で、急速に台頭
してきている東方のライバル(中国を含む)に対し、もともと持っていた競争の優
位性を失う可能性がある。

 英タイムズのホームページの1月4日の報道によると、EUの大手サービス企業の業
界団体である欧州産業円卓会議は、EU加盟国によるR&D投資の対GDP比が初めて中国
を下回ったと述べた。

 EUを代表する雇用総数700万人弱のある企業によると、EU28カ国中、GDP3%をR&D
分野に投資するという目標を達成できているのは3カ国のみだと語る。

 EUの平均投資は緩やかに上昇しているとはいえ、中国におくれをとっている。中
国のR&D投資は2%を超えているにもかかわらず、EUの平均値は2%に満たず、アメリ
カ、日本、韓国のR&D投資にも遠く及ばない。

 EUとその他の主要経済体の研究開発の差はその成長率データに反映されている。
欧州産業円卓会議は、EUの2016年のGDP成長率は1.9%、中国6.8%、インド7.3%と予
想している。〔参考消息2016年1月5日〕

……【労働】………………………………………………………………………………
●中国の雇用主の半数近くは、今年も給料アップ予定
 1月14日、国際的なリクルート企業であるヘイズは「2016ヘイズ・サラリーガイ
ド」を発表した。
 この調査は、中国、香港、シンガポール、マレーシア、日本等の国・地域の3000
社以上の雇用主に対する調査研究で、従業員600万人、職位1200以上に及ぶもので
ある。

 それによると、半数近い中国の雇用主は2016年、6%―10%の賃上げを行うことを
計画しており、会計、金融サービス分野での賃金報酬アップの見通しは明るい。
 それに反し、伝統的な銀行業は2016年多くの苦難に直面し、ガイドでは、リクル
ート市場の活性化と賃金の伸びは打撃を受けると予想している。
 マクロ経済環境の影響を受け、企業、小売、個人銀行業務分野では目下業務に熟
練した高級人材が不足している。

 また、人員配置において、多くの雇用主(60%)は、2016年の商業活動は増加す
ると予想している。
 今後1年以内に、雇用主の43%はさらに多くの長期雇用の従業員を雇用したいとし
ており、46%は既存の人員配置を維持することを予想している。
〔中国新聞網2016年1月16日〕

……【国内政策】…………………………………………………………………………
●流動人口30年来で初めて減少 中国は債券発行が増大
 海通証券のシニアエコノミストの李迅雷氏はコラムで、昨年、中国の労働年齢人
口及び流動人口がともに30年来初めて減少したのは、GDP成長率が25年で最も低か
ったことと大いに関係があること、また、中国の経済成長モデルは既に借金式から
起債式に変わったことから、大赤字となり、2016年は債券発行が増大するとしている。

 李迅雷氏によると、経済成長を引き上げるには3つの要素があり、それは、人的
資源、資本、技術革新であり、各要素が経済に貢献している。
 中国の過去の経済の高成長の重要な要素の一つは人口ボーナスであるが、ここ数
年来、企業は労働力コストの上昇に不満を持っている。
 「実は、原因はとてもシンプルだ。それは、中国の労働年齢人口(16―59歳)が
2012年から減少に転じ、2015年は4年連続減少し、累計で1300万人以上減となった
こと。そして、これは2015年は流動人口が初めて減少したが、30数年来で初めての
ことである」

 データによると、2013年、2014年、流動人口は年間800万人以上増加し、総数は
2.53億人に達したが、2015年は568万人に減少した。2010年、農民工の都市流入は
1200万人を超えたが、その後、毎年約200万人減少している。このままの速度でい
くと、2016年にはゼロになる。

 李迅雷氏は、中国がなぜ世界一の製造大国であり輸出大国であるかといえば、過
去の安価な労働力と無関係ではないと強調する。
 現在、労働力コストの上昇で、企業の粗利率が減少し、産業の海外移転の動きも
あらわれている。したがって、中国の2015年の固定資産投資の伸びは10%にまで下
落した。労働力コスト上昇は投資、輸出の車の両輪の少なくとも足かせとなっている。

 そのほか、米中間の貨幣流通速度を比較すると、現在、中国が2元投入しても1元
のGDPしか創出できないが、米国が2元投入すれば3元創出できる。つまり、中国が
これまで経済成長を引き上げてきたコストはとても大きく、これはやはり借金式
(国民への借金)の成長段階だったのである。
 現在、起債式(社会保障の穴を埋める)成長の段階に入り、支払うべきコストは
さらに大きくなる。今後は、3元を投入しないと1元のGDPが得られない。

 「公共サービスの均等化の提供という都市化政策に経済を押し上げる効果がある
と見ているわけではないが、経済は大幅下落するとも見ていない。中国政府はまだ
まだ国家の膨大な資産を保有している。例えば国有企業、土地、鉱山、森林、水な
どの資源である」
 李迅雷氏は、資産がこんなに大きいのであれば、負債は引き続き膨張可能で、3%
の財政赤字率を大いに超えてもいいとしている。2016年は債券が大いに発行される
1年になると予想している。〔和訊網2016年1月20日〕

●2015年出生人口の減少は干支の影響?
 中国国家統計局が1月19日に公開したデータによれば、2015年中国の出生人口は
前年比32万人減の1655万人だった。
 これに対し、中国国家衛生・計画出産委員会は、中国の干支信仰と出産可能年齢
人口の減少がその主な原因であると指摘した。

 単独二子政策(単独二孩政策、両親のいずれか一方が一人っ子であれば第二子を
出産できる)の実施開始から2年目となる2015年、予想を裏切る出生人口の減少は
多くの関心を集めた。
 中国人口・発展研究センターの姜衛平主任は20日、「2015年における出生人口の
小幅な減少は、中国の出生人口の変動パターンや、出産可能年齢人口の減少、その
出産の観点からも正常と言え、想定の範囲内」と述べた。

〈10年後人口はマイナス成長?〉
 人口学の専門家である黄文政氏はこのデータを深刻に見ている。
 黄文政氏は、単独二子政策を実施すれば、2015年の出生人口は1700万人に達する
と予測していた。専門家の彼ですら、単独二子政策の影響を過大評価していたので
ある。

 黄文政氏は、2015年の出生人口減少の原因は「出産適齢期の女性の減少」「出産
適齢期の女性の出産意欲の低下」にあると分析した。
 よって、これまで単独二子政策の影響で出生人口がふえ過ぎるとされていた心配
はなく、全面二子政策(二子解禁)の影響も過大評価で、2017年においても年間出
生人口が1700万人を超えることはないだろうとしている。

 同じく、人口学の専門家である姚美雄氏もこの件を憂慮している。
 姚美雄氏は、2015年の出生人口の減少から、中国人の出産意欲が低いことは明白
であるとし、目下の出産状況から見て、出産可能年齢人口の減少に伴い、中国の人
口は2025年にマイナス成長に転ずると見ている。

 国家衛生・計画出産委員会基層指導司の楊文庄司長は2015年2月初旬当時、単独
二子政策によって、2015年の出生人口は前年に比べ100万人前後増加すると推測し
ていた。

〈出産可能年齢の女性の数が減少〉
 2015年の中国における出生人口の想定外の減少に対する海外メディアの疑問に対
し、国家衛生・計画出産委員会基層指導司のスポークスマンは、中国の計画出産統
計及び出生統計のデータに基づいて予測した2015年の出生人口は、中国国家統計局
の公開した数字とおおむね一致しており、いずれも2014年を下回るものであったと
語った。

 それによると、出生人口減少の主な原因は2つある。
 まず1つ目に、中国の干支に対する信仰が挙げられる。
 2015年はひつじ年であるが、「ひつじ年生まれは縁起がよくない」とする迷信か
ら、出産計画を延期する家庭もあり、この動きは北部地域に多く見られる。2015年
の出生統計によれば、出生人口が前年に比べ減少したのは23省、前年の数字を維持
したのが2省、増加したのが6省だった。
 2015年7月以降、一部地域において妊娠登録者数は明らかに増加したが、2016年
のさる年に出産を迎えるからである。一例として、北京の2015年7月の妊娠登録者
数は前年同期比21%増、前月比36%増となっており、2016年の出生人口は明らかに増
加する見込みである。

 2つ目の要因としては、出産可能年齢の女性の数が減少していることが挙げられる。
 中国の出産可能年齢の女性の数は2011年にピークを迎え、その後減少している。
2015年出産可能年齢とされる15―49歳の女性の数は2014年に比べ528万人減少し、
このうち出産適齢期とされる20―29歳の女性は150万人減少した。

 人口学の専門家の〓振武氏は、この出産適齢期の女性の大幅な減少によって、中
国の出生人口は減少に転じたと指摘している。

 国家衛生・計画出産委員会のスポークスマンによれば、2014―2015年、明らかに
第二子の出生は増加し、一人っ子は減少している。2013―2015年出生した第一子、
第二子の人口は以下のとおり。
 2013年 (第一子)1056万人 (第二子)511万人
 2014年 (第一子) 972万人 (第二子)606万人
 2015年 (第一子) 886万人 (第二子)652万人

 スポークスマンは、「2013―2015年で、第二子は141万人増加しているが、これ
は新政策の効果によるものである」「2015年の出生人口の変動は想定の範囲内。当
面の予測では、第13次五カ年計画期間(2016―2020年)出生人口は毎年1750―2100
万人の見込み」としている。
〔東方早報2016年1月21日〕
注)〓は、「擢」のてへんがない漢字

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                          (中国人民銀行2月1日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     5.4112  655.39    84.21  710.75
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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《編集者コラム――またまた》
 何となく体調が悪かったのですが、今回もメールマガジンができてよかったです。
 さすがに自分が参加したときからはもう遠い昔の話になっていますが、今年度の
「日本・中国青年親善交流事業」の御案内をします。30歳までですが、よかったら
応募してみてください。
http://www8.cao.go.jp/youth/kouryu/bosyu.html
 この事業の参加者ももう1000人を超えたと思います。本人の好むと好まざるとを
問わず、派遣後に中華圏への縁が続くのが半分ぐらいいるはずだと考えますが、な
かなか偶然ばったり出会うチャンスがありません。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 荒木千春 澤田裕子 楊桃
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