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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.569 2012年12月11日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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★今週の読者数合計:5,716名(2012年12月10日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国政府、企業、官僚の存在感】
●三沙市建設 重大工事が急ピッチで進む
●民営企業で売上高1000億が193社 利益水準は国有企業を超える
●過去3年で中国の商業贈収賄案件の発生が増大

┏【環境】
●小中学校での運動がさらに「レジ袋制限令」を推し進める

┏【金融】
●ホットマネーの流れに香港両替店の人民元送金の存在

┏【経済データ】
●外国為替(12月10日)

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……【特集:中国政府、企業、官僚の存在感】………………………………………
●三沙市建設 重大工事が急ピッチで進む
 中国の最南端に位置する地レベル市(地級市)――三沙市の建設が急ピッチで
進んでいる。
 現在、三沙市政権の枠組みはほぼ確立している。関連部門は前後して「海口―
永興」両地の執務輪番制、スポークスマン及び市委員会、市人民代表大会常務委
員会、市政府議事規則などの制度を制定した。三沙市のインフラ施設の建設投資
は既に100億元を上回り、幾つかの重大な基礎工事は既に着工している。

 10月31日は三沙市が成立して100日目になる。
 10月29日、海南省委員会書記、省人民代表大会常務委員会の羅保銘主任が三沙
市駐港事務所で調査研究、現地執務した際、三沙市の指導グループが開放的視野、
戦略的視点、創造的思考を持って業務を進めるよう要求したことで、目下、三沙
の建設が一層急ピッチで進んでいる。

 三沙新聞の報道によると、11月2日、三沙市委員会常務委員、市委員会事務室
の陳際陽主任は三沙市設置100日のメディアブリーフィングで、三沙に都市を設
置後、港湾、空港、埠頭などのインフラ施設の建設が急ピッチで進み、幾つかの
プロジェクトは前後して着工あるいは近々始まる予定であると発表した。

 資金面において、交通補給船「三沙一号」の建造プロジェクトのために、国家
発改委が既に1億元を下達しており、来年再び1.6億元下達する。この5000トン級
の交通補給船は、現在、建造のための設計準備をしているところで、年末には着
工し、来年末には使用を開始する。
 このほか、海洋漁業船の造船補填のため、既に資金3.6億元を下達されたこと
で、空港、埠頭、補給、交通、事務など8つのインフラ施設プロジェクトへの総
投資100数億が明確になった。

 三沙市永興のごみ汚水処理、公用住宅、趙述島道路などのプロジェクトも既に
前後して着工している。6億元を投じる計画で、現在、既に1.6億元が投入されて
いる。
 1日1000トンを処理する永興海水淡水化工場は11月上旬に始動する予定で、こ
の工場完成後は島の水の使用を全面的に停止し、毎年約20万トンの島の水、永興
島の生態資源を効果的に保護する。
 同時に、漁業監視船、海洋監視船2隻が既に完成し、船員の招聘を準備してい
る。永興埠頭二期、文昌清瀾埠頭補給基地も事前作業を準備中で、近いうちに着
工する予定だ。

 三沙はまた、清華大学、上海城市設計院、中交集団、中海闊公司などに、永興
島重点区域の建設改造計画、海南―永興島、永興島―七連嶼間の特別交通計画、
北礁交通埠頭計画及び晋卿島総合補給基地の事前作業計画の編成を委託している。
 三沙市と海南省委員会組織部、機構編制委員会弁公室は、三沙市の初期の機構
編成プランについて共同研究しているが、市レベルの政権フレームは既に用意が
整い、永興、七連嶼、鴨公、晋卿、羚羊など5つの村民委員会の建設を統一的に
計画する。
 三沙市は市政、土地建設計画、人口などの管理方法も全面的に研究し、永興島、
趙述島などの人口増加を厳格に制御して、新しい戸籍の管理方法を研究する。

 8月末から9月初めには、早くも名称に「三沙」が含まれる企業2社が登録され、
三沙市で最も早く創立した企業になった。三沙市の関係責任者は、非常に多くの
企業から連絡、問い合わせ、マッチングがあると表明している。三沙市の商工業
管理などの相関部門が続々と設立されるに従い、より多くの企業が三沙市で登録
すると思われる。

 先日、中国エネルギー建設集団有限公司傘下の広東省電力設計研究院(略称
「広東院」)は、中国南方電力網有限責任公司と海南電網公司から委託されて、
海南省三沙市の電力計画の編成作業を展開している。これは、三沙市初の電、冷、
熱などの各種エネルギー及び資源の生産、伝送、使用という一連の総合電力計画
を網羅するものである。
〔第一財経日報2012年11月8日〕

●民営企業で売上高1000億が193社 利益水準は国有企業を超える
 29日午前、上海財経大学が発表した2012上財中国500強企業競争力指数で、国
有銀行が持続的に500強をリードする一方、民営企業のランクイン数は徐々に増
加していて、民営企業104社が売上高1000億元を超えた。
 上財500強企業競争力指数は、規模指数、利益指数、成長指数の3指数によって
構成されている。2004年の中国の500強企業競争力指数を100とすると、2012年の
総指数は105.37で、前年より3.41ポイント減少し、ここ2年は減少傾向になって
いる。

〈500強企業の地域分布はアンバランスなまま〉
 指数によると、中国500強企業の分布は依然としてアンバランスで、東部地域9
省市で355社がランクインし、2012中国企業500強総数の71%を占めた。中部、西
部、東北地域のランクイン企業は全て足し合わせても3割に満たなかった。
 北京の競争力指数は122.84で、今年ランクイン企業数の圧倒的に多い省市とな
った。上海は広東を抜いて第2位を奪い、競争力指数は114.54だった。
 総合競争力10強業界ランキングのうち、7社はサービス業、3社は製造業だった。
中国農業銀行、中国工商銀行、中国建設銀行は引き続き500強のトップ3位だった。

〈民営企業の利益水準は国営企業を上回る〉
 500強企業のうち、民営企業のシェアは安定的に上昇傾向である。今年ランク
インした民営企業は193社で、前年より9社増加し、売上高が1000億―1兆元の間
の企業は104社で、前年より27社増加した。そのうち、民営企業15社は売上高
「1000億元クラブ」入りをし、その数は前年より6社増加した。
 製造業500強のうち、民営企業284社の総資産はわずか25%にすぎないが、40%近
い売り上げを占め、利益水準と労働生産性は国営企業を上回った。また、民営企
業は科学研究及び技術革新の方面での投入も国営企業を上回った。

〈中国で最ももうけた業界〉
 インターネットメディア、商業銀行、醸造業、黄金製造業、港湾サービス業の
平均利益率は10%を超え、中国で最ももうけた業界となった。そのうちインター
ネットメディアは35.81の利益率でランキングトップにあるが、ランクイン企業
は騰訊1社だった。
 今年、戦略性新興企業は、規模指数のほか、その他各項の指数でも減少があら
われ、そのうち成長指数は最も減少し15.67だった。学者は、中国は一定規模以
上の戦略性新興企業の発展モデルがまだ完全に形づくられておらず、リスク対応
能力の向上がまたれると見ている。
〔新民晩報2012年11月29日〕

●過去3年で中国の商業贈収賄案件の発生が増大
 経済社会の急激な発展に伴い、腐敗問題は既にグローバルな課題となって、社
会生活の各方面に浸透している。
 社会科学院が27日に発表した「中国企業公民報告」では、過去3年で、中国の
商業贈収賄が新しい特徴と趨勢としてあらわれ、多くの政府高官、企業の管理者
層、多国籍企業が絡んだ商業贈収賄案件が指摘された。
 商業贈収賄は、中国の転換期の経済管理体制、法制、商業モラル、監督管理及
び商業贈収賄グローバル化等もろもろの原因でますます氾濫し、中国の経済発展、
政治の安定及び社会の調和に深刻な危害を与えている。これに対して、多方面か
ら取り組み、全てを把握し、徐々に腐敗防止、商業贈収賄防止といった総合的な
管理体系を構築すべきである。

 調査によると、2009―2011年、中国の商業贈収賄は新しい特徴、趨勢としてあ
らわれたが、主に4方面に集中した。

 第一に、商業贈収賄案件が多発し、案件数が巨大になったことだ。
 2009年、全国各行政レベルの紀律検査監察機関が共同で調査・摘発した件数は
12万5912件、結審11万1156件、処分11万6319人だった。2010年、全国紀律検査監
察機関が共同で調査・摘発した件数は13万9621件、結審13万9482件、共産党紀違
反及び政治紀律違反処分が14万6517人、犯罪容疑で司法機関への移送が5373人だ
った。2011年、全国紀律検査監察機関が共同で受理した陳情件数は延べ13万45814
件、立案13万7859件、結審13万6679件、処分14万2893人だった。

 第二に、官僚と商人の結託、高官が絡む案件がますます激しくなっていることだ。
 商業贈収賄は「行政権限による不正収入」を提供し、大多数の腐敗案件が商業
贈収賄と関連する。2011年1―11月、国家公務員が絡んだ商業贈収賄案件の件数
は前年同期比1.9%増加した。
 例えば、陳良宇の収賄案件、厦門遠華密輸事件等で調査・処分した高級指導幹
部による重大経済犯罪案件のうち、圧倒的多数は商業贈収賄に関連し、商業贈収
賄は幾つかの重点分野及び業界で依然として発生しやすく多発しやすく、年々増
加傾向にある。
 近年来、中国の腐敗防止闘争が絶えず強化、深化するに伴って、多くの庁局級、
省部級の高官の腐敗案件が絶えずあらわれ、職位の高さで尻込みさせ、額の多さ
で驚かせる、官僚が絡む商業贈収賄の行為が腐敗案件のさらに深刻な分野になっ
ている。

 第三に、腐敗と商業贈収賄の浸透した分野は絶えず拡大し、形式は日に日に多
様化、隠蔽化されていることだ。
 市場経済の一層の発展に伴い、腐敗と商業贈収賄は既に政府行政管理、商業、
科学技術・教育・文化・衛生・スポーツないし軍隊等を含めたほとんど全ての領
域に浸透した。政府調達や商業取引の商業贈収賄は言うまでもなく、ここ数年来
ますます露出が高くなっているアミューズメント界の不文律、医薬業界のリベー
ト、サッカー界の八百長・賭博・マフィアの介入は、腐敗や商業贈収賄が既に社
会生活のさまざまな方面に浸透していることを説明している。
 具体的には、商業贈収賄の主なやり方は次のようなものだ。1) 現金、2) さま
ざまな費用、紅包、御祝儀等、3) 有価証券、4) 現物、5) その他の形態、6) リ
ベート、7) マージン、マージンの不記帳

 第四に、商業贈収賄は国際化してきているこどだ。
 中国の対外開放度が上昇するにつれ、商業贈収賄が発生しやすく多発しやすい
重要分野と基幹的な業界、多国籍企業の存在がいうならばだんだん多くなってき
ている。
 例えば、過去のウォルマート、天津徳普、IBM、カルフール等がいまだ記憶の
かなたに去る前に、モルガン・スタンレー、リオ・ティント等の大商業贈収賄が
あらわれ、このような多くの多国籍企業がかわるがわる中国商業贈収賄ランキン
グに登場するなど、国際及び国内法律規範、誠実な経営を守ることができる人た
ちが期待外れのことをしていることに驚かされる。
 中国国内の民間経営分析機関である安邦集団が発表した研究報告によると、多
国籍企業の中国での贈収賄事件はずっと上昇傾向で、中国でここ10年来、少なく
とも50万件の腐敗案件を調査したところ、64%は国際貿易や外資企業が関連して
いた。
 なお、注意するに値することとして、中国企業の海外進出戦略の推進と海外M&A、
域外投資経営の歩みがさらに進んでいくに従って、中国企業の域外商業贈収賄犯
罪は増大の動きがあらわれている。今日まで、中国企業が域外で商業贈収賄犯罪
を行うことはもはや潜在的な脅威ではなく、中国企業の域外における全体イメー
ジに対して比較的大きな影響と危害を与えている。

 このように、商業贈収賄は中国社会に存在する特有の現象ではなく、国際社会
全体の腐敗犯罪の一種の固定的な形式であり、汚職を防止しクリーンにするとい
った国際的な協力が既に一種のグローバルな趨勢となっている。
 このことについて、社会科学院は、中国は商業贈収賄犯罪の管理において国際
交流と協力を強化し、積極的に展開し、協力協議の締結を通じて、連絡、定期協
議及び情報交換といったメカニズムの構築、情報交流、意思疎通を直ちに進め、
双方間で犯罪の手がかりや証拠等の提供、引き渡しをするべきで、具体的な協力
の方法はさらに柔軟にできると提案している。
 データによると、目下中国では80カ国・地域の腐敗防止機関と友好関係を構築
しており、ポーランド、ロシア等との協力協議を締結し、二国間の連携を制度の
中に組み入れようとしている。
〔中央電視台2012年11月28日〕

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……【環境】…………………………………………………………………………
●小中学校での運動がさらに「レジ袋制限令」を推し進める
 国家発展改革委員会資源節約環境保護司の李静副司長が7日、発展改革委は関
連部門と共同で全国の小中学校にて「レジ袋制限令」宣伝活動を行い、「小さな
手が大きな手をひく」ことにより、レジ袋等の使い捨て製品の節約、環境保護理
念を各家庭に浸透させると語った。

 発展改革委と北京市中古友誼小学校が行った「小さな手が大きな手をひき、レ
ジ袋制限令をともに進める」をスローガンとする「レジ袋制限令」宣伝活動は、
小学生が保護者とクラスメートに対し、生活の中での超薄ビニール袋不使用、レ
ジ袋はなるべく使わない、または繰り返し使う、できるだけエコバッグを使うこ
とを呼びかけ、先導したものである。

 また、本活動は「レジ袋制限令」を学校、家庭に浸透させる重要な試みであり、
よい結果が得られた。
 今年の夏休み期間中、1000名余りの中古友誼小学校の学生が「レジ袋制限小衛
兵」活動に参加し、家庭、コニュニティー、公共の場において「白色汚染(白い
レジ袋ゴミによる汚染)」の害悪とレジ袋制限の意義を宣伝し、スーパーマーケ
ット、自由市場でのレジ袋の市場状況を調査し、自分の経験とあわせて作文、レ
ポート、研究論文等の形式で「レジ袋制限令」への理解と提案を行った。

 「レジ袋制限令」とは、国務院弁公庁が2007年に発布した「ビニールレジ袋の
生産、販売、使用を制限することに関する通知」を指す。「通知」の規定による
と、2008年6月1日より全国で、厚さ0.025mmの超薄ビニールレジ袋の生産、販売、
使用を禁止し、同時に、スーパーマーケット、デパート、自由市場等の小売店に
おいて有料ビニールレジ袋使用制度を実行した。

 この4年、政府の呼びかけに応える消費者はふえ続け、布袋、買い物かご、使
い捨てではないレジ袋を使用し、使い捨てビニール袋の使用が減少している。
 改革発展委のデータによると、目下、スーパーマーケット、デパートのビニー
ルレジ袋の使用量は全体的に3分の2以上減っている。ビニールレジ袋の年間使用
量の減少は240億個以上となり、累計ビニール消費量は80万トン減少した。これ
は石油480万トン(大慶油田の年間産出量の約8分の1)の節約に相当する。
〔新華網2012年11月07日〕

……【金融】………………………………………………………………………………
●ホットマネーの流れに香港両替店の人民元送金の存在
 11月27日、香港ドル為替レートは1米ドル=7.7488香港ドルと再度強気に転じ、
10月19日以降、香港ドルの交換保証レートの下限である7.75ドルにたびたび到達、
突破した。
 9月13日、米連邦準備制度理事会(FRB)がQE3(量的緩和第3弾)を正式に打ち
出して以降、11月27日現在、香港金融管理局は合わせて42億米ドルのドル買いを
行い、これに伴って香港金融システム全体の外貨準備高は325億香港ドルから約
1809億香港ドルにまで増加した。ホットマネーが香港へ流入していることは既に
明らかである。

 しかし、ホットマネーは、短期的には香港を通じた中国への流入がとまるのか
どうか?
  人民元高が絶えず加速し、米ドルから人民元へ換金する際の仲値(ミドルレ
ート)は、9月11日の1米ドル=6.3391人民元から、11月27日には0.8%上昇し1米
ドル=6.2852人民元となった。理論的に言えば、この動きはマネーが人民元を追
って中国国内に入っていることを示している。一方で、今年以降、中国の外貨準
備増加に伴う自国通貨の放出額の伸び幅が減少を続けていることは、外資が続々
と中国から撤退していることを示している。この矛盾するデータの背後に隠れた
真実とは何であろうか?
 このため、東方早報の記者は11月初旬及び下旬に、2度にわたって香港で現地
調査を行った。

〈焦点1. 香港での人民元需要増大〉
 香港尖沙咀碧仙桃道新達両替店の店主によれば、人民元を香港ドルに両替する
場合、金額が10万人民元以上で両替レートが3%優遇されるが、香港ドルを人民元
に両替する場合、両替額がこれよりさらに高くても両替レートの優遇は0.5%に満
たない。つまり、香港ドルに両替する際の優遇は人民元の6倍である。
 「人民元の在庫はそれほど多くない。もしここで50万人民元を両替されたら、
在庫切れだ」と店主は語った。
 香港市場において人民元が香港ドルに比べ売り惜しまれるのは、マネーが香港
ドルを売って人民元を求め始めているという重要な兆しなのである。香港市場の
多くの両替店店主によれば、ここ2カ月で人民元需要は明らかに高まっており、
この間約20%ほど増加しているという。

 2011年、人民元は対米ドルレートで5%近く高くなったが、人民元取引は関連の
監督管理規則において制限されており、香港の金融システムにおける人民元預金
の使用範囲は相当に限られていたため、香港の銀行は人民元預金に高い利率をつ
けることを望まなかった。
 しかし、今年初めより急激な人民元高プロセスが消え、人民元の使用範囲が明
らかに拡大したことから、銀行も競って人民元預金を始め、市場の人民元需要も
急速に高まった。
 香港の銀行では、各大手銀行とも人民元預金を募る看板を掲げ、2カ月の人民
元預金の年間利率を最大3%前後としており、まさに中国国内の同期間の人民元金
融商品に追いつきつつある。例えば、中国銀行が販売している2カ月を期限とす
る金融商品である中銀穏富123―69期の収益率は3.9%である。一方、香港の銀行
における香港ドル預金の年間利率はわずか0.2%である。

 香港金融市場については、現在販売されているETFファンド及びRQIFFファンド
商品の種類及び販売量はいずれも2012年以降既に30%増加している。これら2つの
金融商品は外国人が中国株式市場に投資する公式ルートである。目下、中国国家
外貨管理局の批准した適格海外機関投資家は192社で、このほどRQIFFの限度額に
新たに2000億人民元が追加された。

〈焦点2. 香港の合法両替店の中国送金〉
 人民元需要増大で、香港の街角に大量の人民元両替と為替送金業務を主とする
資金仲介が出現した。これらの資金仲介は合法的に登記され、業務範囲は為替両
替である。多くの店舗では人民元と各種外貨の国外送金も派生して行っている。
 中国内地には厳格な人民元の持ち出し、持ち込みの規制があることにより、こ
の種の業務は各種監督管理を避けるようになって「闇金融」と呼ばれている。
「闇金融」は非合法であるのに、どうして香港の至るところにあるのだろうか。
 実は、香港の両替店が手がけるマネーは中国内地から持ち出したり持ち込んだ
りする必要はなく、顧客の両替や送金のニーズを満たすことができるのだ。この
意味で言えば、両替店は決して「闇金融」という非合法経営の取引ではなく、両
替店の仲介によって、投資家が中国域内で外貨を買うのを支援しているのである。

 香港の上環徳輔道の興業両替送金有限公司のスタッフによると、いわゆる送金
とは、マネーを香港や中国内地金融市場から直接行うのではない。中国内地銀行
の口座間の1回当たりの振り込み金額の上限は高いので、それを使うのである。
例えば招商銀行では1回に500万元、農業銀行の上限は300万元、その他の銀行の
上限水準は100万―200万元の間である。

 なお、深センに類似の機能を持つ両替店は合法的な身分を得られない。このこ
とから、過去数年、深センで雑貨店や果物屋等街角の小さい店が隠れてやってい
た両替店が急速に減少している。深センでは、顧客の国外送金を支援する両替店
を探すのが非常に難しい。

〈焦点3. スピーディーで上限なしの送金〉
 香港の至るところで見られる両替店は、顧客がマネーを中国内地に持ち込んだ
り持ち出したりすることをスピーディーに支援できる。1000万元のマネーのやり
とりはわずか30分から1時間で口座に反映されるが、これは業界の規約となって
いる。

 両替店が香港で繁盛するには、原因がある。
 まず、両替店の外貨両替には上限規制がない。しかし、非居住者が香港の銀行
で1日に人民元に両替できる上限は2万香港ドルである。シティバンクのように、
2万香港ドルでさえ両替を望まないところもある。たとえ香港の居住者だとして
も、1日に人民元を両替できる金額は5万香港ドルが上限である。さらにその上に、
両替店の送金手数料は無料である。
 両替店の外貨両替及び送金のコストは銀行に近づいてきているが、同一顧客が
銀行を通じた送金を行う場合、1日に最も多くて中国内地の口座から8万元しかで
きない上に、銀行は顧客に20万香港ドル以上の預金と、マネーの出どころの証明
を求める。実際には、香港に銀行は通常、顧客に両替店で両替することを提案し
ている。
 注意すべきこととしては、顧客と両替店とが両替取引をするとき、顧客はまず
マネーを両替店の口座に送り、両替店は両替したマネーを顧客の指定する口座に
送るということだ。ここには、両替店が契約を履行しないかもしれないというリ
スクがある。

〈両替屋のマネー送金ルート〉
▽マネー持ち込み
 甲は香港の銀行口座で乙の香港銀行口座に振り込んだ後、乙は中国内地銀行口
座で同等の金額を甲の内地銀行の口座に送る。

▽マネー持ち出し
 甲は中国内地の銀行口座で乙の中国内地銀行口座に振り込んだ後、乙は香港の
銀行口座で同等の金額を甲の香港銀行口座に送る。
〔東方早報2012年11月28日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                          (中国人民銀行12月10日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     7.6074  629.22    81.19   812.1
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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《編集者コラム――中国ニュース》
 ここしばらくでしょうか、ヤフーニュースで中国ニュースを見ていたら「毎日
中国経済」発のニュースが多くなっていました。ただ、当該サイトを見に行った
ら「新華社経済株式会社」とあり、何で「新華」を使わないのだろうと思ってい
ました。そして、今月また見たら、「毎日中国経済」が今度は「XINHUA」に名称
が変わっていました。「XINHUA」は「新華」のことですよね。どうしてそこまで
「新華」を使わないのかなとやっぱり思いました。報道が全部新華社発じゃない
からでしょうか。
 こういうニュース発信会社が加わっていくことは個人的には大変歓迎で、日本
人がピックアップした中国ニュースや中国が発信した中国ニュースが入りまじり、
ヤフーのニュースではようやく読みたい中国ニュースを選択できる初歩的な時期
が来た、やっと次なる中国ニュースの希望が言える段階に来ているなと思ってい
ます。
 中国ニュースで読みたいニュースとは何かというのは難しいので、その一端を
このメールマガジンづくりで何とかやってみようと思っているのですが、いつも
いまいちで済みません。でも、どのような意図で取り上げられるにせよ、センセ
ーショナルなものではない淡泊でありがちなものが見たい気がしています。
 また来週も発行し、今年は終わりたいと思います。日程が不規則になってしま
って済みません。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻 訳:竹内はる菜 荒木千春 澤田裕子 奥谷道弘 楊桃
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