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ビッグベイエリアの次なる飛躍のチャンス

ビッグベイエリア計画でいかにチャンスを追求するか

 2019年の春節を迎え、中国共産党中央、国務院は「広東・香港・マカオ・ビッグ
ベイエリア(粤港澳大湾区)発展計画綱要」を発出したが、業界内では、これは中
国経済の起爆剤になると見ている。
 「綱要」は9+2都市の人口7000万人を網羅し、香港、マカオ、広州、深センの四
大中心都市を地域発展の核心的なエンジンと位置づけている。
 深センの2018年GDP(域内総生産)は初めて香港を上回り、ビッグベイエリアの
一番星になったことは注目すべきことである。一方、深セン企業はいかにビッグベ
イエリア計画をもとに、新しい成長のチャンスを追求していくのかが注目されている。
〈「綱要」における都市の位置づけ〉
 ビッグベイエリアは7つの地級市(珠海、恵州、東莞、佛山、中山、江門、肇
慶)、2つの副省級都市(広州、深セン)、香港とマカオの2つの特別行政区から成
る。ビッグベイエリアの総面積は5.6万平方キロメートルで、広東省の31%、人口は
6、710万人を擁する。
 このビッグベイエリアのコンセプトが出されたのは2015年にまでさかのぼり、そ
して今回発出された「綱要」は明確な指導的な役割を有している。
 香港中文大学(深セン)高等金融研究院の副院長の王叢教授は取材に対し、「綱
要」はビッグベイエリアの発展方向と各都市の位置づけを明確にし、都市ごとに得
意な部分を生かし、苦手な部分を補い合うものだとしている。「このような計画は、
ビッグベイエリアを中国経済発展先導の重要なエンジンとさせるものである」
 「綱要」における広州、深セン、香港、マカオの4つの中心都市の位置づけもそ
れぞれ異なっている。
 中でも深センは、「綱要」ではこのように書かれている。「経済特区、全国の経
済中心都市と国家イノベーション型都市としての先導する役割を発揮し、現代化、
国際化都市づくりを加速し、世界的影響力を有するイノベーションクリエーティブ
都市になることに努める」
 位置づけについて、専門家には、深センは科学技術イノベーションで先行してい
るというコンセンサスがある。
 「ビッグベイエリア経済は多元的な特徴がある。各都市の比較優位は異なり、金
融センター、輸出型製造センター、サービス提供センター、科学技術センター、世
界をリードする港湾と高等教育機関である。言うまでもなく、深センは科学技術分
野をリードし、国家の政策支援のもと、香港からの規格外の助けを得ることができ
た」PwCはレポートでこのように指摘する。
 PwCは香港と深センには異なる優位性があると見ている。深センでは、ここ数年
来、多くの業界内の世界のリーダーやユニコーン科学技術企業が生まれ、成長し、
世界を舞台に躍動している。香港は研究開発能力の向上を続けており、ビッグベイ
エリアはグローバル科学技術都市になる条件と基礎を持ち始めたことを証明している。
〈深センのGDPが初めて香港を上回る〉
 「広東・香港・マカオ・ビッグベイエリア発展計画綱要」が発表されてから間も
なく、ビッグベイエリアに関する情報が席巻した。それは、深センの2018年GDP
(域内総生産)が初めて香港を上回ったことである。
 統計局のデータによると、2018年の深セン市の域内総生産は2兆4221.98億元で前
期比7.6%増だった。一方、2018年の香港のGDPは2兆8453.17億香港ドルで前期比3%
増だった。2018年の人民元と香港ドルの為替レートは平均1.1855であり、2018年の
香港GDPは人民元に換算すると約2兆4000.98億元であり、深センのGDPを約221億元
割り込んだ。
 この「綱要」は深セン企業に発展の道筋を示し、しかも、この情報が深センの人
々を鼓舞させることは間違いない。
 では、深セン自身にはどういう優位性があるのだろうか。深セン企業は何をもと
にして発展していけるのだろうか。
 事実上、深センが科学技術イノベーションで得た成果と投資とを切り分けること
はできない。データによると、2013年以降、深センは毎年研究開発にGDP4%以上を
投資しており、韓国、イスラエル等科学技術大国と同水準で、広州、シンガポール、
香港をはるかに上回っている。中国の経済のモデルチェンジをリードする存在とし
て、深センは内陸の半数近い国際特許申請件数を有する。
 PwCのレポートによると、ビッグベイエリアにおいて、深センは比亜迪、中興、
華為、華大基因、騰訊等の大型企業の本部所在地として、また科学技術イノベーシ
ョンの新分野の名前に恥じないリーダーである。
 インターネット、新エネルギー、バイオテクノロジー、インテリジェントデバイ
ス、ロボット、生命健康科学、航空・宇宙、新素材・イノベーション等科学技術産
業を主体とする新興産業は、2017年前期比13.6%増、深センGDPの40.9%を占めた。
 バイオサイエンス分野では、「綱要」の多くの箇所で「バイオテクノロジー」と
「遺伝子検査」が提示されているだけでなく、さらにバイオテクノロジーをビッグ
ベイエリア四大新支柱産業の一つ、遺伝子検査を十大重点育成産業とし、バイオテ
クノロジーと遺伝子検査の関連分野は既に実質的にビッグベイエリア発展の戦略的
産業になっている。
 さらに、華大基因もビッグベイエリア計画に応え、「遺伝子科学技術が人類に幸
福をもたらす」という理念のもと、一般向け遺伝子科学技術サービスをビッグベイ
エリアの幾つかの都市で開始し、全面的に展開する。
 科学技術金融では、平安集団が既に事業を広めている。「国際科学技術イノベー
ションセンター」と「国際金融ハブ」の建設に力を入れ、その中には、一帯一路沿
線国家・地域におけるブロックチェーンの応用や60都市を超える平安スマート都市
の建設等がある。
 そのほか、中国平安は、スポーツのビッグプロジェクトをスタートし、科学技術
によるゲーム解析の発展を試みている。小さな表情の動きの識別、ビデオ認識、声
紋識別等の技術でスポーツゲームの弱点を解決する。
 ビッグベイエリアの今後15年の戦略的位置づけ目標は、「グローバルな影響力を
有する国際科学技術イノベーションセンター」となることであり、PwCの中国・香
港副市場主幹パートナーの梁偉堅氏はこのように総括する。
 「ビッグベイエリアの発展は多くのチャンスとチャレンジに直面する。各都市は
違いを力に協力していくべきである。企業はチャンスを十分につかみ、発展を背景
に、世界的な競争力を有する都市経済群をともにつくるべきである」
〔新浪網2019年3月2日〕

ビッグベイエリア 中国で最も給料が高い都市の一つ

 広東・香港・マカオ・ビッグベイエリア(粤港澳大湾区)の発展にとって、人材
は重要なポイントの一つである。
 では、この「9+2」都市群における人材誘致状況はどうなっているのだろうか。
誘致した人材の配置はどうなっているのだろうか。
 先日、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が発表した「人材政策がビ
ッグベイエリアの未来を決する」というレポートは、賃金待遇、就業機会、都市人
材競争指数等の多方面から分析研究を行っている。
 ビッグベイエリアの人材の吸引力は非常に顕著である。就業機会が多いことも一
つの原因である。多くの企業が大量の就業機会を提供している。世界500強企業、
民営企業500強、ベンチャー企業のどれもそれぞれに適した就業機会を提供している。
 PwCの最新レポートによると、深センと広州じゃそれぞれ40社、20社を超すこの
種企業を集積させている。
 このほか、ビッグベイエリア全体の就業者数の賃金水準は中国全国においてもか
なりの競争力があり、特に香港、マカオでは、報酬レベルは世界においても比較的
高い範囲にある。
 智聯招聘の統計データによると、2018年春季の求職時期の平均報酬が全国で最も
高い都市に属する内陸都市は、北京、上海、深セン、杭州、広州であり、東莞、佛
山はそれぞれ6位、9位だった。
 仮に各省の賃金水準を比較すると、広東省の平均賃金は国内の多くの省よりも高
いが、浙江や江蘇には及ばない。しかし、都市群で比較すると、ビッグベイエリア
は全国で最も賃金が高い地域の一つになるはずだ。
 智聯招聘の統計データをもとにすると、全国の賃金の高い上位10都市の半分はビ
ッグベイエリアが占める。香港、マカオ、深セン、広州、東莞である。
 先般、INSEADが発表した世界都市人材競争指数では、深センが世界73位だった。
当該研究に取り入れられた中国国内都市は、北京55位、杭州66位、上海70位、広州
77位、天津83位だった。
 全体的に、ビッグベイエリアは経済発展の優位性を長期的に維持し、人口や人材
が流入し、常住人口が戸籍人口をはるかに上回っている。したがって、高齢化問題
も全国の多くの地域に比べそれほど深刻ではないが、人口の教育レベルは経済発展
よりもおくれている。
 PwCのレポートでは、「9+2」都市は、研究開発と教育では長所があるものの、香
港が教育面では優位性があり、ビッグベイエリアの教育を国際的に一流のレベルへ
とリードできると提案する。
〔第一財経日報2019年3月1日〕
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