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教育のゆがみへの挑戦

大学生 親への出世払いは15年でようやく完済可能

 浙江理工大学が最近まとめた「15年またはそれ以上の期間をかけて、ようやく
親が自分の大学期間中に支出した費用を完済できる」という調査結果は、浙江理
工大学の大学生に罪悪感を覚えさせている。
 「大学生の在校期間中の総消費と親の収入、消費との対比」調査によると、大
学生の月平均消費金額は大体500―700元であり、それは調査人数の40.8%を占め
た。月平均消費金額1000元以上は8.2%、300元以下は5.5%を占めた。
 生活必要品を除けば、女子大生は主に買い物(服装、装飾品)で消費する傾向
があり、男子学生は通信と恋愛の交際費に消費する傾向がある。
 大学4年間の総消費について調査すると、女性では4万元ぐらいと答えた人が多
く、女性全体の25.6%を占めており、男性では6万元位と答えた人が総数の41.1%
を占めた。
 大学生は経済的に独立していないため、必要な費用の大部分は親からもらった
ものである。親は、子供の学業やその他の支出ができるように、自分たちの生活
を「何でも簡単に済ませる」ほどになっている。
 データによると、46.9%の大学生は卒業後の給与を月2000元と予想し、24.2%の
大学生は月3000元と予想した。予想給与を月5000元と選ぶ人は7.6%を占めた。
 上述の給与をもとにすると、日々の消費を除く毎月の残りは、大部分の女性が
1000元、36.7%の男性は500元、31.6%の男性は1000元となる。
 これらを推計すると、浙江理工大学の大学生が親が支出した大学期間中の費用
を返済するには、25年またはそれ以上の期間をかかると選んだ人は68.1%を占め、
15年―20年を選んだ人は22.8%を占めた。
 この結果は、大学生を驚かせ、罪悪感を覚えさせほどである。調査チームのメ
ンバーによると、多数の大学生は親が自分のために支出したものがそれほど多い
ものであるとは意識もしていなかったし、考えもしていなかった。
 調査チームは、調査目的は、大学生が親の出費を深刻に実感させ、かつ今後に
いかに報いるつもりであるかにあると考えている。
 今回の調査では、大学生すべてが「自分が一番感激をすべき人」の項目には丁
重に「親」を記入している。〔中国青年報4月30日〕

中国の教育はウガンダに及ばない? 教育公平改革への叫び 上

〈英才教育の苦しい内情〉
 2005年春、中国教育事業の地平線上に、かすかに嵐の気配がある。
 今年は科挙制度の廃止から100年に当たる。多くの人が期せずして、苦渋に満
ちた問題を提言している。「古代中国の科挙は社会公平をほぼ体現していたが、
現在の私たちの社会主義国家ではできていないのではないだろうか?」
 昨年、国連人権委員会の教育への権利に関する特別報告者カタリナ・トマチェ
フスキー氏が中国へ視察に来た。
 中国を離れるとき、彼女はその場にいたすべての者が息をのむ評価を残した。
「教育権利の保証では、貴国はアフリカのウガンダにさえ及んでいない!」
 2005年2月、湖南省教育委員会の朱尚元党委員会書記などの5人の教育界の長老
が、メディアに共同で文章を発表している。その内容は中国の教育の公正問題に
ついてで、前例になく鋭い詰問調になっている。
 「現在、財産も地位もある者の子女が、よい学校に入る割合はふえているので
はないだろうか?。すべて本当に合格したのだろうか?。こんなに多く教育に携
わる者がいるのに、このことになれてしまい、恥ずかしいと思っていないのだろ
うか?」
 2005年3月3日、「人民日報」で「教育の公平 調和のとれた社会の基礎」とい
うコラムが発表されている。
 この文章は新しく出された「中国高等教育の公平問題研究に関する報告」から
引用されており、清華大学、北京大学の1990年代以後の新入生に農村学生の割合
が減少している状況を指摘している。
 作者の評価は次のようなものだ。「教育の基本的機能の1つに、貧富の格差を
縮小して、社会の平等を促進することがある。……もし教育がかえって社会格差
を拡大させているのならば、その機能とは相反したものになっているのではない
だろうか?」
 2005春の「両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)」では、「教育の公
正」の呼び声と提案が絶えずに耳に入ってきた。
 最も注目されたのは、武漢大学指導教授の洪可柱博士を筆頭に31人の全国人民
代表大会代表が提出した「春と秋の2度の大学入試」改革の提案である。
 広州「南風窓」の取材に、洪代表は「教育は公平でなく、調和がとれた社会に
なってない!」と 再度険しい言葉で答えている。
 教育行政当局の受ける圧力は、とりわけ大きいに違いない。
 教育部の周済部長は、メディアの取材で何度も、「教育公平はとても重要な任
務と考えている」と答えている。同時に、「現状を変え、教育の計画、政策に対
してさらなる改革をしなければならない。これは単に教育部門だけではなく、社
会全体の共同努力を必要とする」と指摘している。
〈憂うべき教育の三大不公平〉
 目下、教育に対する公平性と公正性に対するさまざまな疑問はおおよそ3つに
分けられる。
 1つ目は、都市と農村の教育機会が不均衡なことである
 国家関連課題グループによって行われた調査では、近年の高学歴化に伴い、都
市と農村間の格差は次第に大きくなっている。
 現在、都市人口の高校、2年制大学、3年制大学、4年制大学、大学院の学歴の
人数は、農村人口の3.5倍、16.5倍、55.5倍、281.55倍、323倍である。
 南京の学者である張玉林氏は北京大学と清華大学の20年来の学生募集状況を研
究している。この研究には大変驚かされる。
 1999年を例にすると、2つの大学の4年制大学生のうち、農村の学生はたった
17.8%であった。農村人口は全国総人口の70%近くを占めており、鮮明な対比をな
している。
 2つ目は、国家名門校の「外省人」に対する不公平さだ。
 一般の国民にとって、国家正義の最重要シンボルの一つとして、最高学府は公
正に各地の国民に門戸が開け放たれているはずである。しかし、現実は、省籍の
子供の多くは、有名大学に合格するために大都市の子供に比べてずっと大きな努
力が必要である。
 学生の合格基準はどうなっているのだろうか?。何を基準としているのだろう
か?。多くの大学の学長は自分でもはっきりと説明できない状況である。
 今年の「両会」で、全国人民代表大会代表、政協委員から次から次へと「高等
教育の合格基準には地域差別がある」という意見が提出され、一般大衆の関心を
集めている。
 「新京報」は、北京大学などの有名大学の責任者を取材し、学生の合格状況に
各地のバランスがとれていない現象が確かに存在することを認めさせた。しかし、
取材に対し、「公平かどうか」という質問には、大部分が言葉を濁している。
 北京大学の許智宏校長は、もし地域枠がなければ、「チベットの学生が北京大
学に入ることができなくなる」という。現行の制度では「すべての省はすべて最
もよい学生が国家の最もよい大学に入ることを確保している。この意義からは公
平である」と語っている。
 清華大学の王大中元校長は「清華大学、北京大学、復旦大学などの国内の最先
端の大学では、ある省には100人の枠、別の省には50人の枠がある。何が公平な
のかは、絶対的な評価の基準がない以上、やはり言いにくいことだ」という。
 これに比べると、復旦大学の王生洪校長の回答は比較的明快である。「上海市
は復旦大学への支持が大きいので、上海の学生の人数が比較的多くなっている」。
王校長は、大学の自主権限内ではあるが、普通はいずれも優先的に大学の所在地
を考慮しているとはっきりと答えている。
 しかし、一般大衆は明らかに校長たちの考え方を認めていない。「中国青年
報」の調査では、89.3%の人は、現在の全国重点大学の合格基準は不公平だと思
っている。批判の中には「これは弱者保護の名目で、実際は「強者保護」を行っ
ている」と指摘するものもある。
 今年の春の「両会」で、湖北代表団の全国人民代表大会代表の洪可柱氏は「大
学入学制度」改革案の中で、大学合格に不公平が生じている具体的状況に精密な
分析を行っている。
 「概算統計によると、大学入試制度が回復してから20数年で、清華大学、北京
大学に入学した湖北省のすべての学校の毎年の学生人数は100人足らずで、北京
市の500人より少なく、人数は5分の1である。湖北省の総人口は7500万人、北京
市の総人口は1500万人で、5倍である。つまり、同等な条件ならば、北京市は湖
北省の25倍であり、これは大変深刻な不公平である!。
 統計によると、湖北省受験生が清華大学、北京大学に合格するためには、北京
市の受験生に比べて、合格ラインが平均160点高くなくてならない!」
 学者の張玉林氏も、「清華」の神話を解剖している。
 今までの20数年間、清華大学の北京市の学生は、江蘇、安徽、湖北、四川の4
省の総合計をずっと上回っている。
 2001年には総合計の18%を占め、北京高校の卒業生数だけで総人数の0.9%を占
めた。結局、必然的に各地の合格割合と合格ラインは極めて大きくかけ離れるこ
とになる。
 これに対し、北京大学の鄭也夫教授も「いわゆる割り当て枠制度は、大部分が
弱者層を保護するためのものである。しかし、中国の現代大学入試では全く反対
のことが行われているだけである。つまり、公然と強者グループ――大都市の受
験生を保護している!」と指摘している。
 都市と農村の格差と学生入学基準が公正でないこと以外にも、公正ではない点
がある。
 それは、各種の特殊な入学方法がもたらした不公平さだ。「教育の腐敗」と関
連していることが多々ある。
 朱尚氏などの「湖南の教育界の五長老」の観察によると、現在の大学入試には
何種類かの合格ラインを下げる方法がある。
 1つは「わいろ」で、省属学校は規定に基づいて、合格ラインを20点下げるこ
とができる。その料金の「相場」は一定ではなく、少ないものでは1.5万元で、
ある重点名門校では10万元以上に達する。このような基準が依然として毎年教育
機関から厳粛に通達されている。
 2つ目は「2流学校」で、各学校の料金基準は一定ではなく、ほぼ3万元ぐらい
である。合格ラインは進学予定者の多寡によって決まり、合格ラインが100点以
上下がることさえある。
 3つ目は「短大からの編入」で、短大生から料金を徴収して4年制大学資格を売
るのである。一般的には1万元ぐらいである。
 簡単に言えば、このような行為は「試験の点数を売っている」と言えるものだ。
 多くの保護者が見るに、大学合格者は「合格ライン」の人数が多く、その数が
最終的合格数より多いことがよくあるという。ここから見ても、合格のボーダー
ラインはとても大きな「柔軟な空間」を生んでおり、特殊な背景の受験生を優先
的に入学させることにも使用されている。
 「自由裁量枠」、「推薦保証枠」と各種の「特別枠」での入学となると、普通
の家庭の子女ではない。最近湖南省の隆回一中の「推薦保証枠」での不正事件、
上海交通大学の「入試スキャンダル」、西安市の広範囲での「スポーツ特別枠」
の不正事件などは、氷山の一角にすぎない!
〈教育不平等によって階層のギャップが拡大〉
 「三大不公平」は眼の前に迫っている問題で、貧しい家庭の子女の進学へのハ
ードルを高くさせており、貧困からの脱出への障害となっていることは疑いもな
いことである。
 現在、大学に行くためには、知力と努力だけではない。さらに身分、戸籍、人
脈、財力が必要である。
 教育はもともと社会公正を推進するための武器でなければならない。貧富、貴
賎の区別なくすべての国民をためにあり、運命を改善の機会を提供するものであ
る。
 しかし、「三大不公平」に直面して、教育の光芒は失われている。それはシス
テムに道義的な色彩を与えるという伝統的な価値を失い、かえって階層のギャッ
プを育て、拡大させている。
 中国社会科学院が2004年7月28日に発表した「現代中国の社会流動性」という
研究報告では、現在、中国社会には優越的な地位の階層があり、その子女の職業
の継承性が明らかに強まっていることが調査データでわかっている。「幹部の子
女が幹部になる機会は普通の人の2.1倍高い」
 中国社会科学院の陸学芸研究員は、戸籍、就職、人事の3つの制度が、社会保
障と教育制度を不合理にさせ、社会の流動性を滞らせており、近代化社会の階層
構造の形成を妨げていると指摘している。
 アナリストによると、中国は10年余りの改革を経て、戸籍制度、社会保障制度、
就職制度、人事制度などはすべて一歩一歩公平公正に向かっているが、比較する
と、中国の教育の公平性は悪化していると指摘している。教育不平等は深刻で、
国民個人の技能と労働力の不平等をもたらし、社会の合理的な流動に対する最大
の障害の一つとなっている。
 学者の張玉林氏は風刺的な文章を書いている。「最近10年で、大・中都市の重
点学校の教師はシンガポール、マレーシア、タイに旅行ができ、そのことは都市
の中産階級を豊かにさせ、さっそうとさせている。給料が遅配している田舎教師
は陳情に行く各地の隊列の中で、注目される層となっている」
 田舎教師は伝統的社会と社会責任作用の力が統合して、今「不安定」の方向に
動いており、これは明らかに1つの「不吉な信号」だと言える。
 「現在このような一種の不公平教育制度は、全世界でもめったにないことであ
る」と学者の陸学芸氏は嘆いている。
 学者の朱学勤氏も指摘する。「大学は教育の最高学府であり、当然公正である
べきである。それ以前の段階の教育で客観的に不公平が存在したとしても、すぐ
対策を講じることができるのだから、教育不公平現象をどうして拡大し続けるこ
とができるだろうか?」
〔4月26日南風窓〕
(次号に続く)