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瀋陽総領事館事件

編者:日本の一部メディアが最近、瀋陽駐在日本総領事館の事件について、大
騒ぎしている。事実関係について、日本側の説明に対して、中国側は次々と新
しい事実を明らかにしたり、具体的なやり取りを示したりして、反論を続ける。
真実はただ一つしかないが、それをつかめるため、少なくとも対立した双方の
主張に耳を傾く必要があると思われる。ここで新華社の報道を転載する。

中国駐日大使館、瀋陽事件の真相を公表

 〔東京5月13日発新華社〕中国駐日大使館の黄星原参事官(報道担当)は13
日夜、大使館で記者会見を行い、瀋陽駐在日本総領事館事件の真相を詳しく説
明した。
 黄参事官は、中国側の調査によると、事件の具体的状況は次の通りであると
述べた。
▽5月8日午後1時55分(日本時間同2時55分)、日本総領事館の警備を担当
する当直哨兵張兆文、哨兵班長孫永濤は5人の身元不明者(男2人女2人と女
児1人)が日本総領事館の正門約1メートルの立入り禁止ラインまで入ってき
たのを発見、哨兵が行く手を遮り、証明書の提示を求めた。この時、その中の
1人の男性が突然身を翻して、正門東側の通用口から総領事館に突入した。
ちょうど査証の受付時間で、正門には幅2メートルの通り道が空いていた。これ
と同時に、一緒にいた2人の女性が歩み寄って当直の哨兵につかみ掛かった。
続いてもう1人の男性が突入しようとした時、孫永濤が後ろから抱きついた。同
男性は孫の顔に肘鉄を食わせて、鼻を負傷させ、鼻血を出させた後、制止を振り
切ってやはり通用口から総領事館内に侵入した。
▽哨兵はすぐに武装警察に知らせた。武装警察部隊の大隊、中隊が知らせを受け
た後、尹国輝大隊長、金暁東副大隊長、呉明宇第8中隊指導員、王冶・副中隊長
が直ちに査証事務所にかけつけた。この時総領事館の宮下謙・副領事も3人の中
国人職員を連れて現場に来た。尹国輝は宮下に「館内に入って、侵入した2人の
男性を連れだしてよいか」と尋ねた。宮下はうなずきながら入ってもよいという
しぐさをし、日本語で何か言った。中国人通訳の説明では、「中に入って連れだ
してもよい」という意味だった。そこで尹は4人の哨兵を連れて総領事館に入り、
宮下の確認に従って、2人の男性の前にやってきた。尹は「何しに来たんだ」と
尋ねた。2人は何も答えなかった。尹は再び宮下に「この2人を連れて行っても
よいか」と尋ねた。宮下は同意を示すように大きくうなずき、中国語で一言、
「構わない」と言った。その後、当直の哨兵が総領事館に突入した2人の男性を
外へ担ぎだした。
▽2人の男性が当直哨兵によって武装警察中隊の警備室に連れてこられた後、総
領事館の馬木秀治副領事(警備担当)が状況把握のためこの警備室に来て、身元
不明の5人と話をしようとしたが、言葉が通じなかった。この時、地元公安派出
所の人民警官がかけつけて、5人を連れ去ろうとした。馬木は「ちょっと待て」
と言って、携帯電話をかけた。その後、馬木は派出所の人民警官が5人を連行す
るのに同意し、当直の将兵にお辞儀をし、中国語で「ありがとう、ありがとう」
と言って、その処置に満足の意を表した。
 黄参事官は次のように述べた。以上の経過から、当直の哨兵の行為は日本側の
許可を受けていたことがはっきりとわかる。もともと簡単な問題がこのように大
きくなった責任は完全に日本側にある。日本側が態度を改め、事件を一層複雑に
しないよう希望する。

中国、日本側調査結果に反論 瀋陽駐在総領事館事件

 〔北京5月14日発新華社〕中国外務省の孔泉スポークスマンは14日の定例記者
会見で、「きのう午後、日本外相は瀋陽駐在総領事館事件について調査結果を発
表した。日本側のいわゆる『調査結果』は一連の重要な部分で事実と大きく食い
違っており、結論は根拠のないものだ。中国側としては受け入れられない」と述
べた。
孔スポークスマンはさらに、次のように指摘した。
▽この事実に関する真相は非常にはっきりしているのに、日本側はなおつじつま
のあわない説明に固執しており、不満である。
▽本日午前、中国外務省領事局の羅田広局長は求めに応じて日本外務省領事移住
部の小野正昭部長と会見した。日本側は5月8日に身元不明者が瀋陽駐在日本総
領事館に突入した事件についての最新の調査結果を伝えた。そして事件の全過程
で、日本側職員は中国の武装警察が領事館に入ること、突入した2人の男性を連
れだし、5人を武装警察の詰所に連れていくことに同意してはいないとした。
▽羅局長は、日本側の調査結果は中国側が調査した事実とかなりの食い違いがあ
り、中国側はもっと多くの細部を日本側に伝える必要があると考えると指摘した。
▽羅局長はさらに、次のように述べた。2002年5月8日午後1時55分、瀋陽駐在
日本総領事館の警備を担当する武装警察領事総隊瀋陽市支隊第8中隊の当直哨兵
張兆文、哨兵班長孫永濤は5人の身元不明者(男2人女2人と女児1人)が米、
日総領事館南側の塀の外の歩道を西から東へ向かい、日本総領事館の正門から約
1メートルの立入り禁止ラインまで入ってきたのを発見、哨兵が行く手を遮り、
証明書の提示を求めた。この時、その中の1人の男性が突然身を翻して、総領事
館正門東側の通用口に突入した(ちょうど査証受付時間で、正門には幅2メート
ルの通り道が空いていた)。これと同時に、一緒にいた2人の女性が歩み寄って
当直の哨兵につかみ掛かった。続いてもう1人の男性が突入しようとした時、当
直の哨兵が後ろから抱きついた。同男性は哨兵の顔に肘鉄を食わせ(哨兵の孫永
濤は鼻を負傷して、鼻血を出した)、制止を振り切って、やはり通用口から総領
事館内に突入した。哨兵はすぐに武装警察に知らせた。尹国輝大隊長、金暁東副
大隊長、呉明宇第8中隊指導員、王冶・同副中隊長が直ちに査証事務所にかけつ
けた。この時、総領事館の宮下謙・副領事も3人の中国人職員を連れて現場にい
た。宮下氏は「ビザの手続きをするのか」と尋ねた。武装警察は「ちがう、証明
書はなにもない。中に入りたいだけだ。それに2人の人間が中に入っている」と
言った。尹大隊長は宮下副領事に「館内に入って、侵入した2人の男性を連れだ
してよいか」と尋ねた。宮下氏はうなずきながら入ってもよいという仕種さをし、
日本語で何か言い(中国人職員翁鉄軍氏=男性が「中に入ってその人間を連れだ
してもよい」と通訳)ながら、中へ引き返した。そこで尹氏は4人の哨兵を連れ
て総領事館に入り、宮下氏に続いて中に入った。総領事館の査証ホールで、宮下
氏は2人の男がソファーに座っているのを見て、警備員にどうしたんだと尋ねた。
警備員は「朝鮮人かもしれない」と答えた。この時、大隊長らは2人の男性の前
にやってきた。大隊長が「何しに来たんだ」と尋ねた。2人は何も答えなかった。
尹氏は再び宮下氏に「この2人を連れて行ってもよいか」と尋ねた。宮下は同意
を示すように大きくうなずき、中国語で「構わない」と言った。その後、わが武
装警察は2人の男性を外へ担ぎだし、武装警察の警備室に連れていった。宮下氏
は後からついてきた。宮下氏が電話をかけてから約15分後、馬木秀治副領事が
警備室に来て、中国語で(5人に)「どこから来たのか」と尋ねた。1人の男性
が中国語で「北朝鮮人だ。われわれは家族だ」と答えた。そして馬木氏に1通の
手紙を渡した。馬木氏はちょっと見てから、また同男性に返した。この時、武装
警察大隊長が110番通報を始めた。馬木氏は電話をかけ始めた。約5分後、パ
トカーが到着し、警察が5人を連行しようとした。馬木氏は「ちょっと待て」と
言って、また電話をかけた。しばらくして、警察が再度連行しようとし、馬木氏
はまた「ちょっと待て」と言った。もうしばらくして、馬木氏は「連れて行って
よい」と言った。警察は5人を連行した。馬木氏は当直の哨兵にお辞儀をして、
中国語で「ありがとう」を繰り返した。
▽日本側の最新調査結果の中のいくつかの説明に対して、羅局長は事実を根拠に
こう反ばくした。
▽1、日本側は、宮下副領事は正門で状況を把握した後、館内の査証ホールに引
き返したが、背後から5、6人の武装警察が入ってきたことは知らなかったと言
っている。中国側はこう考える。正門から査証ホールまでは距離があるのに、宮
下副領事は「5、6人の武装警察が背後から入ってきたことに気づいていなかっ
た」などと言っている。こうした説明は理解しがたく、通用しない。
 2、日本側は、たとえ総領事館の1副領事がうなずき、仕種などの行為によっ
て武装警察の立ち入りに同意したとしても、同副領事は総領事館館長を代表する
ことはできず、中国側はこれによってウィーン領事条約に定められた領事館館長
の同意を得たと考えることはできないと言っている。2人の身元不明の男が暴力
的手段によって総領事館に侵入した緊急事態下では、総領事館の入口に来て武装
警察と話した総領事館職員の言動は総領事館を代表するもので、武装警察に館内
立入りを許可する意思表示である。この過程で、宮下副領事はいかなる阻止行為
もとっていない。
▽羅局長は次のように強調した。武装警察の兵士は外国の中国駐在大使館・領事
館の安全を保護する過程で、ずっと国際条約と関係規定を真剣に実行している。
多くの外国大使館は武装警察が警備を強化し、身元不明者の大使館侵入を防いで
いることに感謝している。今回の突発事件で、武装警察兵士がやったことは、ウ
ィーン領事条約の規定にかなうだけでなく、完全に日本総領事館とその職員の安
全を守ろうとする責任感から出たものである。日本側は武装警察の善意を正しく
理解すべきであり、まして曲解してはならない。中国側はこの事件を非常に重視
するとともに、両国領事部門の協力によって、これが真剣、適切に処理されるよ
う希望している。