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電子マガジン・中国最新情報
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電子マガジン《中国最新情報》  No.357 2006年7月4日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:決算会計検査と予算の使われ方】
●2005年中央決算 財政赤字が警戒線に近づく
●会計検査署 55億元、213人処分 76人刑事追及
●会計検査の問題とポイント 財政部
●会計検査の問題とポイント 地方支出補助
●会計検査の問題とポイント 中央政府投資管理

┏【国内経済】
●広東省政協報告 公用に供される公用車はわずか3分の1

┏【金融】
●米国国債の3109億保有で中国は米国の第2の債権所有国に
●スタンダードチャータード 今年中国の国際収支アンバランス加速

┏【社会】
●大学生の就職活動に大きな壁

┏【経済データ】
●外国為替(7月3日)

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……【特集:決算会計検査と予算の使われ方】………………………………………
●2005年中央決算 財政赤字が警戒線に近づく
 財政部の金人慶部長が27日、2005年中央決算報告及び中央決算草案を発表した。
 中央財政赤字は2999.5億元で、第10期全国人民代表大会3回会議で批准された
3000億元の赤字警戒線まであと0.5億元と迫った。

 2005年中央及び地方の財政改革及び発展状況は比較的よく、全国の財政収入は
3兆円を突破し、3兆1649.29億元となった。全国財政支出は3兆3930.28億元とな
り、全国の財政収支は2280.99億元の赤字となった。
 中央財政総収入は1兆7260.49億元、中央財政総支出は2兆259.66億元で、中央
財政赤字は2999.5億元となり、第10期全国人民代表大会3回会議で批准された3000
億元の赤字規模より0.5億元少なかった。〔北京現代商報6月28日〕

●会計検査署 55億元、213人処分 76人刑事追及
〈2005年度中央予算執行会計検査報告〉
 5日、国務院の委託を受け、会計検査署の李金華署長は第10期全国人民代表大
会常任委員会第22回会議において2005年度中央予算執行の会計検査報告を行った。
 今回、48の中央部門で、55.1億円の不正が判明した。そのうち、2005年に新規
に発生したものが8.65億元で全体の15.7%を占めた。予算編成が細目化しておら
ず、決裁のタイミングが悪い等予算及び財務管理が規範から外れていたのは658.58
億元で、そのうち2005年に新規に発生したものが345.39億元で全体の52.4%を占
めた。
 会計検査は違法案件の糸口となる12件(関連者25人)を調査し、既に司法機関、
規律検査、監察といった部門に送ってさらに追及を進めている。

 李金華署長は、38の中央部門を会計検査し、問題が判明した95%は既に追及を
したと示している。整理改善によって、関連部門や単位が納めた財政資金11.83
億元、取り戻したり返還された横領、私的流用資金41.64億元、支払われた滞留、
放置資金117.62億元、213人が党や政治規律で処分され、76人が逮捕、起訴、刑
罰を受けた。

〈会計検査・データ〉
▼9部門で1.76億元多く報告、受け取り
 55.1億元の不正のうち、部門レベルに属するものが12.66億元であった。また、
658.58億元の予算及び財務管理不正問題のうち、部門レベルに属するものが360.59
億元であった。

 主要な状況は以下のとおり。
 9部門が財政資金1.76億元を多く報告、受け取っていた。そのうち、単位の人
員を多く報告することで、財政資金を2431億元多く受け取っていて、主に政策以
外の補助等に使っていた。
 18の部門が財政資金とその他の特別用途資金7.02億元を横領、私的流用してい
た。
 7の部門が収支を粉飾するなどして資金を移転し、3.6億元を私物化した。
 12の部門が285.31億元を年初の予算から個別のプロジェクトや単位に配分しな
かったことで、10.37億元の予算を当年に使用できなかった。

▼24の単位で19.73億元の国有資産損失
 部門所属単位の不正問題は42.44億元明らかになり、そのうち2005年に新規発
生したものが2.47億元で5.8%を占めた。また、予算及び財務管理の不正問題が
297.99億元で、そのうち2005年に新規発生したものが36.2億元で12.1%を占めた。

 主要な状況は以下のとおり。
 6つの部門に属する10の単位で項目業務量を多く報告し、支出基準を上げるこ
とで、あるいは異なる項目の同一内容等を重複申請することで、財政特別資金
1.06億元を得た。
 20の部門に属する46の単位が財政資金とその他特定用途資金11.91億元を横領、
私的流用した。
 14部門に属する24の単位で管理不行き届きが原因で、19.73億元の国有資産損
失及び潜在的な損失となった。
 13の部門に属する20の単位で収支の粉飾などで資金を移転し、2.25億元を私物
化し、主に単位の日常経費支出等に用いていた。
 8つの部門に属する48の単位で不正な料金徴収、収支別建て管理の不徹底で
26.54億元を得た。

▼会計検査を70単位に拡大で14.76億元の不正資金判明
 会計検査署は24の中央部門2005年度決算(草案)の会計検査を70の所属単位ま
で拡大して行った。虚偽の収支、データの不正確等の決算(草案)の真実性、完
全性に影響する問題は14.76億元で、会計検査決算資金量の4.7%を占めた。
〔北京青年報6月28日〕

●会計検査の問題とポイント 財政部
 財政部の予算執行には5つの問題があった。
 財政部は2005年度中央予算執行過程において比較的よく職責を果たし、中央予
算編成の質、執行の効果、予算管理レベルのさらなる向上を図った。しかし、会
計検査で幾つかの問題が判明した。

1) 財政部が2006年3月に国務院の委託を受けて第10期全国人民代表大会4回会議
で2005年度中央予算執行状況報告を行った際、政府基金の2004年度末残高が21.12
億元と過少報告したが、2005年の収入は5.06億元、支出は2.57億元で、年度末残
高は23.61億元であった。
 ――予算法実施条例の「国務院批准を経て設立した専用基金は予算管理を行わ
なければならない」という規定に合致しない。

2) 2005年、財政部の政府基金自身の収入が支出需要を満たしている状況のもと
でも、依然として15億元の予算を計画している。
 ――このような方策は、基金の使用効率向上によくない。

3) 2005年、中国信達資産管理公司が不良債権を処理する際に、財政部は、実際
に発生した費用が4552兆元あった状況で、その回収資金8.54億元の18%の委託手
続費1.54億元の受け取りに同意した。
 ――この受け取り比率は、信達公司の実際費用率5.29%の3.4倍であり、2005年
財政部が当該公司に発した査定費用率6.21%の2.89倍である。

4) 2005年、財政部は中国中信集団公司の上半期税引き後の利益分配で17.54億元
の39%、公益金6.84億元受け取りを批准した。
 ――公司法の法定公益金は税引き後利益の5%ないし10%受け取りという規定と
合致しておらず、当該公司は公益金5.09億元多く受け取っている。

5) 2005年、財政部は中国石油天然ガス集団公司からの所得税のうち100億元を還
付し、中国石油化工集団公司の石油精製プロジェクトの損失を埋めた。
 ――この種のひそかに収入を操作するのは、「収支両建管理」(収入・支出別
建て管理)の原則に違反しており、中央財政の収支規模が縮小してしまう。財政
部は財政支出でこの部分の資金を準備するべきである。
〔北京青年報6月28日〕

●会計検査の問題とポイント 地方支出補助
 中央の地方支出補助には3つの問題が存在している。
 前年に比較して、2005年中央の財政移転支出及び専項移転支出は大きく増加し、
財政移転支出の増加は専項移転支出の増加を上回り、財政移転支出は地方移転支
出の半分以上を占めた。
 会計検査で判明した主な問題は以下のとおり。

1) 地方財政の中央の税収返還と補助収入に対する予算編入報告が不完全である。
 ――予算法の規定によれば、省レベル政府は、中央財政の当該地域への税収返
還及び補助収入をすべて省レベルの予算を編入しなければならない。しかし、20
省・区・市の会計検査調査によれば、2005年、これらの省の予算における中央税
収返還と補助収入の編入報告は3444.27億元であり、中央の実際補助7733.65億元
の44.5%にすぎなかった。

2) 一部の専項移転支出項目が重複しており、分配制度が万全でなく、資金投入
が分散している。
 ――現在、中央移転支出資金分配に参画している部門は37である。大まかな統
計によると、2005年の中央財政分配において、239項目の専項移転支出項目のう
ち、41項目には内容の重複が存在し、関連資金は156.37億元に達する。また、65
項目は管理方法がないか管理方法が未公開で、関連資金が705.89億元、専項移転
支出総額の20%を占めている。

3) 2005年、15の中央部門の部門予算のうち、中央が補助した地方支出は383.69
億元であった。
 ――この種の中央主管部門による一対一で地方を補助する方法は正常な予算管
理の階層レベルと資金分配のルートを乱し、中央財政レベルの予算支出と地方予
算支出の補助という裏ルートつくり出してしまう。
〔北京青年報6月28日〕

●会計検査の問題とポイント 中央政府投資管理
 中央政府投資管理に7つの問題が存在している。
 会計検査によってわかった中央政府投資管理に存在する主要な問題は以下のと
おり。

1) 2005年末、国債資金234.54億元は支出予定もなく、使用されることはなかっ
たが、これは当年の国際投資の20.1%を占めた。
 ――このようなことは国債投資によって見込まれる利益を減らし、また国家の
債務コストが増加する。

2) 354.4億元の中央予算内の投資について、発展改革委員会は年初に267.37億元
の計画を発したが、その中に含まれているフィージビリティースタディーの未決
裁及び未決定項目22.98億元、細分化されていない投資1.67億元を除いた、実際
に実施された項目は242.72億元で、当年の中央予算内投資の68%であった。
 ――この結果は、「予算二次配分権を有する単位が年初に発する予算額は当年
度予算の75%以上でなければならない」という要求に達していない。

3) 淮北大堤防補強工事プロジェクト等5項目のフィージビリティースタディー報
告において、淮河主流上中流河道整備及び堤防補強プロジェクト等5項目の初期
設計の決裁がいまだにない状況において、発展改革委員会は中央予算内投資計画
10.9億元を発した。
 ――国家の基本建設プログラムの規定に合致しない。

4) 2005年10月、発展改革委員会は炭鉱安全改造項目投資計画を発した際、財政
部に対して閉鎖破産補助として38.33億元を10の資源枯渇型閉鎖破産炭鉱に支払
ったにもかかわらず、安全改造資金2741億元を用意した。
 ――政策性閉鎖破産炭鉱に対しては、安全改造資金を用意するべきではない。

5) 会計検査で122.52億元10項目の国債投資計画をサンプリング調査したところ、
合計1万3488項目のうち100万元以下の項目が1万1479項目で、総数の85.1%を占め
ていた。
 ――一部の地方投資項目補助には金額が比較的小さいものが存在しており、中
央政府投資効果の発揮に問題がある。

6) 2005年、発展改革委員会、交通部はそれぞれ「中央予算内投資」「国債投
資」といった資金263.3億元を使用し、郷村道路等6項目の専項投資を用意した。
このような専項項目はすべて農村道路建設に関係するもので、内容が似通ってい
て、資金が多方面から発せられた。
 ――これは、一部の専項投資の内容の重複の現状を反映しているもので、資金
が多方面から用意されるという現象である。

7) 昨年の中央予算執行会計審査において、発展改革委員会は2004年末までの
「優良品種食糧産業プロジェクト」「動物防疫システムプロジェクト」をまた今
年の国債投資計画に発していた。
 ――今年の会計検査状況によれば、この問題はいまだに解決していない。
〔北京青年報6月28日〕

……【国内経済】…………………………………………………………………………
●広東省政協報告 公用に供される公用車はわずか3分の1
 中国の全国の400万台の公用車のうち公務に使用されているのは3分の1、ある
政府機関職員が消費する電力量は一般住民の19倍――22日の広東省政治協商会議
「節約型社会形成」報告会で、党と政府機関の出費は膨大で、浪費も深刻である
ことがわかった。

 広東省委員会党校経済学教授の黄鉄苗氏によると、中国全国には400万台の公
用車があり、毎年3000―4000億元かかっている。しかし、実際に公務で使われて
いるのは3分の1にすぎないという。
 また、一政府機関職員の平均消費電力量は一般住民の19倍である。政府機関の
建設面積当たりの消費エネルギーは世界で最もエネルギーを消費する米国の1999
年平均水準の133%であるという。
 さらに、中国全国の毎年の公費での飲食は2000億元以上で、そのうち、1000億
元以上を消費し、1000元以上は浪費される。
 黄鉄苗氏はこのように、党と政府機関の出費は膨大で浪費は深刻であると述べ
ている。

 「現在、中国には「反浪費法」がない。中国政府は関連法律を出すべきで、立
法化することで飲食浪費をやめさせることとし、そこには、ぜいたくな飲食には
高額な税金を課し、過度な包装や残った食事を包んで持ち帰ることには費用算出
する等を行うべきである。同時に、既存の「エネルギー節約法」等の法規を改正
し、経済発展の実情の要請に合わせるべきだ」と黄鉄苗氏は提案している。

 資源の節約は、循環型経済への一つの道筋である。広東省政治協商会議常務委
員会、華南理工大学の元校長である劉煥彬教授は、国外からの廃棄物についても
対応を分けなければならないと提案している。「電子製品のような廃棄物は深刻
な汚染をもたらすかもしれず、断固として輸入すべきではない。しかし、古新聞、
段ボールといった廃棄物は一定の基準のもとで回収利用できる」
 広州の製紙工場では60―70%は国外の古紙を使用しており、広州のマスコミ業
界が使用している用紙の大部分は国外の古新聞が用いられている。「我々の国家
資源は不足していて、古紙といったような国外の廃棄物を輸入すれば、木材を代
替し、多くの木材を節約できる」劉煥彬教授は述べている。
〔羊城晩報6月23日〕

……【金融】………………………………………………………………………………
●米国国債の3109億保有で中国は米国の第2の債権所有国に
 中国人民銀行が先日初めて発表した2005年度国際金融市場報告によると、2005
年末現在の中国が所有する米国の国債総金額は3109億ドルに達し、日本に次いで
世界第2位になった。

 報告は米財務省のデータを引用したもので、2005年末、中国が所有する米国の
国債総金額は2004年末より880億ドル増加したことがわかった。これは、中国が
所有する3109億ドルの米国債のうち、中国政府の外貨準備の投資によるもの、そ
うでないものも含んでいる。
 2005年末現在、中国の米国の金融機関に対する債権は約464.87億ドルで、2004
年に比べて11.9%減少した。そのうち、政府と商業銀行が所有する債権は447.7億
ドルである。

 中国国家外国為替管理局の統計によると、2005年末現在、中国の海外金融資産
は1兆2182億ドルで、前年比31.6%増となった。そのうち、貯蓄資産が8257億ドル
(外貨準備8189億ドル)、67.8%を占め、前年比33.5%増となった。海外直接投資は
645億ドルで、5.3%を占め、前年比22.4%増となった。〔中華工商時報6月26日〕

●スタンダードチャータード 今年中国の国際収支アンバランス加速
 人民元切り上げの圧力を軽減するために中国政府は国際収支黒字を下げる努力
をしているが、スタンダードチャータード銀行が先日発表した研究報告では、今
年中国国際収支のアンバランスが加速し、貿易黒字の増加は昨年をはるかに上回
り、2006年は中国の外貨準備高の増加が最も多い年になるかもしれないと予想し
ている。

 スタンダードチャータード銀行のシニアエコノミストの王志浩氏のレポートに
よると、2006年に中国の経常収支の黒字は2170億ドルに達し、GDPの8.2%を占め
ると予測している。金融収支の540億ドルの黒字を加えると、2006年末に中国の
外貨準備高は1.1万億ドルに達し、人民元切り上げ圧力が一層増大する。

 貿易黒字の増加は依然として最も主要な増加要因である。2006年においては輸
出25.6%増、輸入22%増で、年間貿易黒字は1870億ドルに達し、昨年の1340億ドル
より39.5%増加すると予測している。
 この予測は先日国家発展改革委員会が発表した年間貿易黒字1200億―1300億ド
ル、国家統計局が発表した1000億ドルという予測データをはるかに超えている。
 税関が公表したデータによると、今年1―5月の累計貿易黒字が465.93億ドル増
加し、前年同期比54.37%増、5月にさらに130億ドルという月間最高記録を更新し
ている。

 しかし、今年中国の資本収支の黒字は昨年と比べて余り変わらない。このレポ
ートでは、一部商業銀行の株式制改革が完了したため、不動産市場もマクロコン
トロールの影響を受けて、両者が吸収する外国投資が減少する見込みだとしてい
る。
 2006年に中国に入り込む海外直接投資(FDI)は750億ドルに達し、昨年の790
億ドルの規模よりやや低いと予測している。〔第一財経日報6月28日〕

……【労働】………………………………………………………………………………
●大学生の就職活動に大きな壁
 国家関連部門の統計によれば、2006年の全国普通大学の卒業生は413万人で、
昨年に比べて75万人、約22%増加し、就職はさらに激化している。
 コネクションの壁、地域の壁、戸籍の壁、名門校の壁によって、就職がさらに
困難になっている。目に見える制限や条件のほか、一部の大学生の就職にはさま
ざまな見えない壁があり、そのために就職への道は一層困難となっている。
 関係者の分析では、現在の大学生の就職がさらに困難になっているので、農村
や都市の貧困家庭出身の大学生が不利となっていることがかなり頻繁に見受けら
れるという。

〈就職先への幾つもの壁〉
 卒業まで半年間、山東のある医学学院大学の今年度卒業生の李平さんは就職活
動をしたが、履歴書を送るだけではなく、先生や先輩などの小さなコネまで頼っ
て就職先を探している。
 済南の貧困家庭を取材したところ、大学に行く子女すべてが就職問題に直面し
ていることがわかった。
 下崗された女性労働者の王〓さんの家は生活保護を受けている。娘は2005年に
済南広播電子大学を卒業後ずっと仕事が決まらない。王〓さんによると、娘は卒
業時に何社もの就職説明会に行ったが、有名大学ではなく、コネもないので、仕
事が見つからないのだという。

 コネクションの壁のほか、大学生の就職活動では、例えば地域の壁、戸籍の壁、
名門校の壁などもある。
 山東の今年度の卒業生の高星さんは「多くの地区では現地出身者を優先して採
用しており、ほかの地方からの学生の就職はかなり難しいと言えます。沿海のあ
る県レベル市から教師の要請がありましたが、地元学生が条件の第一として挙げ
られており、地元出身者が1人しかいなかったら、その1人が採用されるのです」
という。

 ある卒業生は、仕事を見つけるため、やむを得ず人事部と幾つか「不平等条
約」を結んだという。例えば、何年かは大学院を受験しない、何年かはやめない
などの条件で、もし違約すれば5000元の違約金を払わなければならない。
 ある企業は公然と「七大名門校」の学生だけしか採用しないと発表しており、
その他の学校の卒業生は資格さえない。

〈就職活動への改革急務〉
 満足できる仕事を見つけるため、学生は各種の壁に大量の精力を注ぎ込まなけ
ればならないだけでなく、さらに大量の財力をも使わなければならない。
 中国農業大学が2005年度の卒業生に対して行った調査によると、卒業生は就職
のために平均427元を使っており、最多で1万元を使っている。
 学生は卒業時、中央機関から県レベルまでの多くの機関の公務員試験を受ける
ために、申請料、面接試験の旅費、宿泊料、試験勉強教材の費用などをかなり多
くかけており、さらに地方での面接のための費用などで1万元以上の費用がかか
っている学生もいるという。

 山東省社会科学院の人口研究所の鹿立研究員によると、中国は先進国と比較し
て、依然として全体の知識レベルが高いとは言えず、人材不足の段階にはあると
いう。現在、大学生の就職困難は、伝統的な就職観念が影響しているほか、各種
の就職差別と関係があるのではないかという。
 鹿立研究員は、当面の就職活動で改革が急務と考えられることは「試験結果だ
けを考慮した採用」を進め、業界独占を打破し、新しい知識を持った大学卒業生
をそれぞれの業界の中で充実した職務につかせることだという。
 特に、業界独占が比較的高く、市場進出のハードルが比較的高い部門から人材
を充実させるべきで、それによってこういった業界部門は急速に発展するだろう
と考えている。

〈どうして地方に行きたくなのか?〉
 ここ数年、大学生が地方に就職するように奨励し、そのために国は多くの政策
を発表してきた。例えば大学生を自発的に西部計画に参加させるために、農村教
育修士、農村教師などの職を特別に設けた。しかし、一部の大学生は地方への就
職にさまざまな不安があるという。
 「大学4年間でかかる費用が高く、地方への就職は経済的に苦しいのです」山
東師範大学では山東で初めての農村修士養成の単位を認め、今年から、本科の卒
業生の中から農村修士を養成する教師の選抜が始まっている。しかし、この政策
に興味を全く持たない学生もいる。
 この学校のコンピューター学部の卒業生の武さんの算出では、大学の授業料は
毎年3960元、下宿費用が500元、さらに、生活費が年間少なくとも8000元、4年間
の合計は3万元以上もかかっている。
 「私の両親は農民です。数年間の授業料は全部借金で賄っていて、大学3年時
の借金は5000元にもなっていました。高校2年生の弟もいて、弟が大学に行くよ
うになれば家庭の経済的な負担はかなり重くなります。もちろん、大学での投資
を回収できることを考えて大学に入りました。県レベルの高校に就職すれば、毎
月の収入は1300元ぐらいです。ローンしないといけないでしょうし、借金も残っ
ています、弟が大学に行くお金も要ります。地方へ教えに行くことは経済的に考
えてもかなり難しいです」

 「心が空虚で、地方では精神的にだめなのです」中国文学を学んでいる今年度
の卒業生の劉氷さんは言う。
 「地方へ行くことで条件が多少悪くなることについては私は何とも思っていま
せんが、意思の疎通を図る相手が見つからないことが怖いのです。精神的な寂し
さが最も恐ろしく、私には耐えられないでしょう。だから、私は大都市の普通の
職場でもいいと思っています。必要とされていても地方へ行くことは望みません。
今、私の就職活動をしていて考えることはとても現実的なことで、とにかく就職
してから、さらに何かを選ぼうと考えていて、自分の理想はとても遠いものにな
ってしまっています」

 「結婚して子供が生まれて、地方で定住するのでしょうか?」経済的な問題、
精神的な問題のほか、大学生は地方に就職することについて、幾つかの現実的な
生活での心配を感じている。
 聊城大学の卒業生の孔銘記さんは言う。「私は今年23歳です。恋愛をして、結
婚し、子供が生まれて、家族を養い、家を買い、両親の扶養、これらの生活の問
題すべてを考えなければなりません。数年間地方に行くとなれば、これらのライ
フイベントすべてをおくらせなければならないでしょうし、数年後に市内に帰っ
てきたとしても、そのときは結婚相手を探すのさえ難しくなっているかもしれま
せん」

 山東大学学工部の王浩さんは、大学生の地方での就職に対して持つ心配は理解
できると言う。戸籍の移転、給料水準、人事代行、公務員試験、大学院試験など
たくさんの具体的な問題があるという。
 現在、卒業生向けの地方での就職政策はますます豊富になっているが、大学生
に地方で就職するように奨励すると同時に、大学生を地方に行かせるだけではな
く、喜んで地方に就職し、安心して地方で就職できるようにしなければならない。
そして、大学生が地方で就職した後の生活や個人の発展において、後顧の憂いを
なくするよう努力していかなければならない。

〈専門家の視点〉
▼大学側の就職指導強化を 山東省教育庁の曾憲文氏
 現在の高等教育の矛盾は既に出口が見えるところにまで到達しており、「進学
が困難」から「就職が困難」へと進んできている。大学生が卒業してすぐ失業状
態にあるという状況は珍しいことではなくなっている。就職問題がうまく解決で
きていないことは社会の新しい不安要素になっている。大学生が速やかに社会に
適応できるようにし、職業スキルを高めるなど、学校が担わなければならないこ
とは多い。
 当面の比較的切実な課題は大学生に対する就職指導の強化で、人に応じて適切
な教育をするだけではなく、さらに「人材の営業」をしなければならない。学校
は大学生に対して個別指導を行い、学生就職担当の教師を決め、商品を営業する
ように、学生を推薦・紹介しなければならない。

▼産学官でオーダーメイドの人材養成を 山東省社会科学院の鹿立研究員
 人材市場の構造的なアンバランスを解決するべきであり、入口で厳しく検査す
ることで「オーダー制」の人材市場に誘導することがポイントだ。
 政府はマクロコントロールを行い、一定の頻度で産業ニーズを発表するべきだ。
産学官で「学校運営」を共同で行い、学校は専攻課程設置や学生募集の規模など
の設定について企業と協議を行う。
 イギリスのある調査によれば、調査した大学、短大のうち、33%が特定の企業
や企業グループからのニーズに合った課程を設けているという。85%は、課程に
対して企業からのフィードバックがある。課程を設置する際、企業が参与する割
合が80%以上を占めているという。
(〓は王へんに民)
〔上海証券報6月19日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                       (中国人民銀行7月3日17:17)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     6.9851  799.85  102.91   1021.65
関連ページ:http://www.boc.cn/
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《編集者コラム――ディスカッション》
 週末、現在大学の学長をやっている開発経済学の先生の中国についての思い出
話のような話を聞くチャンスがありました。その先生が初めて中国に行ったのが
1985年、そのときの中国のダイナミックな経済の動きに経済学者として強く印象
を受けたそうで、以後中国経済の研究もしてきたそうです。
 その先生が中国の研究を始めたということで中国人留学生が先生の研究室に集
い、データもよく集まって、友好ムードで精力的に研究した10年、そして、1995
年、先生が北京で研究していたとき何か日本人に対して冷たい風当たりを感じた
そうで、それ以降の反日ムードへ流されていく10年と大きく分け、そして今なぜ
こうなってしまっているんだろうかという先生なりの分析を聞きました。
 先生の話の後、日中関係をよくするためにはどうすればいいんだろうかという
簡単なディスカッションをして、模造紙に話し合いの結果を書いたものを発表し
合い、意見を共有しました。中国に関心の薄い日本人同士が集って意見を出した
ところで何かが変わるというわけでもないのですが、前向きな話が多くていい経
験ができました。マスコミやメディアからの報道を聞き流すよりも、個別に多く
の意見を共有した方が意外に冷静に考えられますね。(ま)
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