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中国国際競争力維持の闘い

東日本大震災後 生産機能を江蘇省へ移転する日系企業

 日本の大地震と放射能漏れは、日本現地の製造業に重大な損害を与え、大量の
日本企業が加速度的に生産機能を海外に移すに至った。
 記者が8日、江蘇省工商局から得た情報によると、今年3月11日から5月31日ま
での間に、日本企業の江蘇省に対する投資額が大幅に増加し、生産機能移転の傾
向が初めて明らかになった。
 江蘇省工商局の統計によると、今年3月11日から5月31日までの間に、江蘇省に
新規設立した日系企業は80社で、前年同期比31.1%増となった。日系企業は1日1
社新規設立されており、この速度は前年同期比40.8%増となった。特に、登記資
本1000万米ドル以上の大型日系企業の駐在速度が顕著に増加している。
 江蘇省商務庁の公務員によれば、東日本大震災により日本現地の大量の注文が
移され、一部の日系企業の生産要請が急増し、部品供給問題が減産をも招いた。
そのため、数多くの日系企業がそれぞれ対中投資もしくは増資、生産拡大を計画
することで、地震後のリスクを分散させ、産業全体のサプライチェーンを保障し
ているという。
 現在、ブリヂストンは、約5000万元を投じて江蘇省に華東エリア本部をつくっ
た。シャープは、5月末に中国における50%の携帯営業案件の拠点を江蘇省無錫市
に構えた。
 新設日系企業数が大幅に増加すると同時に、日本資本の投入も倍増傾向である。
今年3月11日から5月31日にかけて、江蘇省の新設日系企業による投資額は21.4億
米ドル(前年同期2.5倍)、登記資本は11.8米億ドル(同2.7倍)となった。企業
当たりの投資額は2675万米ドルであり、これは昨年の1.9倍に当たる。
 新設日系企業は主に冶金、電子技術、新エネルギー、家電等の産業に集中して
おり、66.3%を占める。その他には、ホテル、レストラン等のサービス業も上昇
傾向を示している。
 業界専門家は、今回の東日本大震災は国内のエネルギー戦略や産業分布、企業
経営モデルに深刻な影響を与えており、江蘇省は地理的優位、優良な産業基盤を
よりどころに、主体的にチャンスをつかみ取り、日本の産業移転を迎えるべきだ
としている。〔新華網2011年6月8日〕

2010年 中国物流総費用がGDP18%を占める

 中国人民銀行ポータルサイトによると、人民銀行は1日「2010中国区域金融運
行報告」を発表した。
 この報告の「価格展望調査分析」の中で、中国物流・調達連合会の統計による
と、2010年、中国全社会物流総費用の対GDP比は18%前後で、先進諸国の9%前後の
水準をはるかに上回り、中でも、運送費用が全社会物流総費用の50%を超えたこ
とが明らかになった。
 高原地帯の内陸部、外部からの物資が多い、輸送路が長いといった西部地域の
省が受ける物流コスト上昇の影響はさらに大きい。
 例えば、青海省の90%の生活資材は外部から持ち込む必要があり、90%の工業品
は周辺地域から購入していることから、物流費用の対GDP比は25%を超える。
 標準小麦粉を例にとると、山東省で1キロ当たり2.6元のものに輸送コストを加
えると、青海での販売価格は1キロ当たり3.6元となり、生産地より38%高い。
 このほか、報告では、今後のインフレを予測する声は依然として大変強い。調
査企業の93.1%と調査住民の76.6%は、今後の価格動向は上昇すると見ている。
 このうち調査企業の37.1%は2011年の主要原材料価格は5―10%上昇、43.4%は人
件費コストは5%以上上昇するとしており、この上昇圧力を緩和するために、調査
企業の79.4%は主要製品の値上げが必要だと考えている。
 一方、調査住民の63%は2011年の価格は3―10%上昇、8割は賃金引き上げを求め
るとしており、価格水準全体にさらなる圧力が加わるかもしれない。
〔中国財経報2011年6月2日〕

寧波の外資バイヤーが中国製品輸出を語る 価格優位は消滅

 8日、第10回中国国際日用消費品博覧会(中国消博会)が浙江省寧波市で開幕
した。
 展示会場では、浙江省の対外貿易企業の、貿易展望が年々悪化し、利益が薄過
ぎるという嘆きの声が聞こえてくる。
 中国消博会の名誉会員でインド人のハリス氏も、輸出商売は難しく、寧波を含
む中国輸出製品の価格優位は消滅し、現在、多くの外資は一部の注文をベトナム
等東南アジア諸国に移しているが、昨年ハリス氏も30%の注文を価格競争力のあ
る他国に移したと語った。
 ハリス氏は、寧波の外資の成長を目にしてきただけでなく、最も発言権がある
外国人バイヤーの一人である。
 ハリス氏によると、労働力コストの上昇、原材料の高騰、人民元高等の影響を
受け、現在、中国輸出製品の調達価格は25%―30%上昇しているが、製品の中国国
外の販売価格が変動しているわけではないため、調達量を急激に減らしていると
いう。
 「以前は1カ月で売り終えられた商品が、現在は3カ月かかる。高い製品は売れ
ないし、私は極力安くてよい商品を仕入れるだけ」
 ハリス氏は駿力貿易香港有限公司に勤めており、通常業務は主に中国大陸から
調達した商品を北アメリカ、南アメリカ、アフリカ、中東地域へ転売することで
ある。
 ハリス氏は、現在、中国の輸出製品の価格優位は既に消滅したと語る。
 これまでハリス氏は河北にコットンを調達しに行ったが、昨年からこの部分の
注文をインドに移した。インドの製品は、ハリス氏の見たところ、まだ価格競争
力があるからである。
 また、昨年、会社の30%の注文を中国からほかの価格優位な地域に移したこと
を明らかにした。
 バイヤーが調達価格上昇のために注文をほかに移されるとともに、貿易展望が
年々悪化し、浙江貿易企業は利益が薄くなっていくという嘆きの声が聞こえる。
利潤率は既に数年前の25%から5%に減少し、企業が維持している注文もあるが、
利益ゼロになっているものさえ存在する。
 中国消博会の現場では、企業が利潤に言及するたびに、心配そうにしているの
がほとんどである。
 浙江省金華市超佳五金塑料廠の黄立群総経理は、7年前、貿易を始めた当時は、
利潤率は25%以上であったが、現在、純利潤は5%あればよい方だと話す。
 企業が苦境に直面していることについて、寧波市対外経済貿易局の丁海浜副局
長は、企業は積極的なスタンスで、自主開発、自主ブランドの輸出を通して、自
己のマーケティング網構築等で競争力の比較優位を図るべきだと提案している。
〔中国新聞網2011年6月8日〕
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