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電子マガジン・中国最新情報
中国国内各紙の報道をもとに編集部が独自のセンスで選んだ、中国経済全般、政策動 向、産業一般、社会などホットな中国情報満載。日本の報道では物足りない、今の中 国を日本語で読みたい方は必見!
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電子マガジン《中国最新情報》  No.651 2016年5月24日
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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◎「ビジネス企業研修@中国」http://www.bizchina.jp/
★今週の読者数合計:5,043名(2016年5月24日現在)

━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:高騰する中国不動産市場の階層別対応】
●北京の家賃負担は世界一
●中国商業不動産総規模は8000億米ドルを超えアメリカに迫る
●不動産市場をめぐる動き 貧乏人は買いたいが、金持ちは……

┏【国内経済】
●騰訊 都市若年指数報告 深センが最も若い都市に
●ネット小売は沿海地域で7割 商業貿易の都とネット通販の都

┏【社会】
●新世代精神消費 新たな投資トレンドを生む

┏【国内政策】
●2015年全国農民工監測調査報告(中)

┏【経済データ】
●外国為替(5月23日)

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……【特集:高騰する中国不動産市場の階層別対応】………………………………
●北京の家賃負担は世界一
 イギリスの非営利組織グローバル都市企業連合が全世界15都市に対して行った調
査で、北京の家賃負担は世界一となり、その平均家賃は平均給与の1.2倍以上に上
った。この報告では、北京の家賃の包括的な増長を憂慮している。
 一方、別の調査では、北京は既にニューヨークを超え、世界的な億万長者の都市
となっている。

 2016年3月現在、北京の今年の家賃は既に18%アップしている。不動産価格の高騰
に加え、非北京戸籍が部屋を買う場合、北京での5年連続の納税が必要となるため、
部屋の賃貸は北京で暮らす多くの若者及び外地からの労働者の唯一の選択肢となっ
ている。

 中金公司(CICC)シニアエコノミストの梁紅氏によると、「都市計画の角度から
見て、北京は中国で最も効率性のない都市である。その問題は土地の供給にあらわ
れており、ゴールデン地帯の大部分の土地は中央政府機構、例えば部隊及び国有企
業により占められてしまっている」

 この調査によると、北京の家賃は第2位のアブダビの約2倍となっている。

 高い家賃と都市発展の不均衡は、そこで働く労働者たちの通勤時間を延長させて
いる。看護師、小学校教師、バス運転手の家賃は彼らの収入の1.1倍から1.5倍とな
っている。
 北京の通勤時間の長さは全世界第2位で、平均往復時間は104分である。第1位は
メキシコで、その平均時間は113分である。

 グローバル都市企業連合のライスリー・サビレCEOは「富のある労働者は常に大
都市に住むことができるが、危険なのは、多くの業界において、仕事についたばか
りの優秀な労働者が家賃が高過ぎて払えないことに気づくことだ」としている。

 農村人口が都市に移動し、特に北京北部の近隣の省が石炭・鉄鋼等の伝統的産業
を失ったことは北京の賃貸市場に大きなストレスをもたらした。過去20年で北京都
市区の人口は2倍となった。
 4月20日に公布された2015年人口調査統計データでは、中国の流動人口は2010年
調査時から12%増加となった。

 当該報告は、高い家賃は消費能力を制限し、経済に損害をもたらしており、家賃
がさらに10%上がった場合、消費は35億米ドル減少する可能性があると見ている。
〔和訊網2016年4月22日〕

●中国商業不動産総規模は8000億米ドルを超えアメリカに迫る
 国内資本に後押しされ、中国商業不動産に投資の新たなピークがあらわれている。
 JLL(ジョーンズ・ラング・ラサール)は、20日に北京で発表した最新の研究報
告「中国資本は力をためチャンスを待つ 投資が切り開く全く新しい時代」で、20
15年中国商業不動産投資は記録を更新し、取引の完了した資産総額は約1500億元に
なった。
 この報告では、2015年末までの中国商業不動産総規模は全世界第2位、8060億米
ドルとなり、アメリカに迫ると予測している。

 JLL北京・華北投資部の秦子凡総監は「中国商業不動産取引量の増加、規模の拡
大の背後には国内資本の大きな後押しがある」と指摘する。中国国内資本は昨年の
中国商業不動産投資の主要シェアを占め、「4分の3に達している」という。

 中国資本が国内商業不動産投資に占める割合は外資を大きく上回り、その柱は、
プライベートエクイティーファンド、民間企業、国有企業、保険会社等多くの日々
成熟しつつある中国投資者層に支えられている。中国投資は過去8年において強力
に拡張し、年間複合成長率は15.4%に達している。

 報告の総括では、中国投資には次の5大傾向があらわれているとしている。
1) 国有企業が投資市場における重要な売り手となる
2) 中国保険会社が国内外投資市場の最大の買い手の一つとなる可能性がある
3) 中国プライベートエクイティーファンドはその投資ルートを拡大する
4) 資産証券化は次の投資ピークをもたらす一助となる
5) 金融イノベーションは主流投資ルートを補完する
 この5大傾向は、中国投資者の商業不動産で行う投資活動が新たな高度に達する
ことを継続的に支援するものである。

 しかし、報告データによると、中国平安保険を除く、中国人寿、中国太平洋保険、
泰康人寿等が管理する資産規模に占める中国の上記保険会社の不動産投資配分比率
は0.5―1%にとどまっている。これに対し、ヨーロッパ・アメリカの大手保険会社
の不動産投資配分比率は4―8%に達している。
 秦子凡総監は、先進国と比べ、中国保険会社の不動産分野への投資は依然として
低く、将来的に大きな資金空間があるとしている。

 また、報告では、今後の商業不動産投資方面において、投資に習熟していく中国
投資者は国内外の投資チャンスをとらえることが次第にうまくなる一方、国外投資
者も間違いなく中国への投資を引き続き強めていくと予測する。
 JLLの中国投資部Anthony Couse総監は「ただし、中国投資家が依然として総投資
量の主な部分を占めているため、中国資本は疑いもなく最も重要な推進力となる」
と語る。〔中国新聞網2016年4月21日〕

●不動産市場をめぐる動き 貧乏人は買いたいが、金持ちは……
 2016年に入って以来、一線、二線都市の不動産市場は引き続き数量、時間などを
限定した特売などで急騰している。統計によると、3月24日、上海では1日のうちに
1700軒以上の新築住宅が成約し、南京の3月26日の新築住宅の購入承諾数は1325軒
にまでなった。
 他方、三線、四線都市の在庫調整もずっと人々の関心の的で、瀋陽では現在、大
学生家庭を単位として、父母が積立金を住宅頭金補助として活用できるよう検討し
ている。「頭金ゼロ」の住宅が実現すれば、国の住宅積立金は農民工に希望を与え、
住宅購入需求を拡大することになる。

 しかし、見るからに激烈な国内不動産市場は、数千、数百万元の純資産を握る人
を引きつけていない。データによると、彼らは徐々に国内不動産市場での投資を取
りやめ、海外投資の比重をふやすことで人民元投資のリスク分散を考え始めている。

 「中国大衆富裕層財産白書」は2013年から毎年発表され、投資可能資産60―600
万元の大衆富裕層に対する分析を行っている。
 不動産は大衆富裕層に最も人気のある投資製品の一つだが、2015年の統計ではわ
ずか41.3%が支持するのみで、30%超は将来不動産資産の一部を取りやめる計画があ
ると表明している。
 諾亜財富が年初めに発表した「2016年高級財産白書」によると、持ち株の比率を
減らすことを計画している、投資可能資産1000万元以上の富裕層は45%に増加した。
2015年から上昇が続き、今年の狂乱的な不動産市場は、中流、上流収入の富裕層に
は歓迎されていない。

 海外不動産投資は昨年からブームとなっている。2015年中国の海外不動産投資は
300億元に達し、2014年の2倍であるが、この数値は今年さらに更新されるだろう。
 諾亜財富の統計によると、80%の富裕層は今年、みずからの海外投資をふやすと
表明している。みずからの資産を合理的に配置することで、存在し得るリスクを回
避する策としている。
 海外不動産は富裕層の重要な選択肢の一つで、そのうち37%は海外不動産を購入
することで一族の財産を自分の次の世代に受け継ごうとしている。

 しかし、中国の一般の消費者からいえば、海外投資の敷居はとても高く、一般人
が投資金額を負担できるとは限らず、不動産市場の狂乱的な「神話」に巻き込まれ
てジレンマに陥るのみだ。

▽大衆富裕層の不動産投資割合
 2013年 53.90%
 2014年 54.90%
 2015年 41.30%

▽中高所得者層の今後の不動産投資計画投資
  可処分所得 減少 増加
 1000万以上 14.60% 45.00%
 300―600万 10.80% 31.20%
 60―300万 12.50% 30.20%

▽高所得者層の海外投資増加計画の目的
 リスク分散 76.00%
 家族への承継 21.30%
 合理的な税回避 17.10%
 移民 15.60%
 老後準備 14.40%
 資産の機密強化 10.50%
 海外投資をしない 8.80%
 その他 5.50%

▽中国の海外不動産投資額
 2009年 0.6億米ドル  2013年 12.8億米ドル
 2010年 1.5億米ドル  2014年 15億米ドル
 2011年 3.2億米ドル  2015年 30億米ドル
 2012年 4.8億米ドル
〔網易2016年3月29日〕

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……【国内経済】…………………………………………………………………………
●騰訊 都市若年指数報告 深センが最も若い都市に
 5月4日の青年節、騰訊QQビッグデータが「全国都市若年指数報告」を発表した。
QQの若者の移動の流れをまとめたビッグデータを通じて、青年の力がいかに都市を
変え、中国に影響を与えているかを見定めることを目的としている。
 それによると、北京、上海、広州、深セン等一線都市は若年指数ランキングでは
中の上で、そのうち深センが最も若い都市だった。温州市が二線都市の代表として
ますます若者の人気を集めている。

 今回のQQビッグデータ調査範囲は、QQプラットホームのデータを基礎として、中
国の300都市近くの16―35歳のQQの若年ユーザー層を網羅した。都市の若年層の占
める割合とその都市間の流動比率等多くのデータを通じて、加重計算して都市の若
年指数を総合的に分析した。

 報告では、2016年全国の一線都市から五線都市の若年指数は徐々に下落傾向にあ
ると指摘する。そのうち、一線都市の平均若年指数は79でトップにあり、二線、三
線都市はそれぞれ74、69だった。

 全国若年指数ランキング上位20都市のうち、北京、上海、広州、深センが上位で、
そのうち深センの若年指数は89で、他の都市よりはるかに高かった。同時に、若年
人口増加率が22.53%で、一線都市の中でずば抜けている。つまり、深センは深セン
に憧れる大量の若者を引きつけており、最も若い都市となったのである。
 北京、上海の都市若年指数は78で、相対的に普通である。天津の若年人口の新規
増加率と若年指数も目を引くものがある。簡単に言えば、一線都市として生活上の
ストレスは大きいが、多くの若者が押し寄せている。

 二線都市のランキングの上位5都市は、温州、蘇州、東莞、鄭州、武漢で、これ
ら5都市の若年指数は北京、上海、広州、天津を上回る。このように見ると、若者
の多くは大都市にこだわらなくなり、ますます二線都市に移動する状態になってい
る。〔新華網2016年5月3日〕

●ネット小売は沿海地域で7割 商業貿易の都とネット通販の都
 ここ数年、電子商取引の急成長に伴い、軽工業が発展した沿海地域の製造業で繁
栄する省はネット小売の大口消費者となった。
 国家統計局のデータによると、中国の2015年の社会消費品小売総額は30兆元を超
え、世界第2位となり、消費の経済に対する貢献率は60%に達した。2015年ネット小
売額は既に3.88兆元に達し、前期比33.3%増となり、ネット小売額は世界一を維持
した。

 中国国際電子商務センターと中華全国商業情報センターの専門家が発表した2015
年中国区域ネット小売発展総合指数及び年次報告によると、広東、浙江、北京、上
海、江蘇、福建、山東、湖北、河南、四川の省級行政区が2015年度ネット小売総合
発展指数上位10省だった。

 地域の発展を見ると、中国のネット小売発展は不均衡で、沿海地域の発展が比較
的早く、70%を占めた。
 華北地域は北京、華南地域は広東、華東地域は相対的に差がないが、上海、浙江、
江蘇が取引額が高い上位5省だった。
 広東の8567.2億元の小売売上高は引き続きトップにあり、浙江の7267億元が2位
で続いた。北京、上海、浙江、福建を含む6省は小売売上高が1000億元を超えた。

 昨年の各省の宅配業の発達状況も、上記の省のネット小売の発展状況を裏づけて
いる。国家郵政局のデータによると、2015年、全国宅配サービス企業の業務量は累
計で206.7億件で前期比48%増だった。上位6省は広東、浙江、江蘇、上海、北京、
福建で、この6省の宅配業務量の合計は全国の7割以上を占め、ネット小売額とほぼ
符合していた。そのうち、広東は50億件を超え、全国の4分の1前後を占めた。

 全国の比率で見ると、沿海地域の発達した省と内陸の省のネット小売の格差は、
GDPの差をはるかに上回る。例えば、昨年、広東のGDPは四川の2.4倍だったが、ネ
ット小売額では広東は四川の19倍である。

 中山大学嶺南学院財政税務学部主任の林江教授は、産業構造の特徴が各地ネット
通販の発展の違いの一つの重要な原因であるとしている。
 広東、浙江等の省は中国の軽工業が最も発展した省であり、軽工業の製品、例え
ば食品、日用品、衣服等はネットで最も容易に販売でき、そのため、これらの地域
での宅配業務が最も多いし、ネット小売額も最も高くなっている。

 前述の報告で発表された中国ネット小売総合指数の上位100都市のうち上位10都
市は、杭州、広州、深セン、仏山、南京、金華、蘇州、泉州、温州、武漢だった。
 目下、ネット小売が高い都市には主に3つの異なるモデルがある。それは、現地
の大きなプラットホームに依存する杭州、南京モデル、「ネット+製造」を強力に
推進する深セン、仏山モデル、恵まれた地理的優位性を背景に「ネット+貿易」の
能力を十分に展開する広州モデルで、今後は、「ネット+サービス」が各都市ネッ
ト小売発展の注目点となるだろう。

 中でも、広州と杭州の2都市は大変注目すべきである。
 千年の商都として、広州には全国で最も発達した専門卸売市場と中国の対外貿易
の風向計である広州中国輸出商品交易会がある。伝統的な貿易時代において、広州
は全国の貿易の中心だった。

 一方、電子商取引の時代において、杭州はアリババを中心に、中国のネット通販
の都となった。
 杭州統計局のデータによると、第1四半期の杭州の電子商取引産業は47.5%増。モ
バイルインターネット、デジタルコンテンツ、クラウドコンピューティング・ビッ
グデータ産業はそれぞれ39.7%、37.1%、36.3%増、ソフトウエア・情報サービス、
情報セキュリティー、インターネット金融産業はそれぞれ28%、20.9%、16.4%増だ
った。

 目下、杭州には全国の3分の1を上回る電子商取引のウェブサイトが集まり、同時
に、電子決済、クラウドコンピューティング、宅配、インターネット通販、ICT、
プロバイダー等の分野では多くの専門の電子商取引業者が出現している。情報経済
が先導し、杭州という1.5線都市は一線都市へと踏み出そうとしている。一線都市
の競争力の代表的な指標分野の多くで、杭州は広州を既に上回っているものさえある。

 伝統的な商都である広州も構造転換と高度化を加速し、目下広州の電子商取引、
特にクロスボーダー電子商取引の発展が目覚ましく、現代的な商業の都へと変わり
つつある。昨年上半期から、広州の宅配小包数量は全国都市のトップとなった。
 現在、広州は琶洲でインターネット本部モデル区をつくり、インターネットイノ
ベーション集中発展区となっている。10年以内に琶洲には10万人近いハイテク産業
人材が集まり、1000億元レベルのインターネット網、イノベーション産業クラスタ
ーが立ち上がることが予想される。〔第一財経日報2016年5月10日〕

……【社会】………………………………………………………………………
●新世代精神消費 新たな投資トレンドを生む
 「二次元(アニメ、キャラクター)、ゲーム(eスポーツ)、アイドル養成講座、
芸能人事務所……」異色の投資フォーラムが投資家、アナリストらの関心を集めた。
 申万宏源証券が上海で開催した新世代精神消費フォーラムでは、現代の若者の変
化、世代の変化による投資機会、ビジネスチャンスが重要なテーマとなった。
 フォーラムに参加したゲストは「投資トレンドの見きわめには、世代ごとの消費
のあり方、変化に対する理解が不可欠であり、中国におけるネットエンターテイン
メント、VR(バーチャルリアリティー)エンターテインメントの伸びしろは大き
い」と語った。

〈アニメ派生商品は産業チェーンのドル箱〉
 新世代の精神消費とは、狭義においては1990年以降に出生した若者世代(90後、
00後)のネットエンターテインメント全般を指し、広義においてはバーチャルコン
テンツにおける当該世代の心理的欲求を満たす全ての活動を指す。
 内容としては、バーチャルリアリティー、ライブ中継、ゲーム、ネット動画、二
次元に加え、ネット小説、ソーシャルネットワークも含まれる。これはバーチャル
メディアに基づく開かれた概念であり、今後も多様化が予想される。

 申万宏源証券の中小型株馬暁天グループによれば、1980―1990年の出生数が約2.2
億人であるのに対し、新世代1990―2010年の出生数は3.3億人。90後、00後の大多
数は二次元の影響下にある。
 中国ネットサーチ最大手アイリサーチの研究データによれば、2015年中国におけ
る二次元のメーンユーザーは5939万人に達し、ユーザーの全体規模は新世代(90後、
00後)の62.9%を含む約2.19億人。2016年、その規模は2.7億人に達する見込みである。

 新世代は物質的に恵まれた環境で育ったことから消費力も高く、ネット遺伝子を
生まれながらに持っており、巨大な市場を形成している。
 文化部の統計によると、2014年中国のアニメ産業の生産額は1000億元を突破し、
CAGR(年平均成長率)も20%を超えた。このうち、アニメ派生製品の比率は全体の
38%。日本の国産アニメーションのGDPに占める割合0.31%という数字を適用すれば、
中国のアニメ産業の市場規模は約2000億元と、いまだ1000億元の伸びしろがある計
算となる。

 申万宏源証券によれば、目下IP(知的財産)開発が最も重要な課題である。IP開
発のプロセスは、絵や文字をもとにアニメや映画に仕立てることであり、IPの最終
段階は、主にゲーム制作、附帯・派生商品等である。アニメの派生商品は広告、ゲ
ーム、玩具、家庭用品、ファッション等多くの分野に及び、実際の人物以上に国境
や文化を超えた影響力を持っている。
 ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニーの2015年の営業報告によれば、総収入は
500億ドル、このうち300億ドルはテレビや映画によるものであり(映画上映はこの
うちわずか73億ドル)、残る200億ドルはディズニーランド等アミューズメントパ
ーク、ディズニークルーズ、キャラクターグッズ、ゲーム等附帯商品によるものだ
った。

 このフォーラムのゲストで糖果(Candygram)創業者の賀華成氏は、二次元の浸
透は中国経済の変化によるものであると指摘。美的感覚と技術の進歩が二次元の後
押しをしたと語った。
 閲文集団(China Reading Limited)著作権開拓シニアディレクターの王芸氏は
「IP時代において動画商品にはさまざまな分野の協力が必要。ネット小説はスマホ
購読から、テレビドラマやアニメ化され、映像がシリーズ化され、プラットフォー
ムの莫大なデータをもとに協力者同士が連携して一つのIPをつくり上げ、これがシ
ナジー効果を生み、ファンビジネスの活性化を促す」と語った。

 申万宏源証券は、IPが脚光を浴びる中でも、冷静さを失ってはならないとしている。
 2015年はIP元年であり、知名度の高いIPは多くの企業に採用され、このうち多く
の人気IP作品が2016年の市場に出される予定である。
 IPも人気が出れば価格は高騰し、高過ぎて売りにくくなるため、稼げるものはト
ップのものしかない。知名度の高いIPや著名人は必ずしも収益を保証するものでは
なく、編集作品においてもともとのIP以上の価値を発揮できるものは少ない。
 この2年「大誕帰来(西遊記 ヒーロー・イズ・バック)」の成功は中国アニメ業
界に自信を与えた。奥飛動漫に代表される一連の企業は資産の証券化を実現し、プ
ライマリーマーケットの二次元に対する注目度も高まっていることから、中国のア
ニメ業界はターニングポイントを迎えている。

〈アイドル経済分野 市場集中度は高くない〉
 現在、インターネットのエンターテインメントが大きく発展し、若手芸能人がヒ
ット、台頭し、芸能人のプロダクションは大ヒット、トップを目指して励んでいる。

 申万宏源証券の中小型株孟勇グループによれば、芸能人がヒットする背景に、
「スターの追っかけ」「有名になりたい」という需要があるという。物質生活の豊
かさ、自己意欲が高まり、社会文化の発展に伴い、エンターテインメントは90後、
00後にとって生活の重要な位置を占めるようになった。
 映画興行額の増加(2015年興行収入は440億元で49%増)、スターの出演料やイメ
ージキャラクターの契約水準も上昇していることは、ファンビジネスにはロングテ
ール効果があることを示している。スターによるタイアップの成長作用は軽視でき
ず、アイドルの生命力で長い間継続できる一方、スターが使っているもの、宣伝し
ている商品は広く人気を集めている。

 米国、日本、韓国の芸能人経済モデルと比べ、申万宏源によると、中国の芸能人
事務所サービス市場は、全体として市場集中度が比較的低い特徴があり、小規模な
芸能事務所や個人経営者が多い。いまだ初期段階にあり、幾つかのハードルが存在
している。例えば、専門性がない、芸能事務所が有名な芸能人をコントロールでき
ない、中国の芸能人のレベルが低い、内部養成が乏しい等である。しかも、映画作
品制作で大量の新人を出演させ、余計な経費を投入して制作することになってしま
っている。
 日韓に倣い、中国国内の芸能人養成は「芸能人IPパッケージモデル」から「アイ
ドルIP養成モデル」にだんだん変わりつつある。将来の芸能事務所がやらなければ
いけないことは、ファンからの収益で芸能人を育て、芸能人に事務所といい関係を
保てば新しい利益が持てるという環境をつくって、事務所の価値を定着させること
である。
 中国の芸能人プロダクション構造はまだできておらず、さらに多くの投資チャン
スが存在する。
〔中国証券報2016年5月13日〕

……【国内政策】…………………………………………………………………
●2015年全国農民工監測調査報告(中)
(前号より続く)
四、農民工の就業
(一)第三次産業における農民工就業割合が上昇
 農民工の第二次産業従事割合は55.1%[56.6%]で、前年比1.5%減[0.2%減]だった。
そのうち、製造業は31.1%で、0.2%減だった。建設業は21.2%で、1.2%減だった。農
民工の第三次産業従事割合は44.5%[42.9%]で、前年比1.6%増[0.3%増]だった。その
うち、卸売小売業は11.9%[11.4%]で、0.5%増[0.1%増]だった。住民サービス、修理、
その他サービス業は10.6%で、0.4%増だった。

表6 農民工就業産業分布(単位:%、ポイント)
 2014年 2015年 増減
第一次産業 0.5 0.4 -0.1
第二次産業 56.6 55.1 -1.5
内訳:製造業 31.3 31.1 -0.2
   建設業 22.3 21.1 -1.2
第三次産業 42.9 44.5 1.6
内訳:卸売小売業 11.4 11.9 0.5
   交通運輸・倉庫及び郵便業 6.5 6.4 -0.1
   ホテル飲食業 6.0 5.8 -0.2
   住民サービス、修理、その他サービス業 10.2 10.6 0.4

(二)中西部地域の第三次産業に従事する農民工の割合が急増
 中部、西部地域で第三次産業に従事する農民工の割合は増加し、それぞれ前年比
1.9%増、3.1%増だった。主に、卸売小売業や、住民サービス、修理、その他サービ
ス業が増加している。そのうち、中部地域では、卸売小売業は13.9%、住民サービ
ス、修理、その他サービス業は11.5%で、それぞれ前年比0.7%増、0.6%増だった。
西部地域では、卸売小売業は14.8%で、住民サービス、修理、その他サービス業は
12.9%で、それぞれ前年比1.7%増、1.1%増だった。

表7 地域別農民工産業分布(単位:%)
 東部地域 中部地域 西部地域
 2014年 2015年 2014年 2015年 2014年 2015年
第一次産業 0.4 0.4 0.4 0.3 0.8 0.7
第二次産業 61.2 60.2 52.5 50.7 47.1 44.1
第三次産業 38.4 39.4 47.1 49.0 52.1 55.2

(三)地元農民工では製造業従事割合が増加、建設業従事割合の減少鮮明に
 地元農民工の第二次産業従事割合は49.9%で、前年比1.2%減だった。そのうち、
製造業は27.7%で0.2%増だった。建設業は19.4%で、1.3%減だった。外出農民工の第
二次産業従事割合は60.2%で、前年比1.6%減だった。そのうち、製造業は34.4%で、
0.6%増だった。建設業は22.8%で、1.9%減だった。

(四)雇用されている農民工の割合が上昇
 雇用されている農民工は83.4%[83%]、自営する農民工は16.6%[17%]で、雇用され
ている農民工の割合は前年比0.4%増だった。地元農民工のうち雇用されている割合
は72.8%で、前年比1.2%増だった。外出農民工のうち雇用されている割合は94.1%で、
0.2%増だった。

五、農民工の収入
(一)農民工の月収は減速しているところも
 農民工1人当たりの月収入は3072元[2864元]で、前年比208元増[255元増]、7.2%
増[9.8%増]で、伸び率は前年比2.6%減だった。そのうち、製造業、建設業、ホテル
飲食業、住民サービス、修理、その他サービス業に従事する農民工の1人当たりの
月収入の伸び率は前年比6.7%減、4.4%減、2.2%減、4.1%減だった。

表8 産業別農民工1人当たり月収入及び伸び率(単位:元、%)
 2014年 2015年 伸び率
合計 2864 3072 7.2
製造業 2832 2970 4.9
建設業 3292 3508 6.6
卸売小売業 2554 2716 6.4
交通運輸・倉庫及び郵便業 3301 3553 7.7
ホテル飲食業 2566 2723 6.2
住民サービス、修理、その他サービス業 2532 2686 6.1

(二)東部地域の農民工の収入は速い伸びを維持
 地域別に見ると、東部地域で働く農民工の平均月収は3213元[2966元]で、前年比
247元増[273元増]、8.3%増[10.2%増]、中部地域は2918元[2761元]で、前年比157元
増[227元増]、5.7%増[9%増]、西部地域は2964元[2797元]で、前年比167元増[246元
増]、6%増[9.6%増]だった。東部地域で働く農民工の平均月収の増加の伸びはそれ
ぞれ中部、西部地域より2.6%増[1.2%増]、2.4%増[0.6%増]だった。

(三)外出農民工の収入の伸びは地元農民工を上回る
 外出農民工の平均月収は3359元で、前年比251元増、8.1%増だった。地元農民工
の月収は2781元で、前年比175元増、6.7%増だった。外出農民工の月収は地元農民
工より578元高く、伸び率は地元農民工より1.4%高かった。
(次号に続く)
(編集部注:[ ]は、昨年《中国最新情報》で掲載した数値。No.629(2015年6
月9日)、No.630(2015年6月23日))
〔国家統計局2016年4月28日〕

……【経済データ】………………………………………………………………………
●中国の外国為替レート(仲値)
                         (中国人民銀行5月23日)
外貨名  100日本円  100米ドル  100香港ドル  100ユーロ
     5.9488  654.55    84.27  734.71
関連ページ:http://www.boc.cn/sourcedb/whpj/
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《編集者コラム――四強》
 中国の超大都市というと北上広深、北京、上海、広州、深センなどと言っていま
したが、ここ最近は特に杭州の存在感が確実に大きくなってきているような気がし
ていて、いずれ漢字の並べ方も違ってくるのかもしれないと思っています。都市の
勢い、逆転のプロセスや構造に興味があります。
 ただ、メールマガジンをつくる側としては、広州と杭州の変換ミスがちょっと怖
いです。実際に編集していても1カ所ミスを見つけて慌てて直しました。入力時に
「こうしゅう」で変換せず、余り好きな読み方じゃないんですが、中高の地図帳な
どにならって、広州は「こわんちょう」、杭州は「はんちょう」というような中国
語読み?で一発変換できるよう対策しておきたいです。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 荒木千春 澤田裕子 楊桃
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