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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.763 2021年10月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:宿題と塾通いを減らす双減政策の行方】
●双減政策実施 校外研修熱の抑制と資本化経営の禁止
●双減実施で校外研修冷え込み

┏【李年古の日中異文化交流術】
●コーチングマネジメントの魔法 3
◆魔法のテクニックだけではうまくいかない原因

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……【特集:宿題と塾通いを減らす双減政策の行方】………………………………
●双減政策実施 校外研修熱の抑制と資本化経営の禁止
 中国共産党中央弁公庁、国務院弁公庁は先ごろ、「義務教育の段階における生徒
の宿題と校外研修の負担を更に軽減することに関する意見」(以下、「意見」)を
発表した。

 「意見」は5つの分野での措置を明確にしている。
一、塾の厳しい許認可を堅持すること
二、資本化運営を厳しく禁止すること
三、研修内容の記録と監督制度を確立すること
四、教科類の塾の開始時間を厳格に制限すること
五、教科類の費用に政府指導価格を盛り込むこと。
 塾管理の分野で新たな状況、新たな問題が生じており、国は更に一層関連する法
律、法規及び制度を整備する。

 「双減」(宿題と塾通いを減らす)事業は、北京、上海等9つの地区を試行地区
とする。

 主に3つの分野の問題を試験的に実施する。
一、既存のオンライン・オフラインの教科類の塾に対して全面的に厳重な検査を行
  い、登録を再検討し、過剰に氾濫している問題を解決する。
二、非教科類の塾の放課後サービスへの参加を適切に導入することを模索し、教育
  部が責任をもって塾の選別を行い、学校に使用する選択肢を提供し、あわせて
  評価を確立し、規制を撤廃する。
三、塾費用の監督管理の強化、教科類の塾に政府指導価格導入、第三者寄託を通じ
  た危機準備金などの方法で、塾の前受費用に対するリスク管理制御を行い、
  「返金難」等の問題が生じるのを予防する。
〔中国産業経済信息網2021年7月27日〕

●双減実施で校外研修冷え込み
 近年の各種塾と高騰する塾費用は、子供たちの従来の楽しい夏時間を最大限に占
拠するだけでなく、その結果として生じる「教育不安」は更に多くの親に巨大な経
済的圧力を背負わせている。このような状況下で政府が発表した「双減」政策によ
って、人気の塾の授業をやめざるを得なくなる。

 進学圧力のもと、2020年に中国の親が貴重な財産を費やした中国のK12教育市場
の全体規模は7000余億元にまで拡大している。そのうち、オンライン教育市場は
2573億元で、過去4年間の複合年間成長率は驚異的な34.5%に達する。

 数学は1クラス200元、英語は1ターム2000余元、趣味のサークルは一時間400余元
と、各種の塾の請求書は「お札シュレッダー」とでも呼ぶほかない。
 ある親が語ることには、彼は毎年夏休みに少なくとも2万元を費やして子供に課
外授業を受けさせているが、これは彼らのような普通の共働き家庭の1カ月余の収
入である。仮に5人で共同購入する小グループの授業を選択すれば、価格は更に高
くなる。

 しかし、子供にとってみれば、生まれつき探求生活を好むのであって、多くの休
暇を補習授業に費やして犠牲にすることを決して望まない。
 ある調査データによると、中国の小学校、中学校段階の学生が課外補習を望む割
合は総じて低く、自発的に補習授業を求めるのはわずか17.5%、余り参加したくな
い53.2%、積極的に避けたい29.3%であった。「親の強制」と「周りの同級生の影
響」が、学生たちが補習授業に同意する主な理由となっている。
〔中国産経新聞報7月15日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●コーチングマネジメントの魔法 3
(前号から続く)
◆魔法のテクニックだけではうまくいかない原因
 ただ、日本でコーチングをうまくできたリーダーも、中国人部下を動かすには同
じ効果が期待できないケースが多い。なぜならば、中国では日本と異なるビジネス
慣習や文化に対する理解が必要だからである。

 ある日本人経営者が、次のような悩みを相談しに来た。
 「会議の席で、中国人社員は余り積極的に発言しない。発言を促しても問題ばか
り並べ、自分なりの解決法を考えたり提案したりしないんです。僕はかたくなに結
論を言わず、繰り返し「どうしたらいいと思う?」と皆の提案を求めます。
 この問いかけは、コーチングマネジメントの「魔法の問いかけ」と言われるほど
効果的ですが、中国では全く効果がありませんでした。皆の意見は最後までばらば
らでまとまらず、会議は終わってしまいました。しかも、翌日参加者が「うちの社
長は何にも決められない。どうしたらいいかを連発して皆を困らせているばかり」
とうわさしているのが聞こえました」

 これは、社長の勘違いによって自分のイメージを台無しにした好例である。
 中国では、会議に顔を出した上司は、一応皆の意見を聞く姿勢を見せて、最初の
うちは自分の発言を控えているが、最後には必ず独断的な結論を言い渡す。たとえ
部下の意見が違っても、必ず決断を下す。そして、全員がその決断を最終決定とみ
なして服従する。
 このトップダウン式の意思決定スタイルは、中国の組織文化の特徴とも言える。
中国語で「老板拍板」(ラオバン・パイバン:ボスが決断を下す)という。「それ
で決まり!」という決断方法は、リーダーの気概を見せるのに効果絶大である。
 逆に、日本式にボスが最後まで参加者の意見がまとまるまでじっと待つだけでは、
上司失格という汚名を着せられてしまうだろう。

 この経営者が失敗した原因はもう一つある。つまり、前述したとおり、中国では
常に部下を考えさせるような管理法は上司も部下もなじんでいない。「どうしたら
いいと思う?」と問いかけを受けた部下は、上司自身が決断する能力がないからそ
れを口にしていると捉える可能性がむしろ高い。
 だから、その言葉をかける前に、まずはその意図や狙いを部下にしっかりと理解
させておくべきである。そして、その問いかけの答えを必ず用意しておくことだ。
疑問に即答できる上司こそ部下に尊敬されるからだ。

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
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(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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