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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.596 2014年1月21日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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     謹賀新年 本年もよろしくお願いします。
                    中国最新情報編集部

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★今週の読者数合計:5,513名(2014年1月21日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:ボーダーレス化を可能にするハードとソフトの充実】
●珠海ゲート 昨年の出入境者数1.07億人 半数以上は中国人の香港・マカオ往来
●チベット 昨年の航空旅客数は延べ270万人で史上最高
●中国1000台目の高速鉄道車両がラインオフ
●中国銀聯カード 元旦銀行間決済 初の1000億元突破

┏【国内政策】
●中国旅行業情勢 公務旅行急落 商務旅行減速 休暇旅行増加
●スモッグ原因源は不明 by環境保護部担当官

┏【社会】
●海外メディア 中国の離婚率の上昇続く 北京では39%
●信頼感を売りにする 食事代をお客が決めるレストランが登場
●機内食はどうして劇的にまずいのか? 上

┏【経済データ】
●外国為替(1月20日)

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……【特集:ボーダーレス化を可能にするハードとソフトの充実】………………
●珠海ゲート 昨年の出入境者数1.07億人 半数以上は中国人の香港・マカオ往来
 珠海出入境辺防検査総站によると、2013年、珠海の各出入境ゲートの通過人数は
延べ1.07億人で前期比7%増、通過した乗り物は延べ367万台・隻で前期比約5%増だ
った。
 延べ5800万人近い中国人が珠海の各ゲートから香港・マカオとを往来したが、そ
れは前期比16%増、出入境旅客全体の54%を占めた。
 拱北ゲートの年間出入境者数は延べ9900万人に近づき、前期比6%増だった。横琴
ゲートでは年内に初めて400万人の大台に乗り、前期比3割増となった。

 広珠都市間鉄道の開通、横琴の大開発、広東と香港・マカオとの交流が日増しに
緊密になっていく等の要素が出入境者数増加傾向をつくり出しており、人の流れの
激しさに対応すべく、珠海の出入境検査ではさまざまな手法をとって、合理的にピ
ーク時における人の流れを緩和させている。〔中国新聞網2014年1月2日〕

●チベット 昨年の航空旅客数は延べ270万人で史上最高
 チベット航空業はここ数年、追い越し車線を走っている。2日、中国民用航空チ
ベット自治区管理局から得た情報によると、2013年、チベット航空業の旅客取扱量
は延べ275万人を超え、史上最高となった。

 チベットは近年、重要な世界的な観光地になるべく努めており、旅行インフラ建
設を加速し、観光受け入れ体制を向上させてきた。航空業においては、チベットは
民航の飛躍的発展に努め、航空会社を奨励し、チベットへ乗り入れる国内外の路線、
フライトをふやした。

 データによると、2013年、チベットでは計13路線が新規開設され、計49路線に達
し、年間離発着フライト総数は延べ2万6469機、そのうちラサ空港の離発着フライ
ト総数は延べ2万995機で前年同期比23.1%増、ピーク日には離発着フライト数は100
回を超えた。

 旅客取扱量では、チベットの2013年の航空旅客総数は延べ275万8955人で、その
うち海外の旅客数は延べ4万3706人、ラサ空港の旅客数は延べ229万6958人となり、
この3つの数字は史上最高となった。また、中国国外の旅客数は前年同期比17.02%
増、ラサ空港の旅客数は前年同期比25.5%増だった。

 民航のチベット管理局の関係者は「チベット第6の民用空港も今年正式に着工さ
れる」とも述べ、チベットは2014年、さらに新路線を開拓し、旅客取扱量延べ300
万人突破を目指す。〔中国新聞網2014年1月2日〕

●中国1000台目の高速鉄道車両がラインオフ
 1月9日、車両番号CRH380A―6149のCRH380A高速鉄道車両(動車組)が、中国南車
四方股フェン有限公司の動体テスト試験線でテストを順調に通過し、中国1000車両
目の高速鉄道車両として出荷された。
 ゼロから1000台を突破するまでに7年強しかかからなかった。

 中国南車四方股フェン公司の関係者によると、2006年7月31日、中国で1台目の高
速鉄道車両が誕生したことで、中国は正式に高速列車分野に進出した。同年12月、
中国で初めての時速300―350キロメートルの高速鉄道車両をラインオフした。2008
年9月、世界で初めて長い編成での寝台車高速鉄道車両の研究開発に成功した。2010
年8月、中国で初めて時速380キロメートルの高速鉄道車両を披露された。そして、
これら「初めて」を誕生させたのは、中国南車四方股フェン公司である。
 現在、中国には、時速200―380キロメートルの速度レベル、編成形式の異なる、
CRH2A、CRH2B、CRH2C、CRH2E、CRH380A(L)といった高速鉄道車両系統がある。

 鉄道総公司の情報によると、2013年12月28日現在、中国の鉄道の営業キロは10万
キロメートルを超え、そのうち、高速鉄道は1万キロメートルを突破し、世界の総
キロ数の50%以上を占める。
 中国には世界最大の高速鉄道ネットワークがあるだけでなく、高速鉄道車両も、
寒冷地から熱帯、沿海から砂漠地帯までと、最も複雑な営業環境を持ち、複雑な環
境下での経験を持っている。
 2014年1月8日、中国の高速鉄道車両1両(*注)の最高営業走行距離は既に350万キ
ロメートルを超え、地球87周に相当する。〔上海証券報2014年1月10日〕
注)原文中「動車組単車」の定義が不明のため、訳出が正確ではない可能性があり
ます。

●中国銀聯カード 元旦銀行間決済 初の1000億元突破
 中国銀聯が2日午後に公開した2014年元旦の統計データによれば、2014年の正月
休暇は例年に比べ短かったが、人々のカード利用熱は高まるばかりであった。

 1月1日元旦当日、銀聯カードの銀行間決済額は初めて1000億元を突破し、前年同
期を53%上回り、金額、成長率ともに近年元旦における新記録となった。2014年元
旦のカード利用は現地消費及び海外ネットショッピングが中心であった。

 例年の3連休と異なり、2014年の正月休暇は元旦の1日のみであったため、多くの
カード保持者は現地での消費をもって新年を迎えた。スーパー及び百貨店の決済額
は前年同期比52%増、大型家電専門店の決済額は同43%増となった。

 中国銀聯のアナリストによれば、金価格低下の影響を受け、元旦に多くのカード
保持者が自身と家族へのプレゼントを買い求めた結果、アクセサリーの販売が好調
となり、この分野のカード決済額が前年同期比77%増となった。
 そのほか、正月休暇こそ短かったものの、在宅での海外ネットショッピング決済
が新たな成長分野となり、元旦における「銀聯オンライン決済」を通じた当該決済
額は8.6%増となった。〔中国新聞網2014年1月2日〕
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……【国内政策】…………………………………………………………………………
●中国旅行業情勢 公務旅行急落 商務旅行減速 休暇旅行増加
 中国旅遊研究院は2日、当該研究院編集による「中国旅行経済白書」第六部「2013
年旅行経済運行分析及び2014年発展予測」が正式に出版されたと発表した。

 これによれば、「8項規定」「6項禁令」等政策の影響から、2013年の公務旅行消
費は急激に下落、商務旅行消費も明らかに減速した一方で、中国国民の休暇旅行消
費は強い上昇傾向を示した。
 2013年の中国国内旅行客数は前年同期比11.6%増の33億人と見られ、予定より2年
早く「国務院旅行業の発展加速に関する意見」の打ち出した「国内旅行収入前年同
期比14%増2.6兆元」の目標を達成した。

 2013年中国の旅行経済は全体的に安定しており、消費需要も旺盛で、投資も増加
を続け、産業も相対的に好景気であった。また、「旅行法」及び「国民旅行休暇綱
要」の実施や、旅行業界の核心的価値観の発表を初めとする多くのすぐれた施策は、
業界の発展に深遠なる影響をもたらした。

 また、2014年中国の旅行経済は比較的速い成長を安定して維持すると見られてお
り、具体的に予測された指標は以下のとおりである。
1) 2014年中国旅行総収入 前年同期比10%増3.2兆元
2) 中国国内旅行客数 前年同期比8.5%増35.8億人
3) 中国国内旅行収入 前年同期比12%増2.91兆元
4) 外国人旅行客数 前年同期比1.5%増1.31億人
5) 外国人旅行客よる外貨収入 前年同期比2%増490億米ドル
6) 海外渡航客数 前年同期比16%増1.14億人
7) 海外渡航客による消費額 前年同期比18%増1400億米ドル
8) 旅行サービス貿易赤字 910億米ドルに拡大

 中国旅遊研究院は、中国旅行業の改革刷新を進め、発展方式をさらに転換し、旅
行業の市場化、産業化、現代化、国際化のレベルを引き上げ、旅行業の戦略的支柱
産業への育成及び現代サービス業としての発展という量と質を備えた2大戦略目標
と世界旅行強国の建設により、中国旅行業の底上げを図ることを政策提案している。
〔中国新聞網2014年1月2日〕

●スモッグ原因源は不明 by環境保護部担当官
 「本音を言うと、中国科学院の結論はどのようにして出されたのか、私たちにも
わからない。何がスモッグの主な原因であるかはっきり言えない」中国科学院の北
京スモッグ6大原因の結論に対し、環境保護部監測司の朱建平副司長は記者の質問
に対してこのように回答した。
 「スモッグの原因の解析においては1年以上のモニタリングが必要であり、多く
のモニタリング情報を得た上で、その原因の分析を行い、さらに一定の研究モデル
が必要である。モニタリング地点をどこにするかも非常に重要である」(朱建平副
司長)

 2013年12月30日、中国科学院大気物理研究所の張仁健研究員が属するプロジェク
トチームは以下のように公表した。
 北京地域のPM2.5化学構成及び原因の季節による変化研究により、以下のことが
判明した。北京のPM2.5には、土ぼこり(15%)、石炭燃焼(18%)、バイオマス燃
焼(12%)、自動車排ガス・ごみ焼却(4%)、工業汚染(25%)、無機の二次(生
成)粒子(26%)の6つの重要な原因がある。
 この研究では、北京の「自動車排ガス・ごみ焼却」のスモッグに対する平均割合
は4%にすぎず、多くの研究機構のこれまでの結論と大きな差があることに注目すべ
きとしている。

 国家自動車汚染予防専門委員会の顔梓清副主任はこれに先立ち、本社記者のイン
タビューを受けた際、現在、北京の大気の質に影響を与えている最大の原因は自動
車排ガスであるとの見方を示した。
 「アメリカ、日本等の大気汚染管理の経験、及びこれらの国の大気清浄化行動計
画に基づくと、主に自動車排ガス総量のコントロール、自動車を使うことによる汚
染量の削減を重点的に行っている」

 中国環境科学院の韓応健研究員も、自動車は大都市の主な汚染源であるとしている。
 現在、排ガスは中国の大気汚染の主な原因であり、煙霧、光化学スモッグ汚染の
主な原因である。ある地区では頻繁にPM2.5汚染問題が発生しており、これは自動
車排ガスと密接に関係している。

 張仁健研究員らの研究によると、石炭燃焼、工業汚染、無機の二次(生成)粒子
の3つの原因を合わせると、化石燃料燃焼による排ガスは北京のPM2.5汚染の主な原
因となる。
 張仁健研究員が属するプロジェクトチームによると、2009―2010年異なる季節に
北京市区にて捕集した121セットのPTFE及び石英繊維フィルターのPM2.5サンプルの
分析を行い、北京の季節ごとのPM2.5濃度、元素29種、イオン9種、炭素成分(有機
炭素、無機炭素)8個の資料を得、季節ごとの北京のPM2.5の主な発生源を研究した。

 「原因解析は適した場所を選択して長期間観測及びモニタリングを行う必要があ
り、一般的に1年間の完全な観察期間が必要である」スモッグ発生の主要原因を突
きとめてこそ正確な対応をすることができるにもかかわらず、「目下可能性のあり
そうな要素についての主観的な認識のみがなされ、各方面において制御を行ってい
る」と朱建平副司長は言う。
 環境保護部が招集開催している「空気清浄化研究計画」キックオフミーティング
において、環境保護部の呉暁青副部長は「真相不明、メカニズム不明、技術不足」
が中国の大気汚染防止作業を制約するボトルネックになっていると述べた。

 国務院発布の「大気汚染防止行動計画」では、「煙霧、オゾンの形成メカニズム、
発生源解析、移動メカニズムと監視予報などの研究を強化し、汚染対策に科学的サ
ポートを提供する」(*1)ことが明確に要求されている。
 環境保護部はスモッグの発生源の研究を非常に重視しており、2014年6月末まで
に、北京、天津、石家荘に原因解析の初歩的結果を出すよう明確に要求している。
2014年末までに、北京・天津・河北省、長江デルタ、珠江デルタは原因解析の初歩
的作業を完了するとしている。〔第一財経日報2014年1月2日〕
(*注)日本語訳は、環境省HP参照。http://www.env.go.jp/air/osen/pm/conf/conf01-04/mat04_2.pdf

……【社会】………………………………………………………………………………
●海外メディア 中国の離婚率の上昇続く 北京では39%
 ロイター社の報道によると、中国の離婚率の上昇が続き、それに伴い2013年、上
海でのお見合い活動の年齢上限は45歳から60歳に引き上げられ、たくさんの中高年
齢者が参加した。
 2012年、中国の離婚率の増加幅が初めて結婚率のそれを上回った。北京の離婚率
は39%と、最も高かった。一方、米国では、婚姻の半分が離婚という結果に終わる。
英国では42%である。〔新華網2013年11月15日〕

●信頼感を売りにする 食事代をお客が決めるレストランが登場
 ある中国人が変わった方法で中国の「道徳観念の危機」を救おうとしている。彼
のレストランでは、お客は自身の満足度によって食事代を決められる。
 英デイリーテレグラフ紙の11月28日の報道によると、福建省福州の51歳の劉鵬飛
さんは8月に「好1」というバイキング形式のレストランを開き、中国社会が長きに
わたって失っている信頼感を救いたいと考えている。

 レストランのメニューに特別さは何もなく、中国の料理のほか、豆腐やチキンの
カレー煮込みといった外国の料理もある。
 特別なところといえば、レストランの経営方法である。なぜなら、この「好1」
レストランでは食事代を自由に決められ、払わなくてもいいのである。

 劉鵬飛さんによると、相互信頼をつくりたいと考えており、お客さんに、食事代
を払うという正しいことをするか、あるいは恥ずかしながら立ち去るかを選ばせる
のだという。
 「商売をしているのではなく、誠実さに徹している。もし、私がお客さんを信じ
れば、お客さんだって私を信じるだろうし、他人に思いやりを持ち始めるようにな
るはず」「私が望むのは、ここで食事をした人がこのことを受けとめ、自分の職場
や家庭の人とシェアすることだ」「みんなが私利私欲をやめ、互いに信頼できるこ
とを教えたい」

 報道によると、劉鵬飛さんは中国の公共道徳の危機の深刻さだけを心配している
のではなく、このような危機は、離婚率の大幅上昇や深刻な腐敗問題として大きく
表面化していると指摘する。

 残念なことは、このレストランのオーナーによる中国人の胃袋を使った精神的救
出の試みは、始まって以降順調でないことだ。レストランは最初の1カ月で10万元
の損失を出し、8月以降の損失は25万元となった。
 劉鵬飛さんは、食べ終わった後に食事代を払わない人が依然として多いことを認
めている。今現在、インテリアデザイナーの仕事を頼りに、このレストランの経営
を続けている。〔参考消息網2013年11月29日〕

●機内食はどうして劇的にまずいのか? 上
 天涯ポータルで以前、「機内食は食欲を減退させる」というスレッドにたくさん
の書き込みがされた。新浪微博でも、機内食に批判的な突っ込みを入れる書き込み
が集まった。

 不思議なことに、全ての機内食が嫌がられているわけではない。
 フライトサーチのスカイスキャナーが2011年に発表した機内食調査で最も高い航
空会社ランキングでは、「中東の金持ち」エミレーツ航空が1位、エティハド航空
が8位で、アジア地域でも、シンガポール航空、タイ航空がランクインした。

 お客を集める方法として、多くの航空会社が食事に意識を向け始めている。
 大韓航空が提供するビビンバは乗客の評判が高くて話題になるし、キャセイパシ
フィックやドラゴン航空のハーゲンダッツのアイスクリームもお客が喜ぶ機内食の
一つである。
 最近の日本の新聞報道では、日本航空は2013年12月1日から2014年2月8日の間、
一部の路線でケンタッキーフライドチキンを機内食として提供するという。

 では、中国はどうなんだろうか?
 「ビーフのパスタにしますか、チキンのライスにしますか」よく中国国際航空に
搭乗する人も、多分この話はよく知らないだろう。飛行中、客室には機内食のにお
いが漂っても、食欲が全くわかないと感じる人は多い。
 なぜ、機内食はこんなにまずいのだろうか。もしかして、これも「中国の特色」
なんだろうか。

〈高いところを飛行していると味覚が落ちる〉
 まず知っておくべきことは、飛行中における味覚の変化が、機内食を食べにくい
と感じる一つの重要な原因である。
 ウォールストリート・ジャーナルによると、ドイツの科学者がフラウンホーファ
ー協会が行ったある模擬飛行実験で、高い高度で飛行しているとき、人々の糖分や
塩分の感知程度は30%下がるが、酸味や苦みや辛味には影響を受けないということ
がわかった。
 数十人の被験者がこの模擬飛行機の客室内で行われた実験に参加し、模擬飛行の
環境で、被験者に地上の正常な条件下で既に食べたことがある各種の食べ物を食べ
てもらうことで、詳細な測定をした。

 なお、機内の乾燥した空気が乗客の鼻腔内の嗅覚細胞に影響を与える上、人体の
嗅覚細胞は湿っぽい環境を好むため、乾燥した中で、嗅覚は鈍くなるはずで、にお
いの感知度も下がる。今回の上空での味覚試験に参加したドイツの科学者は、味覚
の感知の80%はにおいからものだと見ている。
 もし、時差等の要因がもたらす生物時計の乱れを含めれば、味覚低下の度合いは
さらに大きくなり、さらになぜ機内食が味気なく感じるかを説明できよう。

 しかし、ドイツの科学者によれば、逆にいいこととして、上空では酒も薄く感じ
るので、航空会社は比較的重い、度数の高い酒を用意するはずで、地上では下戸で
も、上空ではちょっとは飲むこともできるようになるかもしれないという。

 次なる問題として、中国の機内食はどうして海外の航空会社に比べて劇的にまず
いのだろうか。

 時間をさかのぼり、1980年5月2日、中国の航空会社は初めて中国初の海外路線で
機内食の提供を始めた。製造技術やフローにおいて、中国の機内食は当時最先端の
欧米の経験を学び、かつアメリカ式の厨房設備一式を導入した。
 しかし、中華と西洋の飲食の習慣の違いにより、西洋から導入した機内食製造は
中華料理とはうまくマッチしなかった。

 例えば、西洋料理では、冷たい前菜はとても重要で、再度加熱する必要があるの
は一部の主菜であって、しかも、サンドイッチ、ハンバーガー等をギャレーのオー
ブンで加熱しても、それほど大きくおいしさに影響しない。
 中華料理はそれとは全く異なり、大部分の主食やおかずは温かい食べ物で、再加
熱してしまうと、色や香りや味のほとんどが失われてしまい、オーブンのような加
熱方法は中華料理には合わないのである。

〈急速冷凍 自然冷却 材料に制約〉
 機内食製造のプロセスを紹介しよう。

 食品安全と衛生を保証するため、機内食はコールドチェーン加工技術が用いられ、
全プロセスで18度以下が保持される。巨大な製造現場では、8月の猛暑でも、寒く
て震えるほどだ。
 全ての加工が完成すると、冷たいミールも温かいミールも直ちにマイナス20度の
急速冷凍庫に入れられ、パン等は台の上に置いて冷ます。
 冷蔵したり冷ましたミールは、当日のフライト予定に基づき、さまざまなカート
にセットされ、それぞれの飛行機に運ばれる。運ばれる全てのプロセスでは冷やし
ていなければならず、室温に30分以上置いたミールは廃棄される。

 離陸後、安定飛行に入った後、客室乗務員がミールの準備を始める。通信機器へ
の影響を防ぐため、機内では電気オーブンで加熱している。
 再加熱されたミールのおいしさがおのずと落ちるし、特に色や香りや味が重要な
中華料理では、再加熱してしまうと魅力の大部分が失われてしまう。
 「温め直すのでは、おいしいものもおいしくなくなる」海航集団食品事業部の劉
志強総経理はこのように話す。
 機内での加熱設備は長年にわたる使用による老朽化も免れず、一部の設備では食
品の加熱にむらが出るという問題も起きており、そのこともおいしさに影響を与え
ている。

 一方で、食事環境の特殊性から、機内食は原材料の選択もうっとうしいほど厳格
さがある。
 飛行中に揺れる可能性があることを考慮に入れ、乗客が喉を詰まらせるものは避
ける、機内食のチキンや魚は骨がない部位で、小粒のピーナッツや豆といった食品
も避けられる。
 加熱しても見た目のよさを維持できるため、ジャガイモやニンジン等の変形しに
くい食べ物が機内食会社には人気がある。果物に関しては、メロン、スイカ、オレ
ンジ等の酸化しにくい果物が機内食に優先的に選ばれる。

 最後に、機内食会社に言わせれば、機内食で最も重要なことは食品の安全である。
つまり、何百人が密閉した空間で同時に食事をするので、食品安全問題はかなめで
ある。
 安全に考慮し、航空会社と機内食会社の間には多くの免責条項が結ばれていて、
食品安全問題が起こったら、機内食会社が全責任を負う必要がある。このことから、
機内食企業が機内食を製造するに当たって最も重視するのは安全問題で、ミールが
おいしいかどうかはそれほど重要ではないのである。

〈経済不振でコスト圧縮〉
 もし、いろいろな航空会社のフライトに搭乗したことがあれば、興味深いことに
気づくはずだ。全てのフライトの機内食が劇的にまずいわけではない。本当におい
しくて、思い出せるほどの機内食もあるかもしれない。
 この背後に潜む秘密は、機内食の価格基準は異なっていて、おいしさはおのずと
異なるということだ。
 比較的サービスを重視する国際航空会社は機内食にお金をかけていることが比較
的多く、通常、価格が高い原材料を選ぶから、製造された機内食はおのずとおいしい。

 残念なことは、ここ数年の世界的な経済停滞で、航空業界の利益率も下がり続け
ており、航空会社もコストをカットせざるを得なくなっていることである。
 民航局のデータによると、2012年の中国の航空会社の総収入は3889.8億元に達し、
前期比9.1%増だが、総利益は211億元にすぎず、前期比6.21%減となった。

 航空会社の利益獲得能力が下がり、これと関係する機内食会社の利益状況にも直
接影響が及んでいる。
 国内唯一の上場機内食企業である易食集団の2012年財務報告では、2012年に同グ
ループが製造した機内食の量は前期比10.39%増だが、機内食収入は2011年比4.59%
減だった。
 航空会社にとって、機内食は直接的な収益をもたらし得ない一方、燃油等の固定
費と比較すると、コストを圧縮しやすく、おのずと航空会社のコスト圧縮の重要な
ルートの一つになる。
 目下の各大航空会社の機内食コストは、一般的なエコノミークラスの標準で30―
50元である。

 1回当たりの機内食のコスト減のほか、用意する数量の縮減も航空会社のコスト
調整の有効な方法の一つである。
 それによると、機内食会社は一般的に内部ネットワークを通じて随時フライト当
たりの座席販売状況を調べることができ、これを用意する数量の基準としている。
しかし、通常の航空会社は1フライト当たり3―5セットのミールを多目に積んでお
り、突如増加した乗客によってミールが足りなくならないようにしている。このよ
うにすることで、食欲旺盛でおかわりしたい乗客に配慮することもできる。
(次号に続く)
〔中国経営報2014年1月11日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                         (中国人民銀行1月20日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     5.8534  610.83    78.76  825.57
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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《編集者コラム――ことしもよろしくお願いします》
 中国はまだですが、日本では新年も明け、久しぶりの配信になりました。今年も
ぜひともよろしく御愛読ください。中国のニュースはコントロールされているせい
だと思いますが、そのときそのときで何となく目立ってよく出ているニュースとか
があるような気がしているので、そういうのを見つけて、読者様に紹介できればい
いなと思っています。
 年末年始は久しぶりに金門島と小金門に行ってきました。小金門からは廈門が見
えて、携帯には中国の電話会社の電波が入ってきました。金門は廃棄された軍事施
設を生かし、整備して公園化してきており、ますますシュールな場所になってきて
いる気もしています。多分今後の「戦争」というのはない、あるいはこういう形で
はないからかもしれませんが、以前より公開されていた場所がふえていました。台
北から日帰りで行けるので、ぜひとも一度は観光に回ってはどうかと思います。個
人的には、台湾が世界遺産登録できるとすれば、一押しはここだなと思います。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 荒木千春 澤田裕子 奥谷道弘 楊桃 村瀬明美 佐藤明香
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