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新たな労働政策目標と懸案解決

労働社会保障事業発展 11次五カ年計画綱要発表

 今後5年ないしはさらに長い時期において、中国では労働力の供給が需要を上回
る矛盾が存在する。2010年までで中国の都市では新規に5000万人の労働力が増加
するが、就職口は新規に4000万カ所しか増加しない。つまり、労働力の1000万人
の需給のアンバランスが発生することになる。
 厳しい就業情勢に対し、労働社会保障部と国家発展改革委員会は7日、「労働社
会保障事業発展第11次五カ年計画綱要」(以下、「綱要」と略)が発表し、みず
からに就業解決のための5項目の目標を宣言した。
 それによると、この5項目は、それぞれ以下のとおりである。
1) とにかく手を尽くして就業を拡大する。
2) 労働者の技術スキルを向上させる。
3) 社会保険システムを完備する。
4) 調和のとれた労働関係を保持する。
5) 労働保障法制を整備する。
 綱要では、経済の発展と就業の促進を並行して行い、就業拡大に寄与する経済
成長を確立する。積極的就業政策を引き続き実施し、下崗失業者の再就職を促進
する。市場の就業メカニズムを絶えず整備し、都市と農村の就業を計画調整する。
制度化、専門化、社会化の公共就業サービスシステムの建設を示している。
 労働者全体の技能水準が低いが、ハイテク人材は著しく不足しており、産業構
造の優位化や高度化にミスマッチが生じていることについて、綱要では、経済社
会の発展ニーズに合った技能労働者の研修を急ぐこと、職業教育と技能研修支援
とサービスシステムの建設に触れている。
 綱要は約1万4000字で、就業問題の重点的な解決のほか、発展目標として、国民
経済社会の発展に合った労働保障制度整備と運営メカニズムの健全な建設、就業
の安定供給、労働関係の基本的に調和のとれた安定、社会保障システムの完備と
いった方面に触れている。
 また、就業者の環境を担保するため、各種社会保障制度の完備、給与所得の所
得分配調節と所得分配秩序の規範化、中国労働保障法律体系の健全な建設、労働
基準の改定、修正といった多くの措置の強化を取り上げている。
 第11次五カ年計画期間において、社会保障のカバーする範囲をさらに拡大し、
基本的に都市における各種就業者がひとしく社会保障を享受することを実現し、
農村の社会保障制度を健全にする。
 第11次五カ年計画末において、都市の基本的な各保険加入者数を基本養老保険
2.23億人、基本医療保険3億人、失業保険1.2億人、労災保険1.4億人、生育保険
8000万人以上とし、農村社会養老保険と企業年金加入者数を徐々に増加させる。
〈第11次五カ年計画の就職最低ラインとして、都市登録失業率を5%以内に〉
 第10次五カ年計画の成果の上に、さらに労働保障事業の財政投入をふやし、さ
らに第11次五カ年計画の就業問題を解決する。
 綱要では、第10次五カ年計画の実績を回顧すると同時に、さらに第11次五カ年
計画における中国の就業率の最低ラインを都市登録失業率5%以内とすることを宣
言している。
〈失業率は5%以内に調整〉
 第11次五カ年計画期間、中国全国の都市では新規に4500万人の就業が増加し、
都市登録失業率を5%以内に調整する。農業労働力は4500万人が移動する。
 綱要では明確に、第11次五カ年計画期間において、さらに社会保障のカバーす
る範囲を拡大し、基本的に都市における各種就業者がひとしく社会保障を享受す
ることを実現し、農村の社会保障制度を健全にすることを提案している。
 また、第11次五カ年計画期間において、労働関係は基本的に調和のとれた安定
を保持する。給与所得の所得分配調節と所得分配秩序の規範化、従業員給料水準
の安定的な成長を提案している。
 このほか、第11次五カ年計画期間には法に基づいた労働保障制度をさらに整備
し、基本的に都市と農村をカバーする労働保障監察ネットワークを形成する。
〈財政投入増大〉
 農村労働力の研修を増加、その就業を促進するため、綱要では、さらに中央と
地方財政の労働保障事業発展に投入する量をさらに多くすることを示している。
 政府、企業、社会の多様なルートから資金調達する高いスキルを持つ人材の集
中メカニズムの建設。財政資金と政策融資による、技工学校と公共実習訓練基地
と実習基地の建設支援。条件に合う就業機能研修と職業技能鑑定に参加する下崗
失業者、農民工、土地収用農民に対する補助あるいは奨励に触れている。
 このほか、社会保障支出のGDP比率に占める割合を徐々に高めること、中央と地
方財政の社会保障事務の資金支援の増加、社会保険基金の取り立てと支出監督の
強化、企業と個人の責任の完全履行をもとにした、各レベル財政の各種社会保険
基金バランスに対する責任の明確化を提案している。
〈第10次五カ年計画の保険加入者数は大いに増加〉
 第10次五カ年計画末における全国のの加入者数は、それぞれ、基本養老保険
1.75億人、基本医療保険1.38億人、失業保険1.06億人、労災保険8478万人、生育
保険5408万人に達した。
 この5つの社会保険の加入者数は、第9次五カ年計画末よりもそれぞれ、基本養
老保険3900万人、基本医療保険1億人、失業保険240万人、労災保険4100万人、生
育保険2400万人増加している。
 第10次五カ年計画期間において、就職、再就職で明らかな成果が上がり、第10
次五カ年計画末では、中国全国の都市農村の就業者数は7.6億人で、都市登録失業
率は4.2%以内に調整した。5年間で都市では新たに4200万人の就業人口が増加し、
下崗失業者数の再就職は1800万人、農業労働力の移転は4000万人だった。
〔中国証券網11月9日〕

就職政策15年間 積極的拡大から需給安定へ

 積極的就職政策はこれまで過去3年間、労働力市場政策として有効的であると証
明された。これは「中国共産党中央の社会主義の構築と調和社会建設に関する若
干重大問題の決定」(以下「決定」と略)で十分に確認されている。
 「決定」では、2020年には就職市場の需給バランス安定を目指し、今後かなり
長い期間にわたって、積極的就職政策を継続することを政策の中心に据えている。
 具体的には、就職拡大により、経済発展と構造調整の重要目標を達成し、労働
密集型産業を発展させ、政府の就職支援機能を強化し、再就職政策の支援範囲な
どを拡大する。
 財政投入が積極的就職政策効果を決定する最も重要な要素であり、専門家は、
このことは少なくとも今後15年間は、中国ではこの方面での財政投入が引き続き
増大していくということを意味しているとしている。
〈歴史的懸案としての下崗失業者問題〉
 中国の積極的就職政策は2002年に制定された。2002年9月、中央と国務院が開催
した再就職事務会議が改革開放後における最もハイレベルな会議であった。
 この年、「下崗失業者再就職業務のさらなる徹底に関する通知」が発表されて
いる。一連の就職と再就職促進政策が打ち出され、中国における積極的就職政策
の基本的な枠組みが確立した。
 労働社会保障部労働科学研究所の莫栄副所長は、当時、この政策が制定された
重要な背景には、1990年代末に始まった国有企業職員の下崗が基本的に終了し、
彼らの再就職口支援を検討しなければならなかった事情があったと示す。
 労働社会保障部の資料によると、積極的就職政策が実施された2005年11月末ま
でで、全国で合計1400数万の下崗失業者が再就職した。
 2002年に政策期限を3年としたため、労働社会保障部は2005年、就職の重点業務
の1つとして、積極的就職政策を整理し、有効だった経験を総括し、すべての階層
にマッチする「普遍的就職優遇制度」政策をさらに推し進めるべく準備した。
 2005年11月8日、「国務院の就職、再就職事業のさらなる強化に関する通知」
(以下「通知」と略す)が発表され、新たな積極的就職政策が実施された。暫定期
限は3年。この通知の最大の目玉は、工場運営している集体企業の従業員が政策範
囲に組み込まれたことである。
 このことは、今後3年における積極的就職政策の受益者も、事実上国有企業の下
崗失業者を主体としたものであり、専門家の提唱する「普遍的就職優遇制度」と
は依然として乖離したものであったことを意味している。
〈積極的就職政策の方向性〉
 莫栄副所長は、新たな再就職政策を制定した際、確かに「普遍的就職優遇制
度」をしたいと思っていたが、幾つかの制約要因があり、やはり就職政策が難し
い層が重点対象、下崗失業者を主要な受益者とし、歴史的な懸案の解決に力を入
れることになった。
 労働社会保障部のデータでは、国有企業の下崗職員は、再就職サービスセンタ
ーと下崗職員就職センターに依然として200数万人おり、集体企業の下崗職員は
400万人近くが就職できていない。
 今後3年間で、国有企業の破産によりさらに360万人の従業員の再就職問題が発
生すると考えられている。多角化の再編により、約300万人の従業員の配置がえが
必要である。これが「歴史的な懸案」全体である。
 労働科学研究所労働力市場室の張麗賓主任は、歴史的懸案の解決について、若
年者と就職が難しい層を主とした失業者層への政策がさらに必要だと示している。
 「積極的な就職政策は間違いなく実行し続けなければなりません。しかし、新
たな政策情勢下では具体的な内容を一部拡大する可能性があります」と張麗賓主
任は言う。
 このような拡大は主に2方面で実現されている。それは、第一に適用範囲の拡大
で、国有企業だけではなく、集体企業と青年と農村からの出稼ぎ労働者を含むそ
の他の都市失業者への適用範囲の拡大である。第二に財政のさらなる増大である。
 六中全会で出された就職の需給安定という目標を達成するべく、唯一政府が行
えることは、さらに多くの雇用機会を創出すること、また、就職先の質を高める、
つまり就職後の労働関連の法律執行と立法を強化、労働環境改善を行うことであ
る。
 「同時に、関連の社会保障が必要です。就職と社会保険制度を関連づけること
によって、就職と経済社会発展の双方にとってプラスに働き、就職の拡大と就職
の質にとってもプラスになります」と張麗賓主任は言う。
〈労働集約型企業のための余地を残す〉
 積極的な就職政策はとても重要な役割を果たしたが、就職状況を根本的に緩和
させたわけではない。
 張麗賓主任は、世界各国の経験から見ると、積極的な就職政策が社会の安定を
もたらす効果は、就職そのものの役割よりも大きいと語る。「就職増加は最終的
には経済発展にかかっています」
 しかし、ここ数年の経済高成長が続いているにもかかわらずそれが高就職率に
つながっていかないことは、社会における広範な関心を集めている。重要な指標
である就職弾力性は1%ぐらいの低い数字を行ったり来たりしている状態にある。
 莫栄副所長は、このような状況にある大きな原因は経済構造の問題にあるとい
う。中小企業、特に就職口増加が期待できる労働集約型の中小企業で目覚ましい
発展が得られていない。そのため、六中全会の「決定」では、労働集約型の産業、
サービス業、非公有制経済、中小企業を強力に発展させて、多岐にわたってあら
ゆる方法で就職先を増加させることを特に言及している。
 「現在、各地で経済構造の転換が進められています。実際には、ハイテク産業
を代表とする新産業の雇用創出効果はとても弱いです。労働力の供給が需要を上
回り、就職情勢が厳しいという現実では、労働集約型企業のためにある程度の余
地を残していかなければなりません。そうすることで社会が安定します」と莫栄
副所長は言う。
 莫栄副所長は、中小企業を発展させることは、目下の就職事情を緩和する手段
の一つであり、政府は中小企業の起業段階で指導し、融資方面での支援をするべ
きだと考えている。
 「世界で多くの国家には「中小企業局」のような機関があり、中小企業の発展
のために多くの人が従事しています。中国はこの方面での対策が不十分です」と
莫栄副所長は言う。
〔第一財経報10月23日〕
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