CI Image
 
電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
登録  解除    メールアドレス  

特集内容一覧へ

企業を揺るがす労働問題と暴露

シチズン加工工場でストライキ10日間続く 従業員と日本経営陣衝突

 10月17日、シチズンの子会社アスター(冠星精密有限公司/Astar Precision Co.,Ltd.)
の深センにおける生産委託先工場にでストライキが発生して丸10日がたった。ス
トライキには1000名以上の従業員が参加し、現在も継続している。
 当該工場の従業員は、休憩時間中の給料の支払い、賃金待遇の向上、社会保障
の満額納付等を要求している。ストライキ発生以降、現地政府関係当局とアスタ
ー社生産委託先工場、従業員幹部の間で協議が重ねられているが、いまだ合意に
は至っていない。
 ストライキの発端は10月16日。この日、アスター社の生産委託先工場はベルト
部門の従業員を集め会議を開き、従業員の賃金計算をこれまでの出来高制から時
給制に切りかえることを協議、これが従業員の不満を買い、翌17日にストライキ
が発生した。
 当該工場の従業員は現在1178名。10月17日に集団ストライキがメディアの関心
を集め報道されて以降、深セン市宝安区人材資源局、沙井街道弁事所関係当局、
当該工場のグループリーダー以上の幹部、及び当該工場経営者の間で協議が重ね
られたが、いまだ合意には至っていない。
 宝安区人材資源局の提供する「沙井黄埔アスター社(生産委託先)工場事件調停
状況通知」によると、10月21日、当該工場は加餐費を従来の100元から300元に上
げるとしたが、従業員はなお同意していない。また、従業員の一部過激派による
経営者事務所襲撃も予想されている。既に一部経営者と従業員の間でつかみ合い
の事態が起こり、双方が軽傷を負ったという。
〈従業員 休憩時間中の給与を要求〉
 ストライキを行っている従業員は、取材記者を見るなり、次々と工場の門から
走り出て、記者に工場の待遇とストライキの経緯・状況を語った。
 ストライキに参加している四川省籍の余さん(勤続4年以上)、湖南省籍の李さ
ん(勤続15年)、同じく湖南省籍の李さん(勤続6年半)。工場のソリッドベル
ト部門に勤務する彼女ら3名、及びその他多くの従業員が語った内容は次の通り
である。
1) 当該工場では2005年から2010年10月の期間中、日に40分の休憩時間があり
(午前午後各15分、夜間10分の計40分)、この間の給与は計上されていない。従
業員は過去5年間の休憩時間分の給与の支払いを要求している。
2) 当該工場の休日は毎月4日であり、毎週土曜は通常通りの勤務となっている。
出荷に合わせて製造するという状況において、1日の勤務時間は12時間に及び、
また休憩時間は月に13時間に上る。後に残業時間は毎月80時間以内と改められた
が、従業員は休憩時間外に水を飲むこともトイレに立つことも許されない(作業
を引き継ぐ代理を立てれば可能)。
3) 従業員が勤務して1年たって初めて、当該工場は社会保障、積立金等福利の手
続を行うことになっている。このため、従業員は社会保障額を満額納付していない。
4) 当該工場は新工場への移転を計画、これに伴い、作業ポストを調整すること
で従業員を解雇した。
 「現在従業員は1100名以以上。新工場に必要な従業員数は500名。工場は、さ
まざまな手段によって従業員が自主的に退職するよう促しており、出費を省くた
めにきょうも1人も切り、あすも1人切る」
 ストライキに参加している従業員の単鉄平氏は、「かつて工場の一部門が閉鎖
されたが、この部門において10年以上のキャリアを持つ熟練工が退職すれば工場
側は多くの費用を支払わなくてはならなかったため、工場は彼らをその他の部門
に一たん異動させ、最終的に部門の閉鎖以外の理由で退職させ、相応の補償額を
支払わなかった」と語った。
 また、ある従業員は、アスター精密懐中時計用鎖工場(冠星精密表鏈廠)の基
本給は、基本的に深セン市の最低賃金に合わせられているとし、単鉄平氏は「私
のここ数年の基本給は580元、750元、900元、1100元、1320元であり、残業代等
を加えても、一月の給与は2300元を超えない」と語った。
 毎日経済新聞の記者は経営者側に対して、ストライキを行っている従業員の発
言の真偽を確かめるべく取材を試みたが、門衛の警備員を介しての記者のたび重
なる呼びかけに対し、工場側は「政府と協議中である」ことを理由に取材を拒否
している。各方面で問題解決に向けて協議中であるとのことである。
〔毎日経済新聞2011年10月27日〕
編集追記)シチズンホールディングス株式会社は自身のウエブサイト(http://
www.citizen.co.jp/release/11/111104ct.html)において、「シチズン時計株式
会社(本社:東京都西東京市 社長:海野幹夫)の子会社であるアスター(冠星
精密有限公司/Astar Precision Co.,Ltd.)の生産委託先工場におけるストライ
キにに関して、一部で報道されたような勤務時間中のトイレの利用時間や水を飲
む時間などに対する賃金カットやデモ行進中での従業員への暴力行為を行った事
実はない」としている。

グッチ労働搾取工場を元職員が暴露

 中国の声「中広新聞」の報道によると、ぜいたく品であるグッチ深セン店が労
働搾取工場に指定された。
 2名の元職員は、グッチ旗艦店に勤めていた際、非人道的管理を受けたという。
例えば、水を飲むにも申し出が必要だとか、お手洗いに行くにも報告しなければ
ならないとか、妊婦が十数時間立ちっ放しの作業を強いられたり、リンゴを8つ
食べたら解雇されるなどと、メディアに対し暴露した。
 この暴露に対し、グッチ側は既に調査を開始したと表明。中華全国労働組合は、
記者の単独インタビューの際に下記のような回答をした。
 中華全国労働組合保障工作部の鄒震部長は、上記の状況について、実態を把握
し次第厳粛な対処をとるとし、グッチは労働者の権利は商品と同様の目線で考え
なければならないとした。
 鄒震部長は、「もしこのような状況が存在し、本当に労働搾取工場であるなら
ば、必ずやめさせる。これは労働者基本権利を踏みにじるものだ。このような行
為が発見されれば、我々深セン労働組合は深センの政法部門とともに調査を行い、
法律にのっとって処罰を行う。このような行為は決してあってはならないこと
だ」と語った。
〈事件回顧 グッチ販売店にて職員への虐待疑惑〉
 グッチは職員に対し、販売店での勤務時間内における行為に100項目以上の規
則を設け、そのうちの多くの規則は職員の生理的要求をも厳しく制限している。
勤務時間内に水を飲むにも上司に申し出なければならない、お手洗いに行くにも
許可をとる必要がある、お手洗いに行く時間も5分以内と厳しく制限されている。
 例えば、深セングッチ旗艦店内の規則には、店員が2回の過失を起こすと、1回
の口頭警告に値し、1年間に4回の口頭警告がたまると、解雇になる。
〈労働過多により、妊娠中の女性職員が流産することも〉
 暴露した5名の職員のうち、阿麗さん(仮名)は、グッチで勤めている期間中
に妊娠した。しかし、会社から通常どおりの仕事を要求され、毎日十数時間立ち
仕事をさせられた。また、上司に対して、果物やお菓子などを持参して休憩時に
栄養の補給をしたいと何度も申し入れをしたが、申し入れはすべてグッチ側の厳
格な拒否に遭った。
〈販売員は警備責任を負わされる 紛失は連帯弁償〉
 グッチ深セン万象城店の店員によると、店員は重労働にたえるほか、毎日販売
の仕事を行うと同時に、店内の警備の責任も負わなければならない。万が一商品
がなくなったりしたら、店員全員が連帯責任で弁償しなければならない。
 また、商品がなくなった日に出勤していなくても、商品がなくなった責任のあ
る人でなくても、グッチの店員として契約しているだけで、失った商品の原価に
基づいて全員で費用を弁償しなければならない。
〈辞職者が「非人間性」管理をミニブログで社長を訴えた〉
 深セングッチ店を辞めた元職員の小滋さんは、数名の職員とともに会社のひど
い管理制度に不満を抱き、残業代未払いを理由に会社を訴えた。
 小滋さんは会社に対して残業代支払の請求をしたが、会社は滞納するばかりで、
最後には法律に基づき、小滋さんは辞職に追い込まれた。小滋さんは会社の管理
制度に驚愕し、またこの会社が違法行為を犯していることに気づき、以前、ミニ
ブログを通して、アジア太平洋エリアの婉頴CEOに訴えたことがある。
 会社の同僚は、会社がいうには、あれは彼女個人のミニブログであって、仕事
上のことをミニブログ上で彼女に話すことはできないとしている。
〈労働搾取工場の指摘に対し、既に調査を開始していると回答〉
 グッチ中国会社広報担当の責任者は記者に対し、現在、会社内部において、ま
さに最終段階での検討を行っている。近日中に何らかの説明を行うので、それま
では外に対して一切の発言を控えている。最終的な結論が出次第、会社側から必
ず記者に連絡する、会社は直接的な調査を行っている最中であると語った。
〔中国広播網2011年10月11日〕

中国の7割の企業には社会責任感が欠如 社会に深刻な因果応報

 中国社会科学院企業社会責任研究センターが11月9日に発表した2011年「企業
社会責任白書」によると、中国において最も規模を有する国有、民営、外資企業
300社平均の社会責任発展指数はわずか19.7ポイントにすぎなかった。これは、
昨年の17ポイントに比べれば幾分進歩したが、全体の水準が依然として低くとど
まっている。
 そのうち、わずか1社が「卓越者」と評された。その残り大多数の企業、計205
社(68.3%)は「傍観者」とされ、その中の26社の社会責任発展指数はわずか0ポ
イント、マイナスになっているものさえあった。
 このほか、中国民営企業の社会責任感は過去1年で後退し、発展指数は2010年
と比べて13.9ポイントと0.6ポイント下がった。
 社会科学院社会発展研究所の李漢林所長は記者会見で、廃棄食用油のリサイク
ル、メラミン等を例示し、自身の利益を追求し、社会や消費者への責任を軽視し、
経済行為をねじ曲げたために、深刻な社会的な因果応報を招いている」と述べた。
 なお、中国警察は、ここ1年で既に時価5000億元を超える模造劣悪品を押収し
ている。〔聯合早報2011年11月9日〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━