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コロナ流行で影響を受ける処遇と職の流動性

2020年サラリーマン給与・福利厚生大調査

 中智諮詢のデータによると、2011年から中国国内の全体的な給与調整率は下落傾
向を見せており、2011年の11.8%から2020年の6.4%となっている。
 「第一財経」誌に発表された「2020年サラリーマン給与福利厚生大調査」(以下
「調査」)においても、給与増長の疲弊状態が反映されている。
 アンケート回答した2128人のサラリーマンのうち、26.89%が昨年から給与が上が
っていないとし、逆に下がったという人は20.24%に達する。この2つの数字は、2019
年の調査においてそれぞれ18.41%と8.14%となっている。
 サラリーマンの2020年年末ボーナスに対する予想も全面的に下がっている。2019
年と比べ、インタビューを受けた32.86%が年末ボーナスの金額に変化がないとし、
21.34%はボーナスがないとした。
 前程無憂の「2020年年末ボーナス調査報告」によると、2019年インタビューを受
けた22.5%が1カ月分の給与相当の年末ボーナスを手にしており、41.8%は2カ月分、
21.4%は3カ月分相当の年末ボーナスを受け取っていた。しかし、2020年になると、
2カ月分及びそれ以上のボーナスのサラリーマンは15.3%に減り、これと同時に、1
カ月分の水準の年末ボーナスだったサラリーマンが8.9%ふえた。
 今回はサラリーマンの給与・福利厚生調査を開始してから12年目となる。前代未
聞のインパクトを目前にして、今年の報告からは、会社によって異なる雇用観念と
実際の行動を見てとることができ、一見しただけでは予知できないリスクが異なる
業界に与えたショックがあらわれている。
 また、感染情報が次々と伝えられる中、各職場人は皆、2020年の蔓延からこれま
での長い影響に対応するある程度の準備をしている。
〈2020年、給与アップは難しい〉
 給与アップの停滞、下落は各次元であらわれている。
 2019年から2021年、全業界の給与調整率が全て下落した。中智諮訊の統計による
と、民営企業の給与維持率が最も高く、外資企業は最も低かった。一線、新一線、
二、三線都市の企業の給与調整率はいずれも下降傾向で、そのうち給与調整率の最
も高い新一線都市の2021年の数値の下落幅が最も大きいと予測される。
 感染状況のマクロ環境に対する衝撃は短期的な直接要因であり、企業は押しなべ
て人件費コストを縮小させると同時に、感染状況後の影響が不確定な状況において
将来への予算投入に慎重な態度を保持している。
 長期的に言うと、経済の緩やかな増長傾向が依然としてバックグラウンドにある。
2018年の中国国内総生産(GDP)は同期比6.7%増、2019年はより緩やかになり6.1%
増であった。
 一方、中国の労働コストの上昇は、より多くの企業に人件費コストのコントロー
ル方法と従業員の作業效率の向上方法を考えさせることになった。
 感染状況の圧力を軽減するため、2020上半期、会社は多様な人的資源措置を採用
した。「調査」データによると、「緊縮編成、不雇用」を行う会社は29.23%に達し、
「会社内部の最適化、リストラ」を行う会社は27.58%を占める。ランキング上位の
調整としては、他に、昇進機会の減少、現金での福利厚生の取り消し等がある。
 ただし、同時に24.06%の人が「会社はよい、特に変化はない」としている。
〈業界諸相、喜ぶ会社もあれば憂える会社も〉
 感染状況の影響は全業界に及ぶとはいえ、一定のリスク耐性能力の高い高増長業
界は堅調を維持している。在宅という特殊状況は、意外にも一部会社のオンライン
業務を刺激した。
 中智諮訊の発表した調査報告によると、インターネット、医薬健康とハイテク業
界の給与調整率は依然トップを維持し、いずれも7%を超えた。
 ただし、インターネット業界の2020年の給与調整率の下落幅は最も大きかった。
インターネット業界の給与調整率は二極化を呈し、大手は良好、中小企業は不良と
なった。多くのインターネット会社の利益モデルは広告収入に頼っているため、実
体経済から波及的影響を受けた形となった。
〈環境の目まぐるしい変化、サラリーマンも慎重に〉
 美世の調査によると、2020年上半期、従業員の自主的な離職率はわずか5.4%、こ
の数字は2019年は12.1%だった。特殊状況のもと、「食いぶちの確保」はサラリー
マンの普遍的な心理である。「調査」において、回答者の58.07%は今年の収入状況
に「まあ満足」と回答しており、その理由としては「今年の状況は特殊だから、安
定を維持できれば十分」としている。
 以前は年末ボーナスをもらったら転職するというのが通例だったが、前程無憂の
データによると、2020年は年末ボーナスが不満だったので転職したという回答は
13.3%しかいなかった。
 企業は重要ポジションでの不足人才に対しては依然気前がよく、限りあるコスト
をこれらの鍵となる人材に用いることをいとわない。大雑把に統一された比率又は
金額で全員のベアを行うより、業績結果の差別化に従い給与調整を行う会社がふえ
てきている。これはサラリーマンの自己アップグレード能力に対し、より高い要求
が出されたことになる。
 「調査」によると、給与が上がらない場合、回答者の50.52%は自己充電するとし、
38.91%は同業界のその他会社へ転職するとしている。
〔第一財経2021年2月4日〕