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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.758 2021年6月5週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:モバイルゲームで楽しむもう一つの人生】
●毎日7億人がモバイルゲームでもう一つの人生を体験

┏【李年古の日中異文化交流術】
●なぜ、日本人の管理手法は不評を買ってしまうのか

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……【特集:モバイルゲームで楽しむもう一つの人生】……………………………
●毎日7億人がモバイルゲームでもう一つの人生を体験
 多くの中高年が、「ゲームを理解できなければ若者の輪に溶け込めないし、若い
友人をつくることなんて到底できない。特に、大衆モバイルゲームは、今や誰もが
楽しむものになっている」と話す。

 そのデータあるいは、より直接的な証明がある。Mob研究院が発行した「2021年
中国モバイルゲーム業界における深層洞察報告」によると、2020年、中国モバイル
ゲームユーザー規模は7億人近くに達した。2020年、中国ゲーム市場全体の実質売
上収入は2800億元近くで、そのうちモバイルゲーム市場の増加速度が鮮明だ。その
シェアは年々上昇し75%に達し、ゲーム業界において多大な影響力を持つ。
 10年前、スマホネットユーザーはわずか1.9億人であったが、今日では、中国に
おける半数の人口がモバイルゲームを利用する。

 幾人かの若者からすると、ゲームは現在、彼らにとってのソーシャルツールとな
っている。彼らに言わせれば、ゲームでは戦略を研究でき、知育にもなる。ゲーム
を通じて、集団名誉感、家族帰属感を得られるという。「これは一種の代替なんだ。
一種の娯楽であり、精神的代替なんだ」

 若者世代のゲームに対する姿勢は非常にオープンで、両親や子供も巻き込んで、
一緒にプレイするほどだ。ある若者はこう話す。「昔は、多くの家長が子供のゲー
ム遊びに反対していた。子供が外でコミュニケーションをとらないことになり、正
常な生活に影響を及ぼすのを心配したからだ。今は、多くの人々がゲームでコミュ
ニケーションをとっていて、反対する声は徐々に減ってきた」

〈携帯が大衆ゲームを促進〉
 ゲームに対する大衆の偏見は徐々に減り、また一方でゲーム産業の体系化が進ん
でいる。
 クアルコムやメディアテックなどICチップメーカーは皆、モバイルゲーマー向け
ICチップを特に売り出すようになったが、これは、この市場に多くのユーザーがい
ることを証明している。
 携帯メーカーであれば、Black SharkやRed Magic、Lenovo Legionなどゲーミン
グスマートフォンがあり、iQOO、OPPO Aceシリーズ、realme X50 Proゲーマー版、
Redme K40ゲーム増強版などゲームのラベリングを持つ大衆携帯もある。

 多くのゲーム愛好者は「総合力が高い携帯こそがよいゲーミングスマートフォン
である」という概念を持ち、だからこそ携帯メーカーは若者の歩調に絶えずついて
いこうとする。ゲーミングスマートフォンの意図とは少し異なるが、一部のメーカ
ーは大衆ゲームの属性を強化し始めた。OPPOが最近発表したReno6シリーズはこの
一例だ。
 先日、Reno6新作発表会で、プロダクトマネージャーの王以恒氏が示したデータ
によると、今年1月、OPPOの全機種ユーザーのうち毎月約3500万人が、Renoユーザ
ーでは約1500万人が「王者栄耀」をプレイしていた。

 アイリサーチ・コンサルティングの報告によれば、中国ゲーム市場にはカジュア
ルユーザーが多く存在し、カジュアルゲームやテーブルゲームが1位、2位を保持す
るが、「和平精鋭」と「王者栄耀」を始めとするシューティングゲームやMOBAは大
多数の浸透率に支えられている。
 多重の要因が重なり合う中で、いかにカジュアルユーザーと日常的な携帯需要と
のバランスをとっていくか。これが大衆ゲーム路線の携帯メーカーが考慮しなけれ
ばならない点である。

〈ゲームの中で友達をつくりビジネスを行い、もう一つの生活を送る〉
 中国ゲーム市場において、モバイルゲームは一貫として支配的立場を持ち、市場
規模、ユーザー数、アクティブユーザー数のどれをとっても高い数値を保っている。
 Mob研究院の発表した「2021年中国モバイルゲーム業界における深層洞察報告」
によれば、2020年、中国モバイルゲーム市場は2000億を突破し、ゲーム業界全体に
おけるシェアは年々上昇し75%に達した。また、国内モバイルゲームユーザー浸透
率は比較的高く、そのユーザー規模は7億人に近いという。
 過去のプレイヤーは物語性を求めたが、現在は女性や年齢の低いプレイヤーがふ
え続けており、メーカーは日本路線でゲームデザインを進めている。画風を重視し、
「原神」のような二次元大型作品を誕生させた。

 「魂斗羅」や「超級馬里奥」のような過去のゲームは、どれもゲームをクリアす
る方法が単一で、プレイヤーは筋書きに沿ってゲームを進める必要があったが、若
者が好むゲームの多くは自由なゲーム世界になっていて、タイミングや地点によっ
て異なるストーリーが展開されたり、自由度や持続可能度がより高くなる。もちろ
ん、自由なゲーム世界は難易度もより高くなる。
 過去にプレイヤーがゲームで表現したのはテクニックであったが、現在はコミュ
ニケーションをできるか、美的感覚を表現できるか、ゲーム内のコミュニティーを
通したものであるかになっている。それらの背景に共通しているのは、ゲームが生
活に入り込み、若者の新たなコミュニケーションツールになったことに加え、若者
に対し、より多くの個人的価値、集団的価値をもたらしていることである。

 ゲームで友達づくりをするプレイヤーもいる。
 「大型モバイルゲームは、基本的には既に若者の出会い系ソフトになっており、
単純な楽しさ以上のものを与えている。それはゲームで人間性を見ることだ」、こ
れは余暁氏の処世哲学である。
 余暁氏の経験によると、市場にあるゲームは人を「自動的に分類」できている。
PUBGが好きな人は短気かもしれないし、一人プレイがメーンの人は穏やかな性格、
RPGが好きなら感情が繊細といったように、一度のプレイで、誰がリーダー、楽観
的、言い訳が多いか、さらにトラブルメーカーかを見ることができる。

 ゲームでビジネスパートナーづくりをするプレイヤーもいる。
 汪芸樺氏にとって、ゲームをやる最大の価値は、見知らぬ人との話題がある、別
の展開の可能性があることである。「新しく人が加わっても、話したことがない人
にビジネスの声をかけにくいが、よく一緒にゲームをしていれば、ビジネスの声を
かけやすくなる」、ゲーム内で「相手がトップになるようにアシストすることは、
形を変えた生死の交わりのような気がするが、現実生活でこのような感覚は見つけ
にくい」。

 ソーシャル属性が加わり、ゲームの楽しさは、ゲーム自体だけでなく、やりとり
を「一緒にする」という双方向性もある。「一人プレイでは自分自身の楽しさだが、
チームメイトとともに勝利する達成感は2倍の楽しさ、ゲーム仲間がビジネス仲間
になれば3倍の楽しさ、ゲームがタイムラグやフリーズしなければ4倍の楽しさがあ
る。
 たくさんの世代のプレイヤーがゲーム内で成長しているが、現在の若者のモバイ
ルゲーム浸透率は想像を超えるものがあり、複数のプレイヤーが自分の好きなゲー
ムについて紹介してくれる。
 ある心理学者は、ゲームがもたらすものについて、第1段階は暇つぶし、楽しさ、
ストレス解消、第2段階は精神的支え、美的感覚の進化、第3段階は文化普及、人生
体験の豊かさと説明する。
 携帯ゲームはもはや娯楽ツールや社交ツールではなく、若者の精神的なよりどこ
ろ、第二の人生なのかもしれない。
〔聯商網2021年6月2日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●なぜ、日本人の管理手法は不評を買ってしまうのか
 今でも、中国の深センで出会ったある日本人経営者の話が頭に焼きついて離れない。
 シャングリラホテルでの講演を終え、多くの参加者の質問を受け、僕がロビーを
出ようとしたそのとき、彼は突然僕の目の前にあらわれた。

 「先生、きょうのお話を聞いて、どうしても釈然としないことが一つありまし
た」。僕の返事を待たず、彼は続けた。
 「先ほどの講演で、先生は中国人をマネジメントするコツは「感動を与えること
だ」と何度も繰り返されましたよね。それは、明らかに嘘ですよ」。
 彼の表情には苦渋の色が浮かんでいる。よく観察すると、僕を責めるというより
も自分を納得させようとしているように見えた。ひとまず彼に落ち着いてもらい、
つい最近彼が遭遇したあることに耳を傾けた。

 「この間、弊社の工場が火災に遭い、女子社員の一人がやけどを負ってしまいま
した。入院している間、僕はどんなに忙しくても毎日病院に通い、落ち込んでいる
彼女を慰め続けました。もちろん、入院費用も全額会社が負担すると約束しました。
僕は十分彼女を感動させたと思います。
 ようやく、女性社員が回復し、退院の日を迎えました。その夜、僕は花を持って
彼女を迎えに行ったんです。しかし、病室に入ると信じられない光景が目の前に入
ってきました。――彼女がどこにもいない。既にどこかに消えてしまっていたので
す。それ以来、彼女はまるで蒸発したかのように、全く音信不通になってしまいま
した」

 正直に言えば、この女性の行動はどう考えても不可解だ。しかし、僕はしばらく
考えてから、慎重に、一つ質問を投げかけてみた。すると、その経営者が口を開け
て叫び出した。「そんな馬鹿なことで?まさか!」
 彼はまるでリング台に沈んだ選手のようにぼう然として長いこと沈黙していたが、
やがて声を震わせて言った。「確かにそのとおりかもしれません。5年もここで経
営者としてやってきたのに、そんな中国人の心理も分かっていなかったなんて」。
 彼が自分を責める必要は全くないと僕は思った。中国で彼以上に大きな失敗をし
て挫折し、再び立ち上がることもできず、長い中国駐在の生活を後にした日本人が
どれほどいるか、僕はよく知っているからだ。

 数年前、僕が湖南省の故郷に帰ろうとすると、ある大手企業の現地社長が追いか
けてきた。飛行機に乗る直前のすき間の時間を利用して、彼は、この1年間の中国
人スタッフとの理不尽な戦い、いや、本人に言わせると、壮絶な戦いを一気に披露
してくれた。そして、僕を彼の会社の特別顧問としてすぐにでも雇いたいと言う。
 後日、僕はその会社の課長クラスの中国人社員5人ほどと面談した後、彼に一つ
だけアドバイスをした。そのアドバイスは、彼の数十年の管理者としてのプライド
を深く傷つけるものだったかもしれない。
 「これから、あなたの仕事の時間と量を半分に減らしてみてください。残りの時
間はゴルフでも何でも別のことに充てる、とりあえずそのことを全管理者の前に宣
言してみてください」。

 それからしばらくすると、彼からの連絡は一切来なくなった。中国人スタッフか
らのメールだけが密かに送られてきた。「社長に何を言ったのですか。今では彼も
会社もハッピーになってきましたよ」それは素直に喜びを伝えるメッセージだった。
 もちろん、その一言は無料のアドバイスだったので、僕の会社の年間コンサルタ
ント料はふいになってしまったのだが。

 このようなエピソードは他にもたくさんある。決して大袈裟ではない。たくさん
あり過ぎるため、僕の企業研修に参加していただいた中国ビジネスキーパーソンは
皆、時に口をそろえてこう言う。「中国人社員を管理するのは至難のわざだ」と。
 このような言葉を聞くたびに、僕は、中国人社員をいかにうまくマネジメントす
るかということが、どの企業にとっても共通した悩みなのだということを切実に感
じる。

 一方、日系企業に勤める中国人に会うと、彼らの中には次のような辛口の意見を
言う人もいる。「日本人には本当の管理者がいないようだ。いるのは専門の技術者
のみだ」。
 つまり、日本から派遣された駐在員にマネジメントの素質を持つのは皆無だと言
いたいのだ。余りにも極端な見方で賛同しがたいが、残念なことに、これは彼らの
目に映った真実そのものである。駐在員の中には、中国人の考え方や価値観を理解
し切れず、マネジメントの力量を発揮できないまま、現地の人々の不信・不満を買
ってしまう人もいる。

 では、相手の考え方や行動パターンを的確にとらえるために、日中双方には一体
どのような知識とスキルが必要になるのだろうか。さまざまな成功・失敗例をもと
に、互いに信頼関係を築けるノウハウを探り、提案していきたい。身近な実例を取
り上げながら、それぞれの背後に隠れた社会的背景、文化的背景を分析してみたい。
 そして、これを読んで、対中ビジネスのコツと技法を身につけていただきたい。
そうすれば、この記事の冒頭で挙げたケースを理解した上で、対処法も解けるに違
いないだろう。
(次号以降に続く)

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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