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国債資金投入

国債資金利用プロジェクト、個人所得の増加を促進

 1998年以降、中国は4年続けて長期建設国債を発行して、一連の国債資金(国債
発行で調達した資金)利用プロジェクトを進めている。これは内需を直接拡大し、
経済成長をけん引するだけでなく、都市・農村住民の所得を増やす積極的役割を果
たした。
 農村の状況を見ると、国債資金を使って、大河川の整備、危険な貯水池の補強、
農村の人と家畜の飲料水施設、大型かんがい区の節水化、農村電力網改造などのイ
ンフラ整備事業を展開し、農業のリスク抵抗力を大きく高め、農村の生産・生活条
件を改善した。
 国債利用プロジェクトとして進められた、耕作をやめて林地・草地に戻す事業や
天然林保護事業は、生態環境を改善し、補助金の方法で耕作をやめた農民の収入を
直接的に増やした。中央備蓄食糧倉庫の大規模建設は、国の食糧備蓄能力と食糧市
場の調節・統制能力を高め、保護価格による食糧の無制限買い付けを可能にし、食
糧農家の基本的利益を保証した。また農民の労務収入も増やした。
 1998年から2000年にかけて自然災害が頻発し、大きな被害が出た状況下で、農
村住民1人当たりの純収入の実質伸び率は年平均3.4%に達し、2001年には4%を
超えた。
 都市部の状況をみると、国債資金を使って交通、通信、都市インフラを整備する
ことにより、国内のいくつかの業種の生産力がかなり効果的に利用されるようにな
り、企業の経営状態が改善され、労働者の所得水準の向上、就業機会の創出で積極
的役割を果たした。
 また積極財政策を進め、国債資金で経済成長を引っ張ることによって、ここ数年
の財政収入の伸びの条件が整った。これを基礎に、国は機関・事業体職員の給与を
何度か引き上げ、社会保障のための支出を増やし、社会保障の基準を高めた。現在、
国有企業の一時帰休者の基本生活費と企業定年退職者の年金は基本的に予定通り全
額支給されており、都市住民の最低生活保障の範囲は大幅に広がり、都市低所得者
の基本的生活が保障されるようになった。
 1998年から2000年まで、都市部住民の1人当たり可処分所得の実質伸び率は年
7.1%で、2001年は8.5%伸びる見込みである。

国債資金投入で税収が大幅増加

 国債資金の投入により、中国の国民経済は持続的に健全な発展を維持し、、税源の
安定した増加を力強く促している。
 統計によると、1998年から2000年までの税収の年平均伸び率は15.2%だった。
なかでも2000年の税収は1兆2582億元とGDP(国内総生産)の14.1%を占め、
比率は97年と比べ3ポイント上昇した。2001年の1月から11月までの税収は2000
年の年間総額を超え、前年同期比21.7%増の1兆3745億元に達した。
 この4年間、23税目のうち税収の増加を左右したのは消費税、付加価値税、営業
税、税関で代理徴収される消費税と付加価値税、関税、輸出戻し税、企業所得税(法
人税)、個人所得税だった。租税増分構造のうち消費税、付加価値税、営業税、税関
で代理徴収される消費税と付加価値税、関税、輸出戻し税など流通諸税(取引税)
は、1998年の75%から2001年の50%に低下した。逆に法人税、個人所得税は98
年の11%から2001年の38%に上昇した。中部と西部の税収は急速に増えており、
東部との伸び率の差は縮小している。
 北京の専門家は、これらの特徴は、積極財政策をとって経済の安定した成長を維
持したことと密接な関係があると指摘している。国家税務総局は、税収増加の半分
は、経済成長によるものであると分析している。
 積極的な財政政策は、国債資金のインフラへの投入を通じて、ミクロ経済運営の
好ましい外部環境を整えた。また国債資金の直接投入、税制の調節などにより、ハ
イテク産業を発展させ、既存産業を改善し、産業構造調整の方針にかなった重点産
業、重点企業の技術改造を支援し、経済構造の調整と産業構造の高度化を促して、
法人税と個人所得税の大幅な増加をもたらした。
 

国債資金投入で経済が活性 雇用創出

 国債資金利用プロジェクトは地方、部門、企業の投資と銀行の約1兆元にのぼる
融資を引き出した。長期建設国債の発行は一部の貯蓄を投資に転化させたほか、国
内の多くの過剰な原材料と機械電機設備など資本財の生産能力の効果的利用を促し、
生産手段と建築市場を回復させ、工業生産の安定した成長を促し、企業の収益を大
幅に改善した。1998年の国債資金利用プロジェクトは経済成長を1.5ポイント、99
年は2ポイント、2000年は1.7ポイント、2001年は1.8ポイント押し上げた。
 国債資金の投入は就業機会の創出に大きな効果をあげている。1998年から2001
年までの間、国債資金投入が直接的に創出した就業機会は500万で、同期の新規就
業機会の5分の1以上を占めた。
 年度別にみると、1998年の国債資金投入により創出された就業機会は69万で、
1999年は179万、2000年は120万、2001年は128万だった。
 4年間で、多くの国債資金が退耕還林還草(耕地を森林や草原に戻すプロジェク
ト)、水利、交通、食糧倉庫、環境保護、都市施設整備、農村の電力網整備などの労
働集約型インフラ建設プロジェクトに投入された。これらの産業とプロジェクトが
もたらす経済効果によって創出される就業機会は、技術集約型が生み出す就業機会
を大幅に上回っている。
 また国債資金のインフラ産業への投入は関連産業にも好影響を与えている。道路
建設は輸送業の成長と就業機会の増大をもたらし、観光業における1人の就業機会
創出は関連産業の5人の就業機会を創出する。大学は国債資金を利用して経営条件
を改善し、1999年と2001年の入学者数を150万人増やし、就職問題の緩和に積極
的な役割を果たした。国債資金の投入で実際に創出された就業機会は500万をはる
かに上回っている。

国債資金で中西部のインフラ整備進む

 中国は国債発行によって得た資金で地域の生産力分布の調整、最適化を進め、西
部地区のインフラ整備を加速し、西部大開発を推進している。この4年間毎年、国
の国債資金投入は西部地区が全体の3分の1以上を占めている。
 国は国債資金の投入を決める際、中西部地区に傾斜させており、地域の投資構造
に積極的変化がみられる。1998年から2000年まで毎年、国の西部地区に対する国
債資金投入は全体の3分の1以上に達した。昨年、西部地区に対する国債資金投入
の割合は40%以上になった。
 西部地区への国債資金は、南疆(トルファン~カシュガル)、内昆(内江~昆明)、
神延(神木~延安)、水柏(水城~柏果)、宝蘭(宝鶏~蘭州)などの鉄道事業や空
港建設に重点的に振り向けられている。これによって昆明、成都、西安、蘭州、ウ
ルムチを中心とする支線航空路網が一応形成された。また8本の幹線道路と州や
県を結ぶアスファルト道路の建設が始まった。西部の中心都市の環境保護基盤施設
も建設された。
 国債資金の投入で、西部地区の生態環境整備がスタートし、長江上中流地区、黄
河上中流地区、「3北」(東北、華北、西北)風砂地区、草原地区の生態環境総合整
備事業が全面的に展開されている。中西部地区の「退耕還林」(耕地を林地、草地に
戻す事業)は順調に進み、その面積が305万2000ヘクタールに達し、植林に適した
荒れ山、荒れ地の造林や草地づくりが90万8000ヘクタールに達した。「西気東輸
」(西部の天然ガスを東部に送る事業)、「西電東送」(西部の電力を東部に送る事
業)、青海チベット鉄道、青海カリ肥料事業など西部地区の重要プロジェクトが順調
に進んでいる。

国債資金で漢方薬の産業化支援

 中国の伝統的な漢方薬産業は、国家発展計画委員会が昨年、漢方薬のハイテク産
業化実施案を正式に提起して以来、国債発行による調達資金の投入を受け、ハイテ
ク化の方向へ発展を続けている。
 国家発展計画委の関係者によると、近代的漢方薬産業化事業は実施以来、順調に
発展している。昨年、国は初めてハイテク産業化に3億5000万元の資金を投じ、58
件、投資総額約73億元の近代的漢方薬産業化事業を支援した。試算によると、これ
らの事業によって生産額を200億元増やとができ、近代的漢方薬の生産額が漢方薬
全体に占める割合が30%以上になる。
 報道によると、国債資金の投入で、国家1類新薬8種、国家2類新薬12種、国家
3類新薬13種、国家保護漢方薬12種、絶滅の危機に瀕している漢方薬原料資源と
規範化栽培技術14件、新しいタイプの煎じ薬3種、植物からの物質抽出技術2件の
産業化を重点的に支援した。