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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.466 2008年11月4日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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★今週の読者数合計:6,283名(2008年11月3日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:不安の広がりと危機対応】
●珠江デルタ製造業経営主の失踪続出 香港系工場に倒産の波
●66%の企業危機はデマによるもの
●不動産業保護、市場救済は効き目やいかに

┏【国内政策】
●中国の資源枯渇型都市「復興」の道を模索中

┏【社会】
●ある台湾商人から見る「陝西リンゴ」

┏【経済データ】
●外国為替(11月3日)

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……【特集:不安の広がりと危機対応】………………………………………………
●珠江デルタ製造業経営主の失踪続出 香港系工場に倒産の波
〈金融危機にのみ込まれる香港系工場〉
 香港業界筋は、金融危機や信用危機により、珠江デルタの香港系中小企業は1万
軒超が倒産の危機に瀕していると見ている。

〈倒産は日常茶飯事 経営者も撤退〉
 「珠江デルタは過去20年で最も厳しいときを迎えるだろう」農民工の流出や企業
の雇用難という問題について、専門家は2008年初めにこう警告していた。
 その半年後、こんな問題が襲いかかり、企業が倒産し、従業員が給与不払いに苦
しみ、香港系工場に最初にその波が及ぶことになろうとは、だれが予想しただろうか。
 本紙が広東省で取材したところ、現地の企業経営者の間では、現在の状況は氷山
の一角にすぎず、中小企業の倒産は本格化していないとの見方が一般的なようだと
いうことがわかった。

〈香港系工場倒産の波に驚き〉
 「香港が中国本土で設立した工場は既に2007年から減少傾向にあった」あるアナ
リストはこう話す。香港が中国本土で設立した工場の多くは加工貿易を主とし、こ
うした製造型企業の多くは低コスト、低技術に依存して市場をリードしていた。
 2008年に金融危機が広がり、欧米の需要が大幅に縮小すると、生存環境が一変し、
危機に直面した。
 10月に入り、金融危機は大型上場企業へも広がった。佑威国際控股(集団)有限
公司、泰林無線電行や金至尊珠宝など一流企業のブランドを掲げた東莞市の2大工
場が倒産し、ついにこの問題が公になった。

 ある資料によると、10月上旬、中旬だけで50社近い香港企業が破産や清算を申請
している。香港工業界の梁君彦立法会議員は、金融危機と信用危機によって1万軒
を超える珠江デルタの中小企業が破産すると見ている。
 香港工業総会の陳鎮仁会長は先週、珠江デルタにある7万件の香港系企業のうち、
年末までに4分の1に当たる1万7500軒が倒産する可能性があるとの認識を示した。
 「昨年まではだれもここを立ち去りたいとは思っていなかった。だが、今では、
閉鎖しなければ立ち行かなくなった企業もある」工場が閉鎖され香港へ戻ったとい
うある董事経理はこのように述べた。

〈経営者は失踪 政府が給与補てん〉
 深セン市労働保障局は10月21日、30社のリストを公開した。いずれも給与が不払
いとなっている企業ばかり。組織の法定代表者または責任者に30日以内に法的処理
を受け入れるよう要求している。
 現地の情報によると、こうした措置に及んだ理由は、この30社の企業の責任者の
多くが既に失踪し、政府が数千万元に上る未払い給与を補てんしているためだという。
〔北京晨報2008年10月27日〕

●66%の企業危機はデマによるもの
 ここ数カ月以来、インターネットやショートメールによる事件が相次ぎ、金融危
機による世界経済減退の中で、事実無根のデマが金融危機に拍車をかける一因とな
っている。
 この情報化の時代に、大量の情報に接し、人々は日々真偽の見分けにくい各種の
うわさに包囲されている。しかも、そのうわさの影響力は往々として事件自体をは
るかに上回る。我々はいかに信念を打ち立て直すのか?

〈現象 デマはライバルを攻撃する手段になる〉
 「家族や同僚及び友人へ 今年、広元のミカンにウジのような虫が発見されたか
ら、しばらくミカンを食べないように」
 このショートメールに対し、四川省農業庁は、その虫は健康に害はなく、広元な
ど幾つかの郷鎮のみで発生し、しかも効果的な対応措置を取っていると説明したが、
現状では、この事件の処理は当地政府の期待どおりにうまくいかなかった。
 また、ほかの地域でもウジのついているミカンが発見され、多くの人は今なおミ
カンの話をするだけで顔色が変わるほどの不信感を持つようになった。このうわさ
のためか、ミカン市場の風評被害が続き、ミカン生産農家は手痛いダメージを受けた。

 「風がなければ波は立たない」ということわざがあるように、デマの役割はあお
り立てることにある。
 9月13日、あるインターネット上の書き込みに、「三鹿の毒牛乳より怖いのが猛
毒の含まれるピーナッツだ」と書かれてあった。9月23日、別のデマがインターネ
ット上にあらわれた。「蒙牛、伊利、光明など牛乳からメラミンが検出された後、
先日国家品質検査総局は酒類製品を抜き取り検査し、一部の酒類から発がん物質で
ある亜硝酸ナトリウムを検出した」。
 この二つのデマに対し、関係部門はこれらが根も葉もないことであるという声明
を発表したが、インターネット上のうわさは事実上、三鹿の粉ミルク事件の悪影響
を拡大させ、人々に恐怖を感じさせた。同月23日、ほとんどの酒類の株式取引が関
連株価の大幅な下落によって中止された。

 中国伝媒大学インターネット好評研究所の楊飛副所長は、サブプライムローン危
機はアメリカの金融リスクがたまりにたまったことによるものであるが、危機発生
時及び危機対応の中で、世界の金融市場には虚偽の情報がはんらんしているため、
人々に心理的な恐怖を感じさせ、世界金融危機に拍車をかけていると語る。
 清華大学新聞伝播学院伝媒経済管理研究センターの崔保国教授は「うわさはしょ
せんうわさであり、重要なのは伝播手段に質的な変化があることだ」と話す。イン
ターネットや携帯電話など便利な通信手段はうわさにかつてない伝播スピード及び
広さを備え、うわさがさらに速く猛烈に拡散するのだという。

 世界金融危機の中で、一部の投機機関がデマを利用し、ライバルを攻撃する。一
部の金融機関はひどい中傷を受け、真相を知らない投資家に見放され、ついに倒産
に至ってしまう。中国伝媒大学インターネット好評研究所の統計によると、66%の
企業危機はデマによるものであるという。

〈対応 公開の透明性 信用の強化〉
 専門家は、社会に危害を与える深刻なうわさに対し、監督の強化及び厳しく処罰
するとともに、うわさを一貫して遮るということではなく、より重要なのは、事実
を公開し、正しく世論を指導することだと指摘する。

 「つまらないウエブサイトを管理するより、権威のある金融プラットホームをつ
くり上げた方がいい」と「投資者報」執行編集の何剛氏は話す。「騒音に対応する
最もよい方法は、我々の声が彼らの声より大きいことだ」。
 危機が来る時に国民が最も聞きたいのは、権威のある、専門家の話である。四川
ブン川大地震のとき、中国政府の即時、公開、透明な情報開示が各国の賞賛を博し
たが、目下一部の地方では迅速な情報伝達体制がまだ整備されていないのが現状で
ある。突発的な大事件が発生したとき、関係部門が常に何も発表しないことで、う
わさがはんらんしてしまった。

 あるインターネット上の書き込みに、あるユーザーは次のように書いている。
 今回の四川ミカン事件の中で、現地政府が情報を公開したときには、ショートメ
ールが既に広く広がっていた。もしミカンにウジが発見されたときに政府が即時に
情報を公開していたら、ショートメールはなかっただろう。また、もしショートメ
ールが出現し始めたときに、政府が事実を説明し、正しく世論を指導していたら、
ショートメールは広く広がることがなかっただろう。

 他のユーザーは、これまで一部の地方政府及び関係部門では、突発的な大事件の
発生を最初はどうしても認めようとしなかったが、やがて現実の状況が進展するに
従って、うわさの正しさが裏づけされる。したがって、権威部門の信用が強化され
なければならないと書いた。
 専門家は、情報化時代の「デマ危機」に対応するため、情報化戦略を使いこなさ
れなければならないとし、結局のところ、これは時代の発展に伴う業務遂行方式の
改善や遂行能力の強化ができるかどうかの問題だと指摘している。
〔新華社北京2008年10月29日〕

●不動産業保護、市場救済は効き目やいかに
 中国政府は、この世界最大の熱狂的な不動産市場の一つが崩壊しないよう迅速に
行動を起こしているところである。
 今後数カ月の間、中国の不動産市場の低迷状況がどのように変化するかは、グロ
ーバルな金融危機の間の中国経済の減速の深刻さの程度、中国の建築資材需要の下
落、不動産不況の世界経済への影響に大きくかかってくる。

 グローバルな不動産バブルがはじけたとしても、中国市場では状況が異なると考
えられている。それは、中国における不動産建設増はレバレッジ型金融に対する影
響には比較的軽微であり、都市化による人口の急激な増加がもたらす需要が主体で
あるからである。
 毎年、中国各地で1500―2000万人の人口が都市に移転している。しかし、中国の
新規不動産販売量はここ数カ月来大幅下落しており、買い手は経済悪化や不動産価
格のトレンドで恐慌状態を感じている。
 経済の緩慢さが人々の予測を上回るに伴い、政府部門は価格抑制策から不動産購
入者の奨励へとシフトし始めた。先週、政府は税の減免を発表し、初めて不動産購
入者に頭金と貸付利率の引き下げ措置を講じた。
 仮に、不動産業の低迷が続けば、中国は成長率8%以上、つまり、政府が長期にわ
たって経済繁栄の最低ラインとしていた数字を維持することは困難となる。そして、
建設業の直接雇用は8000万人以上であり、長期の低迷はさらに多くの失業や社会不
安をもたらすことになる。

 マーキュリー証券の北京駐在エコノミストは、不動産市場は経済変化によって決
まるとしている。インフラ投資は依然として堅調に加速するかもしれないが、グロ
ーバルな需要が減退し、輸出が緩慢になりつつあり、今後数カ月で急速に悪化する
かもしれない。これらのことは、不動産業を極めて重要なものにさせている。
 中国の住宅投資が経済に占める割合は米国よりも大きい。昨年のこの数字は既に
国内総生産(GDP)の10%まで上昇しているが、米国の場合は4.6%である。しかし、
不動産が金融システムに与えるリスクは米国に比べれば小さいようだ。住宅ローン
は中国の各銀行融資総残高の12%、ディベロッパーへの融資は7%を占めている。そ
して、スタンダード・チャータード銀行のデータによれば、米国では、不動産関連
融資は商業銀行融資の50%以上を占めている。

 不動産は多くの製品の需要を喚起できるため、中国の大口商品の需要下落に伴い、
全世界は不動産低迷の影響を感じるに至っている。
 ここ数カ月の建築業の成長緩慢により、中国の9月期における鉄鋼生産量は前年
同期比5.5%減となった。このことは鉄鋼価格の下落に至り、小規模工場は倒産・閉
鎖に追い込まれた。
 家電小売商もここ数カ月間の販売低迷を発表しており、現在工場では減産し始め
ている。9月期におけるエアコンの生産は21%減、電気冷蔵庫の生産は6.5%減となった。

 1年前、不動産の熱狂はまだ異常に高まっており、人々は全国各地の新規不動産
工事に注目し、買い入れのチャンスをうかがっていた。しかし、バブル拡大の懸念
が激化し、政府は徐々に投機的な不動産取引を制限する措置をとり、不動産価格に
あるバブルを絞り出そうした。このような措置がまさに予想どおりの効力を発揮し、
グローバルな金融危機は消費者に恐慌到来を感じさせ、中国の今後の多くの楽観的
な見方を打ち消している。
 昨年の不動産販売は一度こそ前年度比50%増となったが、今年初めに価格下落が
あらわれ、現在は大幅下落になっている。8月期の販売面積は36%減である。8月期
及び9月期の全国平均不動産価格はどれも前月比下落があらわれ、現金が逼迫して
いるディベロッパーは業務縮小に迫られ、新規建設の増加の勢いは明らかに緩慢と
なっている。

 政府の政策が不動産市場の低迷を激化させており、多くの人は政府に対して市場
再編を望んでいる。財政部の声明によれば、新しい政策では、幅広い人々、特に中
低所得者の不動産購入負担の軽減を行い、不動産消費需要を拡大させるとしている。
 問題は、グローバルな経済の減速が市場の信頼にダメージを与えていることによ
り、政府の措置が現在多くの変更を余儀なくされているところにある。投機的な不
動産購入者が2つ目の不動産を購入しないというだけではなく、新規に不動産を買
う買い手をも静観させている。
 北京市の38歳のIT企業に勤める趙偉(音訳)さんは、不動産を借りたいとは思わ
ないから、自分の家を持ちたいが、現在もなお実行に移していないという。税金の
軽減や頭金の引き下げはそれほど重要なことではなく、不動産価格が最も大きな問
題である。あと半年から1年待ってみて、不動産価格が下がり続けていることを期
待したいという。

 このような動きは、破滅的で大きな悪循環をもたらすかもしれない。買い手が静
観し、価格がさらに一層下落するのを待つにつれ、ディベロッパーがさらなる建設
計画縮小に追い込まれ、経済低迷が激化する、買い手はさらに長い時間を待つこと
になる。
 中央銀行の8月期の調査によると、今後3カ月間に不動産を購入する計画を立てて
いる家庭は13%で、この数字は史上最低のものとなった。
〔中評社香港2008年10月28日〕

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……【国内政策】…………………………………………………………………………
●中国の資源枯渇型都市「復興」の道を模索中
 「阜新は石炭によって立ち、石炭によって栄えた典型的な資源型都市である。既
に100年余りの石炭採掘の歴史がある。1980年代に入って以来、石炭資源が次第に
枯渇するにつれ、阜新は一連の経済、社会問題に直面している」阜新市潘利国市長
は先日、記者にこう語った。

 中国東北地区に位置する遼寧省阜新市は1949年の新中国成立後に建立した最も早
期の石炭、電力の都市である。1954年、阜新市につくられた海州露天鉱はかつては
アジア最大であり、アジアで初めて機械化、電気化された。
 50年近くの採掘を経て、阜新の鉱物資源は日増しに枯渇していった。2001年、国
務院は阜新を中国唯一の資源枯渇型都市経済転換実験として正式に確定した。2005
年、海州露天鉱が資源枯渇のために閉鎖され、それは今現在の世界最大の廃棄され
た四角形の整った人工坑道となっている。

 資源枯渇型都市として阜新の経済総量は小さく、社会負担は重く、安定志向は大
きい。特に海州鉱の破産後は深刻な失業問題が地方財政に大きな圧力を与えている。
 しかし、阜新は多くの資源型都市の縮図の一つにすぎない。専門家が指摘すると
ころ、中国の資源枯渇型都市の経済社会の発展問題は日増しに際立ち、かつ既に国
民経済の健全な発展と社会政治的安定の持続に影響を及ぼす差し迫った問題となっ
ている。

 国家発展改革委員会の統計によると、中国は計118の資源型都市を有し、全都市
数の約18%を占め、総人口は1.54億人である。
 目下、中国が20世紀中期に建設した国営鉱山の3分の2は既に「老年期」に入って
おり、440鉱山がじきに閉坑となる。鉱山を有する390都市のうち50都市の資源が衰
弱、枯渇し、労働者300万人が下崗され、その家族1000万人の生活が影響を受けて
いる。

 中国社会科学院旅遊研究センターの戴学鋒主任は、資源枯渇型都市の転換問題を
解決するには都市建設が当面の急務であると提言している。
 この問題の解決には、まず人民の生産生活の需要を満足させ、さらに観光業の発
展がこれらの資源枯渇型都市の社会経済の転換を促進するという。

 国家発展和改革委員会振興東北局の彭会軍副局長は、先般阜新で行われた「工業
遺産利用と資源枯渇型都市転換サミットフォーラム」で、観光業の発展が資源型都
市の環境保護と生態回復に対して積極的な作用があると示した。
 生態環境の管理、修復を結びつけ観光資源を開発することは経済効果があり、生
態環境を改善し、さらに明確な社会的な利益が得られるのだという。

 潘利国市長は、資源枯渇型都市の典型的な代表として阜新工業遺産の観光資源は
豊富であると述べている。
 19世紀末から20世紀までの世界の工業発展史と中国現代工業100年の発展過程が
海州露天鉱で全プロセスを展示できるし、このように100年の工業装備を完全に有
した都市は中国ないしは世界でも多くは見ることができないし、まねすることもで
きないものだという。

 中国の50の資源枯渇型都市の都市の発展プロセスと都市資源はさまざまである。
阜新で工業遺産旅行開発に強力に取りかかるまさにそのとき、黒龍江省大慶、新疆
ウイグル自治区カラマイ、河南省平頂山、山西省大同など一部の資源枯渇型都市で
も、それぞれの特徴に従って経済転換を進めている。
 山西省大同の産業転換は主に観光と石炭の精密加工に集中しており、河南省平頂
山の産業転換は石炭化工と観光のほか、塩化工も発展させている。新疆ウイグル自
治区カラマイは観光業と現代農業を発展させるという。〔中国新聞網2008年10月19日〕

……【社会】………………………………………………………………………………
●ある台湾商人から見る「陝西リンゴ」
 王文福さんという、重い台湾なまりの標準語を繰り、真っ直ぐとすらりとした体
つき、きちんとした身なりをした彼は、黄土高原に位置する陝西洛川県の町で知ら
ないうちに特別な人物として注目されるようになった。

 台湾生まれ台湾育ちの王文福さんが西安で商売をしてもう約十年になった。台湾
源郷食品有限公司の総経理であり、割と早く中国大陸の西北地区に入って投資した
台湾商人の一人である。今回の目的は、台湾新亜科技有限公司(果品貿易)総経理
の依頼を受けて同会社のアシスタントと一緒にわざわざ現地で開催される洛川国際
リンゴ祭りに来たのだ。

 最近十数年来、世界のリンゴの増産に対する中国の貢献率は84%ほどと高く、主
に渤海湾、西北の黄土高原、黄河故道、西南の冷涼な高地などの四大産地に集中し
ている。中国は既に世界最大のリンゴ生産国とリンゴ濃縮ジュースの輸出国となり、
産業の規模は世界1位である。
 わずか20万の人口を持つ陝西洛川は黄土高原の丘陵・渓谷地域に位置し、中国で
唯一の、リンゴの成長上要求される7項の指標に適合した地区であり、中国国内外
専門家が公認した世界リンゴの最良地域でもある。現在、栽培総面積50万ムー
(1ムーは約667平方メートル)に達し、一人当たり3.1ムーで、中国でトップに位置
する。

 果物農家の張振義さんのリンゴ園の中で、王文福さんは摘みたてのリンゴを大い
に食べながら、年産量、肥料と農薬の配合率、交通輸送のコストなどの問題を細か
く尋ねた。
 張振義さん一家の2007年の純年収が15万元に達したと聞くと、「ワーサイ」のよ
うな誇張の口型でびっくりした表情を出した。同時に、陝西方言で「リョウデヘン、
リョウデヘン」(素晴らしいの意味)と何回も賛嘆した。

 陝西リンゴに一目ぼれしたこと以外に、記者さんは王文福さんの身に付いた多く
の陝西人の特徴を見つけた。例えば、大きい碗にめんを入れる、すっぱいものにし
ろ辛いものにしろ全部食べられ、「秦腔」(陝西地区の地方劇)が観賞できるなどだ。
 王文福さんは笑ってこう語った。自分が土地に落ちたらその地に根を張るタイプ
だ。また、企業が成長に根を下ろしたいならば、「郷に入れば郷に従う」、つまり
「現地化」は極めて重要だ。大陸と台湾は同根同源だったが、考え方と認知に多少
の差異が存在している。なので、台湾のビジネスマンにとって、違いを認識し、コ
ミュニケーションを図ることが中国大陸での創業発展の際の必修科目だ。

 正式に陝西に投資する前、数回視察と調査をしに来たという。「陝西の百姓たち
の本当の生活が見たいから、丸い襟の服と半ズボンを着て、自転車で町のあちこち
を回った。90年代末に工場の場所を西安の北郊の大白楊路に決めた。当時西安に進
出した台湾ビジネスマンがまだ少ない、周辺に南方系のレストランもなかったので、
私はめんと唐辛子を食べるようになった」

 王文福さんと話していると、記者が王文福さんには、ビジネスマンによく見かけ
る商売の砲煙がほとんどなく、それよりもっと感じたのは沈着、平淡さとユーモア
さだ。
 2005年8月来、大陸では台湾原産の15種の新鮮の果物にゼロ関税の優遇策が与え
られた。パパイヤ、キウイ、マンゴー、グアバ、カムカム、ビンロウジなどの果物
が中国大陸市場にどんどん入っている。これら果物は大変受けがよく、台湾との農
産品貿易の規模は年々拡大している。
 王文福さんはリンゴ園を指しながら、いつの日か、味と品質がよい、保存に耐え
る洛川リンゴが台湾人の食卓にあらわれることが自分の願いだと記者に話した。

 統計によれば、内陸の陝西省は既に700余りの台湾からの投資プロジェクトを誘
致し、台湾からの海外直接投資は実質ベースで10億ドルを超えた。投資は、電子電
気、ソフトウエア開発、食品加工、飲食サービス、不動産、建材、化工製品などの
分野にわたっている。〔中国新聞網2008年10月12日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                       (中国人民銀行10月3日17:33)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.9353  682.88    88.1   873.37
関連ページ:http://www.boc.cn/
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《編集者コラム――夜景》
 最近「めろんぱん」(http://www.melonpan.net/)というメールマガジン配信サ
イトの表紙で《中国最新情報》が紹介され、対前月比50%の読者数の伸びとなりま
した。宣伝効果を実感しました。御購読ありがとうございます。
 連休中は秩父方面にドライブしつつ、以前よく遊びに行った山道を通りながら夜
景を見てきました。かつて夜景がよく見えた場所は、今となれば木が大きく成長し
見えにくくなって視界を遮っていました。時の流れを感じました。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手(記事検索も行えます)
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:リン 呂君 澤田裕子 林学成 周英
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