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財政収入増大に求められる再分配

中小企業の苦境 半分の利潤を税金に持っていかれる

 中小企業の税納付額はどれだけ重いのか?これは、11月14日「人民日報」18版
の見出しである。この文章は、単刀直入、「記者が中小企業数社を調査したとこ
ろ、半分程度の利潤が各種税金として納められている」から始まっている。
〈利潤の58%が税金に〉
 李京生さんはある民営包装製品会社の総経理だ。1993年に封筒、手提げ袋で起
業し、現在の従業員は60人強である。
 「我々は紙の仕事をしているが、現在、業界の利潤は紙と同じように薄い」
 李京生総経理がため息をつきながら言うには、カラー印刷収入単価は1990年代
初めの100元前後から現在は15―18元に下がっている一方、用紙やインク、人手
のコストが急激にはね上がり、さらに、20年前の毎月300元でまあまあの印刷工
を雇えたのが、現在の印刷機責任者の月給は8000―10000元、一般工員でも3、4000
元と10倍以上ということだ。「こんなことで利潤を圧迫して、現在の利潤率はた
ったの5%だ」
 1年間仕事を一生懸命やることで、李京生総経理の会社は120万元前後を稼ぐが、
各種税金も半端ではない。
 李京生総経理が指折り説明するには、「増値税が17%で毎年50万―60万元。私
のところでは身体障害者を13人雇用していて、1人当たり3.5万元の還付を受けら
れるので、20万元納めればいい。企業所得税は25%で毎年12.5万元。都市建設税、
教育費付加金、車船税で毎年5万―8万元。養老、医療、失業、労災、生育等の社
会保険費が毎年30万元。
 計算してみると、毎年70万元の税金を払っていて、手元に残るのはわずか50万
元、おおよそ58%の利潤を税金として納めている」
 「我々は減税を待ち望むばかりだ」中小企業の実質的な税負担は往々にして大
企業よりも高くなっているという。
 「例えば、紙を買うときには小まめに注文を入れて買う状況で、きょうは数百、
数日後に数百となるが、大企業は少なくとも数百トンにならないと売ってくれな
い上に、現金取引を求められる。それで、我々は小規模企業から紙を買うしかな
いのだが、彼らは一般的に仕入れ増値税額控除のための専用領収書を持っておら
ず、控除しようがないため、増値税を20%納めなければならないことになる。こ
のような現象は、加工型中小企業の中ではよくあることだ」
〈税金を10%―15%減らせれば、会社の規模を倍にできる〉
 従来型の業界の中小企業の税金負担は高いが、科学技術型の中小企業の状況も
楽観的ではない。「人民日報」はバイオ科学技術企業の例を挙げている。
 江小華さんは、あるバイオ科学技術企業のCFOだ。この従業員200人を擁する民
営企業が生まれたのは1991年、飼料添加剤と、日用化学製品の添加剤を生産して
いる。
 企業のことについて、江小華CFOは顔を紅潮させて言う。「以前は、中国国内
では飼料の添加剤を生産することができず、欧米から輸入するだけだったが、価
格はえらく高かった。我々のような企業ができてから、飼料添加剤の価格は3分
の2に下がった。我々はこのような規模であっても、2大主要製品の市場シェアは
中国では3位に入っていて、毎年500トンの製品を欧米市場に売り出している」
 しかし、税負担について触れると、江小華CFOの顔色が曇った。この企業では、
1年間に、所得税200万元、増値税300万元、営業税50万元、流通税35万元、印紙
税と不動産取得税15万元を納めており、さらに社会保険費として330万元前後か
かっている。
 「この930万元以上の税負担は、おおよそ企業の税引き前利益の48%を占めてい
る。我々は幸いなことにハイテク企業で、15%の所得税の優遇税率を享受してい
るが、もしこれがなかったら、税負担は利潤の半分を超えていたはずだ」
 このほかに、江小華CFOが言うには、政策規定によって、生産資料中の大部分
の原料と混合飼料、配合飼料、濃縮飼料等は免税とされているが、実際の取り扱
いにおいては、企業はまず飼料部門の検査を受けなければならず、1品種で1000
元の検査費を払い、これが20になれば2万元である。約1週間から半年で検査を通
過した後、さらに税務部門の審査と許可を受けなければならない。
 「検査から許可がおりるまでに一般的には2、3カ月、北京はちょっと早くて1
カ月だが、地方によっては、「先に生産をさせて、半年後に許可する」こともあ
る。しかし、その間は17%の税率が増値税にかかり、これらの製品の利潤率も10%
前後になる。このような時間の中で、我々は一体生産をやるべきなのか、やらな
いべきなのか」
 「私が解せないのは、こんな簡単なことにこんなにも長い時間をかけて審査、
許可することだ。ましてや、税務部門から審査が回ってきて、彼らは税収任務が
あるのだから、積極性を持てるはずだろう」
 このほか、江小華CFOは率直に言う。「上海の一部の業界では、営業税を増値
税に改める試行を行い、増値税の下限税率を6%にふやした。もともとの5%の営業
税と比べて、中小企業の税負担を軽減できたように見える。しかし、実情では、
中小企業の各種の細々した調達では仕入れ増値税額控除のための専用領収書は得
られずに控除できないので、増値税率は営業税率よりも1%高いことで、幾つかの
企業ではやはり税負担がふえているかもしれない。
 また、例えば、増値税の課税最低限を月販売額2000―5000元から5000―20000
元に引き上げるとしているが、月販売額2万元というのは、平均1日の営業額600
元以上を意味していて、野菜売りでさえ1日600元以上を稼ぐんだから、この政策
の恩恵を受ける中小企業はどれだけあるのだろうか」
 「会社で苦労して20年、帳簿上の純資産は1億元に達していないが、累積納税
額は1億元に達した。もし、税金が適度に軽減され、例えば10%―15%下がれば、
我々の帳簿上では2000万元多くなり、会社の規模を倍にできる」
〔東方早報2011年11月15日〕

中国中央財政収入が全国財政収入全体に占める割合は高くない

 分税制改革後、中央財政収入が全国財政収入に占める割合は基本的に50%台で
高どまりしているが、2007年54%、2008年53.3%、2009年52%、2010年51%と、下落
基調となっている。中国の地域間財政力分布は不均衡であるので、基本的な公共
サービスの均等化等の目標を実現すべく、中央に財政力を適度に集中する必要が
ある。
 中国の地域経済発展はとても不均衡で、東部、中部、西部の地域間財政力の差
はとても大きい。東部地域の人口は全国の35%、面積は8.75%だが、経済力は全国
の52%である。2010年の消費税、増値税、所得税等主要税目収入の61.6%は東部地
域に分布し、また東部地域の省と省の間の財政力でも不均衡が生じている。
 しかし、人々がひとしく享受することが保障される基本公共サービスは政府の
基本責務であり、今日的国家建設における必然的要求でもある。科学発展観と
「5つの統一的計画」(都市・農村発展、地域発展、経済社会発展、人・自然の
調和ある発展、国内発展と対外開放)に照らし、第12次五カ年計画では健全な公
共サービス体系を創設し、基本公共サービスの均等化実現を中央政府の重要業務
目標とする。
 中央が適切に財政力を集中せず、再分配の調節を強めないということであれば、
基本公共サービスの均等化実現の目標を設定する以前の話だ。
 諸外国と比較して、中国の中央財政収入が全国財政収入に占める割合は決して
高くない。国際的な経験によれば、市場経済国家の政府の管理権限は徐々に地方
へ、支出責任も同時に地方へ委譲されたが、財政収入は決して相応に委譲されず、
中央に集中しているのが主流である。大部分の国家の中央政府は、依然として財
政収入の主要部分を調整している。
 中央財政収入が全国財政収入に占める割合を見ると、大部分の国家、特に単一
制度国家は60%以上を保持している。例えば、2007年現在、イギリス91.1%、フラ
ンス84.9%、スペイン69.1%である。連邦制をとる国家では、オーストラリア73.9%、
ドイツ65.3%、アメリカ56.7%である。また、ロシア65.9%、南アフリカ86.5%であ
る。〔中国広播網2011年11月15日〕

財政収入と個人収入は一方が下がれば一方が上がるというものではない

 今日、社会において財政収入と個人収入の関係に幾つかの誤解が存在している。
社会の富の総量が既に決まっていると仮定した場合、財政収入が増加することで
個人収入を減らしていると見られている。
 実際には、財政収入と個人収入はそんな簡単に、あちらが下がればこちらが上
がるという関係ではない。財政収入は単なる中間媒体である。例えば、政府が財
政収入を得た後は、補助金支出を通じて、直接個人の収入を増加させるし、個人
の教育、医療、社会保障等における支出負担を軽減させるし、間接的に個人収入
をふやしているのである。
 国際的な経験でも、財政収入がGDPに占める割合はやや高く、財政の再分配能
力の強い国家は、所得分配格差がやや小さい。例えば、政府収入がGDPに占める
割合は香港22%、アメリカ34%、フランス50%、スイス56%と徐々に多くなっている
が、逆に所得格差をあらわすジニ係数は香港0.43、アメリカ0.41、フランス0.33、
スイス0.25と徐々に下がっている。
 中国の労働力市場全体は供給が需要を上回っている状況であることから、市場
メカニズムによる、ただ一次的な分配に頼るだけでは、大幅な住民収入、特に中
低所得者の収入の向上は難しく、財政の二次的な分配で調整する必要がある。
 したがって、政府が国民収入の再分配分野の調節能力を強化し、かつ社会保障
体系の整備、補助金支出増加等の方法を通じて、所得再分配段階で住民、特に低
所得者の所得をふやせれば、住民収入が国民所得分配中に占める割合の向上の促
進に有益である。〔中国広播網2011年11月15日〕

財政収入の増加とGDPとは直接的な対応関係はない

 経済は財政を決定づけ、財政収入の成長は主に経済発展に由来する。全体的に
言えば、財政収入の成長とGDPの成長との間には関係はあるが、おのおのの構造
的差異、物価要素や統計の枠組みの差異、政策的要素の影響により、両者の間に
は直接的な対応関係はなく、財政収入とGDPの両者の間の成長は完全にシンクロ
しないのが正常である。
 財政収入は税収収入と非税収収入から成り、それぞれ経済的な出所と収入要素
はさまざまである。
 ある税目の収入の成長の原因を分析するとき、主にその税率、税基盤、徴税管
理状況を見て、税率水準が不変で、徴税管理水準が相対的に安定的であれば、税
基盤の成長速度により決定づけられる。税目の税基盤成長とGDP成長の速度は決
して一致していないことにより、数量上も一定の対応関係がない。
 中国の現行の19税目のうち、増値税の税基盤(工商業付加価値と一部固定資産
投資)中に占める工業及び商業付加価値部分とGDPとの関連性がやや大きいとい
うことを除けば、そのほかの税目の税基盤とGDPとの直接的な量的な対応関係は
少ないか、ない。
 例えば、関税と輸入環節税の税基盤の成長及びGDPの成長はマイナスの相関関
係がある。企業所得税、個人所得税、営業税、消費税、資源税、不動産移転税等
の税基盤の成長とGDP成長には何も――相応する数量関係はない。証券取引印紙
税の税基盤は証券取引総額で、その増加はGDP成長と直接の関係は存在しない。
 GDPとの関連性がやや大きい工業及び商業増値税であっても、経済構造調整が
絶えず変化し続けていくにつれ、工商業増値税収入とGDP成長決してシンクロし
なくなった。
 例えば、今年1―3四半期で、工業付加価値額14.2%増(物価要素を計算)、工
業品出荷価格5.5%増に相応して増値税が18.7%成長で、同期のGDP成長率9.4%を上
回っている。そのほか、税収政策調整と税収徴税管理水準の変化による税収収入
総量の変化も、GDPの変化と基本的に無関係である。〔中国広播網2011年11月15日〕
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