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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.807 2024年1月5週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【お知らせ】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 「中国最新情報」は編集者多忙につき、1カ月間休刊します。
 次回配信は2024年3月3週の予定です。

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:今どきの中国の小学生の休み時間の過ごし方】
●トイレ時間が子供たちにとって学校で一番幸せな時間
●人口のマイナス成長は来世紀まで続く 人的資本投資強化が必要

┏【東西問】
●庭園が東西文化交流にもたらす柔軟性とは
●なぜ中国が今、最も重要なグローバル・タスクの一つなのか
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……【特集:今どきの中国の小学生の休み時間の過ごし方】………………………
●トイレ時間が子供たちにとって学校で一番幸せな時間
 親として、現在子供が学校で遭遇する状況は思いもよらないことである。それは、
自分たちが子供のころにあった、」授業と授業の間の10分間の休み時間が、自分の
子供たちの世代にはなくなっていることである。
 北京市の都市部にある多くの小学校の保護者、学生、教師を取材して忘れられな
いのは、私立、民間、インターナショナルスクールを除く、公立小学校の多くは、
児童に休み時間の行動に制限をかけている。それは、トイレか水を飲むということ
でしか教室を出ることができないということである。しかもそれは、北京、上海、
広州、成都などなどだけでなく、10分間の休み時間がなくなっていることは全国的
な現象となっている。

 授業と授業の間の休み時間がなければ、子供の運動が足りなくなるし、友達との
交流も難しくなる。
 ある保護者によると、娘は1カ月以上学校に通っているのに、まだクラスの何人
かの同級生を知らないし、友達ができないことはもちろんだが、最近はほかのクラ
スの子供と、あろうことかトイレでよく会うようになったという。
 それによると、多くの学校で、休み時間にクラスを出ないことが、既にスローガ
ン、規則、賞罰となっており、子供の生活の中に溶け込んでいるとのことである。
 この保護者の娘の学校では、「金切り声を上げない、むやみに走り回さない」こ
とがスローガンになっている。これはスローガンだけでなく、学校では、休み時間
に一番静かだったクラスに加点し、外で遊ぶために走り出す子供を減点している。

 とはいえ、上に政策あれば下に対策ありというもので、子供にも子供なりの方法
がある。休み時間にはトイレに行くことでしか教室を出られないので、トイレに行
きたくても行きたくなくても、まずトイレへとチェックインするのである。
 トイレに行くのが小学生にとって最も楽しい時間となる。もし、トイレで幼稚園
の親友にばったり会おうものなら、その感動は言葉では表現できない。そして、だ
んだんトイレが小学生たちの出会いの場所となるのである。

 北京海淀区に住むある母親が息子から聞いた話では、多くの友達はトイレで知り
合ったのだという。クラスでは話をしないで、クラスメートと一緒にトイレに行く
ことを約束する、そして、トイレでおしゃべりしたり、ゲームしたり、トイレでお
やつを盗み食いしたりしているとのことである。
〔閲読第一2023年10月30日〕

●人口のマイナス成長は来世紀まで続く 人的資本投資強化が必要
 国家自然科学・社会科学基金の重大課題主席専門家の左学金氏は、中国の人口の
マイナス成長は来世紀まで続くと見ている。

 11月4日に開催された中国と世界経済を研究する学術シンポジウムの席上、左学
金氏は、中国の人口変動が直面している不確実性として、まず挙げられるのは、人
口のマイナス成長と高齢化傾向と指摘した。
 2022年末の全国人口は前年より85万人減少し、人口はマイナス成長へと転じた。
中国の人口変動が抱えるリスクは、人口の持続的なマイナス成長、極度の低出生率
と急速な高齢化である。
 左学金氏は、出生率も直面する重要な問題の一つだと見ている。左学金氏と学者
数人による安定人口モデルのシミュレーション結果によると、中国の出生率は2040
年には世代が置きかえられるレベルにまで回復しなくなる可能性が高く、人口のマ
イナス成長は来世紀まで続く。

 人口トレンドは変遷し、それに伴い人口移転で全国の人口分布が再構築されてい
る。左学金氏は、今後、中国の人口と経済活動は、沿海三大都市群、沿江二大都市
群、一部の交通沿線都市群に集積し、人口全体が縮小しても集積傾向は変わらず、
むしろ、人口移動のプッシュ型、プル型の作用でこの傾向が強化されると見ている。
〔2023年11月5日第一財経〕
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……【東西問】……………………………………………………………………………
●庭園が東西文化交流にもたらす柔軟性とは
 庭園は、人々の心の中にある理想郷を具現化したものであり、世界中の人々に愛
されている。中国の頤和園、拙政園、フランスのベルサイユ宮殿庭園、英国のキュ
ー・ガーデンズなど数多くの庭園が世界的に有名である。人々の生活への憧れや美
学への追及を凝縮すると同時に、東洋と西洋の庭園もまたそれぞれ異なる概念を反
映し、知らず知らずのうちに影響し合っている。
 庭園文化を深く研究している中国南京大学建築都市計画学院の魯安東(ルー・ア
ンドン)副院長が先ごろ、「東西問」の独占インタビューに応じ、文化交流の観点
から語ってくれた。

インタビューの概要は以下のとおり

中新社記者:「中国式庭園」とそれに関連する文化の解釈についてお聞かせください。

魯安東:「中国式庭園」といえば、誰もが思い浮かべるのは非常に古典的な古代庭
園ですが、中国の古代には「中国式庭園」という概念は存在しませんでした。
 二十世紀の初め、日本の文化界及び学術界が日本文化の根源をたどるために、中
国を系統的、学術的に考察しました。それに伴い、中華民族の民族意識が目覚め、
これにより、中国の学者たちは中国の伝統文化を再発見、認識、洗練させることに
力を注ぐようになりました。これも当時の時代の要請でした。

 この波の中で、梁思成及び営造学社の人々による中国木造建築の詳細な発掘にせ
よ、童ジュン氏の蘇州庭園の調査にせよ、中国の学者たちは「中国らしさ」の探求
と構築に積極的かつ意識的に取り組み、世界の民族における中華民族の核心的な価
値のありかを探求しました。現代の世界的枠組みの中で、中国人の「中国らしさ」
を認識、構築し、革新したのです。
 古代中国の人々は、「中国式庭園」という概念を持っていませんでしたが、外か
らの視点があったからこそ、「中国式庭園とは何か」という現代的な再検証が行わ
れたのです。「歩移景異」(歩きながら景観の一つ一つの対比的変化を求める)な
ど、現在の庭園に登場する多くの用語や概念は古代には存在せず、再検証の成果な
のです。

 私たちが庭園について議論するとき、二つの側面から議論する必要があります。
一つは、文化遺産としての古代庭園です。同時に、現代中国では、庭園の再検証が
継続的に行われ、1950年代に不純物を取り除くことであらわれたのは、もはや閉ざ
された空間で古代人が一人あるいは仲間同士で鑑賞したような庭ではなく、「大地
の庭園化」という働く人々のための庭園であるということを認識する必要があります。
 今日、庭園は文化遺産として当然保護されなければなりません。しかし、現代の
空間文化や都市イノベーションに庭園をどのように組み込むべきかを考えることも
重要です。例えば上海では、南京市の東南大学の童明教授が回廊形式を利用して、
もともと小さいエリアを閉ざしていた塀を帯状のミニチュアガーデンに変えました。
庭園の空間的言語は人々に受け入れられ、これまでネガティブだった居住区の境界
が、現在はポジティブな都市空間へと変化したのです。これは非常に生命力のある
アプローチです。


中新社記者:東西交流において、庭園及び庭園文化はどのような役割を担っている
のでしょうか。どのように影響し合っているのでしょうか。

魯安東:どの文明や文化にも、それぞれの庭園文化があります。現代の東西の庭園
文化に関する議論では、より多様な理解が求められています。このような異なる地
域間の文化の違いは、ある程度認められ、大切にされるべきで、異なる文明や文化
間の相互交流の媒介として捉えるべきです。庭園は、まさにそのようなものです。

 「西洋式庭園」は非常に広い概念で、今回は主に英国式庭園に焦点を当てること
にします。
 英国式庭園は、フランスに代表されるヨーロッパ大陸の正統な文化に対する一種
の抵抗であったことを多くの文献資料が示しています。英国式庭園文化には、英国
人の非常に強烈な自文化への愛があらわれています。

 フランスの庭園文化が根強い時代に、新しい空間モデルを考案するのは大変なこ
とだったのです。フランス式庭園に対抗して英国人が見つけた「救世主」は中国式
庭園だったのです。
 17世紀以降、中国に渡った外国人宣教師たちは、中国式庭園に関する絵や文献資
料をヨーロッパに持ち帰りました。これらの資料に基づいて、英国人は似て非なる
多くの概念をつくり出しました。ベルサイユ宮殿の庭園に代表されるフランスの庭
園文化に対抗して、遠方のすぐれた中国式庭園文化を想像しつくり上げたのです。
中国式庭園と文学の関係もまた英国人に模倣され、英国式庭園の西洋風あずまやや
高楼も、中国式庭園と同様に題名を非常に重視しました。
 英国人は、規則的で幾何学的な美しさを重視したフランス式庭園と比較して、中
国式庭園の方が精神面や心を重視していると考えました。そのため、英国式庭園に
は、ロマン主義の要素である喜び、悲しみ、情熱、沈思が多く含まれています。結
局、これらの建築デザインは中国式庭園から踏襲されたものなのです。

 英国式庭園のこのような文化は、絵画のように美しいを意味するピクチャレスク
(picturesque)という一つの概念に凝縮されています。ピクチャレスクは、汎ヨ
ーロッパにおけるロマン主義運動の象徴的な言語となり、ドイツ、北欧、フランス
等に多くの英国式庭園が出現することになったのです。これは、単なる複製や模倣
ではなく、再創造のプロセスであるため、大量のもっともらしい誤読は許容された
のです。再創造後は、中国的な要素は残ってはいるものの、本来の中国式庭園とは
余り関係がなくなってしまいました。

 国立のフランス芸術アカデミーを経て、ピクチャレスクが正式に確立されたので
す。20世紀に入ってからのフランス人によるピクチャレスクの再構築は、二つの方
法で展開されました。一つは、有名な建築家ル・コルビュジエによって、モダニズ
ムの基本原理である建築的プロムナード(Architectural Promenade)となり、もう
一つは、ピクチャレスクの都市景観(Townscape)の概念へと発展していったのです。
 逆にわかったことは、この二つの手がかりが20世紀の中国に大きな影響を与えた
ことです。ル・コルビュジエの建築的プロムナードは、前述した中国式庭園の再検
証における「歩移景異」へと変化したのです。都市計画におけるピクチャレスクは、
1950年代から60年代にかけて世界に大きな影響を与えました。
 例えば、米国・ニューヨークのセントラルパークは、英国式庭園を模して造られ
ていますが、ある意味中国式庭園とも深く興味深い関係があります。これは、東洋
と西洋との文化間の相互影響、学習、参考、融合を示す特によい例です。このこと
からも、異文化間の交流を通じて互いに刺激し合いながら再創造が常に行われてい
ることがわかります。その過程で生まれた新しいものに対して、寛容であることが
大切です。文化交流とは、単に互いの物語を語るのではなく、とことん話してぶつ
かり合って全く新しいものを生み出すことです。これが文化交流の真の意味です。

中新社記者:庭園とその関連文化をめぐる交流は、東西交流の現在、さらには未来
にとって、どのような意味を持つのでしょうか。

魯安東:中国式庭園は、人々の経験と精神世界を核としているので、言語とイデオ
ロギーの垣根を越えて、人々の心を打つことができるのです。
 中国が世界に門戸を開いたばかりの1980年代ごろ、中国式庭園は東西交流の「大
使」のような役割を担っていました。それは、中国人の伝統的な日常生活や精神世
界を小さなホログラムで再現したものです。例えば、米国・ニューヨークのメトロ
ポリタン美術館の中国式庭園明軒では、米国人が中国式のテーブルと椅子で、お茶
を飲み、書画の鑑賞をして、中国人の精神世界や文化世界に比較的すんなりと入り
込むことができるのです。
 しかし、これは中国と外国の文明が初めて接触したときの、比較的表面的な交流
にすぎません。現在も、そして未来も、この程度のコミュニケーションでは到底足
りません。
 中国式庭園は重要な文化遺産であり、しっかり保存する必要があります。「いに
しえを守り、いにしえに従う」という枠組みから飛び出して、庭園をめぐる中国の
故事を語りながら、庭園と現代の科学技術、人類の未来とのつながりを現代の人々
で新しく構築する必要があります。
 中国式庭園は、人と自然、文化等が調和のとれた共生をするいにしえの理想的な
住環境のモデルです。今後、エコロジー、テクノロジー、文化が人々の日常生活の
中でどのように融合していくのかについて重要な示唆を与えてくれます。
 これまで、中国式庭園は、全人類の文明の遺伝子として、現代社会における数々
の文明の創造をさまざまな場面、時代で鼓舞し支えてきました。 今後、私たちは
また、新しい文化交流において絶えず革新や再創造を行い、庭園に代表される中国
のすぐれた伝統文化の継承と発展のために、より大きな空間を提供し、より多くの
生命力を注入しなければなりません。
〔中国新聞網2022年10月31日〕

●なぜ中国が今、最も重要なグローバル・タスクの一つなのか
 「世界的視野における中国文明と中国の道」をテーマとする世界中国学大会・上
海フォーラムが24日上海で開幕し、開会式で2023年中国学貢献賞の受賞者が発表さ
れた。シンガポール国立大学アジア研究院名誉フェローのキショール・マブバニ氏
は、受賞者3名のうちの1人である。

 「中国を西側諸国に説明することに誠実に取り組んでいる人物として中国で認め
られたことに深く感動している」マブバニ氏はビデオメッセージで亡き友人エズ
ラ・ヴォーゲルの言葉を引用した。 ヴォーゲル氏は米国の著名な中国専門家で、
「現代中国の父 トウ小平」などの著作は世界的に有名である。ちょうど10年前の
2013年に、ヴォーゲル氏は世界中国学貢献賞を受賞している。
 「中国を解釈する」ことについて、マブバニ氏はスピーチの中で、中国に対する
世界的な理解を深めるために一層の努力をするとし、「今日の世界における最も重
要な課題の一つは中国をより深く理解することであり、中国の知恵は世界がよりよ
い未来を創造するのに役立っている」と述べた。

〈共同体から世界を見る〉
 キショール・マブバニという名前は、中国の読者にもだんだん知られるようにな
ってきた。この学者肌の外交官は、「アジア復興」という概念の提唱者、シンガポ
ールの「小国のための大外交」の理論と実践の発展の推進者、そして世界的な影響
力を持つ鋭い思想家として、外の世界ではよく知られている。「私は世界的に中国
への理解を深めるために努力してきました。このことが認められたのは大変光栄な
ことです」と同氏は語った。
 なぜ中国研究にかかわっているのか。なぜ中国に対する理解の言葉や思考が一貫
しているのか。マブバニ氏は、中新社の「東西問」のインタビューでは、中国文明
の台頭や復興は西洋文明に脅威を与えるものではなく、既存のグローバルな枠組み
や多国間機関の能力を強化することで、グローバルな課題に対処するための共通の
価値観が全ての当事者によって合意されるべきだと主張した。
 同氏はまた、長い歴史的観点から中国を研究することに長じている。スピーチの
中で、「中国の回帰、つまり世界で最も長い歴史を持つ連続的な文明の回帰は、全
く自然な展開である」と述べた。西暦紀元から1820年まで、中国とインドが世界の
2大経済大国であったことは紛れもない事実であり、人類の歴史における真の異常
は、過去200年にわたる西洋の支配であった。全ての異常は自然に終えんを迎える
ものであり、中国やインド、そのほかの偉大なアジア社会が自然に復興したことの
説明にもなる。

〈注目されるアジアの復興〉
 「アジア復興」は、マブバニ氏にとって常に関心の対象であった。33年間の外交
官生活において、多くの国や国際機関に駐在し、国連安保理議長も務めた。シンガ
ポールに戻ると、リー・クアンユー公共政策大学院の初代院長を務め、世界秩序の
再構築におけるアジアのリーダーシップの役割を積極的に推進した。
 これまでの著書「アジア人は考えることができるか」「「アジア半球」が世界を
動かす」、「中国の選択」、そして2022年刊行の新刊「アジアの21世紀」まで、著
述の中心は基本的にアジアの問題である。同氏にとっては、「アジア復興」が21世
紀で最も影響力のある出来事になっている。
 「欧米主導のグローバル・ガバナンス秩序は、グローバルな課題への対処におい
て、コンセンサスの欠如、非効率性、不十分な行動を示しており、21世紀の地政学
的状況を見るのに、いまだに時代おくれの19世紀の地政学的思考を使っている」マ
ブバニ氏は著書「アジアの21世紀」の中で、2世紀にわたる沈黙の後、アジアが復
興と繁栄に向かっている兆候があると論じている。そして、アジアの復活を前にし
て、西側諸国はそれを受け入れ、対応する調整を行うことを拒否しており、その結
果、将来の不確実性を悪化させている。
 「残念ながら、西側の指導者や政策立案者は、目の前で展開している「アジアの
21世紀」を受け入れる準備が知的にも感情的にもできていない。しかし幸いなこと
に、世界の非西側地域の88%がこれを受け入れている」とマブバニ氏は強調した。

〈文明から中国理解〉
 「世界のほとんどの社会、特にアジアでは、数世紀ひいては何千年にもわたって
中国と密接な関係があり、中国文明の深遠な知恵に対する深い尊敬の念が存在して
いる」とマブバニ氏は語った。
 同氏の見解では、人類の運命共同体、特に西洋における中国への理解を深めるこ
とが、緊急かつかつてないほど必要である。中国の回帰、つまり世界で最も長い歴
史を持つ連続的な文明の回帰は、全く自然な展開である。
 「知恵を分かち合うことで、中国はよりよい世界の共同創造に貢献している。だ
からこそ、今日の最も重要な世界的課題の一つは、中国に対する理解を深めること
なのだ」マブバニ氏の見解では、中国文明の台頭や復興は西洋文明に脅威を与える
ものではなく、中国は「文明衝突論」を信じておらず、中国文明、西洋文明、その
他の文明を含む多くの文明が共存できるとかたく信じている。
 「中国は過去2000年間、ユーラシア大陸で最も強力な文明国であった。もし中国
が本質的に軍国主義的であれば、西洋列強のように海外領土を征服していただろ
う」とマブバニ氏は指摘した。中国の歴史を少し勉強し、中国の海外植民地拡張の
実績がゼロであることを理解すれば、「中国の脅威」に対する深い恐怖を和らげる
ことができるのである。「実際、中国は米国やほかの大国と協力し、迫り来る世界
的な課題を解決しようとしている。今日の人類は運命共同体であり、これは人類が
よりよい世界を創造するための絶好の機会と捉えるべきである」

〈つき合いから中米を観察する〉
 シンガポールという文化のるつぼで育ち、仕事をしてきたマブバニ氏は、アジア
の伝統と文化に薫陶を受けてきた。また、米国ワシントンとニューヨークで10年以
上の勤務経験があるため、欧米の文化や政治、特に米国文化にも精通している。
 同氏は、何度も米国の「フォーリン・ポリシー」誌に「世界外交政策分野のトッ
プ思想家」の一人として推挙されており、米外交政策協会は授賞式で「歴史と哲学
を愛する天才外交家、思考に長けていて人の心を啓発する作家」と称した。
 中米関係に関して言えば、同氏は中米間の相互理解の欠如は理解できると考えて
いる。というのも、過去200年にわたる両国の異なる歴史的経験が、両国の異なる
見方を決定づけたからである。過去150年間、アメリカは大きな成功をおさめてき
た。対照的に、中国は1842年から1949年まで屈辱を味わってきた。その結果、中国
は「中華民族の偉大なる復興」を達成することに非常に注力してきた。
 「多くの米国人は、米国が世界ナンバーワンの大国であり続けることを望んでお
り、そのためには中国を封じ込めることだと考えている」マブバニ氏によれば、中
米間の競争は今後10年間で加速する可能性が高く、この厳しい時代に備える必要が
あるという。「しかし、世界の大半の国々が、この競争において「どちらかの味方
をする」ことを望んでいないことは明らかだ。より多くの国々が「どちらかの味方
をする」のを望まなければ、米国は中国の発展を封じ込めようとするのではなく、
中国とうまくやっていくことを学ぶことができるようになることを希望する」という。
〔中国新聞網2023年11月26日〕
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(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃 村井好子
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