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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.811 2024年4月3週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:婚姻者数アップへ熱を帯びる婚活】
●中国各地のネットユーザーがお見合いコーナー設置を求める
●婚活ショー「王婆説媒」が若者の出会いの場に

┏【李年古の日中異文化交流術】
●暮らしはきつくとも、心はしなやかに 2

┏【東西問】
●女書文化はどのようにして「閨房」から世界へ広まったのか

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……【特集:婚姻者数アップへ熱を帯びる婚活】……………………………………
●中国各地のネットユーザーがお見合いコーナー設置を求める
 中国の婚姻件数がここ10年で初めて上昇する中、安徽省銅陵、北京市等の各地の
ネットユーザーが現地政府に対して、公園にお見合いコーナーを設置するよう求め
ている。
 例えばある北京のネットユーザーは、高齢青年のお相手探しが難しいことはもは
や社会問題で、北京市に中山公園にお見合いコーナーがあり、主に両親が子供のか
わりにお相手探しをしているが、通州区に住んでいるとそれは遠過ぎるので、通州
区の公園にお見合いコーナーを用意してほしいと提案している。

 2023年以降、新疆ウイグルのウルムチ、陝西省の延安、山西省の高平などのネッ
トユーザーが相次いで、関連部門に都市公園にお見合いコーナーを設置するよう求
めている。
 3月15日に発表されたデータによると、2023年の中国の婚姻登録件数は前年比12.4%
増と10年ぶりに回復した。しかし、昨年末現在、中国の16歳から59歳の人口は前年
比1075万人減と5年連続で低下しており、結婚適齢期の若者が減少し続けている。
〔聯合早報2024年3月31日〕

●婚活ショー「王婆説媒」が若者の出会いの場に
 河南省開封市のある観光地で行われている婚活ショー「王婆説媒」が中国のイン
ターネットで人気となっている。司会者の王婆さんは、ネットユーザーから「月下
老人(縁結びの神様)のトップ使者」と呼ばれている。
 王婆というのは芸名。「水滸伝」の中に出てくる西門慶、潘金蓮の仲を取り持っ
たのが「王婆」で、脇役ではあるが、武大郎と西門慶のエピソードを知っている人
はこの名前をよく知っている。

 「王婆説媒」のショーは開封市の万景山武侠城景区という景勝地で行われ、観光
客に大宋帝国である開封市の庶民文化を体験させる内容となっている。
 ショーの進行は、手を挙げた男性と女性がステージに上がり交流できるというも
ので、うまくいけば微信を交換して、おつき合いに進める。マッチングが失敗した
ら、司会者から「銀票」を贈られ、この景勝地での傷心観光に使える。
 このショーは若者ニーズに合っているので、ネット上で有名になった。「王婆説
媒」等抖音でトレンド話題の累計再生回数は60億回を超え、王婆さん個人の抖音ア
カウント「開封王婆」のファン数も現在の571万に上昇している。
 専門家は、王婆の番組は多くの参加者を集めているのは、現在の若者は結婚願望
が薄いように見えるが、お見合いの需要もあることを示していると見ている。
〔聯合早報2024年4月2日〕
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……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●暮らしはきつくとも、心はしなやかに 2
(前号から続く)
 深センと一般的な内陸都市で大きく異なるのは、この深センでは出会う人全てが
何かを追いかけているように見え、道を聞くのも彼らの足をとめてしまうようでは
ばかられてしまうことだ。
 しかし、今回深センに着いてみると、私の感覚にも微妙な変化があった。
 今回私がここに来たのは、都心から少し離れた家にカーテンを取りつけるためだ
った。インターネットで探し出したカーテン会社の女主人は車を出し私を迎えに来
るとみずから提案した。
 道すがら、私は車にまで乗せてもらっているわけだから、たとえ高い値段を言わ
れても値切りづらいなと感じていた。まさか彼女が私の心を読んだように「もし店
のカーテンが合わないと思ったら別の店を探してもいいし、高かったら値引き交渉
してもいいから」と言うなんて。

 それを聞いた私は少し驚いた。顔を合わせたばかりの商売人が別のお店と比較検
討するよう親切に提言するなんて、価格交渉にも応じるなんて、そんなことはこれ
までになかった。
 これじゃ、みずから武装解除し投降しているじゃないか。商売で禁忌なのでないか。
 疑わしく感じていると、彼女はいきさつを話してくれた。「もう十数年このカー
テンの商売をやっているのだけど、今のような状況は初めてよ。お客さんはみんな
手持ち金が手詰まりで価格交渉をしてくるの」

 私が慌てて「あなたは本当に思いやりがありますね」と言うと彼女はそれには答
えず、高層建築が林立したあたりを指差して言った。「見て。ここはもともと大き
な不動産会社が深セン一高いビルの建設を計画していてね、私のお客さんがその隣
にあるあのマンションの大きい2部屋を一気に購入した。ところが、聞くところに
よると、今その不動産会社はだめになって、そのビルも敷地を掘っただけで工事が
とまっているらしい。隣にある幾つかの建物も部屋を買い主に納品できないものだ
から、私のお客さんも鍵職人に開錠してもらって無理やり中に入ったのよ」
 「彼みたいにお金がある人は昔だったら、豪邸のカーテンに10万元以上お金をか
けていたけど、今じゃ、3万元超えるって言うだけで気をもむのよ」
 私が冗談交じりに「今日の値切りに勇気が出てきたよ」と言うと彼女は笑い「大
丈夫よ、なれてる。みんな大変なんだから。商売が続けられて商売人をやっていけ
さえすればそれで十分」と言った。
(次号に続く)

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を紹介していきます。)

……【東西問】……………………………………………………………………………
●女書文化はどのようにして「閨房」から世界へ広まったのか
 湖南省永州市江永県発祥の女書は、これまでに発見された唯一の性別文字として、
1980年代の発見以来、国内外の学者から広く注目を集めている。
 近年、保護と継承への取り組みが強化されるにつれて、女書は女性の居間である
「閨房」や女性同士で情報を伝達するために使用される専用文字から徐々に世界に
知られるようになり、東洋と西洋間の文化交流のユニークなシンボルとなっている。
 女書はどのようにして発見されたのか。その保護と継承の状況は。それはどのよ
うに「閨房」から世界へ広まったのか。先ごろ、中国女性研究会理事で湖南工商大
学教授の駱暁戈氏が中新社の「東西問」の独占インタビューに応じた。
 インタビューの要旨は以下のとおり。

中新社記者:女書はどのように発見されたのですか。

駱暁戈:女書は、1980年代に発見された世界で唯一現存する女性文字で、湖南省永
州市江永県とその近辺のヤオ族の女性にのみ継承されています。女書の書体は、蚊
やアリに似た細く均一なストロークを持つ長いひし形で、地元の方言で朗読または
詠唱されます。500から700ほどのオリジナルの文字があり、母から娘へ、年長者か
ら年少者へと継承されて、「女文字」とも呼ばれています。

 1980年代、中国文壇に沸き起こった「文化ルーツ探究」ブームで、武漢大学の宮
哲兵教授は江永県でヤオ族の起源を探していた際に、偶然、地元の女性に継承され
ていた女書を発見したのです。1983年、宮哲兵教授は「中南民族学院学報(哲学社
会科学版)」で、初の女書の学術論文「ある特殊な文字についての調査報告」を発
表し、徐々に女書の謎が明らかになりました。

 江永県の独特な地域文化としての女書の誕生と継承は、婚姻風習の一つである
「坐歌堂」や「女子闘牛節」など、地元女性の独特な社会生活風習と密接にかかわ
っています。文献によると、歴史上、江永とその周辺地域の女性たち、特に若い女
性たちの間では、「老同」(同年齢の女性が姉妹の契りを結ぶ行為を指し、同い年
の姉妹を指すこともある)となることが盛んに行われています。契りを結んだ姉妹
は、一緒に糸を紡いだり、刺繍をしたり、女書を詠唱したりします。心のうちを吐
露するために日常的に女書で手紙を書いて、お互いの喜びを分かち合い、悲しみは
慰め合って、「女性の世界」を形成しているのです。


中新社記者:現在、女書の保護と継承の状況はどのようになっていますか。

駱暁戈:地元の長老たちの記憶によると、清朝末期から中華民国にかけて、江永で
は女性が女書を書くことが非常に流行したそうです。中華人民共和国の成立後、多
くの女性や少女が識字教室や学校に通うようになり、女書を書く習慣は徐々に消え
ていきました。「死ぬと本を燃やす」という地元の風習と相まって、高齢者の死と
ともに多数の女書の自伝が焼かれ、女書の継承者や文書が失われる危機に瀕しました。

 江永県党委員会と県政府は2002年から、女書を保護・継承するために、女書の文
化遺産保護・レスキュー活動を組織的に実施し、女書の文化資料の情報を全面的に
収集・整理・記録してきました。

 江永県上江〓鎮浦尾村は女書を継承する中心的な村です。ここに建設された女書
生態博物館は、女書の継承を中心に、現地の自然景観、建物、生活用品、女性たち
の日常的な文化生活様式などを展示しています。館内には女書学堂があり、毎週末
には女書継承者が地元の女性たちに無料で女書文化を教えています。

 また、江永県は女書無形文化遺産リスト制度と女書継承者保護メカニズムを構築
し、女書文化研究管理センターを設立して、女書文化の継承と発展活動の秩序ある
発展のために、物的支援と組織的保障を提供しています。さらに、女書の風俗習慣
を学校、地域社会、景勝地に広め、女書の簡単な教材を作成して女書の研修講座を
開催することで、より多くの人々が女書に親しみ、理解できるようになりました。

 現在、江永県は上江〓女書文化観光城、勾藍瑶寨生態博物館、花山廟などの女書
継承プロジェクトの完成に伴って、紙や扇子に綴った女書文字を音読する「読紙読
扇」、花山廟縁日、闘牛節、姉妹の契り、坐歌堂などの女書の風習を復元すること
により、単一の女書保護から文化と生態の全面的な保護への転換を徐々に実現して
います。

 同時に、中国が中国のすぐれた伝統文化の継承と無形文化遺産の保護を重視する
中、女書の文化遺産は教育界、知識界、学術界からますます注目を集めています。
多くの学者も女書研究を大学キャンパスに持ち込んでおり、女書文化が若い学生に
広まっています。


中新社記者:女書にはどのような文化的価値がありますか。どのようにして「閨
房」から世界へ知られるようになったのでしょうか。

駱暁戈:「女書」が世の中に公表されると、国内外で注目を集めました。多くの専
門家や学者は、その創造の奇妙さとユニークな使用法のため、これを「深閨のアナ
グラム」と呼んでいます。米国の言語学者ハリー・ノーマンも女書を世界の「驚く
べき発見」と賞賛しました。

 その後、米国、日本、オーストラリアなどの外国研究機関、清華大学、南中民族
大学などの専門家や学者が江永県の各村を相次いで訪問し、調査を行いました。学
者によって研究の角度が異なり、意見がかなり異なる場合もありますが、言語学、
人類学、社会学、民俗学、歴史、文学などの分野における女書の研究価値は全面的
に認められて、過去数十年にわたり関連の論文が発表されています。

 女書に基づいた文学作品、芸術作品やクリエイティブ作品が絶えず生まれており、
欧州や米国で女書研究の人気が高まっています。
 中国系アメリカ人作家のリサ・シーによる長編小説「雪花と秘文字の扇」を原作
とする映画「雪花と秘扇」は、女書が綴られた扇子をドラマの中心に据え、女書の
物語を反映させた初めての映画です。
 作曲家であり指揮者でもあるタン・ドゥンの「女書:The Secret Songs of Women
―13のマイクロフィルム、ハープ、オーケストラのための交響曲」は中国女性の強
くてしなやかな美しさを描き、34の国と地域で演奏されています。
 女書のドキュメンタリー映画「The Secret Whisperer」が第95回アカデミー賞の
長編ドキュメンタリー賞候補となりました。
 「女書の要素」を取り入れた洋服、バッグやジュエリーなども海外の主要なショ
ーに登場し始め、注目を集めています。

 海外における女書文化の影響力と知名度が高まるにつれて、江永女書は120以上
の国内外文化展覧会に参加しました。スイスのジュネーブの国連本部で開催された
国連中国語デーに登場し、国家的な贈り物として外国の要人に贈られました。

 同時に、女書の継承者や女書愛好家もソーシャルメディアを利用して女書文化を
広め、詠唱や文章などの方法でネットユーザーに女書の魅力を伝えています。女書
の継承者らはまた、江永、永州、長沙などに研修所を開設し、さまざまな無形文化
展覧会や実演イベントに参加したり、女書作品に関する専門書を自費出版したりと
女書の影響力を更に拡大させています。


中新社記者:海外の学者や一般市民が女書を通して中国文化をより深く理解するに
はどうすればよいでしょうか。

駱暁戈:女書の継承、保護、研究は湖湘地域の文化と女性研究の重要な部分であり、
世界の女性運動と女性の著作にとって貴重な中国の経験も提供します。

 女書作品を通して、女書の書き手や継承されたものを使用するのは実生活では
「三従と四徳」や「三鋼と五常」に縛られた農民の娘でありながら、強い個性を持
った「君子的な女性」なのです。女書を通じて封建的な礼儀と道徳を攻撃し、自己
表現と姉妹のような感情交流を強く求めたのです。このような勇敢で画期的な著作
である女書は、古代中国の柔和で謙虚な女性のイメージを覆すと同時に、中国女性
のすぐれた文化的創造性も反映しています。

 「女書」は、伝統的な農耕文明のもとでの中国女性の歴史を解釈する生き生きと
した事例集です。海外の学者や一般市民は女書を通して中国文化の多様性を理解す
ることができます。江永県は漢族とヤオ族が共存する地域で、男尊女卑という漢民
族の倫理が影響しており、ヤオ族の母系遺産も残っています。二つの文化や習慣の
違いに触発されて、地元の女性たちは当時の社会に対する疑問や闘争を表現するた
めに「女書」を書くようになりました。

 女書に含まれる中国の民間文学の価値を研究することは、海外の学者や一般市民
が文化の創造と継承における中国女性の前向きなエネルギーを探求し、女書と女性
の発展、文化創造、経済との密接な関係をより明確に理解するのにも役立ちます。
これにより、中国文化への深い理解と認識が容易になります。
注)〓は、つちへんに「于」
〔中国新聞網2024年1月26日〕
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(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃 村井好子
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