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中国新世代が担う新たな消費社会の創造

銀行カードの与信使用率が初めて減少

 生活シーンでの決済のオンライン化のトレンドが加速している。
 中央銀行が9月8日に発表した2016第2四半期決済業務統計データによると、スマ
ホ決済業務の成長が著しい。第2四半期に金融機関が処理した電子決済業務は323.22
億件、570.95兆元だった。そのうち、スマホ決済業務は61.37億件、29.32兆元で前
期比それぞれ168.46%増、10.20%増だった。ネット決済業務は110.27億件、474.04
兆元で同6.05%増、2.11%増で、増加速度はスマホ決済よりもかなり見劣りする状態
となった。
 他方、第2四半期の銀行カード与信使用率は44.33%、前年同期比2.11%減で、数年
来で初めての減少となった。
 このことに対し、〓(*1)財信用の業務担当者の金忠〓(*2)氏は以下のように見て
いる。
 「生活シーンの決済のオンライン化は新世代ユーザーの成長環境、行動変化によ
って決まる。オンライン決済市場でクレジットカードはこれら若い人の唯一の選択
肢ではなくなった。これがオンライン決済の大幅成長という環境下でクレジットカ
ード与信枠の使用率が減少する原因である。しかし、従来型の消費金融に対しては、
この新しいユーザー層の変化はショックでもありチャンスでもある」
 新世代の決済習慣の変化というのは、中国のクレジットカードの30年の発展で訪
れた一つのターニングポイントである。
 中国のクレジットカード産業が十分整っておらず、均質化競争が深刻になってい
るといった問題があらわれる一方、銀行のクレジットカードのオフライン消費の手
数料収入が、消費金融の台頭で大幅に縮小している。
 金忠〓(*2)氏は、「我々も銀行業の努力を見ている。多くの銀行はアップルペイ
等と協力したり、モバイルネットワークによるモバイルバンキング業務の整備を加
速したり、多くのインターネット協力パートナーとの広範な協力を積極的に探って
いる。これらの変化から見えることは、銀行業は停滞し前進しないはずがなく、一
貫して新世代ユーザーの行動との接触を模索している。銀行業にとり、新ユーザー
層とはチャレンジである以上に、新たなチャンスである」
〈新世代の消費習慣の変化を軽視できない〉
 インターネットが盛んになった今日において、スプーン、箸に触れる前に既にパ
ソコン、マウス、スマホに触れる世代、彼らはインターネットネーティブであり、
多くは1990年以降生まれである。
 この世代が成長し消費金融の分野に入り込んでくるに従って、彼らのネット利用
が社会の消費方式をひっそりと変えてきている。オンライン決済の普及率が極めて
高い杭州を例にとると、多くの若い人は外出するときに財布を持つ習慣がなくなっ
ている。
 〓(*1)財のクレジットカード管理サービスのユーザーデータによると、オンライ
ンクレジットカード消費では、70後の消費金額が最も高く、90後のカード決済回数
が最も多い。
 興味深いことに、2016年第1四半期、90後のオンラインクレジットカードの1人当
たり消費金額は最も少なく、70後の3分の1、80後の半分だが、オンライン決済での
クレジットカード使用頻度は最も高く、1カ月当たり16回である。90後はクレジッ
トカード決済を少額、高頻度に使っている。
 金忠〓(*2)氏は、人々の貯蓄習慣が変わり、後払い消費の意識が強まるここ数年
は、ちょうどインターネット金融の急成長に当たり、ネット金融のシーンが豊かに
なり、ハードルが下がることで、一部の信用はネット金融に奪われ、予想されてい
たクレジットカードのユーザー増はネット金融に相殺されたと見ている。そして、
90後の経済力の増加に伴い、深く人気を得ているオンライン消費市場も無視できな
い成長を迎えている。
〈銀行はショックのもとで新たなチャンスを模索〉
 目下、中国のクレジットカードは1人当たり保有枚数減、普及率を上げられない
等の課題に直面している。ここ数年のスマホ決済、消費金融等インターネットをも
とにする新たな決済消費方式が急速に台頭し、予想していたクレジットカードのユ
ーザー増はインターネット金融に吸い込まれてしまっている。
 金忠〓(*2)氏は、第2四半期データ中、銀行カードの与信使用率の減少は人々の
カードに対する依存度が減少している部分があることを暗示しており、その上、ネ
ット通販、割賦、現金貸しといったオンライン消費金融が盛んとなり、クレジット
カード市場に食い込んでいると見ている。
 例えば「京東白条」「天猫分期」といったサービスが次々出てきて、個人消費者
はクレジットカードを使用しない状況下で「先に消費し後で支払う」という信用サ
ービスを享受できている。これはかなりの程度で伝統的なクレジットカードの機能
を代替している。
 市場においては、〓(*1)財クレジットカード管理サービス等、一般ユーザーのモ
バイルインターネット与信商品が出てきている。また、多くの消費金融商品のハー
ドルはクレジットカード申請のハードルよりはるかに低くなっており、多くの人々
や分野に恩恵を与えている。このほか、さまざまなシーンで特定の消費金融商品は
特定のユーザーに利率特典を付与できるなど、現在のクレジットカードとは比べら
れないものになっている。
 第三者研究機関が発表した「中国モバイルインターネット消費金融業界研究報
告」によると、2015年、中国インターネット消費金融市場取引規模は1000億元を突
破し、2013年60億元、2014年183.2億元と比べ、増加速度は200%を上回った。今後
数年においてこの数字は高速成長を維持すると予想され、2019年までには3.3兆元
のレベルに達すると見込まれる。
 「クレジットカード業務は電子ルートやインターネットの技術と緊密に結びつけ
ば、金融のカバーする範囲が広がるし、人々の金融サービスへのアクセスでももと
もと優位性がある」銀監会の曹宇副主席が昨年、文章でこのように言及しているよ
うに、クレジットカードはインターネットの助けを借りれば、さらに広範な人々に
スピーディーな金融サービスを提供できる。
注)〓(*1)は、てへんにあなかんむりの下に「乙」、〓(*2)は、「方」を横に2つ
並べた下に「土」
〔21世紀経済報道2016年9月12日〕

インスタント麺が売れないのは人口危機を示す

 インスタント麺は1980年代生まれの中国人の記憶の一つである。たとえ多くの人
がこの種の揚げ物を不健康だと感じていても、やはり便利で低価格で味もよい食品
にあらがうことはできない。
 インスタント麺の問題に関連して、インスタント麺のボス、康師傅グループの20
16年上半期売上高が前年同期比13.94%下落し、純利益は前年同期比66.94%減少した
というニュースを見た。分析によれば、売上高下降の主要な原因はインスタント麺
の販売量減少である。
 これは1社に限らず、業界の問題である。2015年の中国のインスタント麺総生産
量は前期比8.54%減で、販売額は前年比6.75%減少した。2016年上半期の中国のイン
スタント麺販売額は前期比わずか1.9%の増加なのである。さらにこれは2015年の暴
落以後のデッド・キャット・バウンスにすぎないのである。
 事実、インスタント麺は確かに徐々に売れづらくなってきている。これには収入
の増加と消費のアップグレードの側面があるが、根本的な問題としては、青少年や
学生、肉体労働者といったインスタント麺の主力となる消費人口が現在緩やかに下
降しつつあることがある。
 長年の出生率データから、インスタント麺等のインスタント食品の主力消費群は
多くが1980年代(1970年代末期を含む)に生まれており、当時の出生率は2%前後で
あった。しかし、現在の主力消費群は多くが1990年、2000年代生まれで、この時期
の出生率は1.5%前後である。10億の人口基準値で大まかに計算してみると1年に500
万人、10年で5000万人の差が発生する。一業界でこれほどひどいのだから、経営者
はどうして5000万人もの市場の委縮にあらがえようか。
 人口危機はインスタント麺の販売量を委縮させただけでなく、全ての消費業界に
負の影響を与え得る。そして最後には生産業界にも伝染することとなる。インスタ
ント麺が売れず、その他の大衆消費財もそこまで改善せず、次に来るのは恐らく家
電や自動車などの大口消費、最後に不動産であろう。
 統計によれば、中国の今後10年間の出生率はさらに1.2%の水準に下降するとされ
ており、これは未来の青少年人口がさらに減少することを暗示する。中国は人口危
機が経済に及ぼす影響を重視し発展モデルの向上を図らねばならないだろう。
〔財富動力網2016年9月13日〕
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