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電子マガジン・中国最新情報
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教育・文化ウオッチ@中国最新情報 No.812 2024年4月5週号
発行:《中国最新情報》編集部 http://www.bizchina.jp/
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━【目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏【特集:ショートドラマに投影する庶民の夢】
●中国の3分ショートドラマ ブーム到来

┏【東西問】
●「100年に一度の大変革」共存の道を歩むには

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……【特集:ショートドラマに投影する庶民の夢】……………………………………
●中国の3分ショートドラマ ブーム到来
 過去2年間で、オンラインショートドラマは中国で爆発的なブームを迎え、多く
の中国人の食後などの休息時の心の糧になっている。

 中国ではここ数年、主に抖音(TikTok)や快手などの動画プラットフォームやそ
の他のショートドラマアプリでショートドラマの人気が台頭している。この種の縦
画面による動画の各エピソードの長さは3分間を超えず、1本のショートドラマは約
100エピソードあり、通常、最初の十数エピソードは無料で、更に見る場合には有
料となる。
 ショートドラマのエピソードごとの課金は数毛(元の10分の1)から数元とまち
まちだが、ドラマ全体を見終るのには数百元の課金となる場合がある。

 ショートドラマの発展を促進するため、抖音や快手などの短編動画プラットフォ
ームでは、2021年にショートドラマの「新番組計画」を始め、MCN(多チャンネル
ネットワーク)組織または個人による連続ドラマの短編動画の公開を奨励し、引き
換えにプラットフォームからのトラフィックサポートと現金報酬を与えている。

 普通のテレビドラマと比べ、ショートドラマの制作ははるかに荒削りで、俳優の
演技力が誇張され、セットも退屈で、撮影技術や編集が整っていないことが多い。
多くのショートドラマはオンライン小説をもとにしており、題材は恋愛、甜寵(男
性主人公が相手を溺愛するラブストーリー)、戦神(並外れた勇気と強さを持つ人
物)。これらのドラマの共通点は、主人公は表向きは身分が低く、抑圧されている
が、実は大きな富と権力を秘めているということだ。

 ショートドラマは制作コストが低いが、ドラマの多くは配信後の課金率が決して
高くないので、収益があるものは20%にも満たず、大多数は無駄になっている。
 中国のショートドラマ市場は昨年374億元で、5年以内に映画市場規模の約70%に
達する見通し。
 艾媒諮詢が昨年11月に発表した研究レポートによると、昨年の中国のオンライン
ショートドラマ市場規模は374億元で前年比268%増だった。この数字は2019年には10
億に届かなかった。これはつまり、わずか5年のうちに、ショートドラマ市場規模
が100年の歴史を持つ映画市場規模の約70%に達したことを意味している。
〔聯合早報2024年3月10日〕
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……【東西問】……………………………………………………………………………
●「100年に一度の大変革」共存の道を歩むには
 現在、世界の100年に一度の大変革は、加速度的な変化を遂げている。世界の変
化、時代の変化、歴史の変化がかつてない形で展開されている。各国が相互依存的
な発展を遂げ、かつてない存亡の危機を共有している今、人類はより包括的で参加
度の高い新しい世界の構築を模索している。
 山東大学国際問題研究院院長で中国社会科学院会員の張蘊嶺氏は、先ごろ、中新
社の「東西問」の独占インタビューに応じ、「100年に一度の大変革」に対処する
ため、共存を重視する協力的文明が霧の中からあらわれつつあると語った。
 インタビューの要旨は以下のとおり。

中新社記者:100年に一度の大変革で一体何が変化したのでしょうか。

張蘊嶺:100年に一度の大変革には、「国際秩序の変化」と「発展パラダイムの変
化」などが含まれます。

 国際秩序の変化は、間違いなく人々が最も注目している大きな変化の一つです。
国際秩序は世界のパワーバランスに基づいています。近代に入ると、西洋諸国は集
団として台頭し、総合力を高めていきました。そして、その力を使って世界に進出
し、植民地制度を導入し、世界の主導権を握りました。
 しかし、この状況は大きく変わろうとしています。第二次世界大戦後、民族独立
運動により植民地体制が崩壊しました。独立した民族国家は、開かれた開発を通じ
て「グローバルサウス」と呼ばれる非西側諸国のグループを形成しました。このこ
とが世界のパワーバランスを変えたのです。
 現在、GDPで測定したグローバルサウスの総体経済は2021年までに約42%まで上昇
し、過去20年間の世界経済成長に対するグローバルサウスの貢献度は80%に達して
います。

 世界発展のパラダイムの変化は、革命的な性質を持つ劇的な変化です。英国で始
まった産業革命は、人類を農業社会から工業化社会へと移行させました。
 工業化は普遍的な発展パラダイムとなりました。第一に、常に深化していること
です。つまり、技術の継続的な改善により、生産効率が向上し、より多くの製品が
生産されたのです。第二に、より多くの国々が工業化プロセスに参入し、工業化の
規模が大きくなったことです。
 工業化は人間の生活環境を大きく改善しましたが、その欠点も徐々に明らかにな
ってきました。最大の問題は、一つ目は、再生不可能な資源の過剰開発により、資
源がますます減少し、地球の生態系バランスが変化していることです。二つ目は、
工業化の過程で深刻な汚染が発生したことです。
 炭素排出がもたらす「温室効果」によって地球の気温が上昇することにより、地
球の生態系に壊滅的なダメージを与え、地球が「負のエネルギーで動く」という危
機的状況を引き起こしています。したがって、従来型の工業化発展パラダイムは終
焉を迎え、新しい持続可能な発展パラダイムへの移行を加速する必要があります。


中新社記者:この大変革において、新たな秩序をどう再構築していくべきでしょうか。

張蘊嶺:現在の国際秩序の変革は段階的なプロセスであり、単に非西側諸国が西側
諸国に取ってかわるというものではありません。西側諸国の衰退、とりわけ米国の
衰退は、主に世界に対する米国の支配力と覇権的な地位の衰退にあらわれています。
西側諸国は依然として先進国グループであり、科学技術、経済水準、富の所有、軍
事などの面で優位に立っています。
 この大変革の主な特徴は次のとおりです。第一に、西側諸国が世界を支配する秩
序の変化、すなわち、より構造的にバランスのとれた秩序へと世界が変化している
ことです。第二に、世界が一つの大国により支配また覇権を握られる時代は終わっ
たということです。
 変革の過程には不確定要素や危険がつきものであり、とりわけ新旧の勢力や構造
的な摩擦は、競争や対立、さらには紛争を引き起こす可能性があります。だからこ
そ、世界が争いに明け暮れ、戦争に明け暮れた19世紀に逆戻りするのではないかと
危惧する人もいるのです。
 したがって、大変革に直面した場合、中心的な問題は、いかにして無秩序の暴走
を防ぎ、権力構造の変化に照らして、安定的で秩序のある平和的変革を達成できる
かということになります。現在の世界は19世紀とは異なります。国連システム、地
域協力メカニズム、そのほかに対話と協力のためのさまざまなメカニズムが存在し
ます。国際社会では、共通の認識、議論、利益を追求し、平和的建設による新秩序
の確立を促進するために、すべての国と当事者の参加を支援する必要があります。

 発展パラダイムシフトとは、従来型の工業化から新しいパラダイムへの根本的な
転換であり、それは人類の生産方法、ライフスタイル、社会運営方法、文化的価値
基準などの包括的な変化を伴います。転換の方向性は明確です。つまり、地球規模
の生態系と生物多様性のバランスを持続可能な方向へと転換させることです。この
ような転換には長い時間がかかりますが、緊急を要するものであり、共同の参加が
必要です。
 転換の難しさとリスクは、第一に、ペースが遅過ぎて、多くの国が学習できるモ
デルを形成するのが難しくて、従来のパラダイムを覆すような転換を形成すること
ができないことです。第二に、工業化の初期段階にある発展途上国は、発展プロセ
スが停滞しており、転換するための能力と資源が不足していることです。


中新社記者:大変革において、なぜ新たな協力的文明が解決策になり得るのでしょ
うか。

張蘊嶺:伝統的な勢力均衡の変化における秩序の変容は常に戦争を通じて行われ、
勝者により関係と秩序を再構築されてきました。つまり権勢の役割交代が行われ、
勝者が主導権を握ることになるのです。
 今日の世界と未来の世界は、秩序構造も構築された役割も異なっています。人類
は、近代的な民族国家制度に基づく相互連結と相互依存の時代に突入し、新たな秩
序と構築手法を必要としています。包括的、公正かつ合理的な新秩序の基本構造へ
の共同参加は、共同で策定され遵守される国際ルールに基づいています。

 歴史的に、秩序の構築は集団対立が顕在化し、各国はどちらの側につくかを選択
する必要があります。現在、既存のグループは依然として存在しているにもかかわ
らず、多くの国は可能な限り「選択を避ける」方針をとっています。「ヘッジバラ
ンス」を追求し、合理的にみずからの立場を考慮した上で、さまざまな複雑な関係
を処理して、みずからを大きな衝突や矛盾に陥れないよう心がけています。
 保守主義が台頭しているとはいえ、依然として開かれた発展が主流であり、主要
なトレンドであることに変わりありません。各国は大きく開かれた市場空間を共有して、互恵的なサプライチェーンに参画し維持し、経済成長を維持しています。こ
れにより、移行期における平和構築と協力の可能性を提供しているのです。

 したがって、この大変革に立ち向かうためには、新しい考え方と新しい理解が必
要なのです。そこで私は、新しい文明を築き、協力的文明とも呼べるような、協力
を志向する新しい文明を推進することを提案します。


中新社記者:最近開催された学術会議で、世界が協力して共存文明を築くべきだと
初めて提唱されましたが、これが大変革に対処するための協力の道なのでしょうか。

張蘊嶺:人類文明は新たな発展段階を迎え、自己中心の文明から全人類が共存する
文明への転換が起こっていると考えています。その理由は、持続可能な地球を共に
守る必要があるからです。
 共生の文明は、自己中心的な文明観だけでなく、人間中心の文明観をも変えて、
地球全体の生物多様性の共存を中心とする文明観を生み出しました。新しい文明観
は、東西を区別するものではなく、東西南北の文明が出会い、融合し、新しい価値
を形成します。

 人間と他の生き物は同じ地球上に住んでおり、地球上で最も変化する能力がある
のは人間ですが、人間中心の利益の変化は地球全体の生態系の不均衡も引き起こし
ています。したがって、一つの地球を共同で守る理念を確立し、それを基盤として
共通の協力行動のアジェンダを作成することのみによって、よりよい未来を築くこ
とができるのです。
 人類の地球への理解は、2つの転換を経験しています。第一に、グローバリゼー
ションにより、一つの地球で共存していることに気づくようになりました。第二に、
グローバルな危機により、地球を共同で守る必要性を認識するようになりました。
共同で守るのは地球全体の生態系です。地球全体の生態系を守ることができなけれ
ば、地球は生存に適さなくなり、地球上の生命は絶滅の危機に瀕します。したがっ
て、共同で守ることは、協力的な新しい文明の核心的な問題です。

 気候変動は、人類に初めて共通の危機、共同の責任、そして共同の行動を認識さ
せました。1992年、国連総会は「国連気候変動枠組み条約」を採択し、1997年には
「京都議定書」が国連気候変動会議で採択され、2015年には「パリ協定」が採択さ
れました。
 これら3つの文書は、人類史上前例のない法的拘束力のある共同コミットメント
です。各国はみずからコミットメントを実行し、責任ある行動を取る必要があり、
2050年までに地球温暖化を破壊的な災害を引き起こさない範囲内に抑える必要があ
ります。

 明らかに、百年に一度の大変革に対して、具体的な問題を研究するだけでなく、
全体的な問題も研究する必要があります。自身の問題だけでなく、共通の問題も研
究する必要があります。具体的な対策だけでなく、文明の創造も研究する必要があ
ります。百年に一度の大変革を新しい文明の構築に向けて認識することは、非常に
重要な意味を持ちます。
〔中国新聞網2024年1月4日〕
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翻訳:竹内はる菜 澤田裕子 楊桃 村井好子
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