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「80後」向け自動車キャッチコピー

キャッチコピーから車市場を見る

 すばらしい広告キャッチコピーには二つの特徴を備えるべきだ。それは、1) 読
みやすさと覚えやすさ。2) 製品(あるいはブランド品)のすぐれたところを生き
生きとあらわすこと。
 このような考えは、既に「時代おくれ」あるいは一方的であるかもしれないが、
今日のキャッチコピーではまた違う趣がある。
 2007年、新車販売が盛んであったことにより、キャッチコピーもおのずとバラエ
ティーに富むものとなった。例えば、「就是玩得轉」(何でもできる)――スズキ
のスイフト、「生為強者」(生まれつきの強者)――SAGITAR(日本ではJETTA)、
「活得精彩」(生き生きとした生活)――FOCUS……
 上のような例は、最高水準のキャッチコピーだと言える。ほんの短いフレーズに
いろいろな意味が含まれている。車への誇りだけではなく、人あるいは生活への誇
りをもあらわした。それは単なるキャッチコピーであるけれども、車の持ち主の心
からの声、人と車の調和をも描いた。さらに個性、これは車の個性だけでなく、持
ち主のキャラクター、気持ちをも生き生きと伝えてきた。
 スイフトを例にとると、「玩得轉」というフレーズ、これは80年代生まれの自由
自在な生活に対する如実な描写である。「玩」(遊び)はレジャーでの「大いに遊
ぶ」もあるし、安らかな「上品」な遊び方もある。さらに、SATIGARの「生為強
者」を見ると、非常に表現豊かに、人ならば智勇、有能、車ならば性能のよさ、安
全を内包している。
 数年前、新車販売の際に、よく耳にしたのは「だれだれのためのオーダーメー
ド」「期待を超える」とかであったが、これらと比べると、今日のキャッチコピー
は一歩前進したと言わざるを得ない。ここから、メーカーの赴くところ、消費者へ
の訴求、さらに現代人の生活様式の縮図が見えてくる。
 「玩得轉」「生為強者」「活得精彩」、これらすべては「80後」(80年代生まれ
の人たち)の言葉だそうである。彼らは既に主な消費力となり、購買力にしても、
購買意欲にしても、非常に強い。そして、その中には成功者もいる。
 もちろん、さらに検討する余地があるのも存在している、例えば、いわゆるカロ
ーラの「五米印象」(5メートル以内で見ればカローラの性能がわかる)というの
は、見下ろしているようで、消費者と対立する立場をとっている感じがするのだ。
 名車には名車である理由がある。絶妙な言葉で名車を語る。一つのキャッチコピ
ーが、名車を称賛してやまない。〔新浪汽車ブログ〕

一言による市場開拓 スイフトのキャッチコピーより

 「鑽石恒久遠 一顆永留伝」(ダイヤモンドは永久に変わらないので、後世にま
で代々伝わる)という1990年代のこのキャッチコピーにより、デビアスの売り上げ
は何倍かになったという。
 一言による市場の開拓は否定できない。どんな業界にかかわらず、経典的な広告
が消費者の共感を呼ぶことができるのであれば、短い文でも、感性的な消費者は製
品の長所を感じることもできる。これはあばたもえくぼのように、短所に対して、
自分自身を説得できる理由があるようだ。これは広告の魅力である。
 1980年代の車はぜいたく品であったため、「車到山前必有路 有路必有豊田車」
(窮すれば通ず、道があればトヨタの車が必ずある)というコマーシャルはトヨタ
の車に自信と傍若無人の態度という烙印を押させた。しかし現在、車は商品化して
普通の家庭でも使えるようになり、自信と傍若無人の態度という烙印はもう時宜に
合わなくなり、携帯電話のように、1台の車は一つの時代の流行であり、技術によ
ってつくられた機械だけではない。
 消費者の共感を呼ぶことができる「言葉」があれば、市場の開拓ができ、「鑽石
恒久遠 一顆永留伝」のように、今日までずっと広く伝わっていく。しかし、時代
の気風があらわれる車市場では、我々は自分たちが時代の気風から離れつつあると
認めざるを得ない。
 「就是玩得轉」(何でもできる)という言葉は既に「80後」青年たちが持つ、個
性と遊楽を喧伝する精神的なスローガンになっているとは思いもよらないだろう。
これはまるで、周傑倫(台湾の歌手)の発音のはっきりしない歌がなぜ多くの若者
に人気があるのかがわからないのと同じだ。
 自己表現、率直、粘り強さ、極度の自信といった若者たちに直面して、「就是玩
得轉」と動感地帯(M-ZONE、中国移動の若者向けウエブアクセスサービスである)
の「我的地盤聴我的」(私の勢力範囲だから、私に従え)とは同工異曲の妙を得て
いる。これらは何らかの魅力があり、大勢のおしゃれな若者たちの気持ちを引きつ
けたようだ。
 消費レベルの向上につれて、1980年代の黄金世代は既に車業界の不可欠の消費支
柱になっている。しかし、若者の趣味と興味は十人十色であるため、賢いメーカー
は共感のある「広告の支点」を探し求め、おしゃれな若者を引き付け区分する。自
己表現、音楽、街頭ダンス、バスケットボール、スノーボード、極限、車、おしゃ
れなどが好きな若者は既にスイフトの潜在的な消費群になっている。
 同じおしゃれな若者でも、興味と言葉が違ってくる。SATIGARの「生為強者」
(生まれつきの強者)はスイフトの「就是玩得轉」と同じ経典的なものであるが、
SATIGARはしっかりとほかの個性のある若者を引きつけている。競争が激しい市場
に直面して、彼らはいかなる謙虚さがない。なぜならば、謙遜する必要はなく、彼
らは生まれつきの強者であるからだ。
 「広告没有真理」(広告は真理がない)。時代の流行に対する解釈には幾つかの言
いようがない理由があり、好き嫌いはいかようの理由がない。消費者の感性的な心
理に触れることができれば、広告の目的を達成できる。
 同様に、「明鋭男人」(敏活な男)の「十八個不」(18の不)といったコンセプ
トは、何人かの実力者はエレベーターに乗っているときに、共感を覚えただろう。
消費者は感性的なものであるため、心に触れることは単純に製品の技術を紹介する
より一層効果的である。
 言うまでもなく「時代の流行コンセプト」は決して勝手につくり出したものでは
なく、理念が進み過ぎると、ちょうど反対の結果になるかもしれない。これについ
て、上海フォルクスワーゲンは身にしみる体験があるようだ。「rupolo」は一体ど
んな時代の流行か、今の若者はまだ理解できないだろう。
 一言によって市場が開拓できる。「就是玩得轉」は少し自慢が入るようで、あな
たは受け入れがたいかもしれない。これはあなたがもう若くないことを意味するだ
ろう。しかし、「就是玩得轉」は既に若者の精神的なスローガンになっている。ス
イフトがこの一言によっておしゃれな若者たちの愛顧を受けられるかどうかについ
ては、時間によって検証されなければならないだろう。〔新浪汽車ブログ〕
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―――――――――――――――――――――――――――― 李 年古 著 ―
 日本人には言えない
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