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教育費高騰と財政投入不足

20年で大学の授業料は25倍 住民収入成長の10倍にも

 中国青少年研究センターは最近、「第十次五カ年計画期間の中国青年発展状況
と第十一次五カ年計画期間の中国青年発展趨勢研究報告」を発表した。
 この報告では、第十次五カ年計画期間において、中国政府の公共教育経費の
GDPに占める割合が長期的に発展途上国の1980年代の平均水準(4%)を下回り、深
刻な教育欠乏が形成されたことが明らかにされ、同時に、この種の欠乏は教育の
不公平、家庭負担過剰等の多くの社会問題を引き起こしているとしている。
 1993年、中共、国務院が公布した「中国教育改革及び発展綱要」で「財政によ
る教育経費の国民総生産に占める割合は、2000年に4%を達成する」とし、この数
字は「中共の社会主義の調和のとれた社会の建設の若干の重大問題に関する決
定」の中に唯一の数値目標として記述され、かつ財政による教育経費の増加幅が
財政経常収入の増加幅を上回ることを保障することを求めていた。
 実際には、十数年来、4%の目標は一度も達成されたことはない。
 例えば、1995年、財政による教育経費のGDPに占める割合は2.46%であった。
 1998年12月、教育部が発表した「二十一世紀に向けた教育振興行動計画」で、
時間どおり4%の基準を実現することを再度強調されたが、この年の財政による教
育経費の占める割合はわずか2.64%にすぎなかった。
 2000年、中国の公共教育経費のGDPに占める割合は4%という目標を達成しなかっ
ただけでなく、1986年と1990年の水準よりも低かった。
 2001年から政府は目標の実現を2005年までおくらせていたが、2002年以降、国
家財政による教育経費がGDPに占める割合はそれぞれ3.41%、3.28%、2.79%、2.82%
であって、一度として目標を上回ったことはなかった。
 それに引きかえ、目下世界の平均水準は約7%前後であり、そのうち先進国は9%
前後にも達し、経済の発展していない国家でも4.1%に達している。
 「これはとても残念なことだ」この報告の執筆人の一人である方奕氏から見る
と、中国の教育経費は毎年増加しているが、中国の教育を受ける人口も多くなっ
ていて、一人当たり教育経費は長期的には需要を満たしているとはいえない状況
をつくり出している。事実、国家投入の最も多い年でも、一人当たり教育経費は
350元にも満たないのだ。
 学校レベルのうち大学に対する国家投入の増加が最も速いが、学生数の増加は
国家投入の増加をはるかに上回っており、学生当たりの国家投入と社会投入は数
年連続して減っている。1999年の学生当たり国家投入は9743元とピークとなった
が、その後3年で徐々に減少し、9324元、8268元、7622元となり、平均毎年7.9%減
となっている。
 同時に、住民個人の大学教育に対する投入は上昇し続けている。毎年の学生当
たりの出費は1000元以上増加している。「時代が今日まで発展したが、そのほか
の国家と比べて中国の教育支出は国連で規定している基準の3分の1でしかない。
世界の中で下から数えて何番目かの位置にあり、アフリカの貧困国であるウガン
ダよりもさらに低い」
 報告では、教育経費の投入不足の問題について、政府は特別な合理的釈明をす
ることは難しい。「今日教育の投入不足は、ちょうど中国のGDPの急激な拡大、税
収と財政収入の急速な成長という状況で発生しているものである。「中国経済の
未発達」「財政不足」等の理由を再び持ち出して釈明することは既に説得力がな
くなってしまった」
 政府投入の不足は多くの悪い結果をもたらしている。直接的な影響の最たるも
のは家庭負担の増大であり、住民の正常な生活に影響を与えている。
 「国という大きい「家」がやらなければ、世帯という小さい「家」がやるしか
ない」中国社会科学院の2005年「教育白書」の調査では、子女の教育費用が中国
の住民の消費のトップに立ち、それは高齢者介護や住宅費を上回っていた。中国
人民銀行の2004年第4四半期の「貯蓄目的」の調査でも「教育費」がトップだった。
 中国の学生の学費の増加速度は国家財政投入の増加速度をはるかに上回り、人
々の収入の増加速度をもはるかに上回る。大学の学費はここ20年の間に約25倍に
膨れ上がったが、その時期の都市住民の一人当たり収入は4倍増加したにすぎず、
物価要素を差し引くと実際は2.3倍増である。大学学費の増大は、住民収入の増加
のほぼ10倍にもなる。
 幼稚園から大学卒業までの標準的な学制は19年である。ある調査によれば、
2002年の各学校レベルの実際の学費の水準を計算したところ、子供を大学卒業ま
で育てるのに必要な投入は13万551元である。そのうち、国家投入が4万5078元で
34.5%、社会投入が5689元で4.4%、個人投入が7万9784元で61.1%であった。
 教育経費の狂乱的な上昇は都市や農村住民の強いプレッシャーとなっていて、
低収入層が重い負担に耐えられず、教育が社会を調節するという役割の弱体化は
深刻だ。「最底辺の住民にとっては、学校で学ぶことは青年の将来の身分と運命
を変えるものであるが、その運命への近道を歩むコストは高過ぎて、多くの青少
年が途中で退出している」方奕氏はこのように述べている。
 この種の投資体制は多方面の教育不公平を形成していることは疑いもない。報
告では、「最大の不平等は、まず現在の基礎教育段階ではっきりしている。多く
の農村学生が義務教育段階で淘汰され、大学に縁はない」と書かれている。
 高校の段階ではこの種の淘汰の比率はさらに高くなる。高校段階の機会の不平
等は、学習費用の増大と農村地域の高校はまばらで機会をつくり出すことがそう
多くないこと、小学校と中学校段階の教育の質が低いことと関係がある。
 高等教育では、学生を募集する過程で都市に傾斜していくという流れがあるこ
とは無視できないことであり、高等教育機会は相対的にさらに少なくなり、その
ため、このような競争はさらに熾烈になる。
 研究者が北京のある大学で2003年入学の429名の学生の大学入試での点数を統計
にしたところでは、低い階層の家庭の子女の平均点は普遍的に高い階層の子女よ
りも高かった。
 平均点が高い方から低い順に並べると、農民、下崗者、個体経営者、工人、職
員、ミドル・ハイレベルの管理者及び技術者だった。平均点が最も低いのは高級
管理技術者層の子女であり571.3点、農民層の子女の平均点は610.1であり、38.8
点も低く、下崗失業者層よりも35点、工人層より26.2点低かった。
 国家教育科学第10次五カ年計画プロジェクト―「我が国の高等教育公平問題の
研究」結果では、学歴が増加するに伴って、都市と農村の間の格差は次第に拡大
している。都市においては学歴人口の比率は農村と比べ、高校で3.5倍、高等専門
学校で16.5倍、短大で55.5倍、大学で281.55倍、大学院で323倍多い。
 この研究にあわせ、2005年11月10日―12月8日、二十一世紀教育科学研究院があ
るポータルサイトと共同で教育満足度についてのアンケート調査を行った。その
調査では、教育の公平、教育費用徴収、教育プロセス、教育意思決定及び参画制
度、教育の質、教育選抜制度、教育の効果と効能等の7種類の問いをし、そのうち
満足度が最も低かったのが教育の公平で、平均でわずか36.38にすぎなかった。
〔中国青年報1月15日〕

中国の人口の構造的矛盾を憂慮する

 過去30年間、計画出産政策を全面的に推進し、中国の出生人口は4億減少した。
しかし、これは中国の人口調整の仕事が楽になったということを意味しているわ
けではない。最新の統計では、今後30年で中国はさらに約2億人の人口が増加する。
それに伴って、人口のボーナスが次第に失われ、人口高齢化が加速する等の多く
の問題が生じる。
 11日、国家人口発展研究戦略プロジェクトチームは「国家人口発展戦略研究報
告」を発表した。報告では、中国の総人口は2010年で13.6億人、2020年で14.5億
人に達し、2033年には15億人前後に達するとしている。
 この報告は、これまでの中国人口問題の最も権威のある報告の一つである。
〈「未富先老」 人口構造矛盾が社会の安定に影響〉
 中国の人口政策が総量調整という面で並外れた成果を上げ、世界の人口が60億
に達するのを4年間おくらせたとしても、そのほかの発展途上国の人口大国は半世
紀以上も前に低出産国家となっていて、それらの国の人口構造の矛盾が抱える社
会安定と調和への影響は日増しに著しくなっている。
 中国の人口構造の矛盾が真っ先に影響を与えるのは、高齢化の速度が加速して
いることである。
 中国の60歳以上の高齢者人口は既に1.43億人で、総人口の11%を占めている。
2020年には60歳以上の高齢者人口は2.34億人に達し、65歳以上の高齢者人口は
1.64億人に達する。
 1940年代後半に予想された高齢人口のピークは、60歳以上の高齢者人口が4.3億
人で全体の30%、65歳以上高齢者人口が3.2億人以上で22%を占めるとしており、3
ないし4人に1人が高齢者となるというものだった。
 「中国の人口変化の特徴は、計画出産政策の作用で予定より早いことであり、
高齢化は一人当たり収入が依然として比較的低い水準の発展段階で発生すること
である。これはいわゆる「未富先老」で、中国の今後直面する最も厳しい挑戦で
ある」中国社会科学院の報告の初めの段階の研究に参画したある関係者が当紙に
述べた。
 報告では、人口高齢化は扶養者の比率を高め、社会保障体系と公共サービス体
系への圧力が強まり、かつ、社会の世代間の調和に影響するという。農村社会の
介護保障制度は不健全であるにもかかわらず、青壮年の人口は都市に大量流入し、
農村の高齢化はさらに深刻な事態になっている。膨大な高齢者層の貧困化と辺縁
化問題は関心を持つべき問題である。
 2005年以降、新しく結婚出産年齢に達する人口は、男性が女性より明らかに多
くなってきており、低収入で低資質の者は結婚することが難しくなり、これらが
もたらす社会秩序の混乱は社会安定の深刻な問題になるとしている。
 このほか、「仮に都市と農村間、地域間、業界間の収入格差が拡大する趨勢が
明らかに改善しなければ、これらが引き起こす各種の社会矛盾は社会主義と調和
のとれた社会の建設に深刻な制約になる」と報告では述べている。
〈人口ボーナスの発掘〉
 報告では、中国の労働力供給データを分析した上で、中国は目下依然として人
口ボーナス期にあり、かつ相当長い時間中国は労働力不足にはならないとしてい
る。しかし、資質や技能等の要素を考慮すると、労働力の構造的な欠陥は長期的
に存在しているとしている。
 当面は労働力供給は最も余裕があり、人口を養う比率も低く、貯蓄率が高い有
利な時期であるとしている。
 「中国の人口ボーナスはまだ5―10年の時間があるが、これは中国の労働力の供
給が無限であるということを意味していない。事実上、現在でも局地的に既に労
働力不足というシグナルがあらわれている。これに対する問題はできるだけ早く
備えるべきだ」上述の専門家は述べている。
 この専門家は、目下少なくとも2つの方面からするべきことを述べている。
 一つは、現在の人口ボーナスを最大可能な程度開発することである。具体的に
は、つまり完全雇用により近づけていくことである。もう一つは、人的資本に対
する投資を強めることで、主に公共資源拡大で人材教育と健康方面の投資をする
ことである。
 報告では、中国は4つの方面に投入すべきと提案している。それは、以下のとお
りである。
1) 人口数の調整、低出産水準安定の投入
2) 人口の資質の向上、人的資源の開発の投入
3) 居住環境の向上、生態環境の改善、人口の合理的な分布への投入
4) 人民の生活の質の向上、社会公平公正促進の投入
 報告では特に、中国は教育をまず発展させ、徐々に財政による教育経費の国内
総生産に占める割合を4%に達するようにすべきと指摘している。
〔第一財経日報1月12日〕
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―――――――――――――――――――――――――――― 李 年古 著 ―
 日本人には言えない
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―――――――――――ISBN 4311603290 四六判 216頁 本体1680円 学生社
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