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消費浮揚と旅行と休日のバランス点

有給休暇を都っての旅行希望が8割を占める

 2014年の国慶節黄金周も終わりに近づき、多くの人が、またしても団体で旅行し
ているときに切符を買うのが難しく、道路が渋滞し、観光地が黒山の人だかりであ
ることを感じただろう。あなたが疲労こんぱいで観光地を回っているとき、こんな
黄金周は改善する必要があるのではと考えることはないだろうか?
 特に「全国休日観光協調事務室」が廃止され、国務院が「観光業の改革と発展の
促進についての若干の意見」を発表後、社会では黄金周の存廃や改革の議論が沸き
起こっている。
〈黄金周は続けるべきかやめるべきか〉
 今年の黄金周前、北京の施京さん家族はまたどうしようかと考えていた。外出し
ても混んでいるし高いし、家にいると何となく味気ない。黄金周はもはや15年前の
始まったばかりのころのようには心が時めかないのである。
 黄金周は続けるべきかやめるべきか? 社会の意見は対立している。
 清華大学政治経済学研究センターの蔡継明主任は、代表的な廃止論者である。
 蔡継明主任は、有給休暇の実施を進めていき、国慶節黄金周をやめ、国慶節の法
定休日を1日にすべきであると考えている。
 「世界の圧倒的多数の国家の建国記念日の休日は1日だけである。余った2日の法
定休日を元宵節、重陽節という伝統的な祝日に振り分け、春節の法定休日を5日に
延長すればいい」
 1999年、中国はアジア金融危機を受け、内需浮揚のために黄金周をつくった。人
々は皆大いに喜んだ。
 しかし、黄金周が何回も到来し、問題があらわれた。「万里の長城に行くのは格
好いいと言うが、実際に行くと混んでいてばかばかしい」統制がとれておらず、ど
こにでも人がいて、どこも混み合っていて、一回旅行した後は仕事するよりも疲れ
ている。
 事業者の立場から見てもいいことばかりでもない。蔡継明主任が国家統計局のデ
ータをもとに分析したところ、黄金周において事業者は大いに利益を上げるが、黄
金周が過ぎると急速に売り上げを落とすという。
 黄金周廃止に反対する人も多い。
 ドイツ国家観光局中国エリアの李朝〓主席代表は、欧米は個人を重んじ、中国は
団体を重んじる。自分は問題はなくても、子供の世話に手が放せないとか、家族と
しては問題はなくても、仕事は手が放せない。だから、一定の有給休暇で柔軟的な
余地を持たせるだけでなく、法定休暇の確保も必要であると話す。
 一般人でも、黄金周がなくなることを望まない人もいる。
 上海で働く徐さんは、春節以外に現在は国慶節に長期休日がある、有給休暇は上
司の顔色を見なければならないので、なくなれば旅行に行く時間がなくなると話す。
〈有給休暇はどのように実施するのか?〉
 有給休暇に話が及ぶと、多くの人はそこが泣きどころだと言う。
 蔡継明主任も、国慶節黄金周廃止には前提条件が幾つかあり、それは、全国各地
の各部門に有給休暇制度を厳格に実行させることができるかであるとしている。し
かし、目下の有給休暇の実施状況は余りよくなく、この条件のための機は熟してい
ない。
 蔡継明主任がリーダーとなっている関連プロジェクトチームの調査によると、中
国の目下の有給休暇実施状況は満足できるものではなく、実施率は50%前後である。
 「有給休暇実施が足りておらず、休みを休日や祝日に求めなければならないこと
に本質がある。法定休日は11日で、日数全体が増加しない状況で、前後の土日を流
用しなければならない。これらが祝日の予定に対する不満を招いている」(蔡継明
主任)
 2013年「国民観光レジャー綱要(2013―2020年)では、2020年までに職員の有給
休暇制度が基本的に実施されることを目標としている。
 国務院が先日発表した「観光業の改革と発展の促進についての若干の意見」でも、
有給休暇制度の実施状況を各地の政治議事日程に追加するとしている。
 「有給休暇は機関事業単位やその幹部職員に直接関係するが、外部から見ると、
地方政府の推進、監督、責任が欠かせない」中国旅遊研究員の戴斌院長は言う。
 蔡継明主任は、有給休暇を実施しない部門については、法律部門が職員の集団訴
訟を受理すべきで、少なくとも職員に3倍の給料を支払うか、あるいはさらに厳格
な処罰がなければならないと考えている。
〈黄金周がなくなったら、どうやって休めばいいんだろうか?〉
 実は、黄金周が存続しても廃止されても、目的は一つだけである。それは、人々
の休暇取得の権利をさらに良好に保障、実現することである。
 国家の休日は3つに分けられる。一つは法定祝日、休日で、重要な歴史的事件、
宗教文化の祝日である。二つは公休日で、労働者の休息のための法定された時間で
ある。三つは有給休暇である。
 公休日を計算に含めないと、中国の法定祝日、休日は計11日で、国際的に決して
短いとは言えない。
 しかし、ポイントは有給休暇が短過ぎることである。有給休暇は旅行をするのに
最も適しているというのが国際的な見方である。
 「中国の目下の主な問題は有給休暇が短過ぎることである。一般的に、最長で15
日、最短で5日、平均10日前後である。我々のプロジェクトチームで60カ国を研究
したが、有給休暇の平均は19日だった」(蔡継明主任)
 携程網の最近の調査によると、回答者の80%が有給休暇で旅行することを希望し
ており、黄金周ではなかった。もし、有給休暇が法定休日となれば、多くの人にと
っては1年中どの時期でも黄金周とすることが可能である。
 携程トラベルの統計では、十数年の急発展を経て、中国の非休日旅行市場が休日
旅行市場を上回ることが必然であるとしている。特に、有給休暇取得者数の絶対量
はここ数年で持続的にじわりと上昇している。
 「仮に有給休暇が真の意味で実施されれば、私は毎年の結婚記念日に外出し、メ
ーデーと国慶節は家にいる」あるネットユーザーはこのように話す。
 「もし、みんなが黄金周に集中して外出しなくなれば、観光地や交通のピークを
抑えることができるし、観光地の設備、サービスの長期的な発展を促進することも
できるし、観光客が外出するときのコストや緊張感も軽減できる」中国人民大学公
共管理学院の許光建氏はこのように話す。
 黄金周がなくなったら、旅行したいときに旅行できる、取りやすい休みが欲しい
ものだ。
〔北京日報2014年10月6日〕
注)〓は、にちへんに「軍」

中国の旅行収支赤字1000億米ドル突破 人民元の国際化加速

 中国旅遊研究院は22日、今年の国慶節黄金節の観光客数は延べ4.8億人、観光収
入は2700億元の記録を更新し、中国人の海外旅行の伸びが外国人の入国の伸びを大
きくリードすると予想した。
 中国旅遊研究院の戴斌院長は、2014年中国の出入国旅行収支赤字の1000億元突破
は確定していると指摘した。
 中国旅遊研究院によると、国慶節黄金周の観光客数は延べ4.8億人、比較可能な
データに基づけば前期比13%増、また、観光収入は2700億元、前年同期比20%増であ
った。
 「国内経済の安定、観光政策のメリット、旅行目的地やネット旅行企業の大規模
なキャンペーン、黄金周旅行需要の分散、住民の外出意欲が旺盛(56%)」戴斌院
長は、国内観光の成長は安定的だが、海外は高度成長であり、一方で外国人の入国
は冷え込んでいると述べた。
 メーデー黄金周がなくなり、春節黄金周は帰省して新年を祝うことが主体となっ
て、目下、国慶節黄金周が海外旅行市場において重要な影響力を持つようになった。
国内最大のネット旅行会社の携程トラベルのデータでは、国慶節長期休暇は年間の
海外旅行市場の20%前後を占める。
 国家観光局のデータによると、上半期、全国の海外旅行消費は700億米ドルを超
え、前期比20.7%増と予想されている。
 「年間海外旅行者数は延べ1.16億人で前期比18.2%増、海外旅行での消費額は1550
億米ドルで前期比20%増である。中国人の海外旅行消費市場は大きく、飲食だけで
なく、ホテル、ショッピング、さらに文化体験、モバイル決済等も含まれる」(戴
斌院長)
 「中国の海外出国者数は入国者数より若干多いぐらいだが、海外消費額は入国者
の消費額よりはるかに多い。2013年、中国住民の出国観光の1人当たり消費額は1368
米ドルで、当年の入国観光客の1人当たり消費額の3倍前後に相当する。この数字
は非常に驚くべきものだ」
 中国人の国境を越えた消費を研究する中国人民大学経済学院の范志勇副教授は、
この種消費行為を国内にとどめることがポイントと見ている。
 一方、中国経済のグローバル化が高まるにつれ、中国の旅行収支赤字を背景とし
て人民元の国際化が高まっており、総合的にこのプロセスを見ていかなければなら
ないとしている。
 中国人民大学財経学院の趙錫軍教授は、特に、人民元国際化は特殊な状況下で行
われたものであることに注意すべきだと強調する。
 「通常の通貨の国際化であれば自由な両替が完全にできるのだが、人民元は完全
に開放された状況下で国際市場に向かっていない。そのため、国境を越えた消費で
重要な役割を発揮するのは、海外旅行、ショッピング等、人民元の両替、使用の国
際化である」
 2008年の世界金融危機後、中国の旅行収支は逆転した。この時期に、人民元の国
際化は全面的に加速した。趙錫軍教授によると、国境を越えた消費の貢献度は比較
的低いが、増加の伸びはとても速いという。
 「特に、2009年以後は急発展した。2013年末、人民元の国境を越えた貿易決済累
計額は10兆元を突破し、人民元は第二の国際貿易通貨となった。この年の人民元は
世界8番目の決済通貨となり、2014年は7番目の決済通貨となった」
 「人民元決済の発展が急成長しているエリアの多くは中国の主要な海外旅行目的
地と合致する。例えば、香港・マカオ、台湾、韓国、東南アジア、オーストラリア
等である」「人民元の国際化は、中国人の国境を越えた消費と相乗関係がある。中
国人の国境を越えた消費、決済の増加が、人民元の海外進出を推進している」(趙
錫軍教授)
 近年来、中国の旅行収支赤字が増加し続けていると国家観光局の邵偉局長は何
度も世界の旅行業界に明らかにしている。
 中国政府が海外旅行を奨励する政策は揺るがない。中国の外貨準備が高どまりし
ている状況で、旅行収支赤字はある意味でグローバル貿易、特に中国の主要貿易相
手国との収支の再分配でもある。そして、人民元の国際化の加速、中国のグローバ
ルな影響力の拡大は、一種の非貨幣的な利益となっている。〔新華網2014年9月22日〕
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