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中国製造業のインテリジェント化

中国製造業にロボット時代が到来 関連上場企業収益に期待

 「ロボット及びオートメーション化技術は、世界の今後の発展を左右する」ビ
ル・ゲイツは2013年初め、このように予測した。
 ロボットはいまだ世界を席巻するに至っていないが、産業用ロボットの応用は日
々拡大しており、A株市場では機械化旋風が巻き起こっている。
 2012年の年次報告によれば、ロボットにおける3大ビジネス、及びそれら2012年
の売上高、前年比成長率は以下のとおりである。
1) 産業用ロボット――(売上高)3億元 (成長率)35.13%
2) 組立、検査、計測のオートメーション化――(売上高)3.54億元 (成長率)48.91%
3) 梱包、物流のオートメーション化――(売上高)3.17億元 (成長率)43.04%
 ロボットと一口に言っても、いまだ多くの人々が思い浮かべるのはSF映画や自動
車製造ラインのアームであり、ロボットが人々の生活からは遠い存在であることが
うかがえる。しかし、現実にロボットは工業生産分野において既に多く活用されて
いる。
 工業情報化部装備工業司の王衛明副司長は2013年中国ロボット産業振興会議のフ
ォーラムにおいて、製造業のデジタル化、インテリジェント化は産業革命の重要な
指標であり、それらの産業分野を代表するものとして、先進国は産業用ロボットの
導入を製造業再生の主な手段としていると語った。
 2013年、世界のロボット販売台数の7割は日、中、米、韓、独の5カ国に集中し、
中国は日本に次ぐ世界第2のロボット市場となった。
 工作機械の業界規模は中国製造業のファクトリーオートメーションに対する需要
の大きさを示しており、中国のロボット使用密度はいまだ最低ラインにある、した
がって、中国のロボット使用密度の向上がロボット需要の拡大につながるという分
析もある。
 「中国の市場規模は2014年日本を抜き、世界最大となる見込み」(王衛明副司長)
 データによれば、中国の産業用ロボットの新規設置台数は年間40%の伸びをキー
プしており、2008年以降はさらに成長が加速している。
 王衛明副司長によれば、産業用ロボット50年の発展の歴史において、このような
短期間でこれほど膨大な需要のあった国は、中国をおいてほかに存在しない。2012
年、中国の産業用ロボットの販売台数は前年比51%増であった。
 「幸いにも、中国製産業用ロボットのコストは年に4%の割合で減少している」
(王衛明副司長)
 生産と生活のオートメーション化が、今後の産業発展の主な方向性であることか
ら、ロボットを代表とするインテリジェンス・オートメーション化分野の上場企業
は市場の熱狂的支持を受けている。
 その例を挙げれば、2013年以降、ロボットの株価は絶えず上昇トレンドにあり、
市場の株価調整に伴って短期的に反落しても、早期に回復し、上昇を続けている。
最近、市場は一度暴落したが、当該株価は大きく反発し、次々と新高値を更新した。
このことからも、市場のこの種の株に対する絶大な支持の一端がうかがえる。
 市場関係者によれば、A株市場には、江蘇天奇物流系統工程股フェン有限公司、
瀋陽藍英工業自動化装備股フェン有限公司、湖北三豊智能輸送装備、軟控股フェン
有限公司、北京金自天正智能控制股フェン有限公司等、ロボット及びオートメーシ
ョン化との関連の強い上場企業が多数ある。
 一部企業の事業分野はロボットに特化したものではないものの、資料によれば、
それら企業もロボットの関連分野に多く携わっており、ファンドの注目をさらに集
めることが見込まれる。〔海南特区報2013年7月15日〕

中国インテリジェント製造市場は1兆元 70%を外資が握る

 労働力コストの上昇がまさに中国製造業に今までにない圧力をもたらし、オート
メーション化を代表とするインテリジェント製造が中国製造業の多少の救いになっ
ていることは間違いない。
 とはいえ、このことが気まずく語られてしまうのは、今後、1兆元を超える新市
場において、外資企業が既に70%以上のシェアを占めているからである。
 「政府の政策誘導と財政支援、さらに企業の研究開発投入の増加から見れば、中
国のインテリジェント製造業の発展は強化され、業界水準も上昇し続ける。しかし、
中国企業は初期条件の弱さが深刻で、今後、国内市場シェアが30%になるかどうか
わからないのに、50%が目標なんてとても言えない」慧聡研究ICT事業部の担当者の
張本厚さんは、中国企業報記者にこのように述べた。
〈製造業の「危機」〉
 2010年には、中国製造業の生産額は1.955兆米ドルに達していた。これは世界の
製造業総生産額の19.8%を占め、また米国の1.952兆米ドルの総生産額、19.4%の世
界シェアを上回る。政府側はこれを、アヘン戦争後、1世紀半を経て、中国は再び
世界一の工業国の位置を奪回したとしていた。
 しかし、中国製造業は大きくても強くないというのは公認の事実である。
 中国機械科学研究総院の屈賢明前副院長は、中国の機械設備製造業には自主革新
能力が弱く、高度な製造工程を主に国外企業に握られている等の問題が存在すると
指摘する。
 例えば、製造業のうち比較的中核となる計器では、中国の技術レベルは国際的に
は1990年代初めから中期のレベルである。
 特に重要なことは、工業情報化部の蘇波副部長が先日言ったように、30年余の高
度発展を経て、中国製造業が主に低コスト、廉価な労働力に依存していた時代が終
わり、外部的な国際経済、産業発展の環境変化に関係なく、経済発展の内部環境に
よって深刻な挑戦に直面していることである。
 発表されたばかりの6月期のPMI指数によると、政府発表のPMIは50.1%まで下落し、
前年比0.7ポイント減であった。民間発表のPMIは48.2しかなく、ここ9カ月で最低
水準となった。
 この2つのPMIがともに下落局面を見せたことで、今後の経済がさらに鈍化し、中
国の製造業が直面する内需と外需は弱体化していることがはっきりした。
 「まさに内憂外患で、中国の世界の工場としての地位には危険が至るところにあ
り、製造業の転換は焦眉の急である。そして、インテリジェント機械設備が、従来
型産業の高度化改造、戦略性新興産業の発展需要に直面しているのは、中国製造業
転換という広範な市場の先行きにおいて決定的な役割があるからである」(張本厚
さん)
〈兆元の市場規模〉
 「従来型の機械は通常、不変のコントロールシステムで、主に人間によるオン・
オフによる機械操作である。インテリジェント製造は、各種製造プロセスのオート
メーション化、インテリジェント化を実現するだけなく、高速、高精度等といった
特徴もあり、機械設備製造業全体の技術水準向上をもたらし、市場の先行きは広
い」(あるインテリジェント製造企業の関係者)
 開発途上のロボット製造を例にとると、2009年、中国の新規の産業用機械はわず
か約9000台だった。近年来、中国の製造業の発展と高度化に伴い、産業用ロボット
の設置台数は安定的に上昇している。
 今後3年で、中国の産業用ロボット市場の年平均成長率は30%に達する可能性があ
り、2014年には世界最大の産業用ロボット消費国となることが予想されている。
 「第12次五カ年計画 国家戦略性新興産業発展規画」が打ち出すインテリジェン
ト製造機械設備産業の発展工程表によると、2015年には、重点分野の製造プロセス
のインテリジェント化水準を著しく上昇させ、2020年には、インテリジェント製造
の国際競争力を持つ産業集積区、企業集団を形成するとされている。
 「政策支援があって、今後少なくとも5年以内にインテリジェント機械設備業界
は高度成長を保持し、第12次五カ年計画期間におけるインテリジェント機械設備の
主管業務収入の年平均成長率を25%超、2015年までに市場規模を1兆元超にする」
(前述の企業関係者)
〈70%は外資が支配〉
 政府がインテリジェント製造業界の発展の青写真をよくつくり、業界全体もこの
1兆元という大きな市場のパイを手ぐすねを引いて待っている。
 にもかかわらず、例えば気まずいこととしては、中国のインテリジェント製造業
界の平均70%以上のシェアは外資企業の手中に握られ、中国企業は基本的に隅に追
いやられている状態だということだ。
 公開されているデータによると、中国市場のハイエンド自動制御システムの95%、
高級数値制御工作機械の90%、高級数値制御システムの95%の市場シェアは国外製品
が握っている。
 核心部品、デバイスにおいても、高級数値制御工作機械セットの高級機能部品の
70%は輸入する必要があり、大型工作機械で30Mpa以上の油圧のものでは外資が独占
している。
 この局面に対し「第12次五カ年計画 国家戦略性新興産業発展規画」では、2015
年、インテリジェント製造機械設備の国内市場シェア30%到達に努め、2020年まで
に国内市場シェアをさらに50%までに向上させることを提案している。
 張本厚さんは、近年来、中国政府と企業はハイテク研究開発力を日々強めてきて
おり、2011年、中国の研究開発投入は世界の13.1%を占め、米国に次ぐ世界の研究
開発投入第2位となっていることから、研究開発への高い投入を続けることは、中
国のハイエンドインテリジェント製造分野の競争力を必ず押し上げると見ている。
 「とはいえ、否定できないのは、核心技術の総量、企業のイノベーション能力、
さらに市場需要等の方面では、中国のインテリジェント製造業は国外に比べ依然と
して大きなギャップがあることである。結局、先進国の目下の水準は数十年の蓄積
を経ているのに対し、中国はスタートしたばかりであり、中国が自然をも超越でき
るような強さを持っているわけではなく、まだ時間がかかる」
[中国企業報2013年7月23日]
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