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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.715 2019年5月5週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:中国人海外遊学に潜む落とし穴】
●海外遊学体験 内容乏しく
●海外遊学の混乱をどのようにして管理するか

┏【教育】
●中国と24の「一帯一路」沿線国が学歴を相互承認
●「2017年中国留学白書」公布 留学の低年齢化明らか

┏【李年古の日中異文化交流術】
●育児法から描ける理想的な上司像(その1) 「呑舟の魚は支流には泳がず」

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……【特集:中国人海外遊学に潜む落とし穴】………………………………………
●海外遊学体験 内容乏しく
 中国之声「新聞縦横」の報道によると、今日の小学生は、冬休みに入ると、自分
の興味のある各種活動を申し込むほかに、家族が研学遊や冬キャンプ等の旅行商品
にお金を投じ、海外遊学が冬休み旅行の新たなトレンドになっている。

 今の夏キャンプは、かつてどの学校でも数学オリンピッククラスをしていたかの
ごとく、トレンドになっている。子供を夏キャンプに連れていくのはましの親なす
ることの気が何となくするからである。
 このような背景のもとで、さまざまな組織が多数出現し、各種遊学、クラス編入
プログラムがふえて、夏キャンプについて中途半端な知識しかない家族を困惑させ、
大金をどぶに捨てさせている。

 小中学生の遊学商品は「研学遊」と呼ばれる。内容は大きく4種類に分類される。
海外の有名校の見学と交流、クラス編入して学べる遊学、学びと旅行が半々の体験
型遊学、夏キャンプと冬キャンプ型の遊学である。

 2016年末、教育部等11部門は、研学旅行を小中学校の教育カリキュラムに組み入
れ、研学旅行と学校課程の有機的な融合を促進することを提案している。
 しかし、記者の取材によれば、人気がある海外遊学に比べると、多くの団体旅行
では「旅行だけで学びがない」状態になっている。高額な海外遊学にはどのような
不正行為があるのだろうか。これらの遊学商品はどのように管理監督すべきなのだ
ろうか。

 携程旅行網のビッグデータによると、今年冬休みの研学旅行は、前年同期比80%
以上増と予想されている。
 国内旅行では、博物館、北方でのスキー教室等に人気がある。海外旅行では、ス
イス、北欧での氷と雪の文化体験を主体とするプログラムから、オーストラリア、
ニュージーランドでの自然体験、屋外探検、牧場生活等に人気がある。

 携程旅行網の田飛氏によると、遊学旅行コースの価格は高どまりしており、一般
旅行コースの2倍に達するものもある。
 「海外遊学の1人当たり支出は約2.1万元で、ほぼ前年度同水準。イギリス、アメ
リカ、オーストラリアといった長距離路線では平均3.5万元、アジアの短距離は1人
当たり1.1万元。人気が最も高い遊学先は、オーストラリア、アメリカ、シンガポ
ール、タイ、ニュージーランド」

 このほか、有名大学への研学遊はいつも人気プログラムとなっている。国内大学
旅行では主に、北京、上海、南京、武漢等の大学密集都市に集中している。海外大
学旅行の主要国は、主にイギリス、アメリカ、オーストラリア等に集中している。
 途牛旅遊網のサービススタッフによると、12―18歳の高校生の予約数(延べ)は
71%を占め、冬休みの研学旅の主力である。
 「ここ数年の発展を経て、遊学旅行市場はますます重視され、商品が豊富になっ
てきている。最も人気のある海外大学旅行先は、イギリス、アメリカ、オーストラ
リア、ニュージーランド、フランス等。体験内容は、ホームステイ、現地名門校で
の編入学習、文化体験等」

 研学遊の目的は、子供に旅の途中で体験をさせ、実践の中で学ばせることだが、
目下、市場には、研学遊のプログラムは「ざっと見るだけのもの」、あるいは、名
門校や豪華であることをうたっておきながら実質的な内容は乏しいものが少なくない。

 このブームの裏では、旅行であって学びがなかったり、価格が割高であったり、
内容が水増しされていたり等の遊学商品があるという状況があり、遊学市場の発展
状況を楽観視できなくさせている。
 例えば、高い利益が見込まれる中、幾つかの企業では、一般旅行商品に「遊学」
のラベルを張り、中身はそのままの高額な旅行商品にしている。しかし、このよう
な「遊学」は、海外の大学めぐりに数万元を使うだけで、人々と失望させ、学習効
果などありようがない。

 専門家は、遊学は学びの深さを重視すべきであり、ざっと見るだけの旅行ではな
い、遊学商品は単なる旅行商品ではなく、教育商品に属するものであると指摘する。
 「旅行だけで学びがない」「高人気高価格」等の状況について、文化・観光部資
源開発司の張吉林氏は、研学遊商品の基準づくりを研究し、市場秩序を規範化する
とした。
 「まず市場の商品の規範化から始め、更に市場秩序の規範化し、比較的健全な旅
行環境にする。特に、文化と旅行を融合し、博物館、文化施設等の多くの文化施設
は研学遊のためにさらに広範な空間を提供する。これまで供給は不足しているが、
今後供給は更に拡大できるはずで、各段階、各レベル、各年齢層のさまざまな遊学
ニーズに対応する」(張吉林氏)〔中央テレビ台2019年5月9日〕

●海外遊学の混乱をどのようにして管理するか
〈現状の海外遊学に存在する主な問題点〉
 子供をスタートラインで負けさせないために、子供の知識を広げ、子供の見聞を
深めるのに、海外遊学は多くの家庭教育での必修科目となったが、懸案は、海外遊
学市場の隆盛の中に隠れたいいかげんさである。

 新東方「2018中国国際遊学業界発展報告」によると、2017年国際遊学者数は86万
人に達し、2018年には105万人に達すると予想され、人数は引き続き拡大傾向にあ
り、年市場規模は200億元に達する可能性がある。1回当たりの遊学費用は3―5万元
の割合が56.8%を占めた。
 しかし、このような盛んな成長とは相反して、海外遊学の学生はよく何度も再委
託にされ、サービスは頻繁に削られ、市場での監督も弱く、遊学組織の混乱があら
われ、学生から返金を求められたり、苦情が出されたり、暴力事件が起きたりして
いる。

〈海外遊学の混乱はどうして続出しているか〉
 実は、小中学生の「遊学」については、国家は専門に規定している。具体的な管
理規範があるのは、主に、教育部、国家観光局などの11部門が制定する「小中学生
研学旅行の意見について」、国家観光局「研学旅行サービス規範」、教育部、外交
部、公安部、国家観光局「小中学生の海外での夏(冬)キャンプ等関連活動参加管
理のさらなる強化に関する通知」である。

 小中学生の遊学の管理規範は多いが、では、なぜ海外遊学の混乱は依然として続
出するのか。
 専門家は、主な原因を3つ挙げている。

1 関連法律法規等制度規定のおくれ
 前述の遊学関連の管理規範は、行政規範性文書や業界手引きのみであり、法律法
規での強制執行力は有しておらず、違反しても厳重な法律の効果はない。
 例えば、「研学旅行サービス規範」では、受け入れ側の人員を「少なくとも研学
旅行団体当たり1人の担当教師を置くべきで、研学教師の責任は研学旅行教育工作
計画に制定し、引率教師、ガイド等のスタッフが連携して研学旅行の教育サービス
を提供する」とされている。実際には、受入れ側が研学教師を置いていない場合に
どのように管理し処罰するのかという制度の空白が生じている。

2 業界の参入障壁規定が明確ではない
 「小中学生研学旅行推進についての意見」によると、「小中学生の研学旅行は、
教育部門と学校により計画性を持って組織的に準備し、集団旅行、集団宿泊方式で
展開される研究的な学びと旅行体験が結びついた校外教育活動である」とされ、
「小中学生の海外での夏(冬)キャンプ等関連活動参加管理のさらなる強化に関す
る通知」では、小中学生の海外での夏(冬)キャンプ等関連活動を組織する組織主
体は小中学校、教育行政部門に所属する対外教育交流組織あるいは共産主義青年団、
少年先鋒隊と婦人連合会の組織であり、国家観光局が海外旅行業務の経営許可する
旅行会社に運営を委託できるとしている。国際(あるいは相手国)非政府組織との
交流の展開に関して、上級外事主管部門に許可及び届け出を提出しなければならない。
 このように見ると、前述規定の研学活動は教育部門と学校組織による校外教育活
動であるが、では、その他の訓練養成組織やコンサルタント会社等の主体は組織に
なるのだろうか。明確な規定が足りないことがはっきりしている。

3 政府の統一的な監督欠如
 海外遊学は、教育、観光、工商、公安等の多くの監督部門に関連しているが、目
下のところ、依然として明確な監督主体がなく、各部門には統一した有力な監督メ
カニズムが欠如しており、監督の「空白」があり、取り締まりが十分ではない状態
になっている。
〔検察日報2019年5月9日〕

……【教育】………………………………………………………………………………
●中国と24の「一帯一路」沿線国が学歴を相互承認
 先ごろ(2017年)、教育部はプレスブリーフィングを特別開催し、「一帯一路」
の共同建設の教育行動に関する状況説明を行った。現在、中国は既に24の「一帯一
路」参加国と学歴学位相互承認協議書を締結した。

 「「一帯一路」の共同建設の教育行動の推進」公布後、教育部は沿線各国との提
携を積極的に展開している。
 政策的意思疎通の強化面において、中国は46の国及び地域と前後して学歴学位相
互承認協議書を締結、うち24が「一帯一路」参加国である。

 沿線国の言語互換促進面において、教育部国際司と北京外国語大学は提携協議を
締結し、当大学は2018年に専攻外国語を94種まで開設し、外国語専攻設置の全面的
な網羅を実現する。

 「シルクロード」留学推進計画の実施面において、2016年、中国は226名の国別
エリア研究人材を選抜して34の国へ派遣し、37の非通用言語人材908名を派遣して
国外でトレーニングを行っている。
 また、「シルクロード」中国政府奨学金プロジェクトを設立し、毎年沿線国に対
し総数が3000人を下回らない奨学生の枠を提供している。

 「シルクロード」学校運営提携計画の実施面において、教育部の統計によると、
現時点までに審査認可を経た各種中外提携学校は計2539校であり、本科以上のレベ
ルの項目及び機構1248校、高等職業学校・高等専門学校レベルの項目及び機構928
校が含まれる。
 また、模範的高レベル中外学校運営提携プロジェクトを進めており、深セン北理
モスクワ大学、浙江大学エディンバラ連合学院等15の中外学校運営機構、57の学校
運営提携プロジェクトが含まれる。〔北京日報2017年5月8日〕

●「2017年中国留学白書」公布 留学の低年齢化明らか
 2017年5月16日、新東方教育集団は北京で「2017中国留学白書」を発表した。こ
れは新東方集団による3年連続の留学白書発表会である。

 「2017中国留学白書」は、新東方前途出国とグローバルリーダーの市場調査会社
カンター・ミルウォード・ブラウンが共同し、ネットワークメディアを通じた全国
範囲でのオンライン調査、全国40の都市と地域を網羅したオフライン調査を行い、
サンプル回答6217を回収したほか、数万社のメディアをカバーするネットワークデ
ータモニタリング等の形式でも収集し、大量のデータ分析により得られたものである。
 また、白書は新東方による学生への留学サービスビッグデータと合わせ総合的な
比較解析を行い、中国留学生群の新たな変化傾向をあらわしている。

 今回の白書は全体として次の5つに分けられる。
 第一部分:2017年度中国留学の現状、第二部分:最新の各国留学教育体制及び傾
向、第三部分:最新の各国留学テストガイド、第四部分:中国留学生の海外消費調
査、第五部分:中国留学生の帰国就職調査。

 新東方教育科技集団助理副総裁、新東方前途出国執行総裁の孫涛氏は講演の中で
「2017年中国留学白書」と「2016年中国留学白書」の一部のデータについて比較を
行い、中国留学状況の傾向を提示した。

 まず、前年(2016年)と比べ、小中学生の留学生群が2016年の25%から30%へ5ポ
イント増加しており、同時に、本科及びそれ以上の留学生群は75%から70%へ下落し
ている。ただし、注目すべき点として、本科以上の在職者群の留学比率は9%から13%
へ増加している。
 「在校生、卒業後を問わず、留学をみずからの知識レベルを向上し、視野を広げ
る方法として考えるようになっている」(孫涛氏)

 低年齢留学データには国の選択が含まれており、「留学白書」のデータによると、
カナダとニュージーランドが低年齢の留学に明らかな優位性を見せており、アメリ
カを上回っている。
 「カナダとニュージーランドは教育の質において上下はないが、安全性と文化融
合においてより多くの中国家庭の認知を得ている可能性があり、将来、低年齢の留
学先がカナダとニュージーランドとなり得る。これまでは一部の人の選択肢であっ
た国が、将来的により多くの中国家庭の選択となる」(孫涛氏)
〔中国網2017年5月17日〕

……【李年古の日中異文化交流術】……………………………………………………
●育児法から描ける理想的な上司像(その1) 「呑舟の魚は支流には泳がず」
 最近、子ども教育分野に強く惹かれている。そのきっかけは、僕の尊敬する教育
専門家・竹野さんとの面談だった。彼は定年以降、企業の研修依頼のオファーをい
っぱい断ってきた。ただ、唯一の例外として、みずから開発した管理者を対象にし
た「子どもを育てる視点から学べるマネジメント力」というテーマの研修であれば
という条件をつけていた。

 その理由が、僕には多少わかる。彼の恩師・多湖輝先生は生涯にわたって子ども
の教育に力を注いできた。子ども時代の教育、特に7歳までの教育は一生の成長に
限りなく絶大な影響を与えるので、企業の管理者はまず我が子を育てるのに多くの
時間と精力を投入すべきである、教育家出身の2人はそのような考え方を強く持っ
ている。しかも、その育児プロセスの体験こそ、マネジメントの極意を学べる絶好
なチャンスであるという学説を一貫して主張し続けてきた。

◆「呑舟の魚は支流には泳がず」
 これは中国のことわざである。舟を呑み込むような魚は常に川の本流を泳ぎ、決
して小さな支流には入っていかない。大きな夢を持つ人は小さいことにこだわらな
いという意味である。

 育児も、部下育成も、大きな夢を持つかどうかは最初から考えておくべき課題の
一つであろう。それが定まると、人育ての目標が初めて設定できるからである。

 人間を器に見立てると、大きくなれば大きくなるほど、多くのものが吸収できる
ようになる。親や上司としては、部下の器を大きく豊かにするのが、まず目指すべ
き目標になるではないか。

 もちろん、「僕が支流で楽しめたい」という子どもや部下もいるはずだ。それは、
それでもいい。上司が、自分と部下本人との求める器の大きさについてしっかりと
語り合うのは、コミュニケーションの最初のテーマであることを心がけていくべき
だ。または、どのような「支流」がいいのか、その支流で泳がせるスキルを最大限
に伸ばすのはどうしたらいいのか、上司は教える役割を果たすための意識を持つべ
きであろう。


 日本人管理者が中国人の部下を初めて抱える際、最も不安なことの一つは、その
部下が上司の自分をどこまで信頼し、認めてくれるかどうかだという。特に、前任
者の後を継ぐ立場に置かれた赴任者はなおさら、部下が前任者と比べて自分を評価
することに不安と覚えることは多い。
 しかし、最初に相手の夢や目標を聞き出すことから会話を始めれば、その不安は
不要になるだろう。部下の器をはかりながら、それを大きく豊かにする姿勢を見せ
れば、部下は、上司のイメージが自分の親と似ているように見え、親しみやすく、
心から受け入れてくれるようになる。(次号に続く)

(このコーナーは、日中異文化コミュニケーションの経験を中心テーマとした文章
を御紹介していきます。)
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【求人:保育士募集 中国で日本の保育を広めませんか?】
1 条件
 幼児保育経験5年以上。年齢30代前後希望だが、その限りではない。
 日本の育児カリキュラムをそのまま生かせる方。カリキュラム中「生活」「健
康」「躾」の部分は、完全に日本式の管理と方法で実践できる方。

2 待遇
 月約30万日本円。深センの住居は会社から無料提供。中国の就労ビザは会社が斡旋。

3 仕事内容
 経験により、保育の仕事、実行園長、あるいは現地人材育成の講師等。みずから
の経験を現地の保育士に伝えられ、日本の経験を講演できる方はなお歓迎。

4 その他
 中国では、0.5歳―1.5歳、1.5歳―2.5歳、3歳以上のクラスに分かれている。派
遣先保育園は園児30名規模で、場所は深セン市内。2―3人の赴任者を同時派遣希望。

☆☆★☆――問合:(株)日中ナレッジセンター info@jckc.com ――★☆★★

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《編集者コラム――多目に》
 今回も前回に引き続き、ちょっと日付は古い「最新情報」もありますので、気を
つけて見てください。そういうこともあり、少し記事が多くなりました。(ま)
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●「ビジネス企業研修@中国」 http://www.bizchina.jp/
●バッグナンバーの入手
(83号以降 2000/9/25―) http://www.bizchina.jp/ja/nweek/
●《中国最新情報――編集者コラム》http://ameblo.jp/jckc-colum/
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編集長:李年古/副編集長:前野貴子 特別協力:劉莉生
翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃
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