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電子マガジン・中国最新情報
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中国経済ハードランディングの回避

中国経済のハードランディング防止も最悪の事態は未到来

 香港の大公報によると、中国は10月20日、注目されていた最新統計データを発表
した。
 2008年第3四半期のGDP実質成長率は9.9%、消費者物価指数(CPI)のインフレ率
は上半期の8%近くから7%に低下するなど、表面的には安定的な高成長局面を維持し
ているものの、最近の動向を考えると理想的とは言えない。
 GDP成長率は2007年第4四半期のピーク時には12%近くの伸びだったが、2008年第3
四半期には9%に低下。1年間で3ポイント近く低下し、既にハードランディングへの
対応を迫られることが意識されている。2008年第4四半期や来年の見通しは厳しい
ものとなりそうだ。
 過去20年を振り返ると、中国経済ではGDPの成長率のハードランディングの例は
多くない。1989年に前年から7.2%減の4.1%に低下し、1995年には前年比2.2%減の
10.9%に低下したという例がある。
 成長率の継続的な低下を防ぐには、その原因を確実に解決することが必要だ。ま
ず問題となるのは外需である。欧米の金融危機が全世界へと広がり、中国の輸出も
既に大きな打撃を受けているが、実際の影響については、詳細な分析がいまだなさ
れていない。
1) 2008年の輸出は2007年より既に鈍化しているものの、四半期ベースの増加率で
 は上昇に転じており、第1四半期の約21%増から、第3四半期では23%増となった。
2) 対外貿易の利益では、2008年上半期は前年同期比12%減だったが、第3四半期で
 は13%に持ち直し、純輸出は成長阻害要因から推進力へと変化している。当然、
 過去の大幅な貿易黒字に比べれば、その推進力も弱まっている。
3) 外国企業の直接投資の勢いが増し、第3四半期末時点で40%近く増加しており、
 第3四半期中にも28%増と2007年の19%増を大きく上回った。
 景気後退の主な原因は内需の弱小化であって外需の冷え込みではない。消費を反
映した小売価格の実質上昇が急速に進み、年初から第3四半期末までに14%に達した。
第3四半期は既に16%にまで加熱している。したがって、問題は消費ではなく投資に
よる影響によるものである。
 投資の増加は実際には大幅に鈍化している。2007年第3四半期は約21%だったが、
2008年はわずか14%になった。このためGDP成長率も3ポイント以上低下する見込み
で、景気冷え込みの元凶となっている。
 将来的には、欧米の金融危機により経済の悪化が深刻化するにつれて、中国国内
の不動産市場の調整も加速していき、中小企業の倒産やリストラの影響もさらに鮮
明になるものと見られる。外需のみならず内需もさらに弱体化するだろう。
 こうした状況でGDP成長率のさらなる低下を避け、底入れを図ることは難しい。
最悪の事態はまだ訪れていない。
 総体的に見れば、景気低迷を招いた要因は、外需の低迷と国内資産の市場調整な
どだ。だが、さらに根本的には、経済情勢の急激な変動に対する政策調整のおくれ
がある。現時点では、以下の点に注意すべきだ。
1) GDP成長率が鈍化しなければよいものの、8%の目標は低過ぎるため、低下を放置
 すべきでない。
2) 現時点の経済は不完全で、投資過剰・消費不足に陥っているが、投資の抑制手
 段をとるべきではない。
3) 欧米の貿易黒字拡大というアンバランスがつくり出されるべきではなく、輸入
 奨励・輸出制限や人民元高を加速するような措置で輸出を抑制させるべきではな
 い。
4) 過剰流動性に伴う金融引き締め政策を堅持すれば、過度の収縮を招きかねない。
 現実に直面し、中央政府も問題の所在を認識している。国務院常務委員会は、成
長率の鈍化は不利であることを確認し、10項目の対策を打ち出した。対策には投資
の強化や輸出支援などが盛り込まれている。
 その方向性は基本的に合理的なものだが、さらに強化するべきだ。マクロコント
ロールは事前にやるから意味がある。問題が発生した今となっては、もっと緊迫感
を持ち、大胆に決定すべきだ。
 財政出動による投資計画の拡大の牽引を早期に展開するとともに、適度な金融緩
和や人民元の適度な切り下げなどもあわせて経済の推進力とすべきだ。遅きに失す
れば、発展のチャンスを無駄にすることになろう。〔聨合早報2008年10月21日〕

中国 10条の措置で経済促進

 中国政府は経済成長減速に直面し、不動産売買税の軽減、輸出払戻し税率の引き
上げ、政府による投資拡大などを含める10条の経済成長促進措置を実施すると発表
した。
〈中共中央の不動産に対する態度の変化〉
 一部の国内財政経済専門家はこの「10条」の設定が中国のマクロコントロールの
戦略転換を反映したものであると認識している。そのうち、国民の不動産購入支援
という措置が中共中央の不動産に対する態度の変化のシンボル的なものとみなされ、
ついに市場救済に取りかかり始めるとともに、各地方政府による不動産救済措置も
認められた。
 国務院によるこの「10条」は19日、すなわち国家統計局が第3四半期のマクロ経
済データを公布した前日に発表され、当局の市場ムードの安定をねらうものだった
という。
 20日に発表されたデータによると、中国における第3四半期の経済成長率は市場
予測の下げ幅を上回り、9%にまで低下したため、第1―3四半期の平均経済成長率は
9.9%しかなかった。この推移水準で計算すれば、今年の中国の経済成長率は10%を
超えるのが難しくなり、年間の経済成長率は2002年以来初めて1けた成長になる見
込みである。
 目下、中国の不動産業は不況に陥っている。ゴールドマン・サックスの報告によ
れば、中国の不動産業の売り上げが前年比64%減少し、住宅価格が4%低下した。そ
れと同時に、海外市場の需要減少が中国の輸出企業に影響を及ぼし、沿海部にある
多くの輸出中小企業が倒産し、失業率上昇のリスクが加速された。
 先日、香港百霊達国際持株有限公司は深センにある支社の破綻を発表し、1500人
の従業員が解雇された。そのうち約1000人の元従業員は日曜日、工場の外で集まり、
政府の関与や会社に給料を支払ってもらうよう要求した。
 また、中国税関総署の報告によると、1―7月、輸出額が10万米ドルに達していな
い玩具企業数は前年同期比3631社減の1574社であった。
 17日、温家宝首相の招集した国務院常務会議では、「弾力性のあるかつ慎重なマ
クロ経済政策をとり、いち早く財政・税収、貸し付け、対外貿易などに対する政策
を打ち出し、経済の持続かつ安定的な成長を維持する」と要求した。
 この会議では発表された10条の措置では、農業支援政策の強化、「大幅に最低限
の食糧買い付け価格の引き上げ」、「各種の農業に関する補助増加計画の制定及び
発表、補助対象範囲の拡大、補助基準の引き上げ」が出された。
 そして、中小企業の担保システムの完備、金融機関による中小企業への貸付額の
増加奨励、中小企業の直接融資ルートの拡大、中小企業の技術革新への財政支援の
増強。また、輸出を奨励するため、服装、紡績など労働密集型製品や高付加価値の
電機製品の輸出払い戻し税率引き上げ、有力企業及び製品の輸出支持が盛り込まれた。
 さらに、中国政府はインフラや民生など分野の建設への投資を拡大しようとして
いる。その他の措置として、物価上昇のコントロール継続、エネルギーの節約及び
温室ガス削減の着実な促進、歳入の増加及び歳出の節約、金融監査の強化などがあ
る。〔聨合早報2008年10月21日〕

城建部副部長 各地の不動産市場刺激を認める

 19日、全国各地の市長69人が深センに集まり「中国市長フォーラム」が開催された。
 住宅・都市農村建設部の仇保興副部長はフォーラムの席上、「各都市政府に一定
の自由度を与えなければならない。各政府は能力、責任を持って、幾つかの政策選
択をするべきである」と述べた。
 これは、政府高官が初めて各地の不動産市場刺激政策について正式な態度を表明
したものである。
 先日、杭州、上海等18都市が相次いで不動産市場刺激政策を打ち出し、推し進め
ている。具体的には、市民への住居購入補助の提供、償還期限の延長、関連税の減
免及び公共積立金貸し付け最高額の調整等で、このことは社会の各界各層に広範な
関心を引き起こし、激しい議論がわき上がっている。
 同時にまた、一部メディアは、幾つかの都市の措置が既に中央の政策の許容の限
界線に触れているものであると疑問を呈していた。このような原因もあり、政府高
官の態度は最近の各界各層の注目点となっていた。
 今回の仇保興副部長の表明は、既に市場救済措置を打ち出していた都市を安心さ
せることになった。
 仇保興副部長は、それぞれの都市に異なる特徴があり、不動産業の状況も異なる、
したがって、打ち出される政策も異なるものであるはずだと解説する。
 「我々はそれぞれの都市の政府が賢明な選択を打ち出せることを信じている。多
くの事柄を試行的にまず行うだけであっても、その次には規範化されていく、改革
開放とはこのようにやってきたものである」
 地方政府の市場救済のプロセスで発生するであろう新たな問題について、仇保興
副部長は以下のように述べている。
 「現在、各都市の政策動向及びその効果について、住宅・都市農村建設部は子細
に観察しているところであり、各般の措置の効果を評価しているところである。ど
ういうものを引き続き実行すべきであり、終了すべきものであるか、適当な時期に
規範となる意見を出せるはずだ。もし、再度ただすべき問題があったとしても、ま
だ間に合う」〔新華網2008年10月20日〕
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