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物価、人件費上昇でちらつくインフレの影

北京 2011年1月1日より有名ブランド化粧品5―10%値上げ 

 北京の複数のショッピングマーケットによれば、このほど相次ぐ外資系高級ブ
ランド化粧品の値上げ通知を受け、2011年より5―10%、最低でも数十元、最高で
370元値上げする。
 今回の値上げは、ディオール、ランコム、ビオテルム、シャネル等7ブランド
に及び、値上げ幅は5―10%。このうち、ランコム製品では3分の2が値上げ対象と
なっている。シャネルのレ・キャトルオンブルは定価545元から560元と比較的小
幅の値上がりだが、ランコムのセクレ・ド・ヴィニュイは現物価格3580元から、
最多の370元値上がりで3950元となる。
 日系化粧品業界の関係者によれば、化粧品の値上がりは、2010年以降の化粧品
コストの大幅な上昇と関係している。
 乳化剤や油脂を初めとする化粧品基礎原料の価格が上昇している上、ハイエン
ド化粧品はパッケージに大いにコストを費やしているが、製紙パルプ等包装材料
も少なからず値上げしている。
 ある日系化粧品カウンターの販売員によると、当該ブランド化粧品の値上がり
は主に円相場の上昇に起因している。
 中国外貨取引センターの公表するデータによれば、12月29日までに人民元対円
相場(仲値)は2010年年始の100円=7.3464元から、ほぼ10%増の8.0451元にまで
上昇した。
 あるアメリカの有名化粧品グループの広報部関係者によれば、今回の価格調整
は市場費用、労働コスト等の上昇を初めとする各方面の要素を総合的に考慮し決
定されたものである。
 北京の、特に新たに開店した、自身の格を示すために外資系高級化粧品ブラン
ドを誘致しているショッピングマーケットは往々にして弱い立場にあり、価格変
動に対して発言権を持っておらず、ただ大手ブランド化粧品の値上げを受け入れ
るほかないのだという。〔北京青年報2010年12月31日〕

北京 2011年1月1日より最低賃金21%上げ

 北京市は最低賃金標準を21%引き上げる。これは北京市におけるここ6カ月以内
で2回目の最低賃金の引き上げである。目下、中国のインフレ圧力は絶えず増大
し、日増しに広がる貧富の格差も、ますます多くの注目を集めている。
 今回の引き上げは、2011年1月1日から効力が生じる。北京市の法定最低月給は
1160元、最低時給は6.7元まで引き上げられる。前回、北京市の2010年6月の最低
賃金標準では20%の引き上げがなされた。
 2010年、中国各省市において最低賃金標準の引き上げが発表されたが、その引
き上げ幅は12%―21%(21%は今回の北京市)とさまざまだった。
 2010年11月、政府が発表した消費者物価指数(CPI)は前年同期比ベースで10月
期の4.4%から5.1%へと上昇し、食品価格は11.7%と激増している。
 政府は、上昇し続ける食品価格が低所得家庭に重過ぎる負担としてのしかかり、
この種の基本的な生活必需品の費用の収入に占める割合がさらに高くなることを
懸念している。さらに、物価の持続的な上昇が社会の不安定を引き起こし、過去
発生したことがあるようなことが起きることを懸念している。
 フットワークが軽い、中国中央銀行の余永定前顧問が先週ある社論に掲載した
文章によれば、「過去30年において人々の生活水準は向上したが、徐々に広がっ
た貧富の格差は紛れもない事実である。裕福な人の生活は豊かで、貧しい人の生
活は地獄、両者を比較すれば、社会矛盾が絶えず激化し、必ず民衆の強烈な反発
を招くことになろう」
 全国規模での最低賃金の引き上げは、所得格差を縮小し、経済の投資に対する
過度な依存を減らし、中低所得家庭の消費を振興する中国政府の計画の一部分で
ある。
 しかし、多くの企業が投入コストの上昇圧力を受け入れることを考慮すると、
このような厳しい時期の賃金水準の引き上げで、全体のインフレが高進するかも
しれない。
 Gung Ho! Pizzaの北京美食外売サービス公司のジェード・グレイCEOは、「わ
ずか3カ月で、求職者に面接に来てもらうためだけに初任給を60%上げざるを得な
かった」と話す。
 北京市の今回の最低賃金引き上げ後、その最低賃金水準は全国トップとなった。
第2位は上海市で月給1120元である。しかし、製造業の中心地である広東省を含
めたほかの都市では、2011年にさらに最低賃金を引き上げることを計画中である。
 政府は、北京の今回の最低賃金引き上げで300万人近い民衆に恩恵が及ぶと見
込んでいる。
 香港では、立法会が2010年11月に初めての最低賃金標準を打ち出し、時給28香
港ドルを定めた。この最低賃金標準は2011年5月に効力が生ずる。これまで、立
法会では数カ月の時間を割いて公聴会や議論を行っていた。香港では、日増しに
広がる所得格差に、市民はますます多くの関心を寄せている。
〔英フィナンシャル・タイムズ2010年12月29日〕
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