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中国の都市人口定着の対策

人口増加が急失速 広州が打つ人口増加策

 2021年、北京、上海、広州、深センの人口の増加が失速した。成都あるいは杭州
1都市分の2分の1の計約12.5万人の増加にとどまった。
 具体的には、2021年、広州が7.03万人増、上海が1.07万人増、北京が0.4万人減、
深センが4.78万人増だった。
 例年のデータと比較しても急激な減少だった。第7回人口センサスによると、2010
―2020年の年間平均の人口増加数は、北京が22.8万人、上海が18.5万人、広州が
59.7万人、深センが71.4万人だった。
 このような背景のもと、5月31日、広州市政府弁公庁は「広州市人口発展及び社
会分野公共サービスシステム建設に関する第14次五カ年計画」を発表した。この計
画で明らかにされた非常に重要な情報は、2025年までの広州の常住人口の目標を約
2100万人としたことである。
 このことは何を意味するのかといえば、2021年の広州の常住人口は1881.06万人
であることから、今後4年間で、広州は引き続き218.94万人、年間平均で55万人の
純増を図るということである。
 55万人というのは、過去10年間の広州の常住人口の年間平均増加と基本的に同じ
である。2010―2020年で、広州は年間平均59.7万人の純増があった。
 しかし、この数字について疑問を持つ人もいるかもしれない。2021年に広州の人
口増加が急失速し、年間で7.03万人しか増加していないのだから、今後4年で再び
ピーク状態に戻すことはできるのだろうかと。
 実は、これが難しいことではないのは、別の統計によれば、広州の人口はとっく
に2100万人を超えているからだ。早くも2020年には、広州市政政府工作報告で、広
州は「管理サービスを行う実人口は2200万以上、流動人口は1000万以上の超大都
市」であることを明らかにしている。
 管理サービスを行う実人口というのは常住人口よりも広い統計基準である。広州
が戸籍政策の緩和、あるいは常住人口登録の強化を継続すれば、この統計基準のか
なりの部分は常住人口に転換される。したがって、常住人口は2100万人という目標
値は高く見えるが、広州が政策を引き締めなければ難しくない。
 広州はもちろん引き締めはしないが、差別化定住という手を更に用意している。
 差別化定住とは、都市を中心市街地と周辺市街地の2つの部分に分け、それぞれ
異なる定住政策を実行することである。
 では、広州はどのように中心市街地と周辺市街地を区分するのだろうか。
 計画では、中心市街地は、茘湾区、越秀区、海珠区、天河区の4つの区である。
周辺市街地は、白雲区、黄湛区、番都区、花都区、南沙区、増城区、従化区の7つ
の区である。
 これでわかるだろうか。中心市街地は、実は、旧3区(茘湾越秀海珠)に天河区が
加わったもので、一般的には中心4区とも呼ばれている。一方で、黄埔、番渠、白
雲といった郊外新都市は急激に発展しているが、周辺というレッテルがはがれてい
ない。
 しかし、周辺市街地に分類されることは不利だとは考えてはいけない。逆に有利
である。
 なぜなら、この計画の意図は、実際には、中心4区を厳しくコントロールし、周
辺市街地に特別な配慮を与え、周辺でより戸籍政策を緩和するものだからだ。
 今回の計画では、2025年までに、中心4区の常住人口を約675万人、周辺7区の常
住人口を約1425万人と予想している。周辺市街地の常住人口シェアを徐々に高め、
2020年比で約1.79ポイント増加させる。
 つまり、今後4年間で、周辺7区の人口増加は168万人に達するが、中心4区の人口
増加は51万人にしかならない。言いかえれば、今後4年間、広州の人口は引き続き
大規模に増加するが、主に周辺市街地で増加する。この人口増を待ち望む周辺、特
に不動産には重大な利益がもたらされる。
 では、具体的には何が行われるのだろうか。
 今回の計画では、市内のさまざまな区域間で差別化された入居政策を実施し、よ
り多くの、若くて優秀な職人型人材を郊外新区に誘致することを繰り返し述べてい
るにとどまる。
 具体的にどうするのかは別の文書から探さなければならない。2020年12月に広州
市人社局が発表したパブリックコメント「広州市差別化入戸市外転入管理方法」に
よると、7つの郊外新区、短大以上の学歴+28歳以下+社会保険1年の条件で広州に定
住できる。
(一)国内普通大学全日制学部学歴又は学士学位(単証)、あるいは国内普通大学
 全日制短大学歴、あるいは全日制技師学院予備技師班、高級工科卒業者。
(二)年齢は28歳以下。
(三)申告時には、差別化入居の実施区域内で社会保険を12カ月間連続で納付して
 いなければならない。
 このパブリックコメントは、まだ正式に承認されておらず、執行が遅れている。
しかし、今年の状況から見ると、差別化定住政策は行わざるを得ないだろう。切迫
感が高まり、実施しなければ、不動産市場が望めないだけでなく、本来広州に流入
すべき人材が成都、武漢、杭州などの新一線都市に流れるかもしれない。
〔ZAKER新聞2022年6月2日〕