CI Image
 
電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
登録  解除    メールアドレス  

特集内容一覧へ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
電子マガジン《中国最新情報》  No.316 2005年7月26日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
登録/解除:http://www.bizchina.jp/modules/nweek/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★今週の読者数合計:7,502名(2005年7月25日現在)
●中国電子情報産業HPのアドレスはこちら!
       http://www.jckc.com/dc/index.htm
●中国経済週刊HPのアドレスはこちら!
       http://www.jckc.com/eweek/index.htm
●日中ビジネス商習慣は「ビジネス企業研修@中国」でチェック
       http://www.bizchina.jp/

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:外資流入とグローバル経営への備え】
●中国ASEAN自由貿易地域 7000品目関税引き下げ
●鉄鋼業の生存環境激変 中国国内需要は国外鉄鋼企業に
●広東郵政局を皮切りに政企分離を試行 改革がグローバル資本を吸引

┏【金融】
●中央銀行マネーロンダリング取り締まり報告
●中国外貨準備残高初めて7000億米ドル超す

┏【国内政策】
●水利建設資金問題の再調査 上

┏【経済データ】
●外国為替(7月22日―26日)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
……【特集:外資流入とグローバル経営への備え】…………………………………
●中国ASEAN自由貿易地域 7000品目関税引き下げ
 7月20日より、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は正式に相互に原産品7000
品目に関税優遇を与える。
 ASEANの王景栄事務局長は、新華社記者のインタビューに対し、ASEANと中国の
自由貿易地域の実現は、東アジア地域の経済貿易の発展を推し進め、ASEANと中
国の経済貿易関係の発展においても重要な一歩となったと述べた。

 ASEANと中国が共同実施したフィージビリティースタディーによれば、この自
由貿易地域設立により、GDPは約2万億米ドル、貿易総額は概算で1.23億米ドルに
及ぶ17億人の人口を擁する経済圏がつくられる。
 そして、自由貿易地域の運営は、ASEANと中国の相互間の貿易障壁を取り去り、
コストを軽減し、域内貿易額を増加させ、経済メリットを享受できる。
 同時に、ASEANメンバーと中国の間につくられた一種の共同体意識が、東アジ
ア経済安定のための一つの重要なメカニズムとなり、かつ、ASEANと中国がとも
に関心を持つ国際貿易交渉においてさらに大きな発言権を持てる。

 ASEANと中国は自由貿易地域という枠組みのもとで、引き続き相互貿易の急速
な成長を保持し、相互貿易額が2005年末前には1000億米ドルに達すると見込まれ
る。これは、温家宝首相が2003年にインドネシアのバリ島で開催されたASEAN中
国サミットにおいて定めた目標である。
 それと同時に、相互貿易額の成長により、ASEANと中国のその他の分野におい
ても発展が見込まれる。

 ASEAN諸国は自由貿易地域より利益を受けるが、利益を享受する程度はそれぞ
れの国家自身の能力と相応の準備によって決まる。ASEANはその構成メンバーの
ために、大量のビジネスチャンスを創造できる環境を育て、そして、それぞれの
国家の相互戦略が妥当なものであるかどうかを見なければならない。
 ASEANは自由貿易地域メカニズムを監督しなければならないだけではなく、お
のおののメンバー国は工業、ビジネス機構に対し自由貿易地域に関連する基本的
な知識と技術的なことを普及促進しなければならない。

 「中国ASEAN全面経済協同枠組み協議貨物貿易協議」は7月1日に正式に実施さ
れ、双方が20日間をかけて双方の関税引き下げリストに技術的な精査をし、かつ、
関連の税関データシステムを調整した。
 7月20日より、正式に協議規定のタイムテーブルに従って、中国とASEANの原産
品目に対して優遇関税が付与される。

 中国ASEAN自由貿易地域は、中国とASEAN10カ国が設立した自由貿易手続である。
 2004年11月29日、双方はラオスで23条、3附則から成る「貨物貿易協議」に署
名した。
 協議に基づいて、貨物貿易製品は、前倒し実施の製品を除き、残りの製品を正
常製品と扱いが敏感な製品に分け、正常な製品の関税は削減ないしは廃止、扱い
が敏感な製品の関税は上限約束を受けるが、関税を廃止する必要性はないとして
いる。

 協議では、正常製品の関税引き下げに対し、以下のような要求が出された。
 中国とASEAN6カ国(タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリ
ピン、ブルネイ)は、2005年7月に40%の関税を0―5%に引き下げる。2007年1月に
60%の関税を0―5%に引き下げる。
 ラオスとミャンマーは、2009年1月まで、カンボジアは2012年1月までに50%の
関税を0―5%に引き下げ、2013年に40%の関税をゼロまで引き下げる。
 ベトナムは、2010年に50%の関税を0―5%に引き下げる。
〔毎日経済新聞7月19日〕

●鉄鋼業の生存環境激変 中国国内需要は国外鉄鋼企業に
 中国最大の鉄鋼グループである宝鋼集団公司の徐楽江総経理は最近、鉄鋼業の
発展環境はまさに劇的な変化が生じていると述べている。
 中国国内製鋼所のコスト圧力は取り除けず、また市場の需要下落に直面してい
る。

 徐楽江総経理によると、ここ数年の急速な成長の後、世界鉄鋼業の需要は明ら
かに緩やかに減少しているという。
 昨年の第4四半期、欧米鋼材価格指数は下落に転じた。今年第1四半期、アジア
鋼材価格指数は下落に転じた。4月期以降、国内鋼材市場価格も一貫して下落傾
向で、鉄鉱石の71.5%増のコスト圧力も取り除けず、国内製鋼所は市場の需要下
落に直面している。

 需要の緩やかな減少と同時に、競争はさらに苛烈さを増している。
 特に、ポスコ、新日鉄、アーセラー、ティッセンクルップ、ミッタルといった
国際的に有名な鉄鋼企業は既に中国に進出しており、鋼鉄生産、加工プロジェク
トを立ち上げている。
 注目すべきこととしては、目下、国外鉄鋼企業の中国進出は既に伝統的なプロ
ジェクト協力から株式買収へと発展しており、後工程の生産プロジェクトは全ラ
イン新設あるいは買収へと発展し、中国を生産基地として中国国内企業と全面的
な競争を展開していることだ。

 中国国内の大型鉄鋼企業も追い上げを見せ、規模と製品構造において宝鋼のリ
ーダー的地位に挑戦をしている。
 鞍鋼と宝鋼は提携し、第十一次五カ年計画期間中の計画生産能力は毎年3500万
トン、自動車用鋼板、電磁鋼板、ハイレベル管線鋼といった分野で発展を図る。
 武鋼は既に自動車用鋼板、電磁鋼板を戦略的な製品に据え、鄂鋼、柳鋼を再編
した後、生産能力は毎年2300万トンに達し、仮に防城港プロジェクトを考慮に入
れると、今後の生産能力は3000万トンを超えることも可能である。
 生産能力規模と製品構造の高度化とともに、国内企業の管理水準も引き続き高
くなっている。
 徐楽江総経理は、中国の工業化の進展と産業構造の高度化に伴い、国内鋼材市
場は特に高級鋼材市場の見通しは依然としてよいが、「見通しがよいのはこれだ
けではない」はずで、宝鋼が直面している挑戦も十分厳しいものであるが、市場
シェアは各企業が自己の総合力によって奪うことが必要であると予想している。

 宝鋼は国務院が最近審議かつ原則的に許可された「鋼鉄工業産業政策」に基づ
いて、さらに大きい発展空間を追求する。
 徐楽江総経理は、国内鋼鉄企業は小さいが利益のあるチャンスを選んで、資金
を調達し、幾つかの発展の優位性を持つ、宝鋼の戦略発展方向と適合する企業と
提携、再編を行い、宝鋼をさらに強固なものにして、中国鋼鉄工業の産業集中度
を高め、原料調達の規模の優位によって国際市場の発言権を強めるという。
 前述で宝鋼が明らかにした第十一次五カ年計画の目標は、2010年の宝鋼鉄集団
の生産能力規模は3000万トンの基礎を確保した上で、さらに4000万トンから5000
万トンを目指すとしている。〔中華工商時報7月15日〕

●広東郵政局を皮切りに政企分離を試行 改革がグローバル資本を吸引
 構想7年を経て、中国郵政体制改革が今年下半期、いよいよ正式に始動する。
 郵政体制改革により、中国郵政集団公司と中国郵政管理局が設立されることに
なる。北京郵政局と広東郵政局が最初の試行組織として「政企分離、主副分離」
作業をリードすることが18日、明らかになった。
 最初の試行組織となる広東郵政局は、主補分離弁公室を設置。目下「主副分離、
副次業務改変」案を制定中だ。

〈広東郵政局4万人余の職員に影響〉
 中国郵政体制改革は既に構想に7年をかけているが、ついに今年、国家発展改
革委員会が財政部、情報産業部、国家郵政局など各部の委員をまとめ、改革案を
制定した。
 国家郵政局新聞中心は、中国郵政体制改革は中国郵政が中国郵政集団公司と中
国郵政管理局に分割される方向で固まりつつあると伝えている。

 この改革案の中心をなす内容とは、政治・企業の分離、監督・管理の独立だ。
 新たに設立する中国郵政集団公司が、現郵政総局の企業経営権を行使し、郵便
業務やEMS業務などの主業務や郵便貯金、物流などその他既存業務を経営するこ
とになる。
 中国郵政管理局は、国内郵政事業の監督機関となり、主に郵政関連の法律、法
規や基準の制定、郵政関連業務の管理、及び中国郵政集団など関連企業やグロー
バル企業の管理を行う。
 中国郵政集団公司の下にはさらに、中国郵政物流公司、中国郵政貯蓄、中国郵
政EMS、中国郵政集配や中国郵政航空などの子会社が設置される予定だ。

 改革の現在案は、既に国務院に上申されており、これが承認されれば、国や各
行政区画における郵政局員の大部分は企業の社員となる。また、郵政総局はわず
か1000人の郵政管理局に改変される。
 現在、広東郵政局には4万人余が就業しているが、大部分は新設される中国郵
政集団の職員となり、広東郵政市場の監督業務に従事する者はごく少数だ。
 しかし、郵政改革は構想に7年もかかったため、実際には郵政職員はとうに郵
政体制改革に対する心の準備はできているだろう。

〈主輔分離弁公室の設立〉
 最初の試行組織として、広東郵政局は5月中旬、「主副分離、副次業務の制度
改革」作業会議を開催し、主輔分離弁公室を設立した。
 従来、広東郵政局に帰属していたホテル、不動産業、企画院、研修センターな
どの副次業務と、郵便、EMSなどの郵政主業務について、まだ完全な分割、独立
採算制は行われていない。
 今回の主副業務の分離は、「主力業務の強化、副次業務の開放、活性化」とい
う原則に従い、主業務と副次業務の分割、独立経営と、副次業務の民営化、市場
化を行う。

 現在、広東郵政は「主業務、副次業務の分離、副次業務の制度改革」の企画と
改革案を作成しており、同時に、前期の準備作業と今年の具体案を実施している。
 「主業務・副次業務の分離、副次業務の制度改革」は、郵政のこの「政企分
離」という体制改革の第一歩だ。しかし、具体的な体制改革案について、広東は
まだ知らされていない。
 関係者によると、国務院の改革案の承認を待ち、年末までには中国郵政集団公
司と中国郵政管理局の設立作業が完了する見込みであるという。

〈改革によるグローバル資本を吸引〉
 中国郵政体制改革はグローバル資本の関心を集めている。
 近年、外資系クーリエ大手の市場占有率が断続的に上昇。現在、DHL、TNT、
FedEX、UPSなどのグローバル企業が中国国際クーリエ市場の80%を占めている。
 中国のWTO加盟時の承認に基づき、2005年12月11日、外国資本の中国における
クーリエ事業の独資経営が認められる。現在、既に速達業務は開放されており、
新聞雑誌発行の開放も始まった。次は、小包業務が開放される。グローバル企業
の中国への野心は強く、中国国内郵政業務へのさらなる進出を狙っている。

 今では、早くから中国市場を虎視眈々と狙っていた外資系クーリエ大手がしび
れを切らし、UPS社のような独資企業は業務展開を急ピッチで進めている。
 オランダTNTは2003年6月、15年来の提携パートナーだった中国対外貿易運輸総
公司を見限り、中国郵政と提携した。
 今年3月30日には、上海で、同社が中国郵政部門との間で合弁会社を設立する
と発表。TNT中国法人のケン・マクコールCEOは、中国郵政の株式取得を含め、中
国郵政との提携のために可能な方法は何でもとると述べている。
〔新快報7月19日〕

……【金融】………………………………………………………………………………
●中央銀行マネーロンダリング取り締まり報告
 中央銀行の「中国におけるマネーロンダリング取り締まり報告2004」全53ペー
ジのうち、昨年の人民元と外貨との巨額取引及び不審な取引に対する統計分析は
13ページに上り、報告全文の4分の1近くを占めた。
 報告によると、昨年、中国各銀行類金融機関が報告した人民元巨額取引と不審
な取引の件数は合計463.91万口、累計取引金額は16兆5820.75億元だった。外貨
巨額取引と不審な取引の件数は431.62万口、累計取引金額は1兆1981.66億米ドル
に達した。

〈昨年関連事件50件を検挙〉
 中国人民銀行は12日、中国で初めてのマネーロンダリング取り締まり報告を発
表した。
 報告によると、昨年中央銀行と外為管理局は公安機関に協力し、マネーロンダ
リング及び関連事件50件を検挙し、その関連金額は合計5.7億元と4.47億米ドル
に達した。

〈人民元の不審な取引は10月がピーク〉
 報告の中で、最も注目されるべきなのは人民元と外貨の不審な取引についての
記述だ。
 2004年、人民元の不審な取引に関する報告件数と金額は、1―7月で穏やかに上
昇し、8―12月に大きな揺れがあらわれた。金額については、10月が最高の203.16
億元で、2月は最低の1.09億元だった。

〈外貨の不審な取引は12月がピーク〉
 中国の外貨に関する巨額取引と不審な取引は年末になるとピークになるという
重大な現象が報告によってわかった。
 不審な外貨取引に関する報告件数と金額は、1月―7月に穏やかに上昇し、8月
―12月に大きな揺れがあらわれる。金額については、12月が最高の34.05億米ド
ルで、1月は最低の4.35億米ドルだった。

〈企業の外貨200億米ドル近く流出〉
 現在、中国国内でずっと人民元の切り上げが予想されているにもかかわらず、
多くの企業では巨額の外貨が流出している。
 報告によると、2004年に企業の巨額外貨資金の国際取引中、流入金額が合計
2861.91億米ドル、流出金額が合計3056.68億米ドルで、194.77億米ドルが流出し
た。
 主な流出先は、香港、米国、日本、台湾、シンガポールだった。

〈個人の外貨流入額は流出額3倍に〉
 しかし、個人の巨額外貨資金の国際取引の状況は企業と完全に相反しており、
流入額は流出額の3倍以上である。
 昨年、個人の巨額外貨資金の国際取引中、流入金額が合計39.56億米ドル、流
出金額が合計9.64億米ドルで、合計29.92億米ドルが流入した。
 主な流入先は、米国、香港、台湾、日本、韓国だった。2004年にアメリカから
中国内陸に流入した金額は14.06億米ドルで、流入総金額の35.53%を占めた。

 現在、中央銀行の報告は統計数字だけを並べるのみで数字に対する具体的な分
析は行っていない。
 以前、一部の報道で、幾つかの内陸でマネーロンダリング取引を図る組織が個
人の名義で外貨資金を中国内陸に送り込んでいると分析していた。
〔北京晨報7月14日〕

●中国外貨準備残高初めて7000億米ドル超す
 ホットマネーが中国に押し寄せる事態が徐々に減退してきたにもかかわらず、
貿易黒字が引き続く増加傾向で、中国の外貨準備残高は史上最高に達した。 

 中央銀行は14日、6月末までの国家外貨準備残高は7110億米ドルで、前年比51.1%
増となったと発表した。
 このことは、中国の外貨準備が初めて7000億米ドルを突破したということであ
り、エコノミストは、中国の外貨準備の急激な成長に変化はなく、中央銀行は依
然として為替政策上の種々の圧力を受けていると見ている。
 中央銀行のデータによると、今年上半期の中国の外貨準備は1010億米ドル増加
し、前年比337億米ドル増となった。6月における外貨準備は200億米ドル増加し、
前月比80億米ドル増となった。

 持続的に増加する外貨準備は、中央銀行の為替政策の実施に不利な影響を与え
ている。
 復旦大学金融学教授の孫立堅氏によると、6月末のM2残高は27.6万元で、前月
比153.7%増となり、その上昇幅は高くなったという。
 「M2は国内ローンと外貨から成り、マクロ調整、ローン収縮の状況のもとで、
外貨の割合は依然としてM2の増加幅を高くしており、このことで、中央銀行の貨
幣量調整目標が外貨準備の妨害を受けている」

 注目すべきこととしては、貿易黒字は6月外貨準備増加の主力になっているこ
とである。
 税関の7月12日に発表したデータによると、6月における貿易黒字は96.8億米ド
ルに達し、今年最大の単月期黒字である。今年上半期の中国の貿易黒字は396.5
億米ドルに達し、2004年の年間水準を超えている。

 孫立堅氏によると、外貨準備の3つの起源――貿易項目、投資項目(FDI)、出
所不明(ホットマネーなど)のうち、FDIとホットマネーは減少しているという。
 商務部が7月13日に発表したデータによると、上半期の中国の海外直接投資
(実際ベース)は前期比3.18%の下落となっており、そのうち6月における海外直
接投資は約62億米ドルで、前月比22.25の下落となっている。このことは、FDIは
連続3カ月大幅下落したことを意味する。

 中国外貨監管機構は、ホットマネーの流入に対して、持続的な厳しいコントロ
ールと投機収益予想が下落したことが、ホットマネーの中国流入を大幅に減退さ
せているとしている。
 中央銀行貨幣政策司の易鋼司長は13日の北京における演説において、中国政府
の自主的な外貨政策の堅持、為替市場利率の持続的な下落、不動産市場価格の安
定化が、ホットマネーの利益になるようなルートを遮断し、投機的な動きが大幅
に減少したと表明している。〔毎日経済新聞7月15日〕

……【国内政策】…………………………………………………………………………
●水利建設資金問題の再調査 上
 この夏、大雨、酷暑、日照り、浸水は南北で頻発している。悪夢がまたやって
くるのだろうか?――みんなはやはり疑問に思っている。
 水利工事は、きっと人類が歴史上最も早くに行った公共工事だろうが、公共工
事制度の背景は代々悩みの種でもある。

 2005年6月28日、国家審計署は2004年度の全国水利建設資金特定プロジェクト
の会計監査報告を公表し、水利管理の現実的な問題を提示し、さらに体制の問題
点を指摘している。
 それによると、「2004年、水利部と長江水利委員会等7流域機関及び湖南、湖
北等15省の水利建設資金管理と使用状況の会計監査と調査」として、一部プロジ
ェクトの建設効果が比較的低いこと、違法占拠等の農民利益の侵害問題が比較的
に目立っていることがわかった。

 本紙調査班は最近、湖北、安徽などで取材し、会計監査報告の中で言及されて
いる水利関連のインフラプロジェクトについて実地調査した。

〈ケース1 労働奉仕〉
 陳如明さんの苦悩は最近、ますます激しくなっている。
 「今、ストレスがひどいんです。上級指導者は私の仕事のやり方が悪いので、
村民が苦情を訴えていると思っているんです。実際は、この2年で工事の機械化
が進んだため、農民の労働奉仕はそんなに多いわけではないのです」
 陳如明さんは河南省固始県往流鎮陳族村の支部書記で、7月5日の取材で以上の
ように答えている。

 陳如明さんのストレスの原因は、国家審計署から来るものである。
 6月28日の会計監査報告、審計署が発表したものによると、「淮河主流の陳族
湾大湾港堤防工事は概算総投資額は2.13億元で、中央と省クラスの資金が充てら
れたが、市県が支払うべき1070万元は、農民の無償工事労働奉仕でなされた」と
されている。
 陳族村には陳族湾大湾港の堤防がある。

 1999年11月末、水利部淮河水利委員会はこの工事を許可しており、2003年5月
に工事が始まった。調査によると、この工事は川幅を広げて河川敷をつくり、堤
防の洪水防止と浸水防止能力が高められるというものだった。
 農民の具体的な労働状況について、往流鎮政府の何人かの幹部に聞いたところ、
みんな具体的な数字ははっきりしていないと言う。
 陳族村の戸数は600数戸である。ある村民は、2000年から2003年の期間に、陳
族村の農民は確かに労働奉仕をしに行ったと証言している。現地の決まりでは、
1人の労働奉仕の提供は1年で15回であるが、これ以上の回数になっている人も少
なくないという。
 近くの往流鎮羅墟村の村民の司義江さんは、その年は外での商売が忙しくて、
「義務労働」に参加しなかったが、「規定に基づいてお金を支払った」という。
人々はこのお金を「河工銭」と呼んでおり、労働のかわりにお金を支払っている。
 報酬があるかどうかについて取材すると、「これまで労働に出かけても、一度
も報酬をもらったことはありません。みんな義務労働だと思っており、いかなる
報酬をもらうことも考えていないでしょう」陳族村の農民の一人はこう話す。

 当地の水利工事は、県市から郷鎮、村、村民自治グループ、農家へと幾重にも
分散して指示されているので、労働力があれば労働力、さもなければ労働のかわ
りにお金を出さなければならない。
 具体的な人数は各村の自治会で決められており、支給されたお金は一般的には
労働奉仕者で均等に分けられることが多い。

 「農民の無償労働による工事は、全国の多くの地方――特に信陽のように比較
的貧しく、地方財政が比較的困難な地方では、仕方がないのです」河南信陽市の
匿名希望の官僚は言う。
 審計署の報告では、全国の水利建設資金の使用において、違法な土地収用、工
事資金の支払遅延、農民への土地収用の補償問題が深刻なことをはっきりと指摘
している。
 会計監査で抽出検査した186プロジェクトのうち、25プロジェクトで違法に収
用した土地が28.7万ムー、9プロジェクトで土地収用の補償金支払遅延、出稼ぎ
農民の給料が3.71億元あった。
 一部のプロジェクトでは農民に支払う土地補償金、移動補助金、上物及び田畑
補償費用などを支払っているが、明らかに規定の標準より低い。

 実際、労働積累工と義務工という「両工」が、農村ではかなり重要な建設労働
者となっている。
 これは何かといえば、1990年代以後、多くの省では水利地方割り当て資金の徴
収を強化したことにより、「労働力」「物質」「支払い減免(例えば土地の再開
墾、田畑補償、電力増加)」といった3種類の金銭以外の方策もとられるように
なったというものである。
 「両工」はつまり「労働力での支払」である。

 しかし、各省税費改革と農業税減免に伴い、「両工」は消えた。政府からの幾
重にもわたる任務の下達、組織的な動き、農民による労働と国家補助といった状
態はなくなったからである。

〈ケース2 資金の滞留〉
 審計署報告の中で取り上げられた水利プロジェクトには――安徽省の懐洪新河
の継続工事がある。
 黄河下流の治水のための懐洪新河の継続工事等10の水利プロジェクトで、中央
水利建設資金の合計24億元が遊んでいる。一部の資金は5年もそのままに置かれ、
投資効率が上がっていない。
 2003年末、水利部と7流域の機関は13.85億元もの資金を滞留し、15の省クラス
水利機関は22億元を滞留している。この2つの合計は、2003年の水利建設資金総
額の11%を占めていた。

 「懐洪新河管理局側としては、中央水利建設資金を遊ばせておいているといる
ことはありません。資金の留保分というのは、昨年末の2780万元のことだと思い
ます。この資金については既に水利部の淮河水利委員会に報告しています。淮河
水利委員会も、既に国家開発改革委員会に報告したと聞いています」
 6月30日、懐洪新河の河道管理局工事科の高乃林科長は、「使わなかった資金
は、国家発展改革委員会より、実情に基づき、別の工事プロジェクトで使用する
ように指示されます。私たちには全く権限がないのです」と言う。
 水利部企画計画司の王愛国副司長は、会計監査報告の際、滞留している13.85
億元はすべて明確な建設プロジェクトで、まだ審査許可が済んでいないので、計
画に基づいて支給されていないと表明している。「現在帳簿上にある資金は、流
用したり、用途を変えたりしていません」

 懐洪新河全体では引き続き3つの工事が行われている。安徽省、江蘇省、省境
で、全部の資金残高は8000数万元になる。この工事の安徽省分の総投資額は14.6
億元で、そのうち中央政府が11.1億元を投資し、省が3.5億元を(市・県の自己
資金を含む)投資する。
 安徽省監査庁のある官僚は、「会計監査報告で言及されている水利資金の滞留
は、中央の予算執行状況であり、安徽省のことではありません」と釈明している。

 水利工事は一般的に投資金額が大きく、工期が長く、年間投資金額の国家経済、
産業政策などへの影響はとても大きい。一般的には、洪水があった年の予算金額
は多く、平常の年は小さくなっている。
 懐洪新河の安徽省での工事は、1992年から1995年までの期間、年間平均予算は
1.2億元で、1998年だけが4.6億元以下である。しかも、建築物がすべて川の上に
つくられるので、固定的な段階目標と合理的な工期がある。年間予算計画を達成
することは困難なので、「資金が滞留されている」と言われる状況になっている。
 懐洪新河河道管理局の前副局長で、安徽省水利庁水政処の朱慶敏副処長による
と、国家インフラプロジェクトの実施プログラムは、まず国家発展改革委員会に
プロジェクトを申告しなければならない。その後、審査許可を受けて、5年から10
年のプロジェクト予算が分割で各省の水利庁へ、それから庁内の財務処におりて
くる。財務処がこの資金を統一的に使用し、同時に庁内の計画処で、工事の概算
計画、さらに工事の進度によってそれぞれに支給するという。

 しかし、現実的な問題は、一方では資金を遊ばせておいて、一方では工事管理
経費が足りないことである。
 今年6月9日、水利部建設管理司の祖雷鳴副司長が視察した際、懐洪新河のメン
テナンスの経費不足という問題に関心を持ち、積極的に関連部門に反映させると
述べている。
 「経費不足は、主にメンテナンス資金の不足を指しており、一般的には地方で
の資金調達にあるんです。インフラプロジェクトの資金が遊んでいることについ
ては、建設部門は報告すれば資金の転用はできますが、メンテナンス資金を使う
とは限らないのです」と朱慶敏副処長は釈明している。

 「いろいろな原因で、財政部門と計画部門は、数億元のプロジェクトを下半期
に引き伸ばすことがあります。中央資金が省に着いた後、滞留することもありま
す。普通預金で銀行に預け入れられているときもあります。数億元を3カ月預金
すると、大きな収入になりますから」と会計監査専門家は言う。
 7月1日、国家発展改革委員会は会計監査報告について、国債プロジェクト計画
は毎年3月に全国人民代表大会で許可された後、ようやく下達できるため、毎年
投資の一部が次年度に繰り越されていると表明した。
 「水利工事は、一般的には川の上で建築されるため、夏季の増水期が終わるの
を待つしかできず、冬と春に建設が行われています。上半期の国家水利投資は完
成することはないのです」と安徽省水利庁の官僚も苦しげに説明している。
〔第一財経日報7月13日〕
(次号に続く)

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                        (中国人民銀行7月21日発表)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.3133  827.65  106.37   999.14
                        (中国人民銀行7月22日発表)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.3455  811     106.38   1006.71
                        (中国人民銀行7月25日発表)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.3059  811.11  104.76   1001.41
                        (中国人民銀行7月26日発表)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.2421  810.97  104.25   988.22
関連ページ:http://www.bank-of-china.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《編集者コラム――地震その日のこと》
 先週の土曜日、その日はちょうど私の長らくの友人の台湾人が初めて来日した
ので、一緒に遊ぶ約束をしていました。
 明治神宮や竹下通りを散策して、都庁に行こうとしていたとき、地震が起きま
した。ただ、だれも動揺していないし、店内の棚から物が崩れ落ちたわけでもな
く、全く実感がないまま遊んでいました。都庁に行くと確かに展望台へ行くエレ
ベーターはとまっていましたが、さほど気にならず歌舞伎町を散歩して、日本の
居酒屋チェーンで日本酒を飲みながら日本食らしいものを食べていました。
 深刻な事態に気がついたのは、帰ろうと駅に向かってからのことです。電車は
動いておらず、駅の中や外には人はあふれ、ホームや階段に座り込む人もたくさ
んいました。ああまずいなと思ったそのとき、私の隣には電車に乗る経験も日常
的にはない初来日の台湾人がいました。ひとまず動いている電車を探して乗り継
いで帰ることを考えました。
 驚く台湾人に、きょう一日にして、あなたは私鉄、地下鉄、JRと多くの電車に
乗り継ぎ、日本のラッシュにも巻き込まれ、混乱にも遭遇し、いい経験じゃない
か、あなたは超ラッキーだし、あしたはもっとラッキーだ、こんな事態は私も今
まで遭遇したことがないと励ましながら、何とか最終目的地まで見送りました。
交通はさんざんでしたが、いい思い出になってくれれば……と思います。(ま)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●バックナンバーの入手(記事検索も行えます)
(200号以降 2003/2/18―)
 http://www.bizchina.jp/modules/nweek/
(199号まで)
 http://www.jckc.com/nweek/view.php?no=1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:劉志軍 杉下薫 戴小芳 アヤ 平井玲子 郭暁楠
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

改頁:(1) 2 »