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農民工の地域流動の変化と背景

統計局住戸調査弁公室が農民工データのポイントを解読する

 国家統計局が先日、2012年全国農民工監測調査報告を発表した。
 農民工の流動、収入、権利、新世代農民工等の問題は社会の注目を集めている。
 そこで、この調査に責任を持つ国家統計局住戸調査弁公室の担当者に5日、新華
社記者が取材を行った。
〈中西部地域の農民工 近接地労働への転換加速〉
問:農民工の地域流動にはどのような新しい特徴があらわれているか。経済社会の
発展はどのような新しい変化としてあらわれているか。
答:ここ数年の農民工の地域流動状況を見ると、主な特徴は以下のとおり。
 一つは、言うまでもなく、農民工の供給地や働く場所である。中西部地域の農民
工数の増加は、東部地域よりも明らかに多い。
 二つは、珠海デルタと長江デルタ地域で働く農民工は依然として人数が増加して
いるが、農民工全体に占める割合は減少傾向にある。
 三つは、省をまたいだ農民工の流動の割合が引き続き減少している。
 中西部地域は依然として労働力移転の主要な供給地で、東部地域は主要な供給先
であるが、ここ数年、中西部地域の経済が急速に発展をし、労働集約型産業が東部
地域から中西部地域に移転し、中西部地域のインフラ建設等投資誘導政策の影響を
受け、中西部地域の労働力需要も急増している。
 労働集約型産業の中西部地域の移転、東部地域の産業の高度化に伴って、農民工
の流動では、中西部地域の農民工の近接地労働への転換が加速する趨勢にある。
〈農民工収入増は長期的な低過ぎた収入から正常に回帰したもの〉
問:近年来、外出農民工収入が10%増を上回り、年間20%超増のところがあるが、こ
れはなぜか。
 昨年の外出農民工の平均月収が2200元超というのはどのように出されたもので、
農民工の月収が大学生の初任給を上回っていることをどのように見ているか。
答:外出農民工の平均月収2290元は、4万人以上の外出農民工にインタビュー調査
を行って得たデータである。この4万人以上の農民工には、経営している人もいれ
ば労働者として働いている人もいる。時間が長くて、経験豊富で、職業技能が高い
人もいる。一方で、働き始めたばかりの人もいる。
 農民工の収入には、経営収入や、労働収入も含まれる。労働収入には、基本給、
残業、各種補助、ボーナス等も含まれる。
 地域、業界、職種やポストによって、農民工の収入水準には違いがある。月収の
高い者から低い者まで順に並べると、収入が最も低い20%の農民工の1人当たり月収
はわずか1300元前後である。中低収入に当たる20%の農民工の1人当たり月収は1800
元前後である。
 業界別に見て、収入水準が高いのは、労働の強度が高く、リスクが高い採掘業、
建設業、交通運輸業の農民工で、一方、ホテルレストラン業、サービス業、製造業
の農民工の収入は低い。
 一部の大学生の初任給と農民工の月収とは比較しようがない。農民工の総労働強
度は高く、労働時間は長い。調査によると、毎月平均25.3日、1日に10時間以上働
く割合が29.6%を占める。
 ここ数年の農民工の収入増加は速いが、これは、これまでの農民工収入の長期的
低迷から正常に回帰しているということであって、農民工の労働にふさわしい対価
に回帰することは、必然の趨勢である。
 労働の賃金待遇の多寡は市場の需給関係によって決定されるものである。労働市
場では、需要が供給を上回り、大学生の就職難が目立っており、大学生の中には、
就職するために、自身の希望する給料を下げて就職先を探す者もいる。
 雇用というのはマッチングであり、企業が特に望むのは忍耐強くて、ある程度の
経験を持つ者である。初めて仕事をする大学生は、仕事の経験はないし、短期間で
は求められる仕事に適応することが難しく、賃金も低いが、系統立った教育を受け
てきており、一定の基礎知識や技能は持っている。若くて、学習能力が高いのだか
ら、訓練していけば、就業市場や職業選択にあっても、依然として農民工よりも成
長潜在力がある。
〈農民工の権利擁護は進展するもさらに強化する必要がある〉
問:農民工の権利保障において、何か新しい進展あるいは問題点はあるか。
答:近年来、農民工の労働報酬権利擁護は既に明らかに効果が出ている。雇用主や
職場の賃金未払い被害に遭う農民工の割合は年々減少し、農民工の賃金未払いの解
決、抑制の一連の政策措置の効果が出て、農民工の社会保険加入水準が上がってい
るところもある。
 しかし、1週間当たりの労働時間が労働法に規定する44時間を上回る外出農民工
は依然として84.4%に達し、半分以上の農民工には労働契約は結ばれておらず、社
会保障加入は全体的には低水準である。
 農民工は主に製造業、建設業、サービス業に就業している。これら農民工の雇用
を吸収するのは中小企業が中心で、リスク対応能力が弱く、労働者の待遇改善の能
力も限られ、労働契約未締結、社会保障費未納といった状況が一般的である。した
がって、さらに農民工の権利擁護を強化する必要がある。
〈新世代農民工の社会保障公共サービス等に対するニーズは高い〉
問:新世代農民工は、近年来ますます注目を集めている。調査から見れば、新世代
農民工にはどのような特徴があり、新しい都市化に対しどのような新しい要求を出
しているのか。
答:現在、1980年以降に生まれた新世代農民工は外出農民工の61%前後を占めている。
 初代農民工と比べて、新世代農民工は徐々に農業生産に従事する技能を失ってい
る。16―20歳の農民工のうち、農業技術研修に参加したことがあるのはわずか4%、
21―30歳の農民工のうち、農業技術研修に参加したことがあるのはわずか6.2%にす
ぎなかった。4分の3の新世代農民工は、もともと農業生産に従事したことがない。
 彼ら新世代農民工の教育レベルは高く、個人のキャリアを重視し、比較的楽な職
業につくことを望み、個人の生活の向上を重視し、都市生活に溶け込みたいという
願望が強い。彼らの権利主張は明らかに変化しており、彼らは経済力の向上で満足
するにとどまらず、安定した居住場所、社会保障の享受、公共サービス等にも高い
需要がある。
〔新華網2013年6月5日〕

2012年全国農民工監測調査報告 3

(前号より続く)
五、農民工収入状況
(一)農民工の収入の成長速度は下落傾向、東部、中部、西部地域の農民工の収入
は同様の傾向
 2012年末、外出農民工1人当たり月収水準は2290元で、前年比241元増の11.8%増
であったが、増加額は前年比118元減と9.4ポイント減少した。地域別に見ると、東
部地域で働く農民工の月収水準は2286元で、前年比233元増の11.4%増であった。中
部地域で働く農民工の月収水準は2257元で、前年比251元増の12.5%増であった。西
部地域で働く農民工の月収水準は2226元で、前年比236元増の11.8%増であった。そ
のほか、域外で就業する農民工の月収水準は5550元であった。
表9:外出農民工地域別月収水準(単位:元/人)
 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
全国 1340 1417 1690 2049 2290
東部地域 1352 1422 1696 2053 2286
中部地域 1275 1350 1632 2006 2257
西部地域 1273 1378 1643 1990 2226
注釈:農民工の就業地域は、東部、中部、西部地域のほか、0.3%の外出農民工は香
港・澳門、台湾及び中国国外で従事しており、域外就業の農民工の月収水準は5550
元であった。
(二)大中都市で働く農民工の収入水準は相対的に高い
 外出農民工の就業地点別に見ると、直轄市で働く農民工の1人当たり月収水準は
2561元で、前年比259元増であった。省会都市で働く農民工の月収水準は2277元で、
同236元増であった。地級市及び県級市で働く農民工の月収入水準はそれぞれ2240
元、2204元で、同229元増、222元増であった。大都市で働く収入水準と増加額は、
中小都市の水準をどれも上回った。
(三)業界別収入水準の差が広がり、ホテルレストラン業、サービス業の平均収入
水準は低め
 外出農民工が従事する主要業界別に見ると、収入水準が高めなのは、交通運輸・
倉庫及び郵便業、建設業の農民工で、1人当たり月平均収入はそれぞれ2735元と2654
元であった。収入が低めなのは、サービス業、ホテルレストラン業、製造業の農民
工で、月平均収入はそれぞれ2058元、2100元、2130元であった。
(四)中西部地域の農民工が東部地域で働く場合、収支残高が少ない
 生活コストを除いた、外出農民工の一人当たり月平均収支残高は1557元である。
しかし、中部、西部地域の農民工の東部地域での収支残高はそれぞれ1518元と1344
元で、中西部で働く農民工の平均残高を下回っている。中部地域の農民工が中部、
西部地域で働く場合、東部地域で働くよりもそれぞれ64元、130元多く得られる。
西部地域の農民工が中部、西部地域で働く場合、東部地域で働くよりもそれぞれ228
元、90元多く得られる。データではさらに、中部、西部地域の農民工が省内、省外
で働く場合、収支残高は同じぐらいだが、東部地域の農民工の省外で働く場合の収
支残高は2118元で、省内で働くよりも496元高い。比較すると、中西部地域の農民
工が東部地域で働く場合の生活支出は比較的高く、収支残高も少ない。したがって、
中西部地域で就業機会が増加している状況下では、農民工はさらに近くで就業する
ことを選ぶ傾向となり、このことは、目下の農民工の流動構造が変化する主要因の
一つである。
六、外出農民工居住状況
(一)外出農民工は依然として雇用主あるいは職場が提供する住居での居住が主体
 雇用されている農民工は、職場の宿舎に居住が32.3%、工事・建設現場での居住
が10.4%、生産経営場所での居住が6.1%、賃貸住宅のルームシェアが19.7%、賃貸住
宅のひとり暮らしが13.5%で、13.8%の外出農民工が郷鎮外で仕事し毎日自宅に帰宅
しており、わずか0.6%の外出農民工が就業地で自宅を購入している。ここ数年の外
出農民工の居住状況の変化から見ると、賃貸住宅のルームシェアの割合が上昇し、
賃貸住宅のひとり暮らしの割合が減少傾向にあり、その他、はっきりとした変化と
して、就業地で自宅を購入する割合が減少し、郷鎮外で仕事し毎日自宅に帰宅する
割合が上昇している。
表10:外出農民工の住居状況(単位:%)
 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
職場の宿舎 35.1 33.9 33.8 32.4 32.3
工事・建設現場 10.0 10.3 10.7 10.2 10.4
生産経営場所 6.8 7.6 7.5 5.9 6.1
賃貸住宅のルームシェア 16.7 17.5 18.0 19.3 19.7
賃貸住宅のひとり暮らし 18.8 17.1 16.0 14.3 13.5
就業地で自宅購入 0.9 0.8 0.9 0.7 0.6
郷外勤務だが自宅居住 8.5 9.3 9.6 13.2 13.8
その他 3.2 3.5 3.5 4.0 3.6
(二)4割の外出農民工の雇用主あるいは職場は住居も住居手当も提供しない
 雇用されている外出農民工の居住負担から見ると、49.5%の農民工は雇用主ある
いは職場より無料で住居を提供されている。9.2%の農民工の雇用主あるいは職場は
住居を提供されないが、住居手当はある。41.3%の農民工の雇用主あるいは職場は
住居も住居手当も提供しない。前年比で、雇用主あるいは職場が提供する無料の住
居の割合は0.4ポイント減少した。住居を提供しないが住居手当がある割合は0.4ポ
イント上昇した。
(次号に続く)
〔中国政府網2013年5月27日〕
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